SESとは?

まずは、SES(システムエンジニアリング契約)とはどういったものかを明確にしましょう。

良く分からない言葉を調べる際、みなさんWikipediaなどを利用されるかと思いますが、WikipediaでSESを調べてみると、「システムエンジニアの能力を契約の対象とするもの」と書いています。

この説明ではイマイチ分かりにくいと思いますが、SESとは簡単に言えば、サラリーマンのように “自分たちのために一カ月〇〇時間働いてもらっている”という事実に対して、システムエンジニアに報酬を支払うのがSESとなります。

二人のシステムエンジニアが同じ時間働くにしても、すごくできるAさんと、まだまだ勉強中のBさんでは、能力の違いから期待できる成果が違なるので、報酬金額が異なります。

Wikipediaの説明にある、SESは「システムエンジニアの能力を契約の対象とするもの」という記述は、まさにこのことを指摘していて、もう少し、分かりやすい表現に変えるなら「エンジニアの能力によって、契約の単価が違う、時間当たりで報酬が発生する契約」といったところでしょうか。

ここまで聞いて「アルバイトじゃないけどさ、働いた時間分だけ報酬を受け取るって当たり前じゃないの?」と思った方も多いと思いますが、実は、そうでもないのです。

そもそも、システムエンジニアにシステム開発を依頼した時に、クライアントにとって本当に大事なのは、システムエンジニアが何時間働いていたかよりも、納品された成果物ですよね。

そこで、なにに対して報酬・対価が支払うべきかと考えた場合、SESのような、“自分たちのために一カ月〇〇時間働いてもらっている”という事実に対して報酬を支払うという考え方以外に、システム開発を依頼したのだから、納品されたシステムに対して対価を支払うべきだという考え方もあるわけです。

よくよく考えてみると、SESの場合、一カ月150時間分の報酬を払っていたのに、結局、納品できるようなものは作れませんでした、という事態になる可能性も十分にあるのです。

なお、“自分たちのために一カ月〇〇時間働いてもらっている”という事実に対して報酬を支払うという考え方で行うシステムエンジニアの労務提供契約のことを法律用語では「準委任契約(業務委託)」、対して、納品されたシステムに対して対価を支払うべきだという考え方で行うシステムエンジニアの労務提供契約のことを法律用語では「請負契約」と言います。

「準委任契約ということは委任契約もあるの?」と思った方、鋭いです。

不動産の売買など法律に関連する業務をお願いする契約は委任契約になります。

逆にシステム開発など法律に関わらない業務をお願いする契約は準委任契約となります。

ところで、「SESと派遣の違いって何ですか?」という質問をよく耳にするので、その質問についてもお答えしましょう。

なぜ両者が間違えられやすいかというと、多くの場合、どちらもクライアントのオフィスで仕事をする、いわゆる客先常駐である、という共通点があるためです。

違いは誰の指示で仕事をするか、という点です。

派遣は文字通り、クライアント企業に、クライアント企業にシステムエンジニアを派遣します。

指揮系統も派遣元企業から、クライアント企業に切り替わるため、派遣されたシステムエンジニアは、派遣先のクライアント企業から直接、指示をして仕事をすることができます。

対してSESはある能力をもったシステムエンジニアの労働時間(工数)を提供する契約です。

SESされたシステムエンジニアの所属は、常駐しているクライアント企業ではなく、あくまで所属会社です。

よって、SESのシステムエンジニアは、常駐しているクライアント企業から指示を受けて仕事を行うことはできません。

万が一SESと言いながら、クライアント企業から指示を受けていた場合は、実態と異なる契約とされ、偽装請負として、クライアント企業・派遣会社双方に社会的・経済的ペナルティを受けることもあります。

常駐先

SESのメリット

ここからはSESのメリット・デメリットについて見ていきたいと思いますが、派遣や請負契約との比較でのメリット・デメリットだとお考えください。

まず、SESで働くシステムエンジニアのメリットは、客先常駐といえども、自分に指示を出す上司は自社の人間ですので、相談がしやすく、評価についても公正になりやすい、という点です。

派遣の場合、指示を出すのは派遣先の人員、つまりお客様ですので、意見が言いにくい、個人的な相談などもっての外、ということが多々あります。

また、評価についても、どうしても派遣先の人たちの意見が、そのまま自社の評価になってしまうこともあり、実力に見合わない結果になることもあります。

逆にSESでシステムエンジニアを提供してもらう企業のメリットとして、気軽にIT関連の業務をアウトソーシングできるという点に尽きます。

情報の持ち出し対策や、機器が拠点にあるのでシステムエンジニアに来てもらう必要があるなどの理由にて、自社内にて働いて欲しいけれど、システムエンジニアを束ねて業務を遂行させられるような人材が社内にいない、という場合に、SESを選択することが多いようです。

SESのデメリット

ここからはSESのデメリットです。

SESで働くシステムエンジニアのデメリットとしては、やはり客先常駐エンジニアであるため、案件の終了や契約改定などで、現場が変わってしまうことも多々あります。

新たな環境に移るストレスが発生してしまいます。

SESでシステムエンジニアを提供してもらう企業のデメリットは、SES契約と派遣の区別がつかない担当者が、SES契約のエンジニアに指示を出してしまい、偽装請負化するリスクがあります。

よく問題になるのが「終わるまで帰るな」という趣旨の発言です。

SESの場合は、契約上、業務完遂を保証しているわけではなく、集合時間・終了時間などの「拘束時間の決定」も業務上の指示であるため、クライアント企業から命令する権限がありません。

言いたくなる気持ちはわかりますが、「終わるまで帰るな」発言は契約の前提を無視した発言であるため、SESのシステムエンジニアに対して強制力がないばかりか、発言自体が問題視されるものです。

SESという働き方

SESで働いたことがあるシステムエンジニアの意見として、よく耳にするのは「客先常駐である、という意味では派遣と大きく働き方が変わるわけではない」というものです。

かつてほどは減ったと言われていますが、現場担当者レベルになると、やはりSESと派遣の区別がつかず、業務上の指示をしようとするクライアント企業の人間も中にはいるようで、その対応に苦慮した、という苦労話も聞きます。

一方で、客先常駐の仕事自体は無くならない上、様々な現場を経験出来てスキルアップに繋がった、刺激になった、というポジティブな意見も中にはあります。

そして、SESという働き方は、派遣と違いクライアント企業の担当者と直接折衝する必要がない、という点で“めんどくさいことが少ない”という感想を持つ方が多いようです。

まとめ:知ることが重要

今回は、SESについて見てきました。

SESについて“エンジニアを食い物にする人材派遣会社の陰謀”だの“多重下請けが蔓延るIT業界の暗部”のように紹介されることも多いです。

火のない所に煙は立たぬ、と言いますから、実際に悪質な人材派遣会社や法を無視するクライアント企業もいるのでしょう。

しかし、SESとはどういったものかを知っていれば、上記のリスクは大きく減るはずです。

システムエンジニアといえども契約や法律について、知識を持っておくことがこれからの時代、重要になっていくでしょう。

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