フリーランスの福利厚生費 経費になるの?

結論を言ってしまうと、フリーランスや個人事業主といった方の福利厚生費は経費にならない、というのが原理原則です。

もっというと、厳密に言葉の意味を考えると「フリーランスや個人事業主のための福利厚生」という言葉は、実はおかしな日本語です。

なぜならば、“福利厚生”とは「雇用主が従業員に対して提供するサービス」のことだからです。

みなさんが意識しているかどうかは別として、雇用主には従業員の健康やワークライフバランス、つまり仕事以外の私生活面を充実させる責任を負っています。

そして、それを実現するための具体的な方法が福利厚生であり、そのために使ったお金が福利厚生費として会社の経費となるわけです。

しかし、フリーランスや個人事業主は従業員ではなく、経営者です。

フリーランスや個人事業主の方が誰かを雇うことで雇用主となり、福利厚生を提供する側になったとしても、福利厚生を受ける側にはならないのです。

昨今、「フリーランス協会に入ればフリーランスでも福利厚生が受けられる」といった趣旨の説明が見受けられますが、フリーランス協会が提供するのは、“保険会社が提供する賠償責任補償”と“福利厚生プランとして企業に導入されているサービス(WELBOX)”です。

決して、フリーランス協会は福利厚生を提供しているわけではありません。

もし、フリーランスの方がジムやカラオケ、ホテルなどの娯楽施設の費用をなにも考えずに経費計上して税務申告した暁には、十中八九、税務署に呼び出されるでしょう。

公私混同だと怒られ、修正申告するように指導されるかと思います。

ただし、フリーランスや個人事業主の方がジムやカラオケ、ホテルなどの娯楽施設の費用を経費として落とす手段はあります。

例えば、ジムでお客様になってくれそうな人との繋がりを作っている、だとか、カラオケで商談を進めていた、という場合は接待交際費などに計上することは、理屈上、可能です。

また、ホテルにしてもビジネス上の旅行や宿泊だと言えるのであれば、旅費交通費とすることも可能でしょう。

つまるところ、フリーランスや個人事業主の方は福利厚生費という勘定科目がないので、そのほかの科目に入れ込む、という訳です。

興味がある方は、その道のプロである税理士の方と相談してみると良いでしょう。

フリーランスに福利厚生は必要か?

繰り返しになりますが、フリーランスや個人事業主には福利厚生というものはありません。

ただ、フリーランス協会の例のように、フリーランスや個人事業主の方でも企業が福利厚生として社員に提供しているものと同じサービスを受ける方法はあります。

そこで、そもそも、どういった福利厚生的なサービスが必要かどうかを考えたいと思います。

ところで、福利厚生と一口でいっても、絶対に雇用主が提供しないといけない法定福利と、任意で導入可能な法定外福利に分かれているのをご存知でしょうか。

法定福利の具体的なものは、雇用保険制度、労災保険制度、健康保険制度、厚生年金保険制度の四つです。

いずれも労使折半、つまり、雇用者と従業員が半分ずつ費用を支払うものです。

法定外福利は、それ以外のいわゆる“福利厚生”です。

例えば、住宅手当や家賃補助あるいは社宅制度などの住居支援であったり、社内預金や従業員持株会などの財産形成補助、あるいは社員食堂やミールクーポンなどの食事支援、交通費や家族手当などが挙げられます。

もちろん、ジムやカラオケ、ホテルなどの娯楽施設の費用負担などレクリエーション活動の費用負担も含まれます。

このように福利厚生には色々ありますが、法定福利に相当するサービスは、フリーランスや個人事業主の方にもあった方が良いかと思います。

雇用保険制度や労災保険制度の代わりとなるものとして、働けない間の生活費を保証するための民間保険である、就業不能障害保険や所得補償保険などが選択肢になるかと思います。

ちなみに、就業不能障害保険は生命保険会社が、所得補償保険は損害保険会社の販売する保険であり、申し込み条件や保証の範囲、一時金の金額などに違いがあります。

加入を考える場合は、まず、どちらのタイプの保険が自分に合っているかから、よく比較検討した方が良いでしょう。

次の健康保険制度は、加入が義務付けられた国民健康保険があるため、特に気にする必要はありません。

そして、厚生年金保険制度の代わりとなるものですが、iDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金、小規模企業共済制度、保険会社の年金保険など、様々な代替サービスがあるので、それらを活用すると良いかと思います。

そして、もう一つ重要だと思うのは、ビジネス上のトラブルに対応するための保証サービスです。

従業員が職務中に引き起こした事故などに対する損害賠償請求があった場合、通常、企業が従業員の代わり賠償金を支払うはずです。

このように「会社が従業員を守る」というのも、ある種の福利厚生ですよね。

企業は、そのための保険である賠償責任保険に加入しています。

ところが、フリーランスや個人事業主には守ってくれる企業、組織がありません。

トラブルに巻き込まれた際、損害賠償請求への対応も自力で行う必要がありますから、自分自身で賠償責任保険に入っておくべきです。

なお、フリーランス協会の会員は、特にフリーランス向きになった賠償責任保険が自動で付いてくる、ということで、世間で大きな話題になったわけです。

ここまで法定福利についてみてきました。

次は法定外福利についてですが、私はケースバイケースだと考えています。

大手企業でも採用されることの多い、ベネフィットステーションはフリーランスの方や個人事業主の方でも月額300円(税抜き)で加入可能です。

ベネフィットステーションは宿泊施設や映画館、カラオケといったレクリエーション施設やユーキャンなどの通信教育のクーポン配布やディスカウント価格での申し込みが可能になるので、人によっては、相当、お得感があると思います。

とはいえ、使わない人にとっては、無駄遣いになるのは否めません。

自分に有用だと思える方だけが利用する形で良いかと思います。

お得な福利厚生サービス

クレジットカード

最後にフリーランスでも利用できるお得な福利厚生サービスと利用方法をご紹介いたします。

フリーランス協会

上でも少し触れましたが、フリーランス協会に加入すると自動的に賠償責任保険が付いてきます。

さらに、ベネフィットステーションと同じようにレクリエーション施設などのクーポンの配布、ディスカウント価格での申し込みが可能なWELBOXというサービスにも自動加入となります。

年会費1万円(月額約833円)であることを考えると、間違いなくコスパが高いサービスです(しかも協会を通してビジネス上の繋がりを作っているという論法で、経費として落とせるでしょう)。

なお、オプションで所得補償保険にも加入が可能となっています。

カード特典などのクラブオフ

フリーランスや個人事業主の方は、私用の口座・クレジットカードと、ビジネス上の口座・クレジットカードは分けた方が良いと言われます。

ということで、ビジネス用のカードを作る方が多いと思います。

その際に、ベネフィットステーション型のサービスであるクラブオフの利用権が所有者特典として付いてくるクレジットカードを選べば、カードの年会費だけで福利厚生サービスが利用できる、というわけです。

代表的なところでいえば、アメックスのビジネスカードやJCBゴールドカードなどがあります。

ちなみに、ベネッセ・イオンカードは年会費が無料なのにクラブオフが使えるという点で一部から人気のようです。

また、クレジットカード以外にも、ジャパンネット銀行は10万円以上の残高または、前月の振込入金が合計3万円以上などの条件でクラブオフの利用権が与えられます。

タダほど高いものはない、という慣用句もありますが、追加料金を払うことなく使えるのであれば、検討する価値はあるかと思います。

カード特典などのベネフィットステーション

上でも触れましたが、ベネフィットステーションはフリーランスの方や個人事業主の方でも月額300円(税抜き)で加入可能です。

ただ、クラブオフ同様に、無料でベネフィットステーションを利用する方法があります。

方法としては、ジャックスカード(どれでも良いようです)のオーナーになること、または、東京海上日動または朝日生命保険の特定の保険に加入することとなります。

クラブオフより方法が少ないですが、覚えておいて損はないでしょう。

まとめ:今後も福利厚生サービスに期待

今回は、フリーランス向けの福利厚生サービスについてみてきました。

働き方改革を打ち出した政府の方針もあり、今後、フリーランスやパラレルワーカーと言われる人たちが働きやすくなるための制度や仕組み、サービスが登場してくるかもしれません。

これからも注意深く見ていきたいところです。

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