失業保険とは?

過去のエントリーである「会社員からフリーランスに転身 失業保険はどうなるの?」と重複しますが、まずは“失業保険”について確認いたします。

実は“失業保険”というものは2019年現在の法制度上、存在しません。かつてはありましたが、法律の改正に伴いなくなりました。みなさんが“失業保険”と呼んでいるものは、実際のところ“雇用保険”の仕組みの一つである“失業等給付”というものになります。

“雇用保険”というのは、その名前の通り、雇用されている従業員のための保険制度です。一度、なにかしらの理由で離職した方が、次の職場を見つけられるまでの間、提供される経済的な支援が“失業等給付”ということになります。

裏を返せば、次の職場・雇い主を探していない人は“雇用保険”から“失業等給付”をもらう権利はありません。

60歳で定年退職した方が“失業等給付”を受け取っていたのですが、実は、求職活動はしておらず、単に65歳の年金受給までの繋ぎとして申請していたことが発覚し、結果として、不正受給と認定され、ペナルティーが課された事例もあります。

また、すでに開業届けを出して自分で事業を始めている個人事業主はもちろん、独立してフリーランスになることを目指している方も、基本的には“雇用保険”でカバーされませんので、“失業等給付”もありませんでした。

ただし、「失業保険でまとまった金額のお金がもらえるので、再就職の意思を失う失業者が多い、という実態がある」という批判を受けて、“再就職手当”という仕組みも作られました。これは、簡単にいうと、失業状態から早く抜け出せた方には、その早さに応じて手当、つまりお金を支給するよ、という制度です。

この“再就職手当”の画期的なところは、いままでの“失業等給付”は「新たな企業に就職して再雇用されること」しか認められていなかったのに対して、「開業届けを出して自分で事業を始めること」も失業から抜け出す方法として認め、経済的支援を実施する道を開いたことにあります。

つまり、従来の“失業等給付”では経済的支援を受けられなかった、独立してフリーランスになりたい人も、“再就職手当”であれば経済的支援を受けられるようになったのです。

こわーい! 不正受給を避け、再就職手当を検討する

さて、一般的に“失業保険”と言われている、“雇用保険”の仕組みの一つである“失業等給付”そして、“再就職手当”という制度があることをご紹介いたしました。

“失業等給付”と“再就職手当”という二つの制度を正しく理解しないまま、給付を受けてしまうと、不正受給と認定される可能性があります。

なお、不正受給と認定された場合は、罰金として不正受給と認められた金額の三倍の金額の返済を求められます。なお、この三倍の金額に因んだ言葉が“三倍返し”です。さらに悪質性が高いと認定された場合は、詐欺罪で逮捕、検挙される可能性も十分にあります。

上記のような経済的、社会的な罰を受けないで済むように、“失業等給付”と“再就職手当”の違いを、みなさんにはしっかりと理解しておいていただきたいと思います。そこで今回は特に大切な給付資格について、簡単にですが、ご説明いたします。

まず、どちらの制度を利用する際も、前提として“雇用保険”に入っていたことと、“離職届け”が必要です。

“失業等給付”と“再就職手当”はどちらも“雇用保険”の仕組みなので、そもそも会社員時代に雇用保険を支払っていない方は対象になりません。後でももう一度出てきますが、“離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること”が必要です。

“離職届け”は、次の就職先が決まっていない状態で離職する従業員に対して、企業が発行するものです。この“離職届け”をハローワークに提出することで、ハローワークに初めて“失業者”と認識してもらえるのです。

さて、“失業等給付”と“再就職手当”の二つの制度について、それぞれ利用できる条件(要件)の中でも特に重要なポイントをまとめると以下の通りとなっています。

就職しようとする積極的な意思

<失業等給付> ※ハローワークの詳細情報

①ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。

②離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。

ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。

<再就職手当> ※ハローワークの詳細情報

①失業等給付を受け取れる資格があること。

②受給手続き後、7日間の待期期間完了後(※)に就職、又は事業を開始したこと。

③1年を超えて勤務することが確実であること。

※自己都合退職や懲戒解雇などの場合は、7日間+1か月となりますので、ご注意ください。

“失業等給付”と“再就職手当”の違いでもっとも重要なのは、“失業等給付”は「就職」なのに対して、“再就職手当”は「就職、又は事業」であるという点です。就職希望の方であれば、“失業等給付”も“再就職手当”も利用可能ということになります。実際、再就職された方の中には両方利用されているケースも多々見られます。

ここで議論になるのは、「基本的にはフリーランスとして独立する方向だが、良い企業があれば就職でも良いと思っている」という方の扱いです。非常に微妙ですので、ハローワークの担当者と相談した方が良いですが、原理原則で言えば、“失業等給付”も“再就職手当”も受領できる可能性があります。

いずれにせよ、“失業等給付”は「本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない」人は貰えない、つまり、裏を返せば、「職業に就くための努力、つまり就職活動をしていること」が支給条件になっているため、最初からフリーランス狙いで就職活動を行わない方は、“失業等給付”を受けてはなりません。

手当金は確定申告で必要なの?

“失業等給付”も“再就職手当”も非課税です。ですので、確定申告の際に提出する必要は原則ありません。

なお、期中に会社を辞めたあと、再就職していないなど年末調整が終わっていない方、失業期間中、社会保険料を納めていた方、あるいは医療費などの控除を受けたい方は、還付金が発生する可能性が高いので、元の会社から渡された源泉徴収票を持って、確定申告を行いましょう。

ただし、“失業等給付”も“再就職手当”も収入には入ってしまいます。旦那さんの扶養家族に入っていた奥様が、“失業等給付”の支給があったせいで、扶養家族の税金の壁(103万、106万、130万、150万円)を超えてしまった、という話もあります。

特に“再就職手当”は数十万になることもあるので、要注意です。

まとめ:“失業等給付”と“再就職手当”は違う!

何度も繰り返していますが、“失業等給付”と“再就職手当”は受け取れる基準が明確に異なるものです。独立してフリーランスとなることを目指す方は、基本的には“失業等給付”は受けられません。

そして、“失業等給付”と“再就職手当”についてわからないことがある方は、まずはハローワークに行ってみましょう。ハローワークのスタッフは、労働に関する法律の専門家です。うっかり不正受給者にならないように、気になることがあれば、どんどん質問しておくべきです。

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