企業の求人募集を見ると、「○○エンジニア」という名称の職種がたくさんあり、どれに応募したら良いのか迷ってしまうことがあると思います。自分にどれが向いているのかわからないという人や、仕事内容がイメージできないので自分のスキルが生かせるか判断できないという人もいるかもしれません。
そこでtechcareerでは、エンジニア系職種21つをリストアップし、それぞれの仕事内容や求められるスキルについてご紹介しています。
この記事で取り上げるのはフルスタックエンジニアと呼ばれる種類の職業です。
フルスタックエンジニアというのは、通称マルチエンジニアとも呼ばれていることからもわかるとおり、あらゆる開発業務を一人で担当できるゼネラリストの人材を指します。
ゼネラリストといっても、広く浅く対応できるエンジニアというよりは、アプリケーションエンジニアとインフラエンジニア、ネットワークエンジニアとデータベースエンジニアというように、二つ以上の専門分野を持ったエンジニアとされています。
少数精鋭で活動するベンチャー企業などで重宝される存在で、専門分野が多岐にわたることから年収も比較的高い水準となっています。ITに詳しくない人からすれば、二つ三つと専門分野を持つフルスタックエンジニアは、まさにITに関する「何でも屋」という存在に映ることでしょう。
そんなフルスタックエンジニアに憧れるエンジニア人材も多く、専門性を高めたりスキルを磨いたりする上で、「フルスタックエンジニアと呼ばれること」が一つのマイルストーンとなっていることもありそうです。
どんな専門分野を持っているかにもよりますが、フルスタックエンジニアの仕事内容は、アプリやサービス、インフラなどの要件定義・設計から開発、運用まで幅広い業務を担当することが普通です。
開発をすべて一人で行なうこともあるほどですから、裁量が非常に大きい分、その責任も大きなものとなるでしょう。 「自分のペースで仕事を進めたい」「チームのメンバーに進捗を左右されたくない」といった考えを持つ人には、向いているポジションかもしれません。
開発のすべてを一人で担当できるからといって、まったくコミュニケーション能力が必要にならないというわけではありません。クライアントとの打ち合わせやヒアリング業務も担当することがありますので、やはりコミュニケーション能力も必須の職種です。
複数の専門分野を持つフルスタックエンジニアは、システムエンジニアやプログラマ、アプリケーションエンジニアやサーバーエンジニアといった職種よりも、高い水準の報酬を手にすることが可能です。もちろん二つの専門分野を持つからといって年収が2倍になるということはありませんが、一般的なIT系エンジニアの1.5倍ほどの年収は期待できるようです。
具体的には、フルスタックエンジニアの平均年収は600万円以上というデータがあります。人材が豊富な大企業というよりは、少数精鋭で勝負するベンチャー企業の方が高い待遇を得られる可能性は高くなります。
決して件数が多いわけではありませんが、スタートアップ企業の創業メンバーとしてフルスタックエンジニアを募集している例もあります。そうした求人を見つけたり、人脈を生かしてベンチャー企業を探したりすることで、高い報酬を得やすい職場に出会えるかもしれません。
また、フリーランスとして独立を考える場合にも非常に有利なのがフルスタックエンジニアです。独立してフリーのエンジニアとしてプロジェクトを進めるようになれば、年収が青天井になると考えてよいでしょう。その意味では非常に夢ある職種といえます。
フルスタックエンジニアになるためには、まず複数の専門分野を持つことが、スタート地点です。現時点であなたはアプリケーションやサーバーなど、何らかの得意分野を一つ持っているはずですので、そことは別の分野でITスキルを身につけるのがよいでしょう。
ただし、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアのスキルを目指すといったように、比較的近い存在の専門分野を磨いても、希少性は高まりにくいでしょう。これから身につけるのであれば、アプリケーションエンジニアとネットワークエンジニアのように、まったく異なる専門分野を突き詰めることをおすすめします。
それだけ身につけるまでの時間も手間もかかりますが、文字通り一人で二人分の仕事がさばけるエンジニアとして、どんな業界でも重宝されることでしょう。
フルスタックエンジニアに必要な素質の一つとして、全体を俯瞰する視点を持つこともポイントです。一人で全ての工程を担当することもあるため、視野が狭まってしまうとプロジェクトの進行に支障をきたす恐れが出てきます。
一つの専門分野だけを突き詰めて、その他の専門分野の学習が疎かになってしまう危険性もあるので、視野の広さはフルスタックエンジニアに必要なスキルといえるでしょう。
IT業界を中心として、さまざまな業界でフルスタックエンジニアは活躍できるでしょう。広い範囲を一人で担当できるスキルを持ち合わせていることから、転職での難易度が下がり、就職先が決まりやすいというメリットもあります。
とりわけ重宝されるのは、人材が豊富な大企業よりも、創業間もないベンチャー企業です。創業メンバーを募集している求人を見つけることができれば、貴重な経験を積むことも可能になるでしょう。
なお、昨今ではアジア圏のIT系下請け企業に対し、低コストで開発を発注するケースが増えてきました。これはフルスタックエンジニアにとってのライバル的存在となり、オフショア開発に自分たちの仕事が奪われている構図と考えることもできます。
ただし日本語でのコミュニケーションが可能で、時差も発生せず、対面で打ち合わせができるフルスタックエンジニアの需要は、まだまだ減少することはないでしょう。今後長い期間にわたり、さまざまな業界で活躍できる状態が続きそうです。
複数の専門分野を活かしてマルチに活躍できるフルスタックエンジニアは、今後も需要がなくなることはないでしょう。仮にフルスタックエンジニアの需要がなくなったとしたら、それはアプリケーションエンジニアやインフラエンジニアといった、1つの専門分野しか持たないエンジニアも、同様に需要がなくなってしまうことです。
専門性の高いスキルを二つ持った人材が一つしか持たない人材よりも低い評価となることはありえませんので、IT業界が成長し続ける限り、フルスタックエンジニアの需要も伸び続けることでしょう。
これからの高い将来性に期待して、今システムエンジニアやプログラマとして経験を積んでる人が、最終的な目標としてフルスタックエンジニアを掲げることは、非常に評価できるキャリアプランといえます。
別名マルチエンジニアとも呼ばれるフルスタックエンジニアは、それ以外のエンジニア系職種に比べて専門分野が広く、文字通りマルチに活躍できるポテンシャルを秘めた職種です。そんなポジションを目標として、今から努力することも無駄にはならないでしょう。
一人で開発を完結できる点や、チームプレーよりも個人プレーがしやすいことなど、フルスタックエンジニアのメリットは数多くあります。そんなフルスタックエンジニアに魅力を感じる方は、まったく別の分野の勉強を、今すぐにでも始めてみてはいかがでしょうか?