総務省統計局の『労働力調査(詳細集計)平成30年(2018年)平均(速報)』によると、2018年時点で派遣社員は136万人もいらっしゃるそうです。

もちろん、その136万人の中には、エンジニアとして働いている方も少なくありません。また、キャリアプランとして、派遣のエンジニアに興味を持っている方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、“エンジニアが派遣で働く”際のポイントについて、詳しく見ていきたいと思います。

派遣としてのエンジニアとは? 契約はどうなっている?

まずは派遣社員という働き方について理解しておきましょう。

意識していない方も多いかもしれませんが、派遣はSES契約などの“請負契約”とまったく異なるものです。

請負契約はクライアント企業A社が、サービス提供企業(SES企業)B社に対して、「この仕事、B社でやっておいてください」と、業務を外注するものです。対して、派遣は、クライアント企業A社が、サービス提供企業(派遣会社)C社に対して、「この仕事ができる人材を連れてきてください」というものになります。

「派遣は契約が複雑」と言う人が多いですが、その理由は、サービス提供企業(派遣会社)C社からクライアント企業A社に人材が派遣されると、以下の三つの契約が行われるからです。

派遣契約:クライアント企業A社⇔サービス提供企業(派遣会社)C社

雇用契約:サービス提供企業(派遣会社)C社⇔派遣された人

労働契約:クライアント企業A社⇔派遣された人

①派遣契約は理解しやすいかと思いますが、②雇用契約と③労働契約の違いが分かりにくいかと思います。簡単にいうと、②雇用契約は「(雇用企業が)あなたをうちの従業員として給料の支払いなどを行いますよ」という契約で、③労働契約は「(使用企業が)あなたが働くにあたって、以下のルールを守ってね」という契約です。

つまり、サービス提供企業C社から派遣された人は、お給料は派遣元であるサービス提供企業C社から受け取るものの、実際の仕事は派遣先であるクライアント企業A社の一員として進めていく形になります。

つまり、派遣のエンジニアは派遣先企業の正社員と(制度的には)同じ地位と権限と責任が与えられる、ということです。

エンジニアの派遣会社選び どういう基準で選ぶ?

派遣会社選びのポイントですが、実は派遣会社には「登録型」と「常用型(常在型)」の二種類があります。どちらのタイプの派遣会社が自分に合っているか見極める、というのが一つ目のポイントです。

まず登録型ですが、その名前の通り、派遣会社に“仕事が欲しいです”と登録しておいて、その人にぴったりな仕事が見つかり、派遣されることが決まったときだけ、雇用契約を行うものです。派遣期間が終了すれば雇用契約も終了です。

対して、労働者が派遣中はもちろん派遣中でなくても雇用契約を取り交わし、常時、派遣会社のスタッフ(通常は正社員待遇)として所属することになるのが常用型です。

派遣期間中ではなくても、派遣会社のスタッフとして所属できるということは、(派遣期間中より金額が下がることもありますが)給与が支給され、社会保険(健康保険や厚生年金保険)も会社で手配してくれる、というメリットがあり、常用型の方が魅力的に感じる人も多いかもしれません。

しかし、派遣期間外でも給与が支払われる分、派遣期間中の給与額が登録型より安くなる傾向があります。また、優秀な方は、複数の派遣会社を利用して、より高単価な仕事を探してくることも多いですが、常用型の派遣会社の正社員の場合、他の派遣会社で仕事を探すことに制限がある可能性もあります。

このように、登録型にも常用型にも、メリット・デメリットがありますので、一概にどちらが良いか言い切れません。

派遣会社選びのもう一つのポイントは担当者です。派遣で良い働き方ができるか、悪い働き方しかできないかは、派遣会社の担当者の能力に大きく左右されます。

「この人(たち)なら信頼できる」と感じられない派遣会社で働くのは絶対に避けましょう。逆に、(金額が高い、ということだけでなく、キャリア形成に役立つなど、本人にプラスとなる影響を与える、という意味で)「良い案件」を紹介できる、あるいは問題が発生した際、クライアント企業ときちんと交渉できるといった、力量のある担当者がいる派遣会社は利用する価値が大いにあります。

派遣のメリットとデメリットは?

メリット

最後に派遣で働くメリットとデメリットについて、見てきましょう。

今回は、デメリットから見ていきましょう。

よく言われることとして、派遣のエンジニアは派遣先企業の正社員と(制度的には)同じ地位と権限と責任が与えられており、正社員と同じ仕事をしているのに、正社員よりも低賃金になりがちです。

さらに言うと、派遣のエンジニアは準委任契約と異なり、会社のメンバーとして「残業してでも仕事を終わらせる必要がある」ということになります。

結果、現場の状況によっては、フリーランスや正社員よりも給与が低いのに、準委任契約のフリーランスやSES契約のエンジニアより労働時間が長いという、“コスパ悪”な事態に陥りがちです。

また、現在の労働者派遣法では、「同じ現場に派遣社員として活動できるのは3年目まで」というルールがあります。クライアント企業が4年以上働いて欲しいと考えているのであれば、その人をクライアント企業の正社員にしてあげなさい、ということになっています。

この政策は非正規労働者を減らす目的で導入されたのですが、残念なことに、「派遣社員を正社員にするとコストが増加する」と考えるクライアント企業も多く、返って、派遣社員が職場を転々とする事態が発生していると言われています。

そして、現在、「エンジニアの35歳定年説」に否定的な見解が広まっているとはいえ、きちんとスキルを磨いていないと、高齢になればなるほど新しい現場に入っていくのが難しくなるのは事実であり、結果として“仕事がなくなるリスク”が存在しています。

続いて派遣のメリットですが、なんと言っても、能力さえあれば、自分の意思で様々な現場を渡り歩ける、ということでしょう。

好奇心旺盛で、いろいろな開発環境や開発手法を知っている私のエンジニアの知り合いは、「3年経てば、強制的に新しい現場に行ける、ということが最大のメリット。だから敢えて派遣社員という道を選んだ」と言い切っていました。

さらに、派遣社員は“コスパ悪”になりがち、と書きましたが、高度なスキルを持っている方たち(特にプロジェクトマネージャーなどのマネジメント層)の場合、クライアント企業の正社員たちの尊敬を集め、年収も1000万円を超えている、ということも良くあります。

また、政府の働き方改革で状況は変わってきたとはいえ、まだまだ多くの企業では、正社員は副業禁止、というところが多いです。しかし、派遣社員であれば、副業OKとなっていることが多く、稼げる派遣社員は非常に稼げている状況もあります。

ちなみに、先述の好奇心旺盛な知り合いも、ある会社で派遣社員として勤務しつつ、フリーランスとして他社の開発案件に3件ほど参画していた時期がありました。本人曰く「もう二度と味わいたくない忙しさ」だったそうですが、その頃の年収は「メルセデス・ベンツ Gクラスの新車(約1200万円~約1700万円)が買えるくらい」とのことでした。

まとめ:派遣会社で働くならキャリアプランは明確に

繰り返しになりますが、現在の労働者派遣法では、同じ現場に3年しか入れません。運が良ければ、クライアント企業の正社員に迎え入れられることもありますが、クライアント企業に、その義務はなく、派遣切りされ、次の派遣先を探すことになる方が多数派のようです。

つまり、派遣社員というのは数年に一度、労働市場に放り出されてしまう働き方なのです。

もちろん派遣社員ではなくても、エンジニアたるもの技術力向上を絶えず意識する必要がありますが、こうした派遣社員特有の事情を意識し、明確なキャリアプランを持って、熱心にスキルアップに取り組む必要が特にある働き方のように思います。

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