近年、AI(人工知能)の普及が進む中で、AIに関する知識やスキルを証明する資格が注目を集めています。AIに関する資格を取得することで、ディープラーニングや統計学、プログラミングなどの体系的な知識を証明できます。
データサイエンティストやAIエンジニアとしての市場価値を高めたい人は、AI系の資格を取得するのがおすすめです。資格を取得することで、企業のDX推進やデータ活用プロジェクトで、即戦力として活躍できる人材であることをアピールできます。
AI資格は、AIに関する知識や技術、能力を客観的に評価・証明する認定制度です。AI人材の育成を目的としており、種類もレベルも複数存在する点が特徴です。資格を取得することでキャリアアップや転職、スキルアップに役立つだけでなく、AIに関する学習のモチベーションアップにもつながります。
AI資格一覧
AI資格には、基礎的な知識を問うものから実務に直結する高度なスキルを求められるものまで、さまざまな種類があります。
ここでは代表的なAI資格を挙げ、それぞれの特徴を簡単に説明します。
- G検定(ジェネラリスト検定)
- E資格(エンジニア資格)
- AI実装検定
- 生成AIパスポート
- 統計検定
- Python3エンジニア認定データ分析試験
これらの資格はそれぞれ異なる分野やスキルに特化しているため、自分のキャリアや興味に応じて選択することが重要です。
G検定
G検定(ジェネラリスト検定)は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する資格試験です。AI分野への入門資格として注目されており、AIの歴史や基本的な概念、機械学習やディープラーニングの理論、AIの社会的影響や倫理について出題されます。
試験概要 | ディープラーニングの基礎知識と事業活用能力を問う検定試験 |
試験日 | 年に数回 |
受験料 | 一般13,200円(税込)/学生5,500円(税込) |
合格率 | 70%程度 |
試験時間は120分、オンライン形式で実施されます。受験資格に制限はなく、学生から社会人まで幅広い層が挑戦している資格です。また、合格率は約60〜70%程度といわれており、基本的な理論や概念の理解があれば合格できる難易度といえます。
ビジネスでAI技術を活用したい人や、データサイエンスの基礎を固めたい初心者におすすめの資格です。
参考:G検定
E資格
E資格(エンジニア資格)は、G検定と同じく日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する資格試験です。
AIエンジニアとして活躍するために必要な知識が問われ、ディープラーニングのアルゴリズムやモデル設計、Pythonを用いた実装スキルが出題されます。
試験概要 | ディープラーニングの理論と実装能力を認定する上級資格 |
試験日 | 年に2回(2月と8月) |
受験料 | 一般33,000円 / 会員27,500円 / 学生22,000円 |
合格率 | 70%程度 |
試験時間は120分、試験会場で受験します。また、受験するには協会認定プログラムの受講が必要です。
合格率は約70%程度ですが、出題範囲が広く、数学やプログラミングの専門知識が必要なため、十分な準備期間と体系的な学習が求められます。
AIエンジニアやデータサイエンティストとして即戦力で活躍したい人は、ぜひチャレンジしてみましょう。
参考:E資格
AI実装検定
AI実装検定は、AIモデルの設計や運用に関する実践的なスキルを評価する資格です。現場での実務経験や具体的なプロジェクト遂行能力を重視した内容となっています。
試験ではPythonプログラミングを中心とした実装スキル、データ前処理や特徴量エンジニアリング、モデルの評価と改善手法などが出題されます。
試験概要 | ディープラーニング実装能力を問う検定 |
試験日 | 随時(テストセンターで受験) |
受験料 | S級:33,000円 / A級:一般14,850円 学生:8,250円 / B級:一般9,900円 学生5,500円 |
合格率 | レベルごとに異なる |
試験のレベルはA級、B級、S級の3種類があり、自身のスキルレベルに応じて挑戦できます。
また、試験問題には実践的なケーススタディやプログラミング課題を含むため、理論だけでなく実際の業務で活用できる技術力の証明が可能になります。
AI実装検定は、AI開発の現場で働くエンジニアや具体的な実装スキルをアピールしたいデータサイエンティストに適している資格です。
参考:AI実装検定
生成AIパスポート
生成AIパスポートは、ChatGPTやGPT-4などの生成AI技術の基礎知識とリテラシーを証明する新しい資格です。
近年の生成AI普及に伴い、ビジネス現場での適切な活用方法や倫理的な考慮事項、セキュリティ対策などの知識が重要になっています。この資格では、プロンプトエンジニアリングの基本手法から、生成AIツールの効果的な使い方、AI生成コンテンツの法的・倫理的問題まで幅広くカバーしています。
試験概要 | 生成AIの基本的な知識が問われる試験 |
試験日 | 年3回(2月、6月、10月) |
受験料 | 一般11,000円、学生5,500円 |
合格率 | 75%程度 |
試験時間は60分、オンライン形式で受験できます。一般のビジネスパーソンや学生でも取得しやすい難易度に設定されており、短時間の学習で受験可能です。AIに関する資格を取得してみたいという人は、まずは生成AIパスポートの取得を目指してみましょう。
参考:生成AIパスポート
統計検定
統計検定は、一般財団法人統計質保証推進協会が主催する試験です。統計学の知識と活用能力が問われ、1級から4級までのレベルが用意されています。
試験では、データ分析や機械学習において必須となる確率論、統計的推定、仮説検定などの理論的基礎から、実際のデータ処理における統計手法の応用まで幅広い範囲が出題されます。
試験概要 | 統計学の知識と活用能力を評価する試験 |
試験日 | 1級は毎年11月、準1級から4級は随時(テストセンターで受験) |
受験料 | 4級:一般5,000円、学生3,500円、1級10,000円 |
合格率 | 4級は中学数学レベルで合格率は60%以上、準1級は大学専門課程レベルで合格率35%前後 |
準1級から4級までの試験はCBT形式で受験可能です。統計的な思考力と分析スキルを客観的に証明できる資格のため、データサイエンティストやアナリストを目指す人におすすめです。
参考:統計検定
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施するPythonを使用したデータ分析スキルを認定する資格試験です。
試験概要 | Pythonを使用したデータ分析スキルを認定する試験 |
試験日 | 随時(テストセンターで受験) |
受験料 | 一般11,000円、学生5,500円 |
合格率 | 60%程度 |
NumPyやpandas、Matplotlib、scikit-learnなどの主要なライブラリを活用したデータ処理、可視化、機械学習の実装能力を評価します。
Pythonは現在最も人気の高いデータ分析・機械学習用プログラミング言語であり、この資格の取得により即戦力としてのプログラミング能力をアピールできます。
試験ではPythonの基本的なプログラミング知識だけではなく、データサイエンスの実践的なスキルが求められるため、実際にPythonでデータ分析したことがある人に適しています。
データアナリストやデータエンジニアとして活躍したい人にとっては、具体的な技術力をアピールできる資格といえるでしょう。
AI資格を取得する学習手順
AIの資格を効率よく取得するには、段階的な学習が必要です。効率的にAIの資格を取得したい人は、以下の流れで学習するのがおすすめです。
- 試験日に向けてスケジュールを立てる
- 参考書籍を選定する
- 過去問や模擬試験を実践形式で取り組む
以下では効率的にAIの資格を取得するための学習手順を紹介します。
試験日に向けてスケジュールを立てる
まずは、受験したい資格の試験日を確認し、そこから逆算して学習スケジュールを作成します。今のスキルレベルや学習時間に合わせて、無理のないスケジュールを作成することが重要です。
一般的にG検定なら30時間から50時間、E資格なら100時間から300時間程度の学習時間が必要だといわれています。
例えば、1ヶ月目はテキストによる知識の習得と過去問演習で弱点を洗い出し、2ヶ月目は弱点克服と過去問演習、試験直前に総復習といったスケジュールが挙げられます。
平日の学習時間と休日の学習時間を具体的に設定し、週単位や月単位での学習目標を明確にしましょう。
参考書類を選定する
効率的に学習するには教材選択も重要です。試験範囲を網羅した参考書や問題集を選定しましょう。
資格対策の教材は多く、初心者向けの入門書から専門的な内容を解説した書籍までさまざまな書籍があります。自分のレベルに合わせて適切な教材を選ぶことが大切です。
過去問や模擬試験を実践形式で取り組む
知識を定着させるためには問題演習が不可欠です。過去問や模擬試験に取り組むことで、試験の出題傾向や時間配分を把握できます。
間違えた問題は必ず復習し、関連する概念や理論を再確認することが重要です。過去問や模擬試験を何度も繰り返すことが合格への近道ともいえるでしょう。
AI資格を取得するメリット
AIに関する資格を取得することで以下のようなメリットがあります。
- 給与が上がる
- 社会的信用を高めることができる
- 専門知識が身につく
ここではAI資格を取得するメリットを紹介します。
給与が上がる
AI関連の資格を取得することで、専門性が評価され、給与アップにつながる可能性があります。特にAIエンジニアやデータサイエンティストは需要が高く、高収入が期待できます。
また、企業によっては資格手当や報奨金が支給されるケースもあります。フリーランスとして活動する場合も、資格による専門性を証明することで、より高単価な案件を獲得できる可能性が高まります。
AIの資格を取得して自身の市場価値を高め、収入アップにつなげましょう。
社会的信用を高めることが出来る
資格は、知識やスキルを客観的に証明する手段です。資格を取得することで、クライアントや取引先からの信頼を獲得し、社会的信用性を高めることができます。
クライアントとの商談や新規プロジェクトに参画するときは、資格という形で能力を示すことで、信頼関係の構築につながります。
また、フリーランスにとっても資格は重要な営業ツールとなり、案件獲得や単価交渉において有利に働くこともあるでしょう。
専門知識が身につく
資格取得のための学習過程で、AIに関する基礎から応用までの知識が体系的に学べます。独学では見落としがちな理論的基礎や最新の技術トレンドを網羅的に学習することで、実務で活用できるスキルが身につきます。
また、資格を取得するための勉強を通じて継続的な学習習慣が身につく点もポイントです。技術の変化が激しいAI分野において、常に最新の知識を取り入れてスキルアップしていく基盤を築けるでしょう。
最後に
AI技術の発展とともに、関連資格の重要性はますます高まっています。本記事で紹介した各資格は、それぞれ異なる特徴と対象レベルを持っており、自身のキャリア目標や現在のスキルレベルに応じて選択することが重要です。
G検定から始めて段階的にE資格に挑戦したり、統計検定で基礎を固めてからPython資格でプログラミングスキルを証明するなど、戦略的な資格取得計画を立てて取り組むこともおすすめです。
AI分野は今後も成長が期待される領域です。AIの知識を習得し、AIの可能性を最大限に引き出すことで、社会に貢献できる人材へと成長していきましょう。