Webディレクターとは
Webディレクターは、WebサイトやWebコンテンツ制作のプロジェクトを統括する職種です。企画立案から制作、公開後の運用まで、全体の指揮を担います。Webデザイナーやエンジニア、ライターといった専門職のメンバーをまとめてクライアントの要望を形にするために、幅広い知識とスキルが求められます。
Webディレクターに求められるスキルの例は以下のとおりです。
- Web制作やデザイン、コーディング
- SEOやアクセス解析
- マーケティングや要件定義
- キャンペーンのプロモーション、集客
- チームメンバーやクライアントとのコミュニケーション
このように、Webディレクターになるには技術力とビジネス知識、プロジェクトマネジメント力が必要です。これらの能力を証明してさらなるスキルアップを図るために、関連資格の取得が注目されています。
Webディレクターの資格一覧
Webディレクターのキャリア形成に役立つ主な資格は以下のとおりです。
- Webディレクション試験
- Webリテラシー試験
- Webデザイン技能検定
- Webクリエイター能力認定試験
- IT パスポート試験
- マーケティング・ビジネス実務検定
- ネットマーケティング検定
- Webライティング能力検定
以下ではそれぞれの資格について、試験の概要、試験内容、試験日、受験料、難易度などを詳しく紹介します。
Webディレクション試験
Webディレクション試験は株式会社ボーンデジタルが主催する認定試験です。
Webディレクターの基礎知識から企画立案、要件定義、プロジェクトマネジメント、品質チェック、クライアントとの調整など実務に直結する分野まで幅広く出題されます。
- 試験名:Webディレクション試験
- 試験日:随時
- 試験時間:90分
- 合格基準:70%以上
- 問題数:65問
- 形式:CBT形式
- 受験料:10,000円(税別)
Webディレクション試験の出題範囲は広く、Webディレクションの全体像を理解している必要があるため、難易度は中程度といえるでしょう。
公式テキストや問題集、オンライン講座や動画で体系的に知識を身につけるのがおすすめです。
Webリテラシー試験
Webリテラシー試験は、Web業界の基礎知識とITリテラシーを問う入門資格です。Webサイトの構築やインターネット環境、デジタル化の動向、各種運用ツール、コミュニケーション方法など基礎的分野を中心に出題されます。
- 試験名:Webリテラシー試験
- 試験日:随時
- 試験時間:90分
- 合格基準:70%以上
- 問題数:85問
- 形式:CBT形式
- 受験料:10,000円(税別)
Webリテラシー試験で出題される問題は比較的基礎的な内容が中心のため、難易度は初級レベルの試験です。Web業界未経験の方や、基礎知識をに学びたい初心者におすすめの資格となります。
Webデザイン技能検定
Webデザイン試験は、デザインの専門的知識が問われる試験です。
WebサイトのUIやUX、HTMLやCSSコーディング、フロントエンド技術、ディスプレイ設計、レスポンシブ構成、ウェブデザイン動向などが出題範囲に含まれます。
- 試験名:Webデザイン技能検定
- 試験日:2,3級は年4回、1級は学科と実技が年1回ずつ
- 試験時間:等級による、学科45分~90分、実技60分~180分
- 合格基準:70%以上
- 形式:試験会場
- 受験料:等級による、学科6,000円~8,000円、実技8,000円~25,000円
等級が3級から1級まであり、それぞれ受験資格の条件があります。2級より上の等級を受験するときは、受験資格を満たしているか確認しましょう。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験はHTMLやCSSコーディング、Web制作フロー、ユーザー導線設計などの能力を測る試験です。
- 試験名:Webクリエイター能力認定試験
- 試験日:1月、7月
- 試験時間:スタンダード60分、エキスパート110分
- 合格基準:65%以上
- 形式:オンライン
- 受験料:スタンダード6,100円、エキスパート7,700円
Webディレクターが直接コーディングを行うケースは少ないものの、エンジニアやデザイナーと連携するためには、Web制作の基本的な仕組みの理解は必要不可欠です。実技試験では実践的スキルや成果物作成能力が問われるため、試験をとおしてコーディングスキル向上を目指しましょう。
IT パスポート試験
ITパスポート試験は経済産業省主催の情報処理技術者試験のひとつです。ITリテラシーと情報セキュリティの基礎、デジタル社会に必須のIT知識、法律、ネットワークシステムなど、ITに関わる全般が出題されます。
- 試験名:ITパスポート試験
- 試験日:随時
- 試験時間:120分
- 合格基準:60%以上
- 形式:オンライン
- 受験料:7,500円
ITパスポートはIT系の国家試験の中では入門レベルに位置付けられ、合格率は約50%となっています。ITの知識を基礎固めとして取得するのにおすすめの資格です。
マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定は、マーケティング戦略、ビジネス企画、データ分析と市場評価、プロモーション手法や最新動向まで実践的に学べ、Webディレクターにも役立つ資格です。
- 試験名:マーケティング・ビジネス実務検定
- 試験日:2月、6月、8月、11月(※級数による)
- 試験時間:級数と科目による
- 合格基準:級数による
- 形式:オンラインもしくは会場
- 受験料:5,700円~11,600円(税抜)※級数による・併願受験可
マーケティング・ビジネス技能検定は、特定の業界にとらわれない、幅広いマーケティングの知識と実務能力を証明する資格です。市場調査や戦略立案、プロモーション活動など、Webディレクターの企画業務に直結するスキルを習得できます。
ネットマーケティング検定
ネットマーケティング検定は、Webマーケティング、SEO、アクセス解析やデータ測定、SNS活用と集客、ユーザー行動分析、広告運用、Google広告など、Webの現場で役立つ知識を体系的に学べます。
- 試験名:ネットマーケティング検定
- 試験日:2月、5月、7月、11月
- 試験時間:80分
- 合格基準:70%以上
- 形式:オンライン
- 受験料:6,200円
合格率は約68%程度で学習時間の目安は15時間となっており、難易度は比較的易しいです。Webマーケティングの全体像を把握したい初学者や、知識を整理したい経験者におすすめです。
Webライティング能力検定
Webライティング能力検定は、Webマーケティングやコンテンツ作成で必要なライティング技術やSEO知識、アクセス解析データの読み取り、企画や提案力まで幅広く評価される試験です。
- 試験名:Webライティング能力検定
- 試験日:8月、11月
- 試験時間:80分
- 合格基準:3級53点~69点、2級~79点、1級~88点
- 形式:オンライン
- 受験料:17,600円
Webライティング能力検定は、同じ試験を受けた得点によって取得級数が変わります。合格率は級によって異なりますが、論理的な文章構成力や表現力が求められる試験です。
Webディレクターが資格を取得するメリット
資格取得は、時間も費用もかかります。しかし、資格を取得することで得られるメリットも多くあります。
Webディレクターが資格を取得する主なメリットは以下のとおりです。
- スキルアップにつながる
- 転職で有利になる
- 業務がスムーズになる
以下では、それぞれについて説明します。
スキルアップにつながる
資格取得の勉強を通して、Web制作やマーケティング、UXやUI設計などの体系的な知識を習得できます。実務経験だけでは断片的になりがちな知識を、資格勉強を通じて整理できるところがメリットです。
特に、Webデザインやプログラミング、アクセス解析といった専門分野の基礎知識を習得することで、業務範囲が広がり、より高度なディレクションが可能になります。
転職で有利になる
Webディレクターは人気職種です。転職市場では経験者・未経験者を問わず多くの求職者がいます。その中で、資格はあなたのスキルレベルを客観的に証明する強力な武器となります。
特に未経験から、あるいは異業種からWeb業界へ転職する場合、資格は学習意欲を示す重要な判断材料のひとつになります。
また、経験者にとっても、実績に加えて資格を提示することで、スキルの信頼性が増し、希望する企業への転職や年収アップの交渉を有利に進められる可能性が高まります。
業務がスムーズになる
Webディレクターの仕事は、デザイナーやエンジニア、ライターといったさまざまな職種のメンバーとのコミュニケーションが中心です。各分野の専門知識や技術、使用言語を理解していると、より具体的で的確な指示が出せるようになります。
さらに、資格取得を通して専門知識を身につけることで、プロジェクト関係者との関係構築にも役立ちます。クライアントや協力会社との信頼関係が深まり、プロジェクトの成功率向上につながるでしょう。
まとめ
WebディレクターはWebサイト制作やシステムに関するプロジェクトの企画から制作、運用まで幅広い領域を担当する職種です。
Webディレクターにとって資格取得は、スキルアップ、転職活動、業務効率化の全ての面でメリットがあります。まずはWebリテラシー試験やITパスポート試験で基礎を固め、その後Webディレクション試験やウェブデザイン技能検定といった、より専門性の高い資格にチャレンジすることをおすすめします。
資格取得は一時的な目標ではなく、継続的な学習とキャリア形成の一環として捉えることが重要です。自身のキャリア目標に合わせて適切な資格を選択し、計画的に取得を進めていきましょう。