「Pythonのフリーランスって実際どれくらい稼げるの?」「どんな案件が多いの?」と気になるエンジニアの方も多いでしょう。

この記事では、Pythonフリーランスの単価相場・案件例・将来性について詳しく解説します。

Pythonとは?

Pythonとは

Pythonは、1991年にオランダ人プログラマーのグイド・ヴァン・ロッサム氏によって開発されたインタープリタ型のプログラミング言語です。その最大の特徴は、文法がシンプルでコードが非常に読みやすく、プログラミング初心者でも習得しやすい点にあります。一方で、豊富なライブラリとフレームワークに支えられており、非常に高い汎用性を誇っています。

この汎用性の高さから、PythonはWeb開発、機械学習やAI開発、データ分析、そして業務自動化やスクレイピングなど、幅広い分野で利用されています。スタートアップから大企業、学術研究機関まで多くの企業・組織で採用されており、特に近年はAI・機械学習分野での需要拡大により、Pythonエンジニアの市場価値は大きく高まっています。
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Pythonフリーランスの単価相場

Pythonフリーランスの月額平均単価は80万円前後で推移しており、60万円以上がボリュームゾーンとなっています。単価は案件の質や求められるスキル、そして担当する工程によって大きく変動しますが、エンジニアとして経験を積み実力をつけていくことで高単価の案件を受注できるようになります。

下のグラフはテクフリに掲載されている単価別案件比率を示しています。

Python案件比率

平均単価

テクフリの案件データに基づくと、Python案件の月額平均単価は約83万円となっています。

この金額は、年収に換算すると約996万円となります。正社員エンジニアの場合、Python経験者の平均年収は500万円〜750万円程度であるため、経験やスキル、担当領域によっては、フリーランスに転向することで年収が大きく向上するケースも珍しくありません。

他のスキルとの単価・案件数比較

ここでは、Python案件を他の主要言語と比較します。テクフリをベースとしたPythonフリーランスの平均年収は約996万円となっており、案件の単価の平均値は他のトレンド言語と比較しても高い水準となっています。

また、テクフリにおけるPython案件のシェアは全体の案件の約7.5%を占めており、これは非常に高い数字です。Pythonは単価と案件数の豊富さの両方を兼ね備えており、市場で確固たる地位を築いています。安定した案件供給を求めるフリーランスにとって、大きなメリットとなります。

Python案件シェア率1

Python案件シェア率2

Python案件の特徴

Python案件の特徴

ここでは、Pythonエンジニアのフリーランス市場の具体的な特徴を詳しく見ていきます。

Pythonフリーランスが参画する案件は、サーバーサイド開発とAI・機械学習系が中心です。特にサーバーサイドエンジニアが全体の約半数を占め、残りはAIエンジニア、機械学習エンジニア、データサイエンティストなどの先端領域が続きます。

リモートワークの可否

テクフリのデータによると、Python案件の約80%がリモートワークに対応可能となっています。この高いリモート案件率は、開発現場が柔軟な働き方を導入しやすいWebサービスやAI分野に集中しているのも理由のひとつと言えるでしょう。

フリーランスの場合は特に、自身のライフスタイルに合わせて常駐案件やリモート導入案件など幅広く選択肢を持つことができます。

需要が高い業界・分野

Pythonの需要を牽引する最大の領域は、その専門性の高さから、以下の産業に集中しています。

  • AI/機械学習およびデータサイエンス
    Pythonの需要を牽引する最大の領域です。実務経験を持つデータサイエンティストや機械学習エンジニアの供給が大幅に不足しており、高度なスキルを持つフリーランスへの需要が極めて高いです。LLM、画像認識、MLOpsなどの先端案件では、月額100万円以上という高報酬が提示されるケースもあります。主要な採用業界は、金融業、製造業、SaaS・Webサービス企業などです。
  • ヘルスケア/医療分野
    医療・ヘルスケア分野では、高度な機密性を持つ医療データのマネジメント、匿名化処理、およびAIツール開発にPythonが活用され、需要が顕著に高まっています。
  • Webバックエンド開発/自動化
    Webバックエンド開発では、Django、Flask、FastAPIなどのフレームワークを用いたAPI開発やサーバーサイド開発に安定した需要があります。また、業務自動化やスクレイピングといった領域にも幅広く利用されています。

実際、テクフリのデータによると、Pythonの案件の職種はサーバーサイドエンジニアとAIエンジニア、そして機械学習エンジニアが大半を占めています。

高単価案件で求められるスキルセット

Pythonの高単価案件を継続的に獲得するには、深い専門性、システム品質への貢献、ビジネス推進力の3要素が不可欠となります。

  • AI/データ分析における専門性の深さ
    技術的な実装力に加え、数学・統計の基礎知識と、モデルが機能する理論的背景の深い理解が不可欠です。深層学習の実装力はもちろん、単なるモデルの構築に留まらないモデルの深い理解と応用力が求められます。AIの社会実装に伴い、倫理、セキュリティ、ガバナンスの視点を持つことも市場価値を高める重要な要素です。
  • システム品質とインフラストラクチャ技術
    長期的なシステムの安定性や品質保証能力が高評価の鍵となります。具体的には、MLOpsの経験、およびAWSやAzureといったクラウド環境での開発経験は、データ基盤のモダン化案件で強く求められます。特にAWS関連案件は平均単価が高い傾向にあります。

    また、型ヒント、mypy、PydanticやFastAPIを活用したスキーマ設計能力など、モダンPythonの規範に則ったコーディングスキルは、大規模プロジェクトにおけるコード品質とメンテナンス性を保証し、テックリードやデータエンジニアへのキャリアに繋がります。

  • マネジメントとビジネス能力
    プロジェクトを成功に導く非技術的スキルは、高単価を決定づける重要な要素です。高収入の領域は、純粋なコーディングよりも、技術力を戦略的な意思決定に活かすプロジェクトマネージャー/テックリード領域に存在します。エンジニアは、顧客の課題を発見し、技術的な解決策を提案するコンサルタント的役割を担う必要があります。進行管理、課題管理、リスク管理といったマネジメントスキル、および要件を明確化する高いコミュニケーションスキルと言語化力が不可欠です。

Python案件・求人例一覧

項目 案件例1 案件例2 案件例3
業務内容 Python/AIプロダクトにおけるバックエンド開発 Python/Flask/大手通信業グループでの自社アプリAPI開発・運用 Python/AIを活用した業務効率化支援
単価目安 (月額) 111万円〜121万円 73万円〜83万円 89万円〜99万円
働き方 リモート併用 フルリモート リモート併用
必要なスキル
  • コンピュータサイエンス・ソフトウェア工学・人工知能・機械学習・数学・物理、それらの関連分野における学士号または同等の実務経験
  • Pythonを用いたアプリケーション開発経験
  • 複雑なSaaSプロダクトや高負荷BtoBプロダクトの開発経験
  • クラウドサービスおよびコンテナ技術の経験
  • Flask等を用いたAPI開発経験
  • GCPを利用した開発経験
  • PostgreSQLなどのRDB利用経験
  • Azure環境での構築経験
  • RAG環境構築経験
  • AIエージェント実装経験
  • OpenAIまたはGeminiの活用経験

Pythonフリーランスの将来性

Pythonフリーランスの将来性

Pythonフリーランスの将来性長期的にフリーランスとして市場価値を維持し、さらに単価を向上させていくためには、現在の需要だけでなく、将来的な市場の動向を正確に把握し、戦略的にキャリアを築くことが不可欠です。特に生成AIの進化は、Pythonが最大の強みとするデータサイエンスや機械学習の領域において、エンジニアの役割そのものに大きな変化をもたらしつつあります。

ここでは、市場需要が今後どのように変化していくかを予測し、その変化に対応して高単価を維持・実現するための具体的なキャリアパスについて深掘りしていきます。

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市場需要の動向

Pythonエンジニアの市場需要は、今後もデータサイエンス分野の継続的な成長を背景に、長期的に高い水準を維持する見込みです。企業の情報利活用ニーズは年々増大しており、IT人材全体の年収も上昇基調にありますが、特にPythonのような先端技術を扱う人材ほど、給与の伸び幅が大きい傾向が続いています。

一方で、生成AIの進化はエンジニアの働き方に構造的な変化をもたらしています。
基本的なTodoリストや簡単な計算機アプリなど、定型的で機能が限定されたアプリケーション開発はAIによって自動化される可能性が高いです。

市場は、低付加価値なコーディング業務をAIに任せることで、エンジニアに対して、AIの出力の検証と、複雑なシステム設計、高度な技術知識を必要とする創造的な課題解決に注力することを強く求めていると言えるでしょう。このため、実装に特化するのではなく、設計や戦略といった上流工程へのシフトが、Pythonエンジニアの市場価値を将来的に決定づける要因となります。

Pythonの将来性についてこちらの記事で詳しく解説しています。
Pythonの将来性は高い?他言語との比較や業界の動向を詳しく解説します

今後のキャリアパス展望

Pythonフリーランスとして長期的な成功と高単価を確保するためには、実装中心から脱却し、自身の専門性を市場の変化に合わせて戦略的に発展させることが重要です。

  • 技術的専門性を極める
    テックリードは、技術チームのまとめ役として、コード品質管理、技術選定、技術的負債解消など、技術面に特化したリーダー職です。プロジェクト全体を管理するプロジェクトマネージャーに対し、テックリードは技術的な課題解決とチームの技術的成長に注力します。このパスは、技術追求を望むエンジニアにとって理想的であり、技術的な深さが高まるほど、それに伴い高い報酬が期待できます。
  • 戦略とマネジメントに特化する
    深いPython技術的知見は、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントへ転向する際に強力な優位性をもたらします。技術的な実現可能性を正確に把握した上で、顧客に最適な戦略提案が可能になるためです。PMとして成功するには、計画性、リーダーシップ、問題解決力に加え、顧客の真のニーズを引き出す傾聴力と調整力が必要です。
  • 最先端領域を深掘りする
    この分野は、Python市場で最も高単価な領域の一つであり、キャリアパスとして極めて魅力的です。プログラミング基礎から数学・統計の基礎、深層学習の理論と実装へと段階的にスキルを積み上げる必要があります。特に、金融、医療、製造など特定の業界における業務経験とAI技術を組み合わせることによる差別化が、高付加価値市場での地位確立に繋がります。

まとめ

Pythonフリーランスは、AI・機械学習、データ分析、Web開発など活用範囲の広さから、フリーランス市場でも非常に需要の高いエンジニア職種です。平均単価は約83万円と高水準で、リモート対応率も約80%と柔軟に働ける環境が整っています。AIやデータサイエンス領域では月100万円超えの案件も多く、スキル次第で大幅な収入アップが期待できます。

高収入を継続するためには、Pythonの実装スキルだけでなく、AI・統計の専門性、MLOpsやクラウドなどのインフラ理解、さらに課題発見や要件整理といった上流スキルが求められます。生成AIの進化により定型的なコーディングは自動化が進むため、今後は設計、データ基盤、技術選定、ビジネス理解の重要度がますます高まるでしょう。

キャリアパスとしては、テックリード、PM/ITコンサル、データサイエンティスト・機械学習エンジニアなど多様な方向に進むことが可能です。Pythonは今後もAI・データ活用の中心であり続けるため、長期的に見ても市場価値は非常に高い状態が続くと予測できます。

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