『トークの力で、世界を楽しませる』をミッションに、音声を用いた新しいエンターテイメントの創造に挑戦するRadiotalkさん。

昨年10月には約3億円の資金調達を実施し、今後の音声技術業界を牽引するRadiotalkのCTO斉藤さんにお話をお伺いしました。競技プログラミングをルーツにソフトウェア開発に挑戦し、現在のCTOに至ったストーリーは必見の内容となっています!

SNSが皆無の時代に、SNSに似た世界を友達と創る

ーエンジニアリングとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?

エンジニアリングとの出会いは、中学生の時にWeb制作に興味のある友人とWebサイトを作ってみたことでした。当時はSNSはまだなく、一部の人が自分のWebサイトを持っているような時代した。

友達同士でお互いのもの閲覧して、話したりしていました。

最初はホームページビルダーのようなものでスタートして、そこからビルダーのコードを参考にアレンジしていきました。最終的にはそれも全部捨ててゼロから自分で作りました!

Webサイトが動く仕組みがわからなくて不思議で、でもそれが面白くて、なぜだ?と言う気持ちが大きくなりプログラミングにのめり込んでいきました。

ー自分たちのページをもって交流するというのは、自作のSNSの様なものですね。プログラミング自体にのめり込む原動力は何があったのでしょうか?

根底にあるのは、作るのが楽しいという作り手としての気持ちと、SNSユーザーとしての承認欲求だったと思います。

実家が自転車屋だったのですが、父親はそっちが忙しくてあんまり遊んでくれなくて、父親の横で一人自転車のパーツを組み合わせて新しいものを作ったりしていました。ものづくりが好きなのはきっとこのときの体験の影響が大きいと思います。

ユーザーとしての承認欲求は、自分を表現したいとか、友達と繋がりたいとか、フィードバックをもらいたいみたいな気持ちが大きかったと思います。

コンピューターサイエンスや理論に没頭した学生時代

ー自分が作ったもので、人を喜ばせたいという気持ちはこの頃から持っていたんですね。学生時代はそのままプログラミングに没頭したのでしょうか?

将来はエンジニアになりたいと思っていたのですが、高校は部活三昧でプログラミングから離れていました。大学で情報科学を専攻してここでプログラミングに戻りC,Javaなどを学んでいました。

ただ、この頃は中学の時のようにものづくりはしていなくて、コンピューターサイエンスに興味が湧いて理論やアルゴリズムなどを勉強していました。

その後、理論やアルゴリズムから派生して競技プログラミングをはじめました。

ー競技プログラミングのご成績はどうだったでしょうか?

ACM-ICPCという大会にも何回か挑戦したんですが、日本代表の30チームにも残れず、トップの人たちは本当に凄くて、自分はダメダメでした。

競技プログラミング経験後、夢だったエンジニアへ

ーそこからソフトウェア開発という今の道へどうつながっていったのですか?

競技プログラミングの経験がすごく活きていて、基礎となるプログラミング力みたいなものは身についたと思います。

そこから働くということを考えたときにアルゴリズム一本で勝負するよりも、やっぱり自分はソフトウェア全体の開発がしたいと明確に思うようになりました。

ーその後エンジニアとしての就職活動をされたのでしょうか?

はい。就職活動においては、事業の提案フェーズから携われる可能性があるかを軸に行っていました。

様々な企業を見た結果、エキサイト株式会社が自分にあっているなと思い、エンジニアとしてのキャリアを歩み始めました。

ーなりたいと思っていたエンジニアになっていかがでしたか?

中学時代からの夢だったというのもあり、憧れが強く、キラキラしているイメージが自分の中で先行していました。

実際は泥くさい部分も非常に重要で、競技プログラミングやコンピュータサイエンスを学んでいたとはいえ、ソフトウェア開発に関しては素人だったので1年目は正直ダメダメでメンターに助けられながら、もがいていました。1年目をなんとか乗り越えてからは、一人でも仕事ができようになっていきました。

事業立ち上げ経験を積み社内ベンチャーで立ち上がったRadiotalkに可能性を感じジョイン

ーそこから今のキャリアに続く転機のようなものはあったのでしょうか?

3年目になったタイミングで、社内で20代女性向けの新しいメディアを立ち上げるという話が上がり、自分も立候補しました。事業を作りたいと明確に公言していたのもあり、社内からも推薦をいただき、コンセプトが固まっているだけの状態からジョインすることができました。

ーその事業を作るという経験で得た学びはありましたか?

大きく2つ、ユーザーに価値を届けるという視点、長期的な開発の視点を養う事ができました。

ユーザーに価値を届けるという視点ですが、エンジニアが作りたいものを作ったとしてもユーザーに使ってもらって価値を感じてもらわないと意味がないんですよね。

更にいうとそれが会社のミッション達成につながる必要があります。事業立ち上げに携わってかなり意識するようになりました。

エンジニアリング的な観点では、技術選定から携わらせてもらったので機能追加のコストやリスクなど、長期的な視点でプロダクトを作る経験ができました。

ー前職からRadiotalkへジョインしていますが、どのような経緯だったのでしょうか?

事業立ち上げ経験を一通りさせてもらい、次はどんなことに挑戦しようかと考えているタイミングでした。そのタイミングで、社内ベンチャーとして代表の井上が立ち上げたRadiotalkに社内リファラルのような形で声をかけてもらいました。

ラジオが好きだったこと、自分もユーザーになりうるサービスに携わりたかったこと、オフショア開発から巻き取ってフルリニューアルをするタイミングだったこと、サービスの特性と技術チャレンジの両方からRadiotalkに可能性を感じでジョインしました。

資金調達やKPI設計などのビジネスプロセスを経験しCTOへ就任

ー最初からCTO候補としてのジョインだったのでしょうか。

いえ、最初はサーバーサイドエンジニアとしてオフショアから巻き取ったサービスフルリニューアルを担当していました。

社内ベンチャーから会社になったタイミングぐらいで、KPIツリーを修正したり、カスタマージャーニーをリニューアルするなどコーディングを中心とする部分から領域を広げていきました。2019年に執行役員をやってみないかと声をかけてもらい、執行役員に挑戦することにしました。

ー徐々に自分の領域を広げていったのですね?CTO就任の打診の経緯もぜひ教えて下さい。

その後の資金調達活動において、会社の重要な点であるプロダクトとそれをつくっていく開発チームについて、将来描いているプラットフォームをつくりきれるだけの技術力があるか

を投資家に説明する役割を担いました。それを踏まえてCTO就任の打診を頂きCTOとなりました。

エンジニアリングを通じて事業拡大に貢献し続ける組織をめざす

ーCTOとして大切にしていることはありますか?

一番大切にしていることは、エンジニアリングを通して事業拡大に貢献し続ける組織であり続けるということです。

よくあるBizとDevの分断やいがみ合いというのは完全にナンセンス。プロダクトをつくり、そして届けるという意味では完全に同じチームだと考えています。なので、エンジニアは作りたいものを作っていてはだめ、必ず価値を提供できているかを大事にする。この視点を持った上で、意思決定するのをメンバーにも求めています。

またそのときに大事なのは”なぜ”が語れるかです。

こういう課題のために、複数の選択肢がある中で、なぜこの技術を選んだのか、この実装をしたのかという点で意見を持ち、議論ができることが大切です。

ーこれからのエンジニアに必要だと考えていることはありますか?

「これは自分の仕事じゃない」という考え方を持たないということです。移り変わりが早いエンジニアリングの世界では、自分という山をどれだけ高くできるかが鍵です。そのためにはまず裾野が広くなくてはいけません。サーバーサイドを担当しているエンジニアがクライアントサイドのことを知らくていいという話ではないと思います。逆も然りです。

よくあるスペシャリストかジェネラリストかみたいな話はイメージが間違っているとおもっていて、

スペシャリストと呼ばれる人たちで本当にその1点”だけ”が詳しいという方はお会いしたことがありません。

皆、周辺知識を含め、一見関係なさそうに思えることまで詳しいことが多いです。さっきの話でいうと裾野がかなり広く、頂上も高いです。

山のかたちはある程度は人それぞれだと思いますが、優秀な人達はすべて裾野がかなり広く、頂上も高いのかなと認識しています。

自分の目の前に転がってきたボールは絶対に拾うぐらいの意気込みが必要だと思います。

楽しくエンジニアリングをし続けるために、良いソフトウェアを作る

ー個人としての夢はなにかありますか?

個人としての夢はエンジニアリングでできることを広げることと、良いソフトウェアを作ることです。

例えば、人事やビジネスにおけるKPI設計・管理などもエンジニアリングでもっとよくできると考えています。そのため自分の仕事だと思って取り組んできましたし、もっとエンジニアリングの領域を広めていきたいと考えています。

ー良いソフトウェアをつくりたいっていいですね。良いソフトウェアの定義ってありますか?

正直その定義自体は模索中なところはあります。

繰り返しにはなりますが、大事な部分はユーザーに価値を届け続けることだと考えています。

我々のような事業としてのソフトウェアであれば、事業のフェーズや規模、チームメンバーや技術の進歩などによって「良いソフトウェア」は変わってくると思います。

エンジニアとして常に「良いソフトウェア」とはなにかを考え、そこを目指し続けたいたいなと思っています。

Radiotalkでは技術開発と事業開発の両輪で走ることの楽しさを知りたいエンジニアを募集しています!

ーRadiotalkさんでは、どんな仲間を募集していますか?

1つは音声配信やライブのギフティングなどを面白そうと感じ、会社のビジョンに共感してくれる方です。

また、開発だけ、コーディングだけをしたいという視点ではなく、ユーザーやサービスのことを考え、課題の発見から届けるところまで一貫してやりたい方を求めています! 今はできなくても、そういう風に成長したいと思っている方も大歓迎です。

Radiotalkのエンジニアメンバーにはアーキテクト、テックリードと呼ばれるような責任を果たせる能力を身につけてもらいたいと思っています。

そのためには、さまざまな領域の技術を学び、山を高くすること、サービスやビジネスを理解し、貢献することの両方を大事にして、技術開発と事業開発の両輪で走ることの楽しさを知ってほしいと思っています。

取材を終えて

今後のエンジニアにとって、自分で範囲を定めずいろんなことに挑戦すべきというおっしゃ斉藤さん。ご自身が自ら領域を広げてきたことによって、CTOというポジションに就任されており、説得力があるお話でした。どうしても、BizサイドとDevサイド分けがちですが、「その垣根はなく一つのチームとして価値を出す。プロダクトをつくる。」という考え方がもっと浸透してほしいと大きな共感をしました。

そんな斉藤さんが率いるチームで、音声技術という新しい市場でのスタンダードを作る、Radiotalkさんの活躍がこれからも楽しみです。

プロフィール:

斉藤裕気

Radiotalk株式会社 CTO

新卒でエキサイト株式会社に入社し、メディア向けサービスの開発を行い、女性向けメディア立ち上げ時にテックリードを担当。2018年からRadiotalkに参画し、オフシェア開発からの引き継ぎ、サーバーサイドの開発に従事。2019年に執行役員に就任し、プロダクトの開発に加えて、開発組織の構築に従事。2021年3月に取締役CTOに就任。

今すぐシェアしよう!
今すぐシェアしよう!