今回は、株式会社ジーニー CTO・ 孟 祥梁(もう・しょうりょう)さんのインタビューをお届けします。大学卒業と同時に来日し、エンジニアとしてのキャリアを積んでこられた孟さん。広告を利用するユーザー側から、その魅力に触れて広告システムを開発する側に。今では、AIを用いた最先端のアドプラットフォームを開発しているジーニーでCTOを担っています。そんな孟さんが、エンジニアとして大切にされていることは、常にシンプルな選択をすること。シンプルを追求した先に何があるのか。孟さんのキャリアと価値観に迫ります。

「インターネットが世界を変える」と感じた少年時代

ー孟さんが、エンジニアを目指したきっかけを教えていただけますか?

明確なきっかけはないんですよ。ただ、小学生の時には、親が購入したPCをいじっていました。当時のPCはとても壊れやすく、私がよく修理していたんです。PCを修理するには、デジタル機器やネットワークに関する最低限の知識が必要でした。その結果、どんどん詳しくなっていったんです。ちょうどその頃、インターネットが登場し、その便利さに衝撃を受けました。高校時代には、ネットオークションへの出品も試してみました。インターネットで振り込みもできない時代だったにも関わらず、けっこう稼げたんです。「インターネットが世界を変える」と感じ、そこから本格的に勉強を始めました。

ー学生時代は、ご自身でプロダクトを開発をされましたか?

高校生の頃はフロントエンドのプログラミングをしていました。大学では、日本語と情報工学を専攻することになりました。コンピューターサイエンスを学び、システム全体の仕組みを理解しました。アルバイトとして、ECサイトの開発にも関わりました。これが、私にとっての初めてのアプリ開発だったんです。大学を卒業後、日本に渡り、エンジニアとしてキャリアをスタートさせました。

来日後、アドテクに興味を持つ

ー来日されてからは、どのようなキャリアを積まれたのですか?

ゲーム会社に就職し、ガラケーのソーシャルゲームを開発しました。社内で新しいゲームの企画から開発までを一貫して行いました。それらのゲームは、当時では、先進的な存在だったと思います。失敗を繰り返しながら学んでいきました。その後、システム開発会社に転職しました。主な業務内容は、社内ツールの開発です。集客用のCRMを開発しました。現在はアドテクの開発に関わっていますが、当時は広告を利用する側だったんです。

ーここから、アドテクに興味を持たれたのですか?

そうですね。広告施策を打って、どの程度流入があったのかを計測していく過程で、広告に興味を持ちました。その中でも、流入の質がかなり良いアフィリエイトサービスがあり、サービス自体に興味を持った私は、開発元であるアドウェイズに転職しました。運良くそのサービスの開発チームに配属され、アドテクの開発に携わることができました。しばらく働いた後、同じ広告業界のアドテク企業に転職しました。

ーなぜ、そのアドテク企業に転職されたのですか?

アドテクの中でも、AI開発をやってみたいと思ったからです。そこでは、LINEのタイムラインに表示される「ネイティブ広告」をゼロベースで開発していました。同社は、データの使い方とAIに強みを持っており、データウェアハウスの構成など、さまざまなことを学びました。その後、現在在籍しているジーニーに転職しました。

数字へのコミット、そして継続的に改良できる組織づくりに貢献し、ジーニーのCTOに

ージーニーに転職された理由を教えていただけますか?

自社開発の割合が大きい点や、アドテクのディープな領域である広告の売買をメディア向けに行う「GENIEE SSP」、広告主向けのプロダクトである「GENIEE DSP」の両方を自社開発している点に惹かれ、入社を決めました。

ージーニーでは、どのような開発をされてきましたか?

入社当初は、技術ペインとサイエンスの領域を担当しました。具体的には、DSPやAIを用いた広告の予測基盤の刷新などです。この領域は、前職で経験があったのですが、ジーニーにとってベストなシステムになるようカスタマイズして開発しました。予測基盤を刷新したことで、より精度の高いデータドリブンな意思決定ができるようになり、パフォーマンスの向上に成功しました。その中で、自分も評価され始め、開発チームのマネージャーを任せてもらえるようになりました。

ー1メンバーから、どのような経緯でCTOになられたのですか?

経緯としては、メンバー→マネージャー→プロダクトCTO→CTOと役割が変わっていきました。プロダクトの収益創出に成功するなど、数字として結果を出せたことが一番の要因だと思います。もちろん全て一人でやったわけではなく、仲間の助けがあっての成果です。私は、プロダクトを継続的に改良できる組織を作ったことも、評価されたポイントだと考えています。課題を一つひとつ潰し、改良を続けてきたことでCTOを任せていただきました。

計測基盤を構築し、テクノロジーを駆使して数百倍の生産性を実現する

ー孟さんが、エンジニアとして大きく成長したエピソードはありますか?

ある程度のレベルの仕事ができるようになるには、一定以上の量が必要です。私は、キャリアの初期に、圧倒的な量をこなすことで、結果的に質も上げられました。ただ、成長できたとしても、人間だけの仕事では限界があります。しかし、テクノロジーであればその壁を破り、同じコストで数倍の成果を生み出せます。数倍の改善を続けていると、いつの間にか数百倍の成果となるのがテクノロジーのすごさ。そのため、改善し続けることが重要です。改善するためには、計測が重要。計測するためには、その仕組みを作る必要があります。計測基盤を作ることが、生産性の向上を実現させるんです。

ー改善を続けて成長されてきた孟さんが、エンジニアとして大切にしていることはなんですか?

全てをシンプルにすることです。さまざまな選択肢がある中で、最もシンプルな方法を選ぶようにしています。例えば、1つのソフトウェアを作る時、4つのツールを使って作る方法と、2つのツールを使って作る方法があったとします。もちろん状況にもよりますが、このようなケースで選択するのは、基本的には後者。複雑になると、どうしても理解しづらくなります。シンプルな選択をすることで、より多くのチャレンジができるというメリットもあります。

ーCTOに必要な3要素はなんだと思いますか?

一つめは、「事業目線」です。技術のことだけではなく、常に事業を成長させることを考える必要があります。二つめは、「説得力とプレゼン力」です。自分の考えていることを正しく伝えないといけません。プレゼンをエンジニアは軽視しがちですが、組織で動くために欠かせない力です。三つめは、「圧倒的な知識量」。技術の最高責任者として最適な選択をするために、フルスタックかつモダンな知識が必要だと思います。技術は日々進化していくので、常にキャッチアップし続けることが重要です。

誰もがマーケティングで成功できる世界を創る

ー貴社の事業内容を教えてください。

DSPやSSP、CHAT、SFA/CRM、MA、デジタルサイネージを開発しています。現在SFAやCRMは、Salesforceが市場シェアを占めています。しかし将来的には、我々のプロダクトを日本のカルチャーに合うサービスとして広めていきたいと思っています。

ー今後、貴社で実現したいことはなんですか?

ジーニーのパーパス(企業の存在意義)である、「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」を実現していきたいです。人間が煩雑な作業から開放され、より生産的な業務に集中できる世界です。ジーニーでは今年度から、各チームでOKRを設定し、全社でパーパスを実現する組織・評価体制に刷新しました。

ー孟さん個人の夢はありますか?

まずは、CTOとしてジーニーを継続的に10倍成長させたいです。また、AI領域のモデル開発に関する知識を深め、世界を変えられるようなプロダクトを作りたいですね。そのため、将来は新規事業開発に携わりたいと思っています。

事業目線で開発できる、ものづくりが好きなエンジニアを募集

ー貴社では、どのようなエンジニアを求めていますか?

CTOとしては、事業目線があり、何事にもキャッチアップできるエンジニアを求めています。一方で、エンジニアとして一緒に働きたいのは、もの作りが好きで、自ら企画して実行できる方です。ジーニーには、莫大なデータを扱えることと、AIを用いた予測系のモデル開発に携われるという魅力があります。AI等のモダンな技術を用いて、企画から開発をやりたい方に、ぜひお会いしたいです。

取材を終えて

孟さんのお話からは、「仕組み作り」の大切さを感じました。事業を継続的に成長させるための計測基盤の構築など、チームとして成果を出す仕組みを作ってこられたからこそ、CTOを任されているのではないでしょうか。それも、事業目線を持つことで、実現できたのだと思います。アドテクという莫大なデータ量を伴うシステムで、常に「シンプル」を心がけてこられた孟さん。「誰もがマーケティングで成功できる世界」を実現させることで、子供の頃に感じた「インターネットが世界を変える」という予見を、孟さん自身の手で現実にする日もそう遠くないかもしれません。

ジーニーの募集ページ

プロフィール:孟祥梁さん

2018年9月、株式会社ジーニーに入社。 大学卒業後、ソーシャルゲーム会社やインターネット広告会社など、大手からベンチャーまで計4社でエンジニアを経験。幅広い事業領域を有し、自社プロダクトを開発できる環境に惹かれ、ジーニーに入社。現在はアドテクノロジー、マーケティングテクノロジーの両領域において開発戦略の設計を担いながら、テクノロジー開発本部本部長としてマネジメントも兼務。

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