2011年の創業以来、主に企業向けのメンタルヘルス研修の販売及びコンサルティングを行い、労働者のメンタルヘルスケアに特化した事業を行っている株式会社ラフール。今回のインタビューは、メインプロダクトである『ラフールサーベイ』の開発チームを率いる三浦さんにお話を伺いました。
現在に到るまでのエンジニア人生を振り返ります。また現在(2020年 4月27日時点)緊急事態宣言の中、具体的なテレワークでの開発風景をもう一人のグループリーダーである正林さんにもお話を伺うことができました。併せてお楽しみください。
現在の役割と開発体制
プロダクト開発グループに所属し、エンジニアのリーダーです。プロダクトの根幹となるアーキテクト、つまりサービスの仕組みや設計の部分に自分の能力をコミットしたいというところから「アーキテクト」を冠させて頂き、CAO(Chief Architect Officer)と名乗っています。
開発チームにはリーダーが二人います。私はモバイルアプリやR&D関連を担当し、正林はWebを担当しています。二人の間で、担当はあくまで得意分野のイメージでしかなく常にバランスを見ながら分担しています。ボーダーではなくグラデーションのイメージです。
チーム構成は総勢11名です。モバイルアプリのエンジニアが私の他に1名。Webのエンジニアは正林を含めバックエンド側が5名とフロント側が1名です。デザイナーが2名、データ分析のメンバーが1名です。弊社の根幹となるラフールサーベイの言語はRuby on Railsです。モバイルアプリはSwiftとKotlinで開発しています。Webの開発はR&Dの為にPythonベースのサービスも一部あります。
開発チームの特徴
弊社のビジョンとして「ラフールネスで世界を笑顔に」があります。ラフールネスとは笑顔(=ラフ、 laugh )が満ちあふれる(=フル、full)状態( =ネス)という意味です。企業ビジョンに完全にコミットできる方、そこに自分のビジョンを投影できる方を経営陣が大事にしています。エンジニアチームを作るときはスキルも大事ですが、弊社のビジョンに対してどれだけ熱量を持って「ジョインしたい」と思ってくれているかを大事に見ています。
CEOの結城は性善説で語る人です。例えば、テレワークは古風な日本企業からしてみると「見えてないとサボるんじゃないか」と一定数そういう考えはあると思います。ですが結城は「いや! それを考える必要がある? みんなサボらないでしょう」と社員を全面的に信用しています。それを言われちゃうと逆に僕らはサボれないですよね。
僕も今まで性善説でやってきました。色々な意見はあると思いますが、疑うのは無駄でしかないと思います。自分が疑われたら嫌ですよね、逆に100%信頼されたら「もっと頑張ろう!」って思うのが人じゃないでしょうか? またエンジニアは積み重ね、スキルをアップデートしないと陳腐化し、サボればバレます。また周囲が成長していると焦りますよね。その点からも、僕はじっとしていられませんね。
チームで意識すること スピード感を重視
気をつけていることは、会社の規模がベンチャーなので1にも2にもスピード感を常に意識しています。開発のスピードだけではなく他部所に展開するスピードやトラブルシュートするスピード、意思決定をするスピードを常に考えています。このスピード感が結果、より仕事をしやすくなる環境になると思っています。
ラフールサーベイをローンチして1年半、まだまだ成長の余地があるプロダクトでしたが、当初はウォーターフォール的な開発になりがちでした。目先の契約に合わせた開発は収益化には重要ですが、それだけではプロダクトに未来はありません。そこで、次のフェーズを見越した設計考慮を施しつつ、目先の要求を満たす機能をリリースすることがとても重要だということをCEOの結城に話しました。
その結果、私たちの声に、真摯に耳を傾けてくれます。「エンジニアドリブン」が実現できつつあると思っています。「プロダクトをアップデートし、ユーザビリテイーやUXを突き詰めていくことが本来あるべきもの」という思いは今では全社で理解、共有されています。
エンジニアになるきっかけ ユーザーに幸せなプロダクトを届けたい
学生時代は全然考えていませんでした。就職したのが2004年でITバブルが弾けた後で、就職氷河期に就職活動をしました。当時の私は学生らしい学生で「単位が取れればいい」みたいな、後はバイトに明け暮れサークル活動をして、今のように「寝ても覚めても、モノづくりのことしか頭にない」という意識はありませんでした。
前職の企業を決めたのも自己成長というより「年間140休日」で決めました。休みが多いなら「きっと楽しいんじゃないか、色々遊べるんじゃないか」と思っていました。とはいえ理系科目が好きでしたので、エンジニアになりたいと思いはありました。
そこで転機が訪れます。入社して5,6年働き2010年にアメリカに派遣される機会があり、そこで頭が切り替わりました。「世界は広い」と学び、人との関わりでモノづくりの面白さを学びました。またフロントに立つテクニカルサポートメンバーへどのように説明すれば困らないか、使い方の指示や細かいことが分からないスタッフに噛み砕いて説明していました。「こうすれば理解しやすいのだろうか」や問い合わせの多い質問をまとめたり、「次はこういう質問がくるからここを押さえておいた方がいい」と先読みアドバイスもしていました。これらの経験からお客様が求める一歩先を想像する習慣がついたと思います。
その後海外で学んだことを社内で情報発信しつつ、新しいサービスの企画、R&Dを一人で勝手にやり始めました。ただそれは社内で受け入れられませんでした。企業文化に合わなかったと思います。一方でR&Dで作ったプロダクトが『UberEATS』に採用されました。プライベートな時間で作り「こういうものがあると便利だ」と考え、企画、開発、リリースまで担当したプロダクトを製品化した成果でした。たたったそれだけの行動が「UberEATSのような企業に見つけてもらえるんだ」と思い「自分で情報発信していくと変わるんだ」と目の当たりにしました。
そこで13年ほどエンジニアを続けていて「より自分が社会貢献できるジャンル、よりユーザーに幸せなプロダクトを届けられるところに次のチャレンジをしたい」という思いが強まり、転職活動をしました。そして最初に出会ったのが弊社です。CEOの結城と出会い、彼のビジョンや考え方に共感し「ラフールで仕事したい」と思いました。運命を感じましたね。
『ラフールサーベイ』の開発 こだわり
メンタルヘルス系のサーベイを行なっている企業はあるのですが、アプリを持っている企業はないという点でゼロイチの開発をしています。
個人的に掛け算が得意と思っていて、ただの数字の掛け算というより「この機能とこの機能の掛け算」や「このユーザーとこの機能の掛け算をしてどのような答えになるのか」「どういう風にするとユーザーが最も求めているものになるか」と常に考えています。それは先ほどお話した、アメリカ派遣期間中の経験でテックサポートチームや本社部門との関わりの中で次の一手を想像する習慣ができたので「これをサービスに持っていくにはどうすればいいのだろうか」という考え方が根本にあります。
「世の中にないものを作りたい」というゼロイチだけでなく「効率化したアプリやサービスにしたい」と思っています。それが自分にとってゼロイチのルールですね。
緊急事態宣言とテレワーク
従業員の働く環境においては、都内で緊急事態宣言が出るタイミングで全社員がテレワークになりました。開発チームはそれよりも前の段階でテレワークを試験的に導入し「エンジニアチームはWebが繋がっていれば、インターネットがあれば基本どこでも作業ができる」という仮定で2月の最終週からテレワークが始まりました。
2ヶ月間がテレワークの実績になります。2ヶ月経つと慣れがカバーします。しかし不便といえばコミュニケーションが減り、開発する際、ちょっとしたコミュニケーションから生まれるものもあり、解けない不具合の解決や、会社にいるときはいつの間にかできていますが、離れると意図的にコミュニケーションを図っていかないと話もできないし、そこに物足りなさや辛さを感じます。
そうはいってもテレワークは集中できますし、コロナが収束した後も個人的には「続けてほしいな」と思っています。出社する人とテレワークする日のバランスを個人の裁量で取らせてもらえるのが理想です。そいう働き方の選択肢を増やしてもらうといいなと思います。
そういえばWebチームはテレワークで面白い方法を取っています。正林から話して頂きましょう。Webチームとは定時に集まって開発を一緒にしています。
正林さんチームのテレワーク ワイワイ言いながら幸せに仕事する
三浦から紹介されたWebチームリーダーの正林です。ゲーム開発の時に培った経験とバックエンドエンジニアとしての経験を元に、プレイングマネージャーをしています。私は毎日昼の2時からHangouts Meetで繋がりフロント・バック・SEの4人と音声だけ繋いで仕事をしています。
出入りは「行ってきます」「行ってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」です。昨今のテレワークでのメンタルの問題が気になり、今のスタイルを導入しました。もくもくと開発していると気疲れしますし、誰ともしゃべらない日が続くとコミュニケーション不足が出てきます。
そこで毎日つないでお話ししながら、独り言でもいいし、とにかく繋いで「みんなで仕事しよう」と過ごしています。みんなの声が聞こえているので、困っていることがあればみんなで相談、バックとフロントが一緒にペアプロなど、自分たちで効率のいい開発の仕方を見出すことによって、テレワークであってもパフォーマンスアップを狙い、距離感を全く感じない開発を行なっています。
共有された画面をみんなで見て話したりすると、すぐ側にいて、仕事をしている感じはしますね。常に連絡を取っているやり方なので、先日大きなシステムのリリースがありましたが、柔軟に問題もなくリリースできました。コミュニケーションの重要性を改めて感じます。
最近は運用やデザインチームのメンバーも毎日繋ぐHangouts Meetに呼び、ミーティングすることも増えてきました。この輪を広げて、メンバーが滞りなく仕事できる環境を整え、そして「元気で会おうね」というのが直近の目標です。私のミッションはメンバーが気持ちよく円滑に仕事ができること。「みんながワイワイ言いながら幸せに仕事することができたらそれが一番」といつも思っています。
それでは「三浦に戻します」
求める人材
面白い人がいいですね。例えば四六時中プログラミングしているオタクな人も好きですし、仕事は程々にして趣味の時間を持っている人も好きです。それらの行動に全て意味があって、プログラミングを学び続けている人やそれ以外の趣味を持っている人に「それ、何が面白いの?」と聞くことで次のアイデアに繋がるかもしれません。
好奇心旺盛な人とも仕事がしたいですね。「常に成長し続けたい」というマインドを持つ人です。好奇心旺盛ならどんどん新しいことをみつけていくと思うので、僕らチームもそれに刺激を受けて負けたくないと思いますし、そこで切磋琢磨するチームになるかと思います。
今後のミッション
『ラフールサーベイ』は世の中の人を幸せにするサービスだと思っています。ローンチから1年頑張って550社越えは誇れる数字だと思いますが、まだまだ世の中に貢献できる軸が残っています。サービスの中身も「もっともっといいもの」「お客さんを幸せにできること」を地道に続けたいなと思っています。俗にゼロイチってブッとんだもの、そんなイメージになりがちですが、突き抜けてはいますが「地に足をつけた着実なものを世の中にないものを作っていきたい」と思います。
矛盾しているかもしれませんが、考えることをやめずにアイデアを出し続け新しいものづくり、新しい体験づくりを続けていきたい。それをチームと一緒にやっていきたいと思います。
技術的にはモバイルはSwiftやKotlinで作るのが一般的ですが、僕らも新しいチャレンジをしていきたいのでGoogleに開発されているDart, Flutterを取り入れたいと考えています。
iOSはSwift AndroidはKotlin、一個のアプリで2つ開発しなければなりません。開発コストやメンテナンスコストもかかります。ですがFlutterを使うと一つの言語で二つ作れます。弱点はありますが、そこを補う設計に組み立てていくことが、醍醐味ですね。現在、世界中に広まりつつあり、コミュニティーも大きくなっています。R&Dの取り組みとして、SwiftやKotlinと置き換えることが直近の目標ですので、ゼロイチのチャレンジになりますね。積極的に取り組んでいきたいです。
広報:大澤直人さんから
三浦は何を相談するにしても、どんな時でもポジティブです。「なぜこの状況でもこんなポイジティブになれるのか…?」といつも思っています。笑 私の立場でさえ、些細なことでも相談しやすいので開発チームのメンバーは「さぞ仕事がやりやすいんだろうな」と側から見ていて思いますね。
正林は弊社プロダクト『ラフールサーベイ』の母。そのため、プロダクトに対する愛は誰よりも強いです。そして三浦と同じくとてもメンバー想いだなと感じます。開発チームはON・OFFの切り替えがうまく、やるときはやる。昼休憩はみんなでランチに行き、いつも和やかで楽しそうな印象です。正林の気遣いやマネジメントあってこそだと思います。
プロフィール:三浦 康司
プロダクト開発グループマネージャー 兼 CAO(Chief Architect Officer)
1981年生まれ。2004 年に工作機械メーカーのスター精密に新卒入社。2010年に海外の販売子会社に赴任 。現地のテクニカルサポートチームのディレクションを行った経験を活かし、その後、本社で様々な分野でのR&Dを行う。14 年間勤務した後、2018年にラフールに転職。現在は、プロダクト開発チームのマネージャーとCAO(Chief Architect Officer)の業務を兼任。アプリ開発のディレクションに加えて、プロダクトアーキテクチャとして、市場要求を解決するアイデアの創造とそれをプロダクトで実現する為のゼロイチの設計に従事。想像力と行動力にあふれた最高の仲間と一緒に、日々ワクワクしながらモノづくりに邁進中!!
プロフィール:正林千穂子
プロダクト開発グループマネージャー
専門学校で講師、新規事業立ち上げメンバーとして就任した部署でゲームディレクターとなり3年間で数タイトル発売。この時、企画・開発・広報・営業、全ての工程を学ぶ。結婚を機に福岡に移住。SIerで仕事をしていたが、福岡県がRuby on Rails開発を後押ししていたこともあり、スタートアップ企業のエンジニアとして事業立ち上げから、Railsによるサービス開発およびiOS, Androidアプリ開発を行う。東京進出後、株式会社ラフールに入社。ラフールサーベイの企画・立上げより開発に携わり、現在はプロダクト開発グループマネージャーとしてチームメンバーと共にラフールサーベイの成長に貢献している。毎年弊社の忘年会で発表される表彰式で「MVT(Most Valuable Team)」2年連続受賞。
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