テレビCMでもお馴染みのハウスクリーニング・家事代行・引越しなどのサービスをネット予約できるくらしのマーケット。今回はくらしのマーケットを産んだ、みんなのマーケット株式会社CTOの戸澤さんにインタビューしました。就職活動はせずに学生時代からみんなのマーケット株式会社にジョインし、開発をしていたという戸澤さん。エンジニアを志した戸澤さんの原体験とみんなのマーケット社の素敵な社風に迫ります。

1度は挫折したプログラミングで誰かの役に立つ喜びを知る

―エンジニアを志した原体験を教えてください

小学生まで遡るのですが、機械を分解するのが好きでした。仕組みを知りたいという好奇心から家にあるものをドライバーなどの工具を使って分解していました。インターネットに触れるきっかけは、親がワープロを持っていたことです。小学生の時にWindows95のPCを買ってもらって、ペイントを使ったり、調べ物をしたり。当時はダイヤルアップ接続で、長時間インターネットを使うことができなかったので、限られた時間で一気に調べ物をして、そのページを保存してまとめて読むという作業をしていました。常時ネットに繋げるようになってからは、PCに触れている時間も増え、その過程で、もっと便利になる仕組みを作りたいと考えるようになりました。具体的なものは覚えていませんが、何かを手作業でやっていてめんどくささを覚え、自動化したいと感じたんです。単なるユーザーでいるより、裏側を知りたいと思うようになったのが原体験です。

―小中学生で機械の仕組みに興味を持たれたようですが、高校時代はどのような学生でしたか?

まず、中学3年くらいの時にプログラミングがしたいと思い、C言語の本を買ったんです。しかし、コンパイラが動かなくて挫折しました。
高校は勉強が忙しく、中学生時代と比べるとPCを触る機会が激減してしまいました。そんな環境でも、どうしてもPCを触りたくて放送部に入ったんですよ。放課後はずっとPCを触っていました。

―大学に入ってから代表に出会うまでを教えてください

高校卒業前からPHPの勉強をしていて、大学では情報工学を学んでいました。サークルには入らず、家に帰ってから一人でコードを書いていました。当時はPythonが好きでしたね。

今で言うQiitaにあるスニペットをまとめた記事を自身のテックブログに公開していました。それが代表浜野の目にとまり、SNSで連絡がきたことが出会いです。どのSNSかは、Twitter説とミクシー説があるのですが…(笑)。どちらかでインターンに誘われたんです。内容としては、「起業したばかりで、Pythonで開発ができるエンジニアを探しています」というものでした。当時Pythonで開発している会社は少なかったので面白そうだなぁと。それから、今までプログラミングで開発をしてお金をもらうという体験はなかったので、興味を持ちました。そして面接をしたその日にMacBookを買いに行き、インターンが始まりました(笑)。

―大学時代、アルバイトはしていなかったのですか?

アルバイトはせずに、アフィリエイターをしていました。理由は、人と話すことが苦手だったからです(笑)。それと、仕組みや仮説を考えたら試したくなる性分なので、アフィリエイトでそれを検証していました。

浜野代表と運命的な出会いをした後、インターンでみんなのマーケット株式会社にジョイン

―面接直後にMacBookを買いに行ったとのことでしたが、買いに行くまでに代表とどのような話をしたのか教えてください

起業後間もなかったので現在のようなWebサイト自体なく、大まかな事業説明を聞きました。その時に初めて「家事代行」「ハウスクリーニング」という言葉を知りました。家事を誰かに頼める世界があるんだなぁと。当時はそれらを一覧で比較し、予約できるサービスがなかった為、市場規模などはわかりませんでしたが、なんとなしにいずれ伸びるんだろうなと感じました。MacBookはアフィリエイトで稼いだお金で買いました(笑)。

―2年間のインターンではどのようなことをしていたのですか?

就職活動はしていませんでした。というのも、大学3年の終わりくらいから会社の売り上げが立ちはじめており、みんなのマーケットに可能性を感じていました。今思えば、就活自体真剣に考えていませんでしたね。大学の就活センターから「大丈夫ですか?」と心配されていたくらいです(笑)。

みんなのマーケットのポテンシャルを信じ、社員として開発に携わる

―大学を卒業してから現在に至るまでどういうことをやってきたのか教えてください

創業して1年は自分ひとりで開発をしており、バックエンドでコードをガッツリ書いていました。インターンの人がジョインするまでは会社へは行かず、Skypeを使いながら在宅で仕事をしていましたね。人と話すのが苦手だったので(笑)。インターンの人が決まってからは、出社してチーム開発するようになりました。現在は人やプロダクトを見ることにフォーカスしていて、一部インフラ周りも見ているのですが、コードを書くことはほとんどありません。

―組織も徐々に拡大していったようですが、現在のエンジニアの開発規模を教えてください

現在は会社全体で35人です。2014年までは2人で開発していて、2015年から中途採用などで徐々に人が増えていきました。サービスをリリースした当時から仕様変更を重ねていく過程で、コードの質が落ち散らかっていきました(笑)。そして、新たに入社した社員たちが読めないという問題が起き、2015年から1年間はリプレイスに専念しました。

世の中の出張サービスをくらしのマーケットで便利に

―技術責任者/経営陣の一員として取り組んでいることをそれぞれ教えてください

技術責任者としても経営陣の一員としても、1番力をいれているのは採用です。やりたいことが山積みで開発のスピードをあげたいと考えているので、そのためにも人を増やすことが最重要だと考えています。

―戸澤さんがこれから取り組みたいことはありますか?

出張サービスを頼むという体験をより良いものにしたいです。これまでは電話帳から探して電話で頼むというものであり、非常に手間のかかるものでした。現在はインターネット上で探すことができ、依頼も簡単になっています。さらにサービス間の比較までできるので、よりユーザーにとって便利で有益な仕組みができあがっていると思います。更にこれを進化させていき、出張サービスが簡単に利用できるようにしていきたいです。

―具体的ユーザーにどのような体験をしてほしいですか?

例えば、ユーザーが様々な観点でサービスを選ぶことができたり、新しい体験を作ったりということをやりたいです。

くらしのマーケットで頼める出張サービスは200種類以上ありますが、その中で我々が自信を持って便利に頼めると言えるサービスがまだまだ少ないんですよ。「出張サービス」という言葉でひとくくりにしていますが、実際はハウスクリーニング、庭木の剪定、カメラマンなどビジネスが全く違うので、それぞれ最適なUI、料金計算ロジック、検索ロジックも必然的に異なってきます。これをしっかりとカテゴリにフィットさせていくことが大切だと思います。このような作業を通じて今ある200種類をより便利にしていくとともに、他にも世の中には多くの出張サービスがありますから、それをくらしのマーケットで頼めるようにしていきたいです。

コロナ禍で働き方を大胆に切り替える

―現在はフルリモートに移行されていますが、もともとリモートワークができる環境だったのですか?

コロナ禍になる以前は、リモート可能にしてはいましたが、基本的には会社に集まって仕事をするというカルチャーでした。コロナ禍でフルリモートになり、組織がきちんと機能するのだろうかと不安は多少ありました。また、同じチームのメンバーが何をしているかわからないという問題が出ましたが、Zoomなどのカンファレンスツールを利用してオンライン出社をするなどして解決しています。現在もうまく機能しているのでフルリモートには賛成です。ちなみに僕は今、福岡県のとある公園からインタビューに参加しています(笑)。

―ワーケーションをされているんですね!働き方に関して、その他にも様々な制度を設けているご様子ですね

リモートワークの応援金やワーケーションの制度を設けています。フルリモートに移行したとはいえ、オフィスに出社した方が集中しやすい人もいると思うので、リモートを強制するわけではなく、働き方は個人の考えを尊重しています。

良い技術はお金で買える 大切なのは「技術を何に使うか」を考えること

―戸澤さんが考えるこれからあるべきエンジニア像とは?

プロダクトに関心を持てる人ですね。もっと言うと、そのプロダクトを使うユーザーにも関心があると良いです。もちろん技術力は大事ですが、AWSだとかクラウドのサービスを見ていると、良い技術はお金を払えば買うことが出来るようになってきていると思うんですよ。「技術を何に使うのか」というのを考えることが肝です。その考え方を持っているエンジニアに価値がシフトしていくと考えています。

―大切にしていることや信念を教えてください

「正直でいること」ですね。シンプルに、嘘をつく人と仕事をしたくないですからね(笑)。嘘をつく人と仕事をしたら、時間を浪費すると思っています。

―「正直でいること」は御社の企業理念にもありますね

そうですね。忖度も嘘と同じだと思っていて、情報の正確性がブレるので、違うものは違うと言って欲しいです。本質を問うことを普段のコミュニケーションを取る時も、プロダクトを開発する時も意識しています。

―戸澤さんの目標や野望を教えてください

取り組みたいことと重複してしまうのですが、出張サービスを頼むという体験をより良いものにすることです。もっと出張サービスの業界にITを入れたいですね。できることはたくさんあると思っていて、出張サービスの業界で新しい体験を作りたいです。例えば欲しいものはなんでもネットで買える世界がすでに出来上がっていて、EC各社はより便利に買う、新しい購買体験をつくろうと挑戦しています。我々はこれと同じ変化を、出張サービスの世界でも起こしていけるポジションにいると考えています。先に上げたようにまずは出張サービスなら、なんでもくらしのマーケットで頼むことができ、「困った」を解決出来るようにする。それが僕の目標です。

―最後にお知らせしたいことがあったら教えてください

現在、みんなのマーケットではエンジニアを始めとした一緒に働いてくれる仲間を積極的に募集しています。イベントも定期的に開催していますので、このインタビューを読んで共感してくれた方や興味を持ってくれた方がいらっしゃいましたらぜひ採用ページをご覧ください。

https://www.notion.so/2acfb1769806405d8d922021d094ee74

取材を終えて

戸澤さんが大切にしている「正直でいること」大変共感致しました。戸澤さんが正直でいることを心がけているからこそ信頼関係が強くなり、フルリモートになっても組織がうまく機能しているのではないかと感じました。また、noteに公開されていたSlackでのやりとりやカンファレンスツールを利用されている様子を拝見し、仲の良さが伝わってきました。それも「正直でいること」がもたらした関係なのではないでしょうか。

プロフィール:戸澤拓也

1990年7月生まれ、秋田県出身。2011年1月にみんなのマーケット株式会社に入社し、2018年12月取締役CTOに就任。

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