今回は、株式会社ハイパードライブCTO 成瀬浩二さんのインタービューをお届けします。エンジニアとしてキャリアをスタートするも、その後は営業にも挑戦し、上場や海外展開、M&Aを経験。現在はハイパードライブのCTOとして、スマホ1つで結婚式の準備ができる「CORDY(コーディ)」の事業成長にコミットしていらっしゃいます。開発とビジネス両方のご経験を活かし、ブライダル業界の変革に挑む成瀬さんとはどのような人物なのか。そのキャリアや価値観に迫ります。

時代を先取りしすぎても事業は上手く行かないと痛感

ー成瀬さんがエンジニアになろうと思ったきっかけを教えてください。

ゼミでのプログラミングの経験を通して、ITに興味を持ったのがきっかけです。私は理系の学部だったのですが、周りの学生の多くはメーカーの研究職を志望していました。当時はまだまだインターネットが普及しておらず、IT業界へ進む学生は少なかったですね。しかし、私は研究職にはあまり魅力を感じず、むしろITの可能性に惹かれていました。そして、当時国内最大のSIerだったNTTデータに入社することにしたんです。

ーNTTデータではどのような業務をされていたのですか?

SEとして、官公庁のシステムを開発していました。NTTデータは基本的に1次受けなので、開発自体は2次受け以降の企業が実施。そのため、業務内容としては顧客折衝や要件定義、設計などの上流工程がメインでした。約5年このポジションを務めた頃、世の中ではインターネットが普及し始めていました。NTTデータ内でもインターネット事業のビジネスが発足することになり、興味を持ちました。メンバーが公募されていたので応募してみると、合格したんです。インターネットで何ができるかというレベルから考え、ビジネスネットワークというWebメールサービスを立ち上げることになりました。当時は会社にも1人1台パソコンがあるわけではありません。そこで、「インターネットを使えばどこからでもメールを送れるようになるのでは」と考えたんです。BtoBサービスとして事業を展開する中で、出張の手配やホテル予約などもインターネットで行えるサービスも追加。今で言う企業向けSaaSのサブスクのような月額料金で提供するも事業としてはうまくいかず、撤退しました。

ー当時だと何周も先に行っているサービスだったと思います。上手く行かなかった理由は何だったのでしょうか?

先進的な仕組みだったことが原因かなと考えています。当時は、会社でも1人につき1台のPCがある時代ではありませんでした。端末が普及していない中でインターネットベースの事業を展開しても、アクセスする人はわずかです。我々からすると、とても便利なサービスだったのですが、「時代を先取りしすぎても事業としてはうまくいかない」ということを痛感しました。

営業を経験後、CTOとして上場や海外展開・M&Aに携わる

ー新規事業の撤退後は、どのようなプロジェクトに関わっていたのですか?

リクルートの新規インターネット事業に常駐するかたちで参画しました。ちょうどその頃、リクルートが、各サービスを紙からデジタルに移行するという意思決定がされたんです。しかし、社内にインターネットの知見を持っている人がいなかったため、NTTデータに声がかかりました。先述したとおり、私はインターネットの新規事業を立ち上げた経験があったので、参画することになりました。PC相談室という、PCの使い方がわからない方たちの質問に回答するサービスを立ち上げました。当時は、やっとPCを会社で使い始めた時期だったので、困った時に誰に聞いたら良いのかわからないという課題があったんです。紙媒体と同時にリリースし、開発はNTTデータが行いました。NTTデータの社員としてリクルートに常駐していると、リクルートの風通しが良く、仕事のやりやすい環境に魅力を感じるように。今後もこの環境で働きたいと思い、NTTデータ、リクルートの双方の上位者に相談し、許可を得た上で転職することにしました。

ーリクルートでの業務内容を教えてください。

リクナビの開発を行いました。しかし入社半年後に、自ら希望して営業部に異動することに。当時の私はシステム開発に自信はあったのですが、営業の経験はほとんどやったことがありませんでした。リクルートと言えば、営業に強い会社ですので、ここで挑戦したいと思ったんです。営業として約2年働いた後に、リクルートでかつて一緒に仕事をした人が代表をしていたマクロミルにCTOとして参画することになりました。

ー営業からまた開発側に移られたんですか?

はい。正直なところ、営業は始めたばかりだったので、まだやりたいと思っていたので迷いはありました。しかし、上場に向けてシステムの立て直しが必要だというマクロミルの状況を聞き、転職することになりました。他にシステムが分かる人がいなかったので私がCTOになったんです。無事上場できた後は営業も行い、関西支店の立ち上げにも関わりました。その後は、海外展開やM&Aなど様々な経験を積むことが出来ました。その経験もあって、外部から他社を見た時に、「営業のやり方や仕組みを変えればもっとうまくいくのに」と感じるようになったんです。これがきっかけで企業の成長に関わりたいと思うようになり、オリックスのM&A事業部に顧問として入ることになりました。

「ブライダル業界の負を解消する」という想いに共感し、ハイパードライブのCTOに

ーM&A事業の中でもオリックスを選ばれた理由を教えていただけますか?

1つは知人の紹介という理由がありますが、最大の理由は買収後の企業の成長にコミットする姿勢に共感したからです。M&A事業を営んでいる企業の中には、短期的な利益を目指すハゲタカファンドも一部存在します。しかし、オリックスでは、買収後の会社にオリックス社員がしっかりと入り、手を動かしながら会社を成長させようとしていました。私自身、マクロミルの経験を活かして企業の成長に関わりたいと思っていたので、まさにやりたいことだと感じたんです。実際に2社の役員として、業績アップに貢献できました。その後、知人経由でハイパードライブ代表の浅田と出会い、CTOとして同社に入社することになりました。

ー成瀬さんほどのご経験をお持ちの方であれば、他社からのお誘いも多かったと思います。その中で、なぜハイパードライブさんを選ばれたのですか?

世の中のためになる事業だと思ったからです。「ブライダル業界の負を解消する」というコンセプトがおもしろいと感じました。特に、ブライダルと言っても式を挙げる方々だけではなく、働く人も含め業界全体を良くしたいという想いに共感しました。そもそもの課題として、日本の結婚式はかなり高いです。これは、業界の構造に原因があります。式場は、ドレスであれば決まったドレスショップと提携して、カップルには提携店の中から選んでもらうというビジネスモデルが一般的です。ドレスショップは自動的に送客されるので企業努力を怠るようになり、お客さんは選択肢を狭められた上に、さほど魅力的でない商品を割高な値段で買うことになります。式場に数千万円以上の「保証金」を納めて優先的にカップルを回してもらおうとすることもあり、ズブズブの関係性が出来てしまっているんです。これはドレス以外のアイテムも同じような構造になっており、業界全体として競争原理が働いていません。「結婚式を挙げる人がもっと自由な選択肢を持ち、安価により良い式を挙げられるようになって欲しい」という想いで事業を営んでいます。

CTOに必要なことは、技術的な側面から事業成長に繋げる意思決定能力

ービジネスサイドの経験も豊富になる中で、CTOとしてハイパードライブに入られた理由は何だったのでしょうか?

単純に、他にシステムのことが分かる人がいなかったからです。また、CTOというポジションの特殊性もあります。COOやCMOといったポジションは、多くの人が担える可能性があると考えています。一方でCTOは、技術のバックボーンを持ちながら経営的な視点も必要です。そのため、技術と経営両方の経験がある私にとっては、CTOが最適なポジションだったんです。

ー成瀬さんが考える、「CTOに必要な要素」を3つ挙げるとすれば何がありますか?

1つ目は、「技術への最低限の理解」です。レベル感で言うと、ベンダーをコントロールできるくらいでしょうか。システムを外注する場合、理解が浅いとベンダーの言い値で発注してしまう危険性が発生します。コストを適切に使うためにも、技術に対する理解は必須です。2つ目は、「ボードメンバーとして技術領域を事業成長に紐付けて考えられること」です。技術的な視点から経営の意思決定に関わることが求められます。3つ目は、「組織の育成ができること」です。事業会社に属するCTOは特にですが、いかにしてメンバーのスキルを高められるかが重要になると思います。

ー次に、いちエンジニアとして大切にしていることを教えていただけますか?

「何のために作るシステムなのかを腹落ちするまで考えること」です。開発においては、コンセプトメイキング、つまりはシステムの目的が最も重要だと考えています。当社では、要件定義の段階からエンジニアメンバーが参加して議論します。ビジネスサイドが決めた要件をただ開発するだけだと、ベンダーに外注するのと変わらないですよね。

ーこれまでで、エンジニアとして大きく成長したと感じた経験は何ですか?

NTTデータの社員として、1人でリクルートに常駐した経験です。NTTデータでは、周りは皆システムが分かる人たちでした。しかし、リクルートでは自分以外は誰もシステムが分からない状況。そのため、システムの作り方からプロジェクトマネジメントまで全て自分1人で行う必要がありました。自分よりも年上のベンダーさんと折衝し、「コストとスケジュール的に厳しいのは分かっていますが、なんとか一緒に頑張りましょう」とプロジェクトを進行させた経験は、大きな成長に繋がったと実感しています。

ハイパードライブで、まだ世の中にないサービスを作る

ーここまでは、成瀬さんのキャリアや価値観についてお伺いしてきました。ここからは貴社についてお聞かせいただきたく、まずは事業内容を教えてください。

「CORDY」という、スマホ1つで結婚式の準備ができるサービスを開発・運営しています。2019年にローンチし、当時メディアでは「敵か?味方か?新勢力か?」と紹介されるほど、二番煎じではない全く新しいサービスです。

ーどのような開発環境で作られていますか?

言語としては、PHP7.4を採用しています。その他は、Apache、Nginx、MariaDB、オープンソースのEC-CUBEを使用。ドキュメント等の情報が豊富な技術を採用し、安定して稼働できるサービスを目指しています。

ー在籍しているメンバーの特徴や傾向性はありますか?

エンジニア歴10年以上の経験豊富なリーダーから、未経験の新卒社員まで様々なメンバーが在籍しています。中でも共通点は、成長意欲が高いことです。少人数な組織ということもあり、自分がやりたいと思ったことは大抵の場合できます。そのため、自分の意志を持って挑戦できる人が多いです。もちろん、その分責任は伴ってくるのですが。

ー働く環境や制度において何か特徴はありますか?

比較的何においても自由かつ、体制が整っていないので自分で作っていけるという特徴があります。PCは各メンバーが希望するものを支給していますし、ツールは比較検討した上で問題なければ自由に選択可能です。評価などの制度もこれから固めていかないといけないフェーズなので、組織づくりに関与したい方にとっては良い環境だと思います。

ブライダル業界の変革に向けて、前向きにチャレンジできる方を募集中!

ーそんな貴社で、現在募集されているエンジニアのポジションはありますか?

バックエンド開発と要件定義の2つのポジションでエンジニアを募集しています。バックエンド開発に関しては、提案すれば新たな技術へのチャレンジも可能です。スキルアップしたいという想いがあれば、その環境はご提供できると思います。要件定義のポジションは、世の中にないサービスを設計し、作っていけるというおもしろさがあります。社内には、色んなアイディアを持った人がいますが、それをシステムに落とせる人がいないという課題があります。今までの開発経験を活かして、今後はサービスの構想から考える上流部分に関わりたいと思っている方にはぴったりなポジションです。

ー最後に、どういったマインドの持ち主と働きたいかを教えてください。

前向きで、何事にも楽しんで取り組める人と働きたいですね。あとは、成長意欲がある方。こういった方々と一緒に仕事を楽しみながら、CORDYを成長させていきたいです。

取材を終えて

インタビューを通して、成瀬さんの事業成長に対する強い想いがひしひしと伝わってきました。開発者としてだけではなく、ビジネスサイドの経験も積んで、数々の事業成長に関与してきた成瀬さん。​​それを成し遂げられたのも、NTTデータ時代における新規事業の失敗経験があってこそなのかなと感じました。そんな成瀬さんであれば、ブライダル業界全体の課題をも解消し、全く新しいサービスができると期待が高まります。

「バックエンド」と「要件定義」の2つのポジションでエンジニアを募集中とのことですので、今回の記事を通してハイパードライブさんにご興味を持たれた方は、以下URLよりぜひお問い合わせください。

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プロフィール:成瀬 浩二

1969年、兵庫県生まれ。大阪大学卒業後、㈱NTTデータに入社。官公庁や大手企業のシステム構築に携わる。20代後半で出向した㈱リクルートの社風に感銘を受け1998年に転籍、HR部門の営業職も経験する。2003年、リクルートで同じプロジェクトに携わったメンバーが創業した㈱マクロミルに転職。システム構築の他、海外展開やM&A後の統合効果最大化にも携わる。2015年、オリックス㈱事業投資本部の顧問に就任。買収先企業の取締役として成長戦略立案・マネジメントなどに携わる。

2019年4月㈱ハイパードライブ入社。取締役CTOとして事業全体を統括。

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