今回は、株式会社クラダシ 開発部長CTO 城前 圭毅さんのインタビューをお届けします。城前さんは、周囲のほとんどが大学へ進学する中、「プログラミングを学びたい」という強い想いで、専門学校の道を選択。そこからプログラミング漬けの日々を送り、技術を研磨研鑽されてきました。技術の壁だけでなく、苦手意識を持っていたマネジメントにも徹底的に向き合い、活躍の場を広げてきました。そんな城前さんが組織づくりにおいて大切にされてきたことは、「能動的かつポジティブなスタンス」。技術力や組織力の課題を1つ1つ乗り越えてきた城前さんのキャリアや価値観に迫ります。

周囲とは違う道を行く:エンジニアを目指して進学校から専門学校へ

ー城前さんがエンジニアを目指されたきっかけを教えていただけますか?

昔からゲームが好きだったこともあり、小学生時代には「ゲームプログラマーになりたい」と思っていたんです。しかし、当時は何をしたら良いか分かりませんでした。そんな中、中学生時代に初めてパソコンを買ってもらったんです。DOSコマンドとツールで動画編集を独学で勉強し、高校生時代には文化祭で面白い動画コンテンツを作って流してみました。すると、みんなに喜んでもらえたんです。当時、プログラミングをやっている子は周りにほとんどいませんでした。みんなと違うことをして“ウケたこと”に喜びを感じ、「技術や仕組みをもっと学びたい」と思ったんです。私が通っていた高校は進学校だったので、9割くらいは大学に進学するのですが、プログラミングを学びたかった私は専門学校に行くことに決めました。

ー専門学生時代は、プログラミング漬けの日々だったのでしょうか?

そうですね。プログラミングを勉強すればするほど、のめり込んでいきました。ここで初めて「将来はエンジニアになりたい」と思ったはずです。授業以外にもエンジニアとしてバイトもしていました。掲示板の作成などいろんな仕事をこなすうちに、同年代とも差がついているなと感じましたね。

ー授業やバイトで壁にぶつかるということはなかったのですか?

授業は問題なくついていけていましたが、インターンで大きな挫折を経験しました。サイボウズのインターンで、社員の方々のレベルの高さに打ちのめされたのを覚えています。Linuxの深い知識を持った方々がたくさんおり、プログラミングやコマンドの質が自分とは比較にならないほど高かったんです。当時の私はわからないことだらけだったので、逐一調べながらコードを書いていました。そのため、社員の方々が1分で終わる作業が20分くらいかかっていたんです。大きな技術の差にもやもやしていました。

キャリア初期は技術を徹底的に磨き、苦手なチームマネジメントにも向き合う

ー専門学校を卒業されてからは、エンジニアとして就職されたのでしょうか?

はい、ファーストビットという受託開発のベンチャー企業に就職しました。スカウトメールを受け取ったのがきっかけです。私はそれまでずっと大阪で生活していたのですが、ファーストビットからスカウトメールが届いた時、「東京の会社からスカウトが来た」と嬉かったのを覚えています。就職作品を作って担当者に会いに行ってみると、「ちゃんと作品を作ってきたのは君だけだ」と気に入ってもらえたこともあり、内定を頂けたんです。入社後は、ITベンチャーの雰囲気を感じながら、主にガラケーのキャリア公式の課金コンテンツを開発しました。

ーエンジニアとして働き始め、苦労されたことはありますか?

マネジメントに苦労しました。24歳と早い段階でマネージャーになったのですが、年上の方がチームメンバーとしている状況でした。年上に可愛がられるのは得意だったのですが、マネジメントとなると上手くいかず。まずは技術力を集中的に磨きたいと思い、技術力の高さで有名だったソーシャルゲーム開発会社のKLabに転職しました。

ーKLabさんでの業務内容とその後のキャリアについて教えてください。

ソーシャルゲームを開発しました。優秀な人に囲まれて仕事ができたことで、技術的に大きく成長できたと感じています。その後は、KLabでの経験を活かしてフリーランスとして独立。岐阜の山奥でリモートワークを行っていました。しかし一人で仕事をしていると、一人で開発をする限界を感じ、組織で働く楽しさを求めるようになってきました。ご縁があって、当時のお客さんだったSpeeeの開発部にプレイングマネージャーの役割で入社をしました。

ープレイングマネージャーとして入社されたとのことですが、1社目で苦手意識を感じていたマネジメントは苦労されなかったのでしょうか?

当初は苦労はしましたが、徐々に克服していきました。会社から「マネージャーなら誰とでも仕事ができないといけないよ」と言われ、日々意識して取り組みました。以前の私はプライドが高く、周囲のアドバイスを聞くことが苦手だったんです。しかし、自分の苦手分野を克服するためにアドバイスを受け入れ、全てのメンバーと向き合い続けました。また、Speee自体に組織やカルチャーを大切にする文化があったので、技術力だけでなくマネジメントのスキルも身につけられました。マネジメントの次は経営をやってみたいと思い、美容系D2CのスタートアップにCTOとして入社しました。

メンバーマネジメントの次は経営:CTOとして開発以外の会社全体の課題解決に取り組む

ーなぜ経営をやりたいと思われたのですか?

開発だけでなく、マーケティングや会計の知識もある程度あったので、いろんな分野で頼られたいと思ったからです。実際にCTOになってからは、開発以外の領域も含めて「どこを埋めるために何をやらなければならないか」ということを考えるようになりました。D2C・ECという事業の特性に加え、経営に携わる中で数字に強くなったと思います。

ー経営・数字に強くなったことで意識の変化はありましたか?

社会課題や業界の課題がないと継続的に数字を作っていくことは難しいと感じました。そういった気づきもあり、葬儀のデジタル化を手掛ける「よりそう」に転職しました。葬儀業界はデジタル化がまだまだ進んでおらず、業界課題も非常に多い状況。そんな社会貢献性の高い事業に魅力を感じたことが入社のきっかけです。それまでは、「技術」や「数字」を重要視してキャリアを築いてきましたが、よりそうでは「人」に重きを置きました。新たな経験ができたことは、自分の視野を広げる上で良い機会だったと思います。その後、小売業界向けにOMO事業を展開するFEZを経て、現職のクラダシにCTOとしてジョインしました。

ークラダシさんに入社された経緯を教えてください。

採用サービスを通じて熱いスカウトメールを受け取ったのがきっかけです。スカウトメールの文面から、自分が求められていると感じました。あと、「クラダシ」というかっこよさを狙っていないユニークな社名にも惹かれましたね(笑)。代表の関藤さんと会って話したのですが、私が前職で小売業界に関わっていたこともあり話が合ったんです。クラダシは、フードロスを解決するECプラットフォームを運営しています。そんなクラダシのすごさは、フードロスという社会課題を解決するために仕組みで事業として成り立たせている点。エンジニアとしては、開発すればするほど社会貢献をしていけると魅力を感じました。また、事業領域として小売や物流、ECと、私自身の経験領域とも重なる部分が大きい。そういった理由から、「クラダシが自分の力を一番最大化できる環境だ」と感じ、CTOとして入社することを決めました。

CTOとしてチームが共通理解を持って進める環境を作る

ー城前さんがエンジニアとして大きく成長したと感じたエピソードはありますか?

技術力と組織力の2軸でそれぞれあります。まず技術力に関しては、KLabで大きく成長できたと感じています。研究開発部という部署に所属していたのですが、技術力が高い方が多かったんです。例えば、何か問題が発生した時はMySQLのソースコードの中身まで確認します。そんなエンジニアはほとんどいないのですが、KLabでは当時これを当たり前のようにやっていました。エンジニアとしてどこまで技術を深堀りすれば良いかの基準ができたことは、良い経験でした。もう1つの組織力に関しては、Speeeで大きく成長できました。これも、苦手なマネジメントから逃げずにメンバーと向き合い続けたことと、組織を良くするための体系的なノウハウがSpeeeにあったからだと思っています。KLab時代の部長に「組織力には、能動的かつポジティブなスタンスが大切だ」と言われたのですが、当時はあまりピンときていませんでした。しかし、Speeeで組織について学んでいくうちにその真意が分かってきましたね。

ーエンジニアとして大切にしていることはありますか?

2つあります。1つ目は、「技術が好きかどうか」です。エンジニアは、続けられるかどうかの世界です。私は、おじいちゃんになってもコードを書き続けたいと思っているくらいです。2つ目は、「実用的なコードを書くこと」。最初は少し背伸びをしながらコードを書いてしまいがちなのですが、実際に求められるのは実用性です。私自身もエンジニアとしての経験を積みながら、徐々にそういった考えにシフトしていきました。

ーCTOに必要な3つの要素は何だと思いますか?

1つ目は、「経営視点での理解力」です。新しい技術の知識だけでは、数字に繋がりません。効率よく技術を活かすために、市況やトレンドを把握し、数字を先読みする力が必要だと考えています。2つ目は、「無駄をなくすための明文化スキル・過不足なく伝える力」です。意思決定を促す力とも言い換えられます。リモートワークをすることが多くなったことで、このスキルはより重要度が高くなっていると感じています。私は、テキストで伝わらなければ会話で伝えるようにしていますが、これが逆だと難しいです。コミュニケーションが空中戦にならないように、意思の統一化を図ることが大切だと思います。3つ目は、「技術的な開発を進めるスキル」です。例えば、プロジェクトの推進力やエコな技術アーキテクチャの実現などがあります。ローコストハイリターンな意思決定ができるよう心がけています。

フードロス問題を解決する「社会のインフラ」を作る

ー貴社の事業内容について教えてください。

「日本で最もフードロスを削減する会社」をビジョンに掲げ、ECサービスであるソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の開発・運営をしています。賞味期限が切迫した食品や季節商品、パッケージの汚れやキズ・自然災害による被害などが要因で、消費可能でありながら通常の流通ルートでの販売が困難な商品を協賛価格で買い取り、お得な価格で販売。また、その売上の一部を社会貢献活動団体に寄付しています。サービスのマイページ上では、購入量に応じてどれだけフードロスに貢献したかが分かるようになっています。私のソーシャルメディアの経験を活かして、今後はゲーミフィケーション要素を取り入れていきたいと思っています。楽しみながらフードロスを削減できるサービスにしたいですね。

ー今後、貴社で実現したいことはなんですか?

3つあります。1つ目は、物流や倉庫、配送の問題を解決すること。例えば、カーボンニュートラルなどです。幅広い領域に関わっている弊社の特徴を活かして、ワークフローを改善し、まるっと課題を解決していきたいです。2つ目は、OMOの推進。ポップアップストアを出すなど、お客さんとのタッチポイントを増やし、利便性を良くしていきたいです。ただ、オフラインはデータ化されていない分、問題の可視化が難しいという一面もあります。こういった側面も含めて、お客さんの行動やビジネスの最適化を実現していきたいです。3つ目は、データ活用による需要と供給の課題解決。データを活用して、無駄のない生産を支援していきたいです。

ー城前さん個人の夢はありますか?

今は会社とリンクしており、フードロス問題を解決したいと思っています。私は新卒の時、「将来はインフラを作りたい」と言っていました。その時はまだ漠然と、「誰もが使っていて社会が良くなるもの」くらいにしかイメージできていませんでした。しかし、クラダシではそれが実現できます。フードロス問題を解決するプラットフォームを作り、さまざまな形で展開していきたいですね。

組織のために能動的かつポジティブに取り組めるエンジニアを募集

ー貴社では、どのようなエンジニアさんを求めていますか?

能動的かつポジティブなスタンスで取り組めるエンジニアと一緒に働きたいです。こういった素養をお持ちの方とは、チームとして建設的に事業を作っていけると考えています。また、開発部のテーマである「シンプルかつ無駄のない思考で経済活動を最大化していく」への共感も見ています。シンプルであればあるほど、スケールさせやすいですよね。エンジニア以外の方にもシンプルだと思ってもらえるような思考で、ビジネスとサービスの両軸をみながら共に最大化していける仲間をお待ちしています。

取材を終えて

インタビューを通して、点と点が繋がり線になっている印象を強く受けました。ゲームをやっていた経験が、今のゲーミフィケーションに活かされたり、社会課題への注目からクラダシさんにジョインしたりと、過去の経験が今に活きているようにお見受けしました。
また、城前さんの魅力は向上心の強さ。常に自身と組織の課題に真っ向から向き合い解決されてこられたことで、エンジニア→メンバーマネジメント→経営と確実にステップアップしてこられています。フードロスのような根深い社会問題は、解決はおろか、事業として成立させることも困難なはずです。しかし、これまで確実に目の前の課題を解決してきた城前さんであれば、最高の組織とともにフードロス問題を解決に導く「社会のインフラ」を創り出してくれるのではと、期待が膨らみます。

クラダシの募集ページ

プロフィール:城前 圭毅さん

新卒でガラケー向けコンテンツ開発を手がけるベンチャー企業に入社。
その後、KLab株式会社、株式会社Speeeなどベンチャー企業で要職を歴任。
女性向けD2C/EC/美容サービス会社でCTO、株式会社よりそうでシステム部部長、
FEZではOMO広告周りの開発マネージャーを経て、2022年7月よりクラダシにジョイン。

今すぐシェアしよう!
今すぐシェアしよう!