今回は、株式会社Psychic VR Lab(以下、Psychic VR Lab)でCTOを務める藤井 明宏さんのインタビュー記事をお届けします。ものづくりが大好きなソフトウェアエンジニアがVRと出会い、未来にときめくXR企業でCTOを務めるに至ったストーリーや、ものづくりに対する想い、エンジニア論などを語っていただきました。
インタビュー概要
お話を伺った企業さま
会社名 :株式会社Psychic VR Lab
設立 :2016年5月(2014年12月から活動開始)
資本金 :394,255,000円
代表 :山口 征浩
所在地 :東京都新宿区
ミッション:人類の超能力を解放する。FREE INNER CREATIVITY.
事業内容 :ファッション/アート/カルチャー/音楽などライフスタイルに特化したXR(VR/AR/MR)制作ツールの提供及び配信プラットフォームSTYLY事業
URL :https://psychic-vr-lab.com/
お話を伺ったご担当者さま
部署 / 役職 :CTO
氏名 :藤井 明宏
高校からPC98互換機でのプログラミングにはまり、情報系大学へ進学。組み込み系ソフトウェア会社に入社。VR好きが高じてXR業界へ転職。2017年よりPsychic VR Labへ参画。STYLYの開発に当初から関わる。VR/ARが当たり前になる時代に向けて、多くの人々がXRコンテンツを作り、体験できるよう、日々STYLYの開発と向き合う。
はじまりは1台のPC。藤井さんのこれまでの歩み
藤井さんがプログラミングを始めたきっかけを教えて下さい。
中学生の頃、親がPCを買ってきたのがプログラミングを始めるきっかけでした。初めの頃はゲームを楽しむだけだったのですが、次第に「自分でもプログラミングで何かつくってみたい」と思うようになり、当時刊行されていた「マイコンBASICマガジン」という雑誌に載っているプログラミングを書き写して、実際に動かしてみたりしていました。
学生時代はどのようにしてプログラミングに触れていたのですか?
高校生の頃にはちょっとしたインタラクションができるようなゲーム制作などもできるようになり、「ものづくり」に対して非常に楽しさを感じていましたね。また当時から、開発者としての道を進んでいきたいと考えていたので、大学は情報工学部を選び、授業以外の時間も書籍を読んだり、また実際に動かしてみたりして、自身でも学びながら力をつけていきました。
Psychic VR Labへ入社する前は、何をされていたのですか。
以前は大手システム会社でシステムエンジニアとして働いていました。フィーチャーフォンが普及していた当時、国内企業のフィーチャーフォンソフトウェアを開発していた会社で、C++やC言語、アセンブラなどを用いた組み込み系のソフトウェア開発を長くやっていました。
Psychic VR Labへ入社したきっかけを教えて下さい。
VR自体は、2014年に流行り始めた頃に出会いました。
もともと趣味でものづくりをすることが多かったことから、様々な技術に触れていたんですよね。そんな中、スマートフォンをダンボールに挿す「ハコスコ」という簡易的なVRを体験してみたところ、その没入感や「その場にいるかのような感覚」に衝撃を受けました。その後は開発者向けキットである「DK2(Oculus Rift Development Kit 2)」で色々作ってみたり、VRのコミュニティに足を運び、自分で作ったデモを見てもらったりということをしていました。
そこでCEOである山口と出会い、何度か話をしていくうちに会社に誘われたのが入社のきっかけです。私自身もVRのOS、プラットフォームは作りたいと思っていた中で、山口からアーキテクチャと構想の説明を受け、すでに実現性のある形でプロトタイピングされていたSTYLYに「VR Platformとしての可能性」を感じてジョインすることにしました。
それまでは規模の大きい企業でシステムエンジニアをしていましたので、創業期のスタートアップへの転職は大きなキャリアチェンジでした。
大手からスタートアップへ転職してみて、いかがでしたか?
転職後は、とても動きやすさを感じましたね。
入社当時はCEOである山口の知人のオフィスの片隅を借りて開発をしていたので、もちろん設備面では大手に劣ってしまいますが、一方で、大手のような規則がなく、なんでも自分で考えて決めていけるのがスタートアップの良さだとも思います。加えてPsychic VR Labは自由でオープンな雰囲気なので、自分のスタイルに合っていてとても動きやすいと感じています。
ミッション・バリューに対する藤井さんの考えを教えて下さい。
Psychic VR Labのミッションは「人類の超能力を解放する」ことです。パッと聞いただけでは中々理解しにくいミッションですが、例えば「電話」の出現により人間が「遠くの人と会話する」という能力を得たように、私はこれまでも、人類の能力はテクノロジーによって拡張されてきていると考えています。Psychic VR LabはXRというテクノロジーを用いることにより、人類の超能力を開放し、人生を豊かにしていきたいと考えています。
また、私たちはバリューとして「『空間を身にまとう時代』をつくる」を掲げています。例えば、「ウォークマン」によって音楽を身にまとい、誰もが好きな場所で楽しむことができるようになったり、「iPhone」によってインターネットを身にまとい、様々なアプリケーションを通して世界中の情報をやりとりできるようになったように、Psychic VR LabはXRというテクノロジーを用いることにより、誰もが自由に自分の好きな空間を身にまとえる時代を作りたいと考えています。
実際にはそのような世界はPsychic VR Labがやらなくても、当たり前にいずれ誰かが作るだろうと思っています。それでも、弊社がそれを作り上げていく一員になれるのであれば、とても嬉しく思います。
藤井さんのエンジニア論
エンジニアにとって大切なことは何かありますか?
私は自分が興味を持ったものに対して「とにかく手を動かして」「自分で確かめる」ことが大切だと思っています。技術記事や映像で「できる」と解説されていても、「『できる』のレベル」は自分で触ってみないとわからないと思っています。部分的でもいいので、「とにかく手を動かして」そして「自分で確かめる」ことにより、自分のノウハウとして溜め込むことができ、また何か新しいことをしようとした際に、参考にすることができると考えています。
藤井さんがエンジニアとして大きく成長できた理由は何ですか?
学生の頃から一貫して、「ものづくり」がとても好きだったからかもしれません。好きなことはやっていてストレスにならないので、続けることができますし、続けていると、学ぶことが増えますので、できることも増えていきます。そういった点で、「ものづくり」は自分の性格にとても合っていて、結果として大きく成長できたと感じています。
エンジニアとして、スピード感のある人材になるために必要なことは何ですか?
開発スピードの速さに関しては、「過去に頭の中に溜めてきたノウハウをつなぎ合わせて形にする」事が速さに繋がると思います。また、ノウハウは頭の中だけではなく、社内のSlackチャンネルにもひたすらアウトプットし続けています。質問を受けた際などにもその投稿を共有するだけで回答になるので、そういった細かな点も開発スピードアップにつながると思います。基本的に社内メンバーからのメッセージに対する返信も早く返すようにしており、Slackは常に開いている状態です。
人材不足が叫ばれているエンジニア業界を盛り上げていくために必要なことは何ですか?
オープンソースや他社のXRエンジニアの方が書いた記事を積極的に活用させていただくこと、だと思います。知見を得るだけではなく、実際にそれを動かしてみるところまでさせていただくと、新たな発見や気づきを得ることもあります。また、そういう点では自分が調べて理解したことはどんどん記事にして発信していくべきだと考えています。
そうして業界全体を盛り上げることに対しても、貢献ができれば私自身とても嬉しく思います。
Psychic VR Labで働きたい方へ
どのような方がPsychic VR Labにマッチしていますか?
XRの未来を作っていくスタートアップですので、そういった環境を楽しめる方。また、ものづくりそのものを楽しめる方にはとてもマッチしていると思います。ミッションに共感できる方からの応募があるととても嬉しいです。
取材を終えて
藤井さんの「ものづくり愛」がとても印象強く残りました。まさに「好きこそものの上手なれ」を体現されており、何事も「好き」に勝る成長要因は無いと感じました。最先端技術であるXRを用い、人類の超能力を解放するために事業を進めるPsychic VR Lab。「ものづくり大好き人間」な方はぜひ選考に進んでみてはいかがでしょうか。