今回は、マネーフォワードi株式会社でCTOを務めるチャン・バー・ヴィン・ソンさんのインタビュー記事をお届けします。ベトナムのトップ大学を卒業後、渡日して株式会社マネーフォワードに入社。その2年後にはグループ会社であるマネーフォワードiのCTOに就任し、現在は情シス向け業務OS『マネーフォワード Admina』の開発に携われています。激しい環境の変化に対応をしながら成長を続けるソンさんのキャリアやエンジニアリングに対する価値観を語っていただきました。

インタビュー概要

お話を伺った企業さま

会社名 :マネーフォワードi株式会社

設立  :2021年2月

代表者 :今井 義人

所在地 :東京都港区

事業内容:情シス向け業務OS「マネーフォワード Admina」の開発・提供

URL  :https://admina.moneyforward.com/jp

お話を伺ったご担当者さま

部署 / 役職      :CTO

氏名                :チャン・バー・ヴィン・ソン さん

ベトナム・ハノイ出身。 ハノイ工科大学にて、アプリケーションシステムを学ぶ。 在学時に日本のスタートアップでの就職を志し、大学のジョブイベントで「マネーフォワード」と出会い、ベトナム拠点でインターン生として勤務。卒業後に渡日し、2018年11月にマネーフォワードに新卒入社。入社後は新規事業のシステム開発に従事し、2年目からはSaaS管理プラットフォーム事業を手がける、グループ会社の「マネーフォワードi」立ち上げメンバーに。2022年、同社のCTOに就任。

キャリアについて

最初はプログラミングが嫌いだった

小学生の頃、父親が私にパソコンを買ってくれて、主にゲームをプレイするために使用していました。これがきっかけで、パソコンを触ることが好きになり、エンジニアを目指すきっかけとなりました。中学では数学が得意だったこともありハノイの数学コンテストで2位に入賞したんです。自信を得た私は、以前からパソコンを触ることも好きだったので、ハノイの名門高校の入学試験を受けてITプログラムに参加することにしました。この学校で初めてプログラミングに出会うことになるのですが、最初は苦い思い出しかありません。入学3か月後に、ベトナムITオリンピックの候補生を育成するクラスの試験を受けました。しかし、結果は散々。試験問題を理解するのに苦労し、約1時間何もできずに白紙の解答用紙を提出しました。この経験から当初はプログラミングがすごく嫌いでしたね(笑)。それでもパソコンとインターネットは大好きだったので、高校卒業後はコンピューターサイエンス領域でベトナムのトップ大学であるハノイ工科大学に進学します。入学後は、日本政府とベトナム政府が提携し、IT・日本語・英語を学ぶことができる「HEDSPIプロジェクト」を選択しました。プログラミングと日本語は本当に難しく時々後悔することもありましたが、今ではとても良い機会だったと感じています。

マネーフォワードに入社するため渡日

私は大学時代、スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクなどのテック企業創業者の本をよく読んでいました。その影響もあり、自分もいつか世界中の人々に愛されるテックサービスを創りたいと夢見るようになりました。そんな中、日系企業がベトナムの学生を採用する「Jobfair」というイベントに参加し、マネーフォワードに出会います。応募時点でのマネーフォワードはまだ上場前で従業員も約160名、多くのプロダクトを立ち上げている初期のスタートアップでした。私は起業にも興味があったので、1からサービスを作る経験ができ、多くの人々に愛されるサービス作りのノウハウを学べる、マネーフォワードの環境に惹かれ、入社することを決意しました。また、優秀なエンジニアに囲まれて自身のスキルを磨ける点も魅力的でしたね。

新卒4年目でCTOに抜擢

新卒1年目は、マネーフォワードフィナンシャル株式会社という、当時、仮想通貨取引所の開発を手掛けていたグループ会社に所属しました。しかし、開発していたサービスは、厳しい市場状況を鑑みてリリース中止となったため、翌年からマネーフォワード社に戻ることに。大学を卒業して新しい国に来たにも関わらず、最初に携わったサービスが中止になる事態は残念でしたし、全く予想していませんでしたね。マネーフォワード社に戻ってからは、B2B SaaS向けの内部マイクロサービスを開発し、新卒2年目のタイミングで、子会社のマネーフォワードiにて『マネーフォワード Admina』を開発することが決定し、私は技術選定と開発を担当するメンバーとして招集されました。当時は創業メンバーが4名という状況。新卒2年目で子会社の設立に関わることは、私にとって非常に大きな挑戦でした。事業は順調にグロースし、現在では従業員も数十名規模に増加しました。立ち上げから1年半が経った頃、私はCTOに任命されます。創業当初はCEOを含むチーフレベルの役職者はいなかったのですが、会社規模の拡大に伴って主要ポジションを決定しました。現在私はCTOとして、主に技術戦略作成とエンジニア組織開発を担当しています。具体的には、生成AIなどの新しい技術の採用やプロトタイプの開発、セキュリティやアーキテクチャのモニタリング、メンバーのキャリアアドバイスや目標設定などです。

0→1フェーズでトライアンドエラーを繰り返して成長

私がキャリアの中で最も成長できたと実感した経験は、マネーフォワードiの立ち上げです。エンジニアとしてフロントエンド、バックエンド、インフラと網羅的に担当し、全体のアーキテクチャを決定していくことはとても大変でした。加えて、『マネーフォワード Admina』は0→1の開発段階なので、まだ多くの課題が残っています。例えば、数百のSaaSサービスと連携し、データベースに数億のレコードを格納する集計プラットフォームを構築することや日本と国際基準の両方に対応するフロントエンドを設計することなどです。日本のUIは、海外に比べてテキスト情報が多いという特徴があるので。また、エンジニア組織の拡大も良い経験になりました。『マネーフォワード Admina』はゆくゆくはグローバル展開できるサービスを目指して開発しているため、開発人材も英語を話せる人を採用したいと考えていました。しかし、日本語と英語を話し、かつ高い技術力を持つエンジニアを見つけるのはかなり難しいです。そこで、日本語の要件を外し、全世界を対象に採用活動をすることにしました。ありがたいことに多くの応募を獲得できたのですが、当時はグローバル採用向けの適切な採用プロセスが社内になかったんです。チームの効果的なスケーリングを実現するために、試行錯誤を繰り返し、最終的には独自の採用プロセスを確立することができました。会社の創業メンバーとしてのこれらの経験が、私をエンジニアとしてだけでなく、個人としても成長させてくれたと感じています。

みんなで成長を楽しみながらAdminaを成功させたい

マネーフォワードiのCTOとしてこれから達成したい目標は2つあります。1つ目は、『マネーフォワード Admina』を市場で成長させることです。当社は、企業のためのオペレーティングシステムである『マネーフォワード Admina』の最終バージョンを構築し、企業の全てのITリソースを管理・最適化するプラットフォームを目指します。2つ目は、マネーフォワードiを「成長を楽しむ場所」にすることです。現在、当社で働くために世界中からメンバーが集まっています。家族から離れて暮らしている人も多くいます。そのような覚悟を持って参画してくれた彼らの夢や目標を達成できる場所にしたいです。日々、課題に向き合うタフな環境ですが、楽しみながらスキルとマインドセット両方の成長を実現できる環境を作りたいと思っています。

ユーザーに「もっと良くしたい」と思ってもらえるプロダクトを創る

個人的な目標は、多くの人々にとって有用で価値のあるプロダクトを創ることです。例えば、アーティストやシェフにとっての成功は、彼らのアートや料理ができるだけ多くの人々に認識され、楽しまれることですよね。エンジニアである私にとっての成功は、私が創るものが多くの人々に有用で価値をもたらすことです。数カ月前、OpenAI社のCEOであるサムが来日した時、彼は大学生たちとの意見交換会に参加しました。その会には、学生や教員たち約800名が参加し、熱心に質問や意見交換をしたそうです。彼らが「ChatGPT」という有用で価値のある革命的なプロダクトを作成した事実は、世界中どこに行ってもプロダクトの改善を望むユーザーが常にいることを意味します。通常、スタートアップは、製品を改善するためのフィードバックを収集するために、顧客にお金を支払うこともあります。しかし先述のOpenAI社のケースでは、顧客発信でのフィードバックです。このように、ユーザーがそのプロダクトを非常に愛用し、もっと改善したいと心から思ってもらえるようなプロダクトを創りたいと思っています。

考え方・マインドについて

Openness to Learning New Things / 新しいことを学ぶ意欲

世界は日々刻々と変化しています。3年前にはコロナウィルスの影響で、リモートワークや非同期コミュニケーション、ドキュメントファーストへの移行を余儀なくされました。そして昨年にはChatGPTが登場し、まさに世界を大きく変えようとしています。そのような変化が激しい時代において重要なことは、「Openness to Learning New Things(新しいことを学ぶ意欲)」だと考えています。エンジニアにとって、基礎的な知識はもちろん重要です。しかし、新しいテクノロジーやベストプラクティスは毎日のようにアップデートされています。現在の得意なスキルに縛られることなく日々新しいことを学び、スキルの幅や深さを広げることで、チームや会社に大きな価値を与えられるはずです。

Getting Things Done / 仕事を成し遂げること

多くの人々が面白くてクールなアイディアを持っているのにも関わらず、世の中で成功者と呼ばれる人はごくわずかです。この要因は、「実行力」にあると考えています。例えば、100人の人々が同じアイデアを持っているとしましょう。しかし、実際にそのアイディアの実現に取り組むのはほんの数人です。そして、その中から成功するのは1人くらいの確率になるでしょう。成功したいのであれば、アイディアを実行に移し、やり遂げる「Getting Things Done(仕事を成し遂げること)」の姿勢が最低でも必要になります。そのため私はソフトウェアエンジニアとして、アイディアを思いつき、実行し、成果を出す人々を高く評価します。そのアイディアが最終的に失敗するにせよ、少なくともそれを最後までやり遂げるべきです。新しいことを始める際は、多くの課題や障害が出てくるのは当たり前のことです。だからといって、途中で中断すべきではありません。強力な実行力を持つ人々は、参加するプロジェクトに深くコミットし成果を上げます。私はこれがエンジニアだけでなく、リーダーシップにおいても重要なスキルであると考えています。

マネーフォワードiで働きたい方へ

マネーフォワードiについて

当社は、『マネーフォワード Admina』という、SaaSとITデバイスを管理できるプラットフォームを開発しています。実際に多くの企業では、GithubやSlack等のSaaSを使用しているが、コストを把握できていないという課題が存在します。もう使われていないアカウントやサービスは、本来であれば削除・解約しないといけないですよね。そういったタスクをサポートすることが、『マネーフォワード Admina』の役割です。

スモールかつダイバーシティなエンジニア組織

当社のエンジニア組織は、スモールでダイバーシティ(多様性)に溢れているという特徴があります。現在は、日本を含む7国籍の出身者が所属しているグローバルな環境です。強い覚悟を持って遠い国から集まっているので、皆モチベーションが高く、それぞれの個性豊かなバックグラウンドをベースに様々なアイディアを出し合い、働いています。また、まだ小さなスタートアップなので、オーナーシップを持ってアイディアの提案から実行までを担うことが可能です。これは当社だけでなく、マネーフォワードグループ全体の特徴ともいえるかもしれません。

グローバルチームでグローバルプロダクトを共に創りませんか?

当社は、プロダクト・エンジニアドリブンの会社です。技術を駆使して生産性を向上させたり、たくさんのアイディアを提案・実行できるチャンスがあります。そのため、純粋に「ものづくりが好きな人」にとっては、非常に面白い環境だと思います。「プログラミングは仕事ではなく趣味」「新しいことを積極的に学んでいきたい」、こういった想いをお持ちの方は、ぜひ当社のグローバルな環境でグローバルなプロダクトを共に創っていきませんか?ご応募お待ちしています。

マネーフォワードiの募集ページ

取材を終えて

新卒2年目と早いタイミングで子会社の設立に関わり、その後CTOという重要なポストを任され、ここまでプロダクト、会社を成長させてこられたソンさん。しかもそれは祖国であるベトナムではなく、異国の地日本で成し遂げたことです。インタビュー時の受け答えは平然としていましたが、並大抵でない努力をしてこられたに違いないと感じました。巷では以前から「日本からなぜGAFAMに匹敵するIT企業が出てこないのか?」と議論がされています。しかし、普通の日本人にはないバックグラウンドを持つソンさんであれば、既成概念にとらわれない新しいやり方で世界各地の人々を巻き込み、グローバル市場を取れるプロダクトを創ってくれるのではと期待させてくれます。国際色豊かな環境や世界を目指す目標の高さに魅力を感じられた方は、ぜひ応募してみてはいかがでしょうか。

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