レジル株式会社(以下、レジル)でCSO兼 情報システム本部ジェネラルマネージャーを務める田口 雄一さんのインタビュー記事をお届けします。創業当初から現在に至るまでの会社変遷や、電力業界において“変化する”ことの難しさ、ご自身のミッションについて語っていただきました。

インタビュー概要

お話を伺った企業さま

会社名  :レジル株式会社

設立   :1994年11月

資本金  :3.5億円(2024年5月27日時点)

上場市場 :東京証券取引所 グロース市場

代表者  :丹治 保積

所在地  :東京都千代田区

ミッション:脱炭素を、難問にしない

事業内容 :分散型エネルギー事業 / グリーンエネルギー事業 / エネルギーDX事業

URL   :https://rezil.co.jp/

お話を伺ったご担当者さま

部署 / 役職:CSO 兼 情報システム本部ジェネラルマネージャー

氏名   :田口 雄一

武蔵野美術大学卒業後、さまざまな職種を経てITに転向。2019年よりパーソルキャリア株式会社にて主にAI開発や事業向け技術案件に携わり、2022年より株式会社BuySell Technologiesのテクノロジー戦略本部 ディレクション部 部長としてプロダクトマネジメント組織の立ち上げや基幹システムのプロダクトマネジメントなどに従事。2023年9月にレジル株式会社に情報システム本部ジェネラルマネージャーとして入社。現在はCSO(Chief Strategy Officer:最高戦略責任者)を兼務し、新規開発企画の立ち上げや全社的なテクノロジー戦略立案、テクノロジー人材の採用など多岐に渡る活動をもとに事業と技術をつなぐ役割を担う。

レジルについて

現在のレジルにいたるまでの変遷

レジルは、1994年11月に“メリックス”という社名で中村 誠司によって創業されました。“メリークリスマス”が由来になっており、「いい物を届けよう」という思いで名付けられました。創業直後は、中村の地元である東大阪で、工場の方々と会話をしながら電気料金削減事業をやっていました。

2000年から特別高圧領域の電力の小売自由化が始まり、2004年4月には一部の高圧領域の電力小売が自由化されました。それをきっかけに、半年後にレジルの主力事業である“マンション一括受電サービス”を始めました。各家庭が低圧電力を個別契約しているマンションでは、“電気室もしくは電柱に設置されている変圧器を経由して低圧電力に変電され、各家庭に配られる”という仕組みになっています。一方マンション一括受電サービスでは、レジルは大口需要家として電力会社から割安で高圧電力を購入し、無償でマンションに設置する受変電設備で低圧電力に変電して各家庭に供給しています。このスキームによって、レジルが利益を得られるだけでなく、マンションの共用部分や各家庭の電気料金を安くすることができます。おかげさまで、契約いただくマンションの数はどんどん拡大しており、現在およそ2,200棟17万8,000世帯程になっています。これは、東京都目黒区より大きな規模です。

マンション一括受電サービスに「防災」の価値を付加した“マンション防災サービス”

マンション一括受電サービスのスキーム

ただ、2016年に低圧電力が自由化されたことをきっかけに、様々な企業が新電力として参入してきたため、それまでのマンション一括受電サービスの新規契約の勢いが減退してしまいました。

そこで2016年からは企業や工場向けの電力小売事業に参入し、豊富な送電先を確保しました。さらに2021年には、レジルが蓄積してきたエネルギー領域における業務効率化プロセスや自社開発システムを他のエネルギー企業に提供するエネルギーDX事業を開始しました。このようにレジルは自分たちが持つ強みを新しいビジネスへ生かしていくことで、世の中のお役に立てるよう着実に事業領域を広げてきています。

レジルは強みをビジネスに転換して事業領域を拡大

2021年に丹治が社長に就任し“会社をモダン化する”という目標を掲げ、これまで様々な施策を打ってきました。会社をモダン化するというのは“電力とITの融合”であると私は解釈しています。丹治がこれまでの職歴から得た“モダンな経営のためのノウハウ”や“コンサルのフレームワーク”といったものは、レジルのように長い歴史がある会社に、大きなインパクトを与えました。さらに丹治は“第二創業期”として会社のカルチャーや事業などをモダン化し、さらには電力とITの融合によりレジルをテック企業として生まれ変わらせようとしています。

社名の“レジル”はレジリエンス(=困難をしなやかに乗り越え回復する)とレジスタンス(=抗う力)を合わせた造語であり、これはレジルのパーパス(=企業の存在意義)である“結束点として、社会課題に抗い続ける”を表現しています。どんな社会課題も、同じ思いを持つ人が集まって“抗う”ことで、“しなやかにのりこえ、回復する”ことができるはずだと考えています。このような意味合いも含めて代表の丹治が“レジル”と命名しました。レジル(REZIL)の“Z”は、アルファベットの最後の文字です。つまり、“これ以上ないもの”という意味を込め、あえて“Z”にしています。

社会課題に抗い続ける会社“レジル”

前述の通り、レジルは“結束点として、社会課題に抗い続ける”をパーパスに、地球温暖化という世界規模の課題と向き合っています。事業領域を“分散型エネルギー事業” “グリーンエネルギー事業” “エネルギーDX事業”へと拡大し、分散型エネルギーのプラットフォーム開発や再生エネルギーの調達・供給、電力会社様向けの支援などに取り組んでいます。これまで培ってきた資産やケイパビリティを脱炭素領域で展開することにより、直接的・間接的に地球温暖化という社会課題に抗っています。

創業者の中村が大切にしていた“八方良し”という思いがパーパスの源泉とも言えるでしょう。「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと。社会に貢献できてこそよい商売といえる。」という“三方良し”を一段と広げた「商売に関わる全ての方々に貢献する。」という考え方で、そこから転じて“結束点として、社会課題に抗い続ける”というパーパスが生まれました。創業から30年の時を経て“レジルはどのように社会に還元していくか”ということへの解像度が高まっているのだなと感じました。

レジルの「八方良し」の精神について

マンション一括受電サービスがもたらした成功と課題

マンション一括受電サービスが当たったことは、レジルにとって大きな成功でした。このサービスがあってこそ、30年もの長い間会社を存続させることができたと認識しています。愚直に営業成果を積んだ結果として2,200棟 17万8,000世帯程の契約に至っているのですが、裏を返せばこれがレジルに大きな課題をもたらしたとも言えます。これまでは経営基盤強化やビジネス規模拡大のために、契約数の増加というシンプルな目標に向かっていくだけで良いという部分が少なからずあったと思うのですが、社員のキャリアなど個人にフォーカスした要素はまだ改善の余地があると受け取っています。丹治が社長に就任してから段々と文化も変わりつつありますが、メンバーが“自分自身のキャリア”について深く考えていけるような土壌を作るということは、会社として取り組んでいかなければならないと考えています。

上場の背景

レジルは世間的にまだあまり知られてない会社です。仮に今後M&Aによる規模拡大や、それに伴い優秀な人に参画いただく場合にしても、ストック型のビジネスのためフローは生み出せていますが、それでも経営資源が十分にあるわけではないと考えています。認知と信用、経営の資源を得るために上場することは会社にとって必要不可欠だったように思います。2024年4月に上場できたことは、より世の中のお役に立てる機会をいただくことができたと受け止めています。

歴史ある業界を変える難しさ

実はこの度、パーソルキャリアが運営するキャリアオーナーシップ経営AWARD 2024にて、中堅・中小企業の部内、企業文化の変革部門 で最優秀賞を受賞いたしました。そして、同アワードで大企業の部 内、企業文化の変革部門にて、九州電力さんが一緒に受賞していたことに趣を感じました。旧一般電力事業者として非常に歴史があり、既に完成されたビジネスプロセスやスキームの中で経営をされてきたと思うのですが、そのような歴史ある企業様も自ら変わろうと潮流がある、ということは非常に興味深いです。会社を壊してまた創りあげるくらいの、大胆とも思われるアクションが求められているということを象徴しているように見えました。電力業界というのはプレイヤーが多く国が定めたルールや仕組みが複雑で、会社に変化をもたらすのは難しい部分もあるかも知れませんが、レジルはこれからも変革を求めて挑戦し続けなければいけないなと感じる出来事でした。

田口さんについて

レジル入社の決め手は”正解のない仕事へのチャレンジができる環境”

前々職であるパーソルキャリアに在籍していた際、プロジェクトマネージャーとして様々な仕事を任せていただき、良い経験ができました。様々な立場、様々なスキルを持っている方が集まり、1つのプロジェクトを通して大きなものを作ることがすごく面白く、勉強になりました。ただあまりにも居心地が良かったため、自己研鑽のため転職しました。

前職であるBuySell Technologiesでは、最終面接でそれまで感じた組織の問題点とその打ち手を提案するプレゼンをしました。実際にそれをやろうということになり、新規部署をわざわざ作っていただきジョインしました。初めは基幹システムのプロダクトマネジメントをしながら、開発案件の費用対効果や工数、チーム内の体制作りなどをしつつ、新規部署ではミッション構築から採用やメンバー育成、テック組織の情報流通を図るべくプロダクトの裏側の交通整理のようなことをしていました。

その後、自分の役目がひと段落したと感じたため、新しいチャレンジをしようと考えていたときに、レジルの情報システム本部長である伊与田(※)とのカジュアル面談で「電力業界でレジルはテック組織を作っていく」と伺い、その時点で面白そうだと興味が湧きました。やるべきことが明確に決まっているよりも、前例がなく正解のない仕事へのチャレンジができる環境だと思い、自分の成長に繋がりそうと強く感じたため入社を決めました。

CTO列伝 – あえて未知の世界に飛び込む【レジル株式会社 執行役員/情報システム本部長 伊与田 陸さん】

事業規模を拡大し、電力のプラットフォームを作る

前述の通り、会社として成し遂げたいことは“電力のプラットフォームを作ること”です。今進めているマンション事業やバーチャルパワープラント(※)の仕組みを利用して、電力が循環するような状態を作り、スケールを拡大していけたらと思いますし、実現に向けて他社様と協業するなどして、レジルの輪を魅力的に磨き、サービスを提供させていただける方を増やしていきたいです。

※バーチャルパワープラント(Virtual Power Plant):仮想発電所。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーや蓄電池、電気自動車など、私たちの身の回りに点在する小規模なエネルギーリソースを、IT技術を用いて制御し、一つの大きな発電所のように機能させる技術。

一番のミッションは去年の自分より大きく成長すること

私がIT業界に来たのは40過ぎた頃になります。39歳でITの職業訓練を受けて40歳でSESとして仕事を始めたのがスタートでしたが、それまで培った経営企画や営業など様々な業務経験と組み合わせつつ、ITの仕事の中で何をすれば成長できるのか、社会の役に立つのか、収入が上がるのかをずっと考えながら仕事をしてきました。根本にあるのはおそらく“どのように自分が成長していくか”です。今年47歳になるのですが、この歳でもまだまだ成長するし50歳を過ぎても成長し続けると思っているので、去年の自分より大きく成長することが一番のミッションと考えています。その中で、自分の家族や子供が「やりたい」といったことを実現させられるような環境を作り続けたいです。そんなに大それたことは考えていなくて、目の前のことを1年1年大事にこなしていけるといいなと思います。

エンジニア採用について

求める人物像

ポジションでいうとリードエンジニア、プロダクトマネージャー、ジュニアプロダクトマネージャーです。最近はUI/UXの担当者の募集にむけて準備中です。

人柄に関しては、主体的に考えて模索しながらチャレンジして下さる方と一緒に仕事がしたいです。最初から全て綺麗に実行する必要はなく、仮説をもとにプランを考えアクションして振り返ることができれば理想的です。面談で何かディスカッションできたらいいなと思っていますので、面談の際は恐れずに、レジルに対する問題意識や疑問などを率直に聞いてきて下さると私たちも嬉しいです。

レジルの募集ページ

取材を終えて

田口さんの「50歳を過ぎても成長し続ける」というお話に感銘をうけました。これからも自分のピークを決めずに、この先も様々な挑戦をしてどんどん高みを目指していただきたいですし、年齢を理由に何かを諦めそうになっている方にこのインタビュー記事を届けたいです。

レジルは電力やエネルギーという歴史ある業界で、世界が注目する気候変動問題の解決に貢献する事業に取り組み、新しい世界観を作ろうと挑戦している企業です。多様性のある組織で0から1を作りたい方や、エネルギーという大規模な課題をITで解決したいと考えている方はレジルに応募してみてはいかがでしょうか。

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