ひと昔前のWebエンジニアは…?

最近は聞くことが少なくなってきましたが、一昔前はIT人材35歳定年説をよく耳にしました。

しかし、あまりに有名になった噂です。

IT業界以外から転職を考えているものの「さすがに35歳定年説は嘘だとしても、一生ものになる仕事なの?」と疑問に思って、躊躇している方は多いのではないでしょうか?

そこで今回はIT人材でももっともポピュラーな職種の一つWebエンジニアのキャリアの実態についてご紹介したいと思います。

そもそもWebエンジニアの仕事って?

その前に、「そもそもWebエンジニアってどういう業務をしていて、どのようなスキルセットを持っているのか」から、ご紹介いたします。

Webエンジニアとはその名前の通り、Webサイト構築に関連するITエンジニアのことです。

Webエンジニアは担当分野で

  • フロントエンドエンジニア
  • バックエンドエンジニア

に分けられることが多いです。

フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの違い

▼ まずはWebサイトの仕組みを理解しよう

フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの違いを理解していただくために、Webサイトの仕組みを簡単にご説明します。

ご存知の通りかと思いますが、パソコンやスマートフォンのWebブラウザーで見ることができるWebサイトの元ネタ(もっと具体的に言えばhtmlやCSSなどで書かれたWebサイトの設計図)は、パソコンやスマートフォンではなく、インターネット上にあるWebサーバーから届けられます。

つまり、Webサイトを作るためには、Webサイトのコンテンツ部分だけでなく、Webサイトのコンテンツを送り出すWebサーバーをはじめとする、必要な基盤(システム環境)を整える必要があります。

ちょっとピンと来ないよ、という方はパソコンを思い浮かべてください。

イメージとしては、Webサイトを見るためのWebブラウザーを作るのと、Webブラウザーが動くスペックとOSを持ったパソコンを作るのって別の話だよね、というだけのことです。

▼ コンテンツを送り出すのがバックエンド、コンテンツを作るのがフロントエンド

そして、Webサイトのコンテンツ部分を担当するITエンジニアをフロントエンドエンジニア、逆に基盤(システム環境)を担当するITエンジニアをバックエンドエンジニアと言います。

基盤は通常、Webサイトの利用者に意識されない裏側の世界なので“バックエンド”、それに対して、コンテンツはWebサイトの利用者に近いので“フロントエンド”と呼ぶわけです。

さて、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの仕事内容が分かってきたところで、それぞれのスキルについても見ておくとしましょう。

▼ フロントエンドエンジニアに必要なスキル

フロントエンドエンジニアに必要なのはhtmlやCSSは当然のことながら、フロントエンド言語といわれるプログラミング言語(JavaScriptなど)といった“Webブラウザーの表示に関する技術”の知識が必要になります。

▼ バックエンドエンジニアに必要なスキル

一方のバックエンドエンジニアはバックエンド言語(サーバーサイド言語)といわれるプログラミング言語(PHPなど)や、データベースなどミドルウェアの知識、場合によってはOSやサーバー筐体といった、さらに下位層の知識が求められる場面も多いです。

一般的には、フロントエンドエンジニアよりバックエンドエンジニアの方が給与が高い傾向があります。

とはいえ、フロントエンドの技術とバックエンドの技術は相互に関係しあっているので、ある程度キャリアを積んでいる方であれば、「バックエンドエンジニアだけど、フロントエンドの技術もある程度は持っている」ということも多いはずです。

【Webエンジニアの将来性】今後の見通しや需要

▼ Webサイトの需要は減る可能性は低い

Webサイトは星の数ほどありますし、今後も、増えることはっても、減ることはないでしょう。

そういう意味ではWebエンジニアの仕事もなくなることはないといえます。

▼ Webサイト構築するためのWebエンジニアの作業は減っている

しかし、ネガティブな要素がないわけではありません。

ネガティブ要素はずばり、クラウドサービスです。

例えば、Amazon Web Service(AWS)で、鉄板プログ・CMSシステムのWordPressのサーバーを単純に立ち上げるだけであれば、ある程度知識さえあれば、10分かかりません。

AWS専門のITエンジニアの方であれば、もっと早いでしょうし、非ITエンジニアの方でも、手順書さえ渡してあげれば、30分も経たずにWordPressサーバーを立ち上げ、さらに30分あれば、自分が作ったWordPressのWebサイトに最初の投稿を行えるでしょう。

「Webエンジニアいらないんじゃない?」と言いたくなりますし、そう言わせて、すべてをAmazonに依存させることが、Amazonの野望なのです。

もちろんWordPressをよりよくカスタマイズするためにITスキルを持った人材を活用したい、というニーズはあるかと思います。

▼ Webエンジニアの今後の需要の方向性

しかし、近年、プログラミングスクールがブームになるなど、ITスキルを学ぶ人材も増えているため、本業エンジニアでない方が意外とスキルを持っていることも多いです。

結果、「社内のITがわかるメンバーでAWSを使ってサクッとWebサイトを作ったので、バックエンドエンジニアは基本いらないし、それなりのフロントエンドエンジニアもお呼びではありません。欲しいのは自分たちの手に余るバックエンド・フロントエンドどっちのスキルも持っている高スキルエンジニアだけです」と言われる日がいつか来るのかもしれません。

▼ 今後、Webエンジニアで生き残るには、どのようなキャリアが必要か

ちなみにですが、バックエンド・フロントエンドどっちのスキルも持っており、一人で完結しているWebエンジニアのことをフルスタックエンジニアと呼ぶことがあります。

一部では、フルスタックエンジニアでないと、この先、生き残れないのではないかという悲観論も出ています。

ここでは説明しませんが、フルスタックエンジニアのスキルセット例として“LAMP”や“MEAN”という言葉もありますので、気になる方はぜひ、調べてください。

ただし、「フルスタックエンジニアでないと将来性がない」という論調は「AIの発達によって人間の仕事がなくなる」という論調と同程度に、“具体性はあるものの、実現していない話”ですので、現時点では、そういう可能性もあるらしい、程度に考えておいてよいかと思います。

今から多くの仕事を経験し、スキルを磨き続ければ、「フルスタックエンジニアでないと将来性がない」時代が仮に本当に来たとしても、耐えることができる高度な人材になっているはずです。

スキルを磨き続ける

Webエンジニアで今後なくなる可能性がある仕事

クラウドサービスなどの発展とともになくなる仕事例:Webアプリ・HP構築

Webエンジニアの将来性は決して悪くありませんが、AWSやWordPressのようなクラウドサービスの登場により、求められる役割が変化しつつあるのは事実です。具体的には、簡単なWebアプリやHP構築といった仕事は、徐々にWebエンジニアの職掌から外れていくことになるでしょう。

従来のWebエンジニアが担当していた、ちょっとしたWebアプリやHPの制作であれば、今やパッケージソフトを用いることで、非エンジニアでも作ることが可能になっているからです。今後もさまざまなテンプレートツールが出現し、Webエンジニアの仕事を奪っていくことでしょう。

ただし、これはネガティブな意味だけで捉えられるべきものではありません。どういうことかというと、Webエンジニアの担当していた仕事内容から、非エンジニアでも対応できる単調作業がなくなり、より本質的で専門的な仕事に時間を割けるようになるからです。

すると高度な仕事を担当する機会が増え、スキルアップや経験値の蓄積に役立つはずです。キャリアパスにもいい影響を与えることは間違いないでしょう。

クラウドサービスなどの発展とともになくなる仕事例:プログラミング作業

これは今すぐに実現する技術というわけではありませんが、将来的にはプログラミングの仕事がAIに取って代わることが予想されています。現場でのプログラミング作業はロボットに任せ、エンジニアは要件定義などの上流工程だけを担当する未来が訪れるでしょう。

そうなれば、コーディングやプログラミングにしか強みがないWebエンジニアは淘汰され、経営視点からの意思決定や、豊富なIT知識を活かしたコンサルティングを手掛けることのできるWebエンジニアが生き残ると予想されます。

Webエンジニアなら誰でもできるような作業に没頭するのではなく、未来を見据えたスキルアップが必要となるでしょう。それ以外にも、IT業界の自動化やAIに関するトレンドに対してアンテナを張り、情報収集に努めることが大切になってきます。

Webエンジニアを抱える会社の今後

進化する必要があるのはWebエンジニアだけではない

未来を見据えて行動を起こす必要があるのは、なにも現場のWebエンジニアに限った話ではありません。エンジニアを雇う会社側にも、求められることが増えていきます。

たとえば、IT業界が発展してWebエンジニアへの需要が高まれば、それだけ優秀なエンジニアに対する引き合いが増えることになります。他社にヘッドハンティングされたり、引き抜かれたりすることも多くなると予想されます。

そうした状況を防ぐためには、Webエンジニアに対する福利厚生や待遇面を常に改善していく努力が不可欠になってきます。年収アップはもちろん、テレワークや各種手当、作業環境の充実・無償支給などの取り組みが求められるでしょう。

ほかにも残業削減や社内コミュニケーションの改善、社風の見直しなど目に見えない部分の工夫も必要でしょう。

エンジニアの要望を求められる会社はどのような進化が必要か

IT業界の大御所といえば「サイバーエージェント」という会社がありますが、サイバーエージェントはそのユニークな福利厚生でも注目を集めます。たとえば、オフィスから2駅圏内に住む社員に向けた家賃補助制度「2駅ルール」、各部署で必要のない業務をチェックする「棚卸会議」なども特徴的な取り組みです。

従来であれば、「充実した福利厚生=大企業だけができること」というイメージがありました。しかしこれからは、たとえベンチャーであってもしっかりした福利厚生を確保していないと、Webエンジニアに選んでもらえない可能性が出てきます。

会社の規模に関わらず、Webエンジニアが「働きたい!」を思えるような環境を作り、クライアントからもエンジニアからも選ばれる企業を目指しましょう。

まとめ:Webエンジニアのキャリアは結局は自分次第

今回は、Webエンジニアについてみていきました。

繰り返しになりますが、エンジニアの価値はエンジニア自身の能力でしか決まりません。

世の中から求められる価値の高いエンジニアであれば、何歳になっても、どんな時代であっても、エンジニアとして働き続けることができます。

将来の不安を並べる前に、将来の不安と無縁なエンジニアになる努力を行うべきだと私は思います。

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