基本情報技術者試験とは?

まずは、基本情報技術者試験について整理です。

他の記事にも概要を書かせていただきましたが、日本国が実施しているIT試験の一つです。

いわゆる国家試験、国家資格というカテゴリーになり、日本国内において、非常に影響力の強い試験です。

SIerを中心とした多くのIT企業にて、合格報奨金を含めた取得支援が行われています。

なお、IT系の国家試験は、“情報技術者試験”という括りで、いくつかの試験が実施されており、他にも“ITパスポート”や“データベーススペシャリスト試験”、“プロジェクトマネージャー試験”などもあります。

基本情報技術者試験はそれらの情報技術者試験の中では、ITエンジニア向けの試験科目の中で、一番下位の試験ということになっています。

試験の実施日は年二回あり、春期試験は、毎年4月の第3日曜日、秋期試験は10月第3日曜日です。

試験そのものは、四択問題の午前試験と、記述問題も含まれた文章題の午後に分かれており、両方60点以上で初めて合格となります。

合格率は実施回によって前後がありますが、概ね20%前後となっています。

午前試験は150分(9時30分~12時)で80問のため、一問につき1分30秒程度しかかけられません、というと時間的に厳しい試験なのかな、と思われそうですが、実は約50~60%は直近3年分の過去問がそのまま出ます。

過去問はもちろん、参考書にもないような最新のIT業界の話題なども出てきますが、その手の“満点防止問題”は5問程度しかありません。

過去問とまったく同じ問題または、過去問と質問の仕方が違うだけで、問われている知識自体は過去問と同じ問題が大半ですから、きちんと勉強している方であれば午前で落ちることはまずないです。

午前試験で落ちる人は勉強のやり方が間違っているのかもしれません。

さて、午後試験の方はというと、大問が13題ありますが、一部選択問題のため実際に解く必要があるのは7題です。

時間は午前試験と同じで、150分(13時~15時30分)です。

そして、多くの方にとって鬼門になるのが、午後試験の選択問題である、ソフトウェア開発です。

文章題に関われたソースコードや関数を理解し、実際にソースコードや関数を書く問題があるのです。

C言語、COBOL、Java、アセンブラ、表計算の五つの環境から任意の大問を選ぶことになります。

なお、COBOLは2019年までで、2020年からPythonへと変更になることが発表されています。

筆者自身、就職した年に基本情報技術者試験を受験し、なんとか合格しましたが、もともと文系学生だったこともあり、このソフトウェア開発が最後まで苦しかった記憶があります。

ちなみに、午前試験も午後試験も途中退場が可能な時間が設定されていますが、特に午前試験は速やかに完了して、途中退場することをお勧めします。

昼食は出ないので、周辺のお店や持ってきたお弁当でお昼を済ます必要がありますが、会場周辺に飲食店が少なく混雑に巻き込まれてしまったなどの理由で、有意義にお昼休憩を過ごせなくなる方も多いです。

前日で構わないので、周辺のお店の営業時間などを確認し、お昼休憩の過ごし方を意識しておいた方が無難です。

合格者の勉強時間の平均勉強時間

一般的には、ある程度ITに関する知識のある方であれば50時間~100時間、業界未経験者などIT知識のない方だと150~200時間と言われています。

ただし、あくまで平均値であり、知識レベルによっては、50時間より短い時間で合格できた、という人も沢山います。

私の周りにも、「前日、参考書をパラパラめくっただけで合格できた」さらには「参考書は買ったものの、一度も開けず、なにも勉強しなかったが合格できた」という方まで実在します。

ただし、合格率は20%ほどなので、一度で合格できず、累計で200時間以上勉強して、やっと合格できた、という方も少なくありません。

ちなみに、私自身の勉強時間ですが、120時間ほどだったと思います。

勉強時間はどのようにして決めるのがいいのか?

勉強

勉強時間は、知識レベルによって人それぞれと書きましたが、では、どうやって勉強時間を決めれば良いのでしょうか?

答えは単純で、過去問を解いてみて、その出来次第で決めましょう。

過去問は過去問集として販売されていますし、情報技術者試験を実施している情報処理推進機構(IPA)のサイトからPDF形式で無料配布されています。

直近の3年間、計6回分を、実際の試験時間より短い時間で解いてみて、すべての実施回で85%以上の点数が取れるようであれば、50時間も必要ないと思います。

95%以上であれば、間違えたところを確認するだけで勉強を終わりにしても良いでしょう。

逆に一度たりとも、合格点である60%に届かないようであれば、100時間以上かけることも視野に入れるべきです。

基本情報技術者試験合格の勉強法は?

今回は、独力で合格を目指す方向けの勉強法もご紹介しておきましょう。

実は、過去問を最初に解くのは、勉強法を決める目的もあります。

そもそも論として、基本情報技術者試験の参考書は非常に分厚いですが、合格するだけであれば参考書の内容すべてを吸収する必要はない試験でもあります。

なぜならば、合格点が60%ということは、40%は落としても良い、ということでもあります。

これを例えば、午後試験に適用すると、回答が必要な大問7第中、2題は全問間違えでも、他の大問5つが全問正解であれば、合格できる、ということになります。

とはいえ、実施回によって出題テーマが異なる(特定知識エリアに関連する大問が出ない年もある)ため、全問正解できる得意テーマばかりで構成される可能性はまずありません。

運も実力のうち、と言いますが、得意分野ばかりが出題される奇跡を待っていても仕方がないので、現実の学習戦略としては、“得意分野を確実に得点源とすること”と、“不得意分野での失点を少なくすること”になります。

6回分も過去問を解けば、自分の得意分野、不得意分野が見えてくるはずです。

得意分野では、しっかりと参考書を読み込み、重箱の隅を楊枝でほじくるような難問でも対応できるように知識をブラッシュアップしてきましょう。

不得意分野では、確実に得点にできる問題で失点しないように対策できれば、得意分野ほどに深く勉強する必要は必ずしもありません。

過去問程度の問題であれば、コンスタントに80%得点できるレベルが、とりあえずの目標になるかと思います。

なお、午前試験については、上でも書いた通り、問題の大半が直近6回分の過去問と同じです。

実際のところ、得意分野、不得意分野関係なく、“過去問を解いて、問題と答えを覚えてしまう”のが一番、効率の良い勉強法になります。

ただし、「午前問題は条件反射で解くもの」だという人もいますが、単純に“問いと答えの選択肢の組み合わせを覚える”だけでは、応用が利きません。

午後試験対策の意味も含めて、できれば“正しくない選択肢がなぜ正しくないか説明できる”レベルになっておくことが望ましいです。

ちなみに、午前試験と午後試験の勉強順ですが、まずは午前試験の過去問で80%をコンスタントに取れるようになり、ある程度、知識を持った状態と言えるようになってから、午後試験対策にも取り掛かるのがベターかと思います。

まとめ:人によって合格に必要な勉強時間は違う

繰り返しになりますが、すでに十分な知識のある方であれば、“勉強時間ゼロ”でも基本情報技術者試験に合格可能です。

逆にまったく知識のない方の場合、200時間必要になることもあります。

まずは過去問を解いてみて、自分の現在地点を理解し、その上で必要な勉強時間を見積もるのが有効かと思います。

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