ある夜、エンジニア仲間数人と飲んでいると、メンバーの一人が「こんな新人が来て困っている」という愚痴をこぼし始めました。
最初は、皆で彼の愚痴を聞いているだけでしたが、徐々に「こんな新人は二度と来て欲しくない」、「こういうタイプの新人は現場で煙たがれるよね」など、各自が“嫌な新人エンジニア”の話をし始め、最終的に、どのエピソードの新人エンジニアが嫌か、メンバー間でランキング付けを行いました。
これからエンジニアとして働く方にとって、有意義な情報だと思いますので、今回は、その“愚痴大会”で出てきたお話を、一部、具体例を交えながらフィードバックしていきたいと思います。
第5位:悩まない新人 or 悩みすぎる新人
新人がわからなくて悩むのは仕方がないものの、“悩みすぎて、そこで仕事が止まってしまう新人”も困るが、一方で“まったく悩まず、ちょっとは考えろよ、と言いたくなる新人”も存在して難しいよね、という話は、全員が共感する新人あるあるでした。
このタイプの “嫌な新人エンジニア”エピソードは紹介しませんが、その代わりに新人エンジニアのみなさんに一つ助言をしましょう。
新人エンジニアの皆さんは、“わからない。どうしよう”という状況に陥った場合、基本的には「15分考えて、それでも答えが出なければ、先輩に15分間で考えたところまで説明して、答えや方向性を教えてもらう」がベターです。
単純に単語の意味がわからない、という話であれば、インターネットで調べれば10分も経たずに解決できるでしょう。
ただ会社の規則に合った、適切なコーディングがわからないだとか、システムの外部設計書の書き方がわからない、といった類の悩みの場合、30分考えても1時間考えても、新人が“正しい答え”にたどり着かないこともあります。そうした悩みの場合、ずっと一人で悩むよりも、ある程度考えた時点で、先輩などの上位者に質問した方が良いです。
この“ある程度”ですが、人によっては「もうちょっとで分かりそう」などと言っているうちに半日使った挙句、結局、答えが出ず、先輩に「今日、なにしてた?」と怒られる、ということがあるので、機械的に15分で切ってしまうのがベターなのです。
第4位:最低限のIT業界知識もない新人
これは私が数年前に遭遇した“嫌な新人エンジニア”の話です。せっかくなので、具体的なエピソードをご紹介します。
当時、私は20代後半で、金融機関系のSIer勤務のサラリーマンSEでした。
担当していたシステムは、情報管理が厳格な金融システムで、しかも私はインフラの保守・運用担当でした。結果、平日は毎日、朝9時から夕方18時まで、データセンターの真上にあるオフィスで勤務、そこ以外では仕事をさせて貰えないし、仕事にならない、という現場でした。
さて問題の彼は、とあるSES会社から“新人エンジニア”として現場にやってきました。私は転職回数をあまり気にしないタイプですし、当時、経験値も少なかったので、“20代半ばにして転職四社目”というプロフィールを気にすることはありませんでした。
しかし、直属の先輩は、一目見た時から、彼を“危ない新人”だと見抜いていたようです。先輩は私に「なぜ、IT業界に来たか気になる。歳が近いお前なら、さりげなく聞き出せるだろう。ちょっと聞いてこい」と指令を与えました。
先輩に指示された私は、ちょっとした雑談感覚で、他のSESエンジニアもいるところで「どうしてIT業界に来たの?」と尋ねたところ、彼は臆面なく、「IT業界って、リモートワークができて、時間に融通ができるって聞いたので、良いなぁ、って。自分、ルールに縛られるとか、定例ワークをコツコツみたいなのが嫌いなんで」とさらっと言ってのけました。
その瞬間、空気が一瞬で氷点下まで下がりました。
繰り返しになりますが、彼がやってきた現場は「データセンターの真上にあるオフィスで勤務、そこ以外では仕事をさせて貰えないし、仕事にならない」です。
しかも、インフラの保守・運用担当は日々のシステムの利用状況・負荷状況を蓄積して分析し、リソースの追加や再分配を提案する“資源管理”を行うなど、基本的には定例ワークを主体とするポジションです。なのに、定例ワークが嫌だ、と言われたら、一体全体、どう扱えば良いのでしょうか?
結局、彼は、二か月も経たず、SES会社に回収されていきました。
飲み会でも、IT業界と言ってもWeb系やSIerなどの“中分類”があるとか、エンジニアといっても様々なポジションがあるとか、そうした要因によって、求められる役割や働き方も変わるといった、最低限のIT知識がない新人エンジニアはキツイね、という話になりました。
「定例ワークをコツコツみたいなのが嫌いだから、IT業界に行く」という発想は間違っている、ソースコードを書いたり、テストしてチェックする、というのもコツコツ系の仕事なので、それが嫌だというならば、プログラマーやアプリサイドSEとしても使えない、という指摘もありました。
第3位:業務時間外での知識習得を怠る新人
まったくの未経験でシステム開発が初めてで、スキルや知識が圧倒的に不足しているのに、業務時間しかシステム開発の勉強をしていないのは、大いに問題あるよね。情報処理技術者試験などの資格試験勉強でもいいから、しっかり業務時間外でも勉強して欲しいよね、という意見は結構でてきました。
また、単純にスキルが低いだけの新人は「仕方ないな」と思うので、そこまで“嫌な新人エンジニア”と思わない。一方で、学生時代に習っていた人や、趣味でプログラムを書いていた『基礎力が高い人』なのに、いつまでたっても【仕事でシステム開発するためのマインドセット】が身に着いていない場合“嫌な新人エンジニア”と感じる、という意見もありました。
例えば“動くソースコード”と“読みやすいソースコード”は別物です。会社のコーディング規則も含めて、仕事で書いたソースコードは、他の人も正しく読めるものになっている必要があります。しかし、趣味でプログラミングを書いていた人だと、妙な書き癖があったりして、他の人が読みにくい、ということが少なからずあります。
最終的には、そうした気付きに真摯に取り組んで、意識付けしたり、自分のプログラミング習慣を矯正するなど、業務時間外もどん欲に自己研鑽していく新人が良い、という話でまとまりました。
第2位:“自由”と“ルール無視”の違いが判らない新人
これはあるWeb系IT企業で働いているSEから出た話です。
その方の会社に入社した“嫌な新人エンジニア”は、ずばり「エンジニア以前に社会人としての常識がない」タイプだそうです。
その方の会社は、服装が自由なだけでなく、さらには出社も自由で、上司に社内SNSで事前連絡しておけば、リモートワークOKだそうですが、例えば、取引先を交えたミーティングがある日に対して、平気でリモートワーク申請を出してくるそうです。
「君も、ミーティングに参加しないとダメだよ」と後日、指摘すると「先輩が出てくれたから問題ないです。ちゃんと規則通り事前申請出しているのに、なんで文句言われるんですか」と反論(?)されてしまうそうです。
また、服装自由とはいえ、仕事場に来るわけですから、清潔感など最低限のマナーがあると思うのですが、いつもとんでもない格好で来るそうです。最近は「むしろ、取引先も交えたミーティングにはいない方が良いのか?」と思うようになったとのこと。
飲み会メンバーでも、いくら技術力があっても、ビジネスパーソンとしてダメな人は新人として欲しくないよね、という話になりました。
第1位:すぐ辞める新人
説明不要ですね。
チームに馴染めるようにと気を遣ったり、仕事ができるように技術を教えていたのに、「思っていたのと違いました」などと言って、すぐに辞める新人が、やっぱりどこの現場にもいます。
誰にどんな教育を受けさせるのかといったチームマネジメントや、現場の士気などにも関わってくるので、一方的な自己都合での現場離脱はとっても迷惑です。
「そんな生半可な気持ちなら、最初から来るな」「エンジニア舐めるな」と言いたいよね、とメンバーもだいぶとエキサイティングしていました。
まとめ:嫌われものの新人エンジニアにはなるな!
「社会人たるもの、嫌われることを恐れるな」といった意見もありますが、それは中堅になり、自分一人で仕事ができるようになってからの話です。新人は先輩に好かれて仕事を教えてもらうことが最重要です。
みなさんも、今回ご紹介したような、先輩エンジニアに煙たがれる“嫌な新人エンジニア”にならないようにご注意ください。