仕事をする時はしっかりと集中して、休日には全力で遊びに打ち込む。会社でのステップアップも叶えながら、一方で家庭生活も大切にする。そんな「ワークライフバランス」を実現することは、幸福に働くために欠かせない要素でしょう。
しかしIT業界の場合は、残業時間が多くなり、休日が少なくなる傾向にあるため、ワークライフバランスが崩れてしまっているエンジニアも少なくありません。そこで今回は、IT業界に身を置くエンジニアが、ワークライフバランスを実現し、幸福な働き方を手に入れるための方法について解説していきます。
エンジニアのワークライフバランスとは?
ワークライフバランスとは、文字通り仕事と生活とのバランスのことです。仕事ばかりになってワーカホリック気味になったり、あるいは仕事を投げ出してプライベートな遊びばかりに興じるのではなく、どちらもちょうどいいレベルで保つことがベストとされます。
仕事が充実すればメンタルにいい影響を与えますし、収入も安定してきます。やりがいや達成感が得られ、人生に喜びをもたらしてくれるものです。
一方で、家族と過ごす時間や趣味を楽しむ時間も、暮らしに欠かせない要素です。仕事ばかりで遊びの自由がなくなってしまえば、生きる楽しみが失われることになる可能性もあります。
ワークとライフ、どちらも充実していることが、社会人にとっての幸福な暮らしの一助となるのです。
しかし日本の場合、昔から長時間労働がいいことだとされ、休日返上で仕事に取り組むことが評価されてきました。決まった時間内に決まった仕事を終わらせることを評価する海外とは異なり、長く働く人こそえらいという認識があるため、ワークライフバランスを手にすることが難しい側面があります。
特にIT業界では長時間労働が常態化し、暮らしの大半がワークの側に大きく偏ってしまっているエンジニアが少なくありません。たとえばITベンチャーの場合、自主的に働くことを選び、休む時間を削ってしまうエンジニアも多く存在するでしょう。
確かに長時間働くことによって、より大きな成果が生み出せるようになることはあるでしょう。しかし最も理想的なのは、より少ない時間で、より大きな成果を生み出すことです。10の時間で10の成果を得るよりも、8の時間で10の成果を得るほうが生産性が高くなります。
生産性が高くなって労働時間が減れば、ライフに費やす時間が多くなって家庭や趣味の時間が充実するでしょう。家庭や趣味の時間が充実していれば、仕事に打ち込むだけの十分なエネルギーが蓄えられ、さらに生産性を高める助けになるかもしれません。
エンジニアはどのようにワークライフバランスを取るのか?
では、IT業界に身を置くエンジニアとしては、どのようにワークライフバランスをとっていけばいいのでしょうか?
最初に指摘しておきたいのは「ワークライフバランスは十人十色であること」です。一般的に労働時間が短くなることこそ、ワークライフバランスの実現だと考えられることが多くなりますが、それがすべての人に当てはまるというわけではありません。
日本ではワークの側に偏りすぎてしまう傾向にあるので、労働時間を減らしてライフの側の時間を増やそうとするのは確かに有効です。ですが、「残業が少なく、休日も多いが、仕事は単純作業だけでやりがいは少ない」という仕事に転職することになったらどうでしょうか?
スポーツや芸術など、熱中して取り組みたい趣味がある人なら、最低限の時間で効率的にお金を稼ぎ、休みの時間をすべて趣味に費やせる仕事として、喜ばれることはあるでしょう。しかしそうではなく、仕事のやりがいを大切にしたいと考える人にとっては、そんな求人はただの苦痛にしかなりません。
ですので、ワークライフバランスを取るためにはまず「自分にとって理想的な生活とはどんなものか?」を考えることがポイントになります。労働時間を減らしてプライベートの時間を大切にするのか、それとも多少仕事の時間は増えてもいいからやりがいを重視するのか。
それを考えることが、ワークライフバランスを考える第一歩です。
ワークライフバランスをさらに進めようと思うなら、「仕事でもプライベートでもやりたいことを探す」ことがポイントになります。プロ野球選手の中には、「大好きな野球を仕事にできて、お金がもらえることに幸せを感じる」という人がいます。サッカー選手やバスケットボールの選手も同じでしょう。
それと同じように、エンジニアとして大成している人の中には、「仕事でもプライベートでもプログラミングをやりたい」と考える人が珍しくありません。仕事中も趣味の時間でもプログラミングに打ち込み、大好きなことに1日中熱中しているというタイプの人です。
理想的なワークライフバランスとは、まさにこのような働き方のことを指すのではないでしょうか。一般的には「仕事=イヤなこと」「プライベート=楽しいこと」というイメージがありますが、この仕事とプライベートの境界線をなくし、1日中大好きなことができれば、最高の人生を送れるようになるはずです。
そのためには、プログラミング作業が心から楽しいと思えることが大切。人には向き不向きがあるので、プログラミング作業が大変で苦痛に感じるという人もいるでしょう。
その場合には、人との関わりがメインの営業やディレクター職にジョブチェンジしてみたり、あるいは強制されたものではなく、自分の作りたいものをプライベートの時間につくってみたりして、仕事の楽しさを見出してみることもおすすめですよ。
ワークライフバランスが取れる企業の見分け方
では、ワークライフバランスを実現しやすい企業を見つけるためには、どんなポイントに気をつければいいのでしょうか?
ワークライフバランスの取りやすさを判断するには、「ブラック企業かどうか?」をチェックすることが一番手っ取り早い方法です。ワークライフバランスは十人十色で、休みが多い会社がいいという人もいれば、仕事の充実感を重視する人もいます。
ですので、ワークライフバランスを考えるなら、あなた自身の理想の働き方を明確にして、それを実現できる会社を選ぶ必要があります。その会社選びは簡単なものではないかもしれませんが、絶対に避けるべき会社が1つだけ存在します。それがブラック企業です。
社員の働きやすさを重視せず、使い捨てのコマのようにエンジニアを使うブラック企業に身を置いていては、どんなワークライフバランスも実現することはできないでしょう。ですので、まずはブラック企業を避けることがワークライフバランスを実現するためのコツとなるのです。
ブラック企業を見分けるポイントとしては、
・定着率が低く、定期的に欠員補充の求人を出している
・「夢」「感動」「やりがい」といった抽象的な言葉ばかりが並んでいる
・社員による口コミで低評価がついている
などの点が参考になります。ホワイトな企業であれば一人ひとりの理想の働き方を考慮し、社内制度を新たに設けたり、福利厚生を充実させてくれたりする可能性も高くなります。なので難しいことを考える前に、まずはブラック企業を避けることを心がけるようにしてください。
まとめ
IT業界に身を置くエンジニアは、ワークライフバランスを実現することが難しい側面があります。しかしワークライフバランスが取れた生活があれば、仕事の生産性を高めてプライベートの時間も充実し、幸福な人生を手にできる可能性が高まります。
そのためにはまず、ブラック企業で働くことを避けなければなりません。自分の理想的な働き方を受け入れてくれるホワイト企業を探し、幸せな社会人生活を目指しましょう。