中途採用で別の会社に入社したいと考えた場合、エンジニアであっても履歴書・職務経歴書は書かなければいけません。これまで新卒で入社した会社でずっと働き続けてきた人などは、職務経歴書を書いた経験がほとんどないエンジニアも多いでしょう。

そこで今回の記事では、エンジニア向けに職務経歴書の書き方についてレクチャーしていきます。

エンジニアにとって職務経歴書とは? どこに力点を置くか

職務経歴書の書き方をチェックする前に、まずはエンジニアにとって職務経歴書がどんな役割を果たすのかを知っておきましょう。

エンジニアに限らず企業の中途採用では、職務経歴書の内容が書類選考の結果を大きく左右しているといえます。極端に言えば、ほぼ100%の企業が、職務経歴書の内容で書類選考の合否を決めていると考えてもいいくらいです。

もちろん書類選考では履歴書などの他の書類もチェックされますが、一番ウエイトが大きいのは職務経歴書。さらに職務経歴書は、書類選考後の面接にも影響を与える可能性が高いため、しっかりと作り込む必要があるのです。

一般的に中途採用の面接は、職務経歴書の内容をもとにして行われます。職務経歴書に書かれていることを深堀し、より詳しく尋ねる形で面接が進んでいくわけです。職務経歴書の内容によって面接の内容が大きく変化するといえるでしょう。

自分のこれまでの実績やスキルについて詳しく書かれていれば、「このプロジェクトではどんなシステムを作ったのか?」など、面接官が知りたいことをピンポイントで質問することができます。求職者側のエンジニアとしても、自分がアピールしたい実績やスキルについて、質問を誘導することができるということになります。

大雑把な書き方をしてしまえば、それだけ面接も大雑把な質問から始めなければいけないので、時間内にしっかりと人物を見極めることができず、結局採用を見送ることになってしまう可能性も十分あります。

履歴書や職務経歴書と「スキルシート」との違いは?

IT業界では、職務経歴書のことを「スキルシート」と呼ぶことがあります。エンジニア系やクリエイター系の職種では、職務経歴書ではなくスキルシートという呼び方をすることが多く、応募書類として指定されていることも多くあります。

職務経歴書とスキルシートには、大きな違いはありません。一般的な職務経歴書のフォーマットを使って、スキルシートを記入して提出すればOKです。

なお、履歴書と職務経歴書(スキルシート)では、役割が大きく異なるので注意が必要です。履歴書は、氏名・住所・学歴・職歴・資格などを簡潔に記すための書類です。記入すべき項目が多く、記入欄も小さいため自己PRには不向きです。

職務経歴書(スキルシート)は、文字通り職歴を詳しく書くことが可能な書類です。これまでに携わってきたプロジェクトや業務内容、身につけてきたスキルから、チームリーダー・マネージャーとしての経験の有無など、履歴書だけでは見えてこなかった内容をアピールするのに役立ちます。

職務経歴書の書き方として、絶対に守らなければ行けないルールというのはありません。極端に言えば、どんな書き方をしようと求職者側の自由なわけです。とはいえ、完全に自由となると書くのが難しくなってしまいますので、一般的には次の3つのフォーマットがよく使われています。

(1)編年体式

こちらは最初の会社に入社した時点から、時系列に沿って業務内容をまとめていく書き方です。職歴をストーリー仕立てで伝えることができるほか、経験年数が少ない人に向いています。

(2)逆編年体式

編年体式の逆で、直近の業務内容をトップに持ってきて、もっとも古い業務内容を一番下に持ってくる書き方になります。現職での経験を目立たせることができるため、特に今の仕事との関連性をアピールしたいときにおすすめです。

(3)キャリア式

職種やプロジェクト、分野ごとにグループ分けして、時系列を無視してまとめていく書き方です。経験職種が多い人や経験年数が長い人など、アピールしたい要素が多い人に適した形式になります。

いずれの書き方にもメリット・デメリットがありますので、自分が特にアピールしたい職歴はどこにあるのかを明確にしてから、書式を選ぶことが大切になります。

項目(期間や職務内容等)ごとに書き方をレクチャー

レクチャー

では、具体的に職務経歴書に書く内容を、編年体式の職務経歴書を例にして紹介していきましょう。

(1)職務概要(職務要約)

面接官が一番最初に目を通すのがこの項目です。あなたのこれまでのキャリアを、3〜4行ほどのボリュームで簡潔にまとめます。経験年数やスキルレベル、職務経験の要約を記すことになりますので、一番最後に書くのもおすすめです。

(2)職務経歴

勤務先ごとに事業内容や売上高、従業員数を記しながら、これまでの職歴の中で担当したプロジェクトごとに担当業務を書いていきます。開発環境として、使用したプログラミング言語やフレームワークを書いておくとよいでしょう。当時の役職やメンバーの数も合わせて書いておけるといいですね。

(3)保有資格

応募先の企業や職種で必要になるであろう資格について、取得日とともに記していきます。「英語検定2級」「簿記検定3級」「普通自動車免許」など、業務内容とは無関係な資格は記入する必要はありません。

(4)テクニカルスキル

プログラミング言語やOS、フレームワーク別に、使用期間とスキルレベルについて書いていきましょう。たとえば、「Ruby(1年)独学で習得。簡単なプログラミングが可能。」といったイメージです。

詳しいスキルレベルは面接で確認されることになりますので、あまり詳しく書きすぎなくてもOKです。

(5)得意分野

官公庁のシステム開発を長く携わってきた経験や、金融業界のシステムに詳しいという経験は、得意分野としてアピールするのが効果的です。Web系が得意なのかアプリ開発が得意なのか、チームリーダーやマネージャーの仕事は得意かどうかなどを記すと、効果的にアピールすることができます。

(6)自己PR

自己PR欄では、これまでの成功体験や失敗経験、あるいは今後のキャリアビジョンを具体的に記すのがポイントです。客観的な数字を用いたり、獲得した表彰の名前を使ってアピールすれば、より説得力のある自己PRにつながります。

採用担当者は結局どこを見ているのか?

履歴書を書くにあたって気になるのが、「そもそも採用担当者はどこを見ているのか?」という点でしょう。採用担当者がチェックするポイントとしては、大きく3つあります。

(1)読みやすい職務経歴書かどうか

文字がぎゅうぎゅう詰めで改行やスペースがほとんど入っておらず、読みにくい職務経歴書を送ってくる人は、それだけで不採用の理由になります。読み手(クライアント)の立場になって考えることができず、自分本位な傾向が読み取れるからです。

(2)自社の開発スタイルに近いかどうか

数名のメンバーでしか開発した経験がない人が、いきなり数十名規模の開発チームに配属されても、能力を生かすことは難しいでしょう。そうしたミスマッチを防ぐため、プロジェクトの規模や人数、担当する業務内容などを比較して、自社の開発スタイルと似たものがあるかをチェックすることも多くあります。

(3)今人材が不足しているポジションかどうか

企業側としてはプログラマーを採用したいと思っていたとすれば、上流工程を担当したいエンジニアが応募してきても不採用となる可能性が高くなります。自分が勤務先に求めるものと、企業の募集内容に齟齬がないように確認しておくことが必要になるでしょう。

まとめ:自分の強みをアピール

エンジニアが職務経歴書(スキルシート)を書く際には、その職務経歴書が面接でも使われることを念頭に置きながら、自分の強みとなる開発経験やテクニカルスキルを効果的にアピールする必要があります。

採用担当者が見ているポイントを押さえながら、自分の魅力を最大限にアピールしていきましょう。

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