未経験からエンジニアを目指そうとする場合、派遣やSESといった働き方を選択する人は多いと思います。何の経験がない人でも、派遣などの非正規社員であれば採用される可能性は高いでしょう。

しかし、正社員と非正規社員とを比べれば、どうしても給料や待遇に差が出てしまうもの。思い切って転職して、正社員の求人に応募しようと考える人は少なくありません。そこで今回の記事では、これから正社員のエンジニアになりたいと考える人向けに正社員で働くメリット・デメリットや、正社員に向いている人の特徴について深掘りしていきます。

エンジニアの転職市場 現状は? 売り手市場

まずはエンジニアを取り巻くIT業界の現状についてチェックしておきましょう。

「IT業界は慢性的に人手不足である」という話を聞いたことがあるエンジニアは多いでしょう。人手不足ということは、企業が出す求人数に対して、応募しようとする求職者が少ないという状況になります。

いわゆる「求人倍率が高い」という状態です。企業が求人を出しても、仕事を探しているエンジニアの数が少ないがために、なかなか人が集まらないのがIT企業の悩みの1つだったりするのです。

これを転職を考えている私たちエンジニア側から考えると、非常に有利な環境で転職活動に取り組めるということになります。なぜなら、一人のエンジニアが複数の会社から内定をもらえる可能性が高く、理想の職場を選べる立場にあるからです。

求人情報・転職サイトdoda(デューダ)によるデータを参照してみると、2020年1月時点でIT・通信業界の求人倍率は7.35となっています。全業種全体の平均は2.60ですので、平均の3倍近い求人倍率になっていることがわかります。

参考:https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/

求人倍率は、求職者一人あたりに何件の求人が出ているかを示す数字なので、この場合はエンジニア一人あたり7.35件の求人が存在するということになります。同調査の求人倍率は、緩やかな右肩上がりの傾向にあるため、今後も求職者が有利な状況は続くことでしょう。

ただし、売り手市場だからといってすべてのエンジニアが転職に成功できるというわけではありません。求人倍率が高くても、決して楽に理想の職場が見つかるということではないのです。実際、内定をもらえた会社が実はブラック企業だった…というケースは珍しくありません。

売り手市場だからといって気を抜かず、しっかりと企業選びや面接対策を行うことが、正社員としての転職を成功させるポイントとなります。

正社員エンジニアのメリット

非正規ではなく正社員のエンジニアとして働くメリットは、次の5つのようなものがあげられます。

(1)給料が多い

非正規の社員と比べると、正社員は給料面で恵まれていることが多いです。高めの基本給が設定されていたり、正社員だけに適用される諸手当が設定されていることもあるでしょう。住宅手当や資格手当などは、毎月の給料が大幅にアップする可能性もありますので、予想以上に年収が上がることもあります。

(2)厚生年金や健康保険に加入できる

正社員として働く場合、その会社の社会保険に加入することができます。年金や健康保険料の支払いを会社と折半することになるため、自分一人で支払うよりも負担を少なくすることができます。

(3)手厚い福利厚生が利用できる

資格取得の補助制度、時短勤務やテレワークといった福利厚生を利用しやすいのも、正社員のメリットです。非正規社員には適用されない福利厚生も、正社員であれば遠慮することなく使うことができるのです。

(4)キャリアアップのチャンスに恵まれている

正社員には大きな仕事が割り振られることも多いので、華やかな実績を残して昇給・昇格するチャンスも豊富といえます。チームをまとめる立場になれば、さらなる年収アップが期待できるPMやコンサルタントへのキャリアアップも可能です。

(5)同じ仲間と長く働ける

派遣やSESのような契約だと、頻繁に職場が変わってしまうこともよくあります。1つのチームで同じプロジェクトに参画し続けることは、正社員でないと難しいでしょう。プライベートでの付き合いが増えて人間関係が充実したり、人生のパートナーが見つかることもあるかもしれません。

希望

正社員エンジニアのデメリット

正社員という働き方には、メリットもあればデメリットもあります。正社員を目指すなら、負の面もしっかりと認識しておきましょう。

(1)時間の自由がきかない

正社員として働く場合、原則として週5日・8時間働くことが求められます。週3日での勤務や、1日4時間勤務を希望する場合は、正社員では実現するのは難しいかもしれません。正社員でもある程度の自由が欲しいなら、フレックスタイム制度やテレワーク制度を取り入れている会社を選ぶ必要があります。

(2)残業が発生する

非正規社員の場合、人件費の増大を嫌って残業をさせない会社が多いのですが、「正社員なら残業が当たり前」という社風の会社も少なくありません。エンジニアは残業が発生しやすい職種でもあるので、定時通りに帰れない可能性も考えておく必要があります。

(3)大きな責任や義務が課される

正社員のエンジニアは大きな仕事が任される傾向にありますが、逆にいえば責任や義務が大きくなるということでもあります。プレッシャーが大きくなり、ストレスを抱える人も多くなるでしょう。自由で気軽に働きたいと考えるなら、非正規社員の方が適しているかもしれません。

(4)人間関係に苦労することも

基本的に同じメンバーと一緒に働くことになりますので、人間関係のトラブルが生じやすいと考えることができます。相性の悪い上司や先輩に当たってしまうと、転職するまでずっとストレスを受けることもあるでしょう。

正社員に向いている人、派遣が向いている人

正社員にメリット・デメリットがあるように、非正規の派遣社員にもメリット・デメリットがあります。エンジニアによって、どちらの働き方がベストなのかは異なってきます。

たとえば、安定した収入を重視するなら正社員を選ぶ方がよいでしょう。雇用が安定している正社員の方が、安定して稼ぎ続けたい人に適しています。

また、人の上に立つことも多くなるため、マネジメントスキルやリーダーとしての経験を磨きたい人も正社員を選ぶのがおすすめです。将来的にPMやコンサルタント、あるいは独立を目指すなら、正社員としての経験を積むことが大きなプラスになります。

一方で、幅広いスキルや経験を積みたいなら派遣として働く方が役に立つでしょう。さまざまな職場やプロジェクトに関われるのが、派遣の大きなメリットだからです。

将来的に独立してフリーランスになろうと考えている人も、派遣として数多くの現場やプロジェクトを経験した方が有利です。派遣として働く上で柔軟性や応用力を身につければ、フリーランスとしての大きな力になるでしょう。

正社員エンジニアの理想的なキャリアマップ スキルを身につけてフリーへ

まずは派遣エンジニアとしてさまざまな会社で働き、ある程度スキルを身につけたら正社員のエンジニアへと転職。PMやコンサルタントとして稼げる経験を積んだら、独立してフリーランスの道へ…。

以上のようなキャリアマップが、自由に働けてお金も稼げるエンジニアになるためのベストな方法といえます。もちろん、現場でのプログラミングに専念したり、営業職などにジョブチェンジする道もありますので、絶対にこうしなければいけないというものではありません。

転職を考える際には、将来どんなエンジニアになりたいのか、どんな人生を歩みたいのかをイメージしておくと、理想の働き方が見つかるはずですよ。

まとめ

エンジニアが正社員として働くことには、メリットもあればデメリットもあります。IT業界は売り手市場なので内定をもらうのはそれほど難しいことではありませんが、理想のキャリアビジョンを描けていなければ転職に失敗してしまうこともあるでしょう。

フリーになりたいのか、プログラミングを極めたいのか、営業に転身したいのかなどをじっくりと考えながら、正社員への転職に挑戦してみてください。

今すぐシェアしよう!
今すぐシェアしよう!