派遣とは? 正社員とは? あらためて定義しよう
エンジニアの派遣から正社員を目指すなら、何がどのように違うのか、派遣と正社員の違いを理解しておくことが欠かせません。
なぜなら正社員になることが必ずしも良いとは限らないからです。
ではまずは派遣と正社員、それぞれの働き方について見ていきましょう。
派遣:契約は3か月更新が基本
派遣とは派遣元である人材派遣会社に雇用された状態で、派遣先で就業する働き方です。
契約は3か月更新が基本で、長期派遣であれば双方の合意がある場合は契約が更新されていきます。
長期派遣契約であったとしても一人の派遣社員が一つの職場で働けるのは3年までと上限が定められているため、派遣で働く場合は一定期間で就業先が変わるのが前提となります。
しかし一つの派遣元から5年以上継続して就業した場合は、派遣社員からの申請によって無期派遣契約に切り替えることができます。
この場合は実質雇用期間の定めがなくなるため、雇用は安定しますがあくまでも派遣なので正社員ほどの報酬は期待できないことが少なくありません。
正社員:福利厚生や報酬が充実
正社員とは就業先から正社員として雇用される働き方。
非正規社員と呼ばれる契約社員や派遣社員よりも充実した福利厚生や報酬が設定されているのが一般的です。
大企業に正社員として就職することができれば、昇給制度や賞与がきちんと設定されていることが多いため、長く就業することで高い年収を目指すことができます。
就職に関しては大企業の正社員採用は学歴を重視している企業が少なくないため、有名企業で正社員を目指すなら、20代前半まではある程度の学歴が求められます。
20代後半からは職務経歴や実績・スキルが重視されるようになりますが、条件が良い大企業の正社員採用は競争率が高い選考となる傾向があります。
派遣から正社員になれるのか?
正社員になりたいという気持ちがあり、現場である程度の実績をつくることができれば派遣から正社員を目指すことはできます。
過去に派遣から正社員採用をしたことがある派遣先であれば、派遣から正社員を目指せる可能性は充分にあるといえるでしょう。
仮に派遣先が正社員採用を検討している時期に、既に派遣先にとっては欠かせない人材になることができていれば、正社員としての声がかかる可能性はゼロではありません。
しかし派遣から正社員を目指すのは簡単な話ではありません。派遣先の採用枠の事情もあるからです。
また派遣スタッフを正社員として就業させることがない派遣先に就業した場合、派遣先で正社員を目指すことはできません。
派遣先から正社員を目指すなら、正社員雇用を前提とした紹介予定派遣で採用をしている案件にエントリーすることをおすすめします。
もしくは長期派遣の案件であったとしても、派遣から正社員へ切り替えとなった人の前例があるのか、エントリーする前に確認しておくことが大切です。
その他には派遣として職務経歴と実績をつくり、転職サイトを活用して正社員を目指すという方法もあります。
参考:マイナビCANVAS「派遣・パートから正社員に転職する方法」
エンジニアが正社員として働くメリット
エンジニア派遣から正社員を目指す場合、メリットについて理解しておくことも大切です。
では正社員としてのエンジニアにはどのようなメリットがあるのか順番に見ていきましょう。
雇用が安定している
正社員として働くメリットの一つに、雇用が安定していることがあります。
派遣やフリーランスは正社員よりも月間の報酬が高いケースもありますが、有期雇用契約が基本です。
正社員のエンジニアになることができれば、雇用が安定しているため、定期的に新しい就業先を探す必要がなくなり安心して働くことができます。
将来的に管理職を目指すことができる
正社員エンジニアになることができれば、将来は管理職を目指すことができます。
派遣エンジニアの場合、技術の提供を前提に派遣されているため、派遣先で管理者になるのは簡単な話ではありません。
もちろん職務経歴としてプロジェクトマネージャー経験があれば、派遣でもプロジェクトマネージャーとして働くことはできます。
しかし一つの企業で順当にキャリアアップを目指せるのは正社員エンジニアの大きなメリットの一つだといえるでしょう。
社会的に信用されやすくなる
正社員として就業することができれば、親や家族・親戚から喜ばれやすくなります。
また正社員は社会的には評価されやすい立場でもあるため、住宅ローンやクレジットカードの審査が通りやすくなるというメリットもあります。
昇給と賞与がある
正社員エンジニアとして就職すれば定期的な昇給と賞与を期待することができます。
実績と賞与が連動している企業であれば、業績が良い年は高い賞与を受け取ることができる可能性があります。
エンジニアが正社員として働くデメリット
正社員エンジニアのデメリットは、一般的な正社員のデメリットとは少し異なります。
ではここからは具体的にどのようなデメリットがあるのか、順番に見ていきましょう。
経験できる言語が限定される
幅広い技術を身につけたいWeb系エンジニアの場合、正社員として働くことがデメリットとなる可能性があります。
一つの会社で長く就業していると、経験できる言語や技術が限定的になってしまうからです。
キャリアを柔軟に選択できない
正社員エンジニアとして長く働くと、基本的に会社が用意したレール以外の選択肢はありません。
オリジナリティがあるキャリアを歩みたい場合、正社員として就業することがデメリットとなる可能性があります。
拘束時間が長くなる
派遣社員は残業代が高くなるため、定時退社や残業させない方針をとっている企業も少なくありません。
しかし正社員は派遣に比べると責任がある仕事を任されることが多く、業務量も多いため残業を含めて拘束時間が長くなりがちです。
転居を伴う転勤の可能性がある
正社員としてエンジニアで働いていると、会社から転居を伴う転勤を指示される可能性があります。
派遣の場合、派遣先は基本的に固定されます。
しかし事業所を全国に所有する大きな企業に転職した場合、転勤の可能性があることは事前に理解しておく必要があります。
年齢を重ねてからの転職が厳しくなる
正社員エンジニアとして一つの会社で長く働くと、40代以降の転職活動は厳しくなるというデメリットがあります。
正社員としての就業年数が長く職務経歴が少なくなれば、経験の幅はどうしても狭くなってしまう可能性があるからです。
このデメリットはエンジニアとして何を専門とするのかによっても変わってくるところもあります。
しかしWebエンジニアなど新しい技術が求められる分野でキャリア形成をしていくなら、複数の現場で様々な経験をしていた方が評価される可能性は高くなります。
【まとめ】エンジニア派遣から正社員になれば賞与や充実した福利厚生が期待できる
エンジニアの派遣から正社員を目指したとしても、必ずしも月収が高くなるとは限りません。
毎月の報酬だけを見ると正社員よりも派遣の方が高く設定されているケースもあるからです。
しかし賞与や昇給も含めて考えれば、長期的には派遣よりも正社員の方が稼げる可能性が高くなります。
また雇用の安定や社会的な信頼があることを考慮しても、エンジニアとして正社員で働くメリットは大きいといえるでしょう。
正社員が魅力的な働き方であることは間違いありませんが、正社員を目指すことは全ての人に推奨できるわけではありません。
ライフスタイルや働く目的によっては派遣の方が良いケースもあるからです。
将来起業やフリーランスとしての独立を目指すなら、派遣の方が適している可能性は高いといえるでしょう。
エンジニアとして派遣から正社員を目指す場合は、長期的な視点を持ってキャリアについて事前に考えておくことをおすすめします。