国家・地方公務員試験から採用までの道のり
SEから転職で公務員を目指す場合、まずは公務員試験に合格しなければいけません。そして地方公務員、国家公務員のどちらを目指すにしても、勉強することは欠かせません。
面接対策も含めて考えると簡単に終わる勉強ではないため、転職先として公務員を目指すなら数ヶ月は準備期間が必要になるといえるでしょう。
では国家・地方公務員試験から採用まではどのような道のりがあるのか、まずはその流れを見ていきましょう。
【1】国家(地方)公務員採用試験の申込をする(出願)
SEから公務員へ転職するためには、まずは公務員採用試験の出願が必要です。地方公務員の場合、試験の実施時期は地方自治体によって異なるので、狙っている地域がある場合はあらかじめ時期をチェックしておきましょう。
国家公務員採用試験の時期は高校卒業程度、大学卒業程度、経験者採用試験でそれぞれ試験の実施時期が異なります。SEから転職で国家公務員を目指す場合は、経験者採用試験に申込をしなければいけません。
経験者採用試験の場合、申込可能期間は3週間程度と限られています。
せっかく受験勉強をしてきても、この期間にエントリーしなければ試験を受けることができなくなってしまうので注意が必要です。
【2】職歴書の準備
経験者採用試験を受験する場合、職歴書の提出も必要となります。第1次試験日には必要になるので、それまでに準備しておきましょう。
公務員試験は競争率が高いため、職歴書はしっかりと作り込むことが大切です。特に志望動機には注意が必要です。安定した収入や安定した雇用を魅力に感じて公務員を志望したとしても、その思いを志望動機にするべきではありません。
労働環境や報酬ではなく地域や国のためにSEとして何がしたいのか、どのような気持ちを持っているのかにフォーカスして、志望動機は作成していきましょう。
【3】第1次試験(筆記試験)を受験
試験科目は国家公務員を受験するのか、それとも地方公務員を受験するのか、また試験の種類によっても異なります。試験勉強に取り組むためにも、事前に試験の内容は細かくチェックしておきましょう。
例えば国家公務員として試験種目「係長級(事務)」を受験する場合、試験科目は基礎能力試験と経験論文試験の二つとなります。
経験論文試験は、筆記試験ではなく、これまでの勤務経験等に関する論文を作成する試験です。
国家公務員の経験者採用試験であれば試験科目はそこまで多くはありませんが、これはあくまでも一例です。
地方公務員を受験する場合や、試験種目が違えば、試験科目が変わってくるので、下調べをしてから受験対策は取り組まなければいけません。
【4】第2次試験(面接試験)を受験
公務員試験の2次試験は面接試験です。面接試験の詳細は1次試験と同様に、地方公務員と国家公務員、そして受験する試験種目によって異なります。
一国家公務員の試験種目「係長級(事務)」のケースを紹介すると、2次試験の内容は二つあります。それは政策課題討論試験と人物試験です。人物試験は人物を評価する試験となるため、個別の面接となりますが、政策課題討論試験の場合は、グループで討議する試験となります。
このようにグループ面接が含まれてくる試験種目もあるため、2次試験でも試験対策は欠かせません。
【5】合格者発表
2次試験から1ヶ月~2ヶ月経過した時期に合格発表が行われます。
しかし合格発表で試験に受かったからといって採用が決まったわけではありません。
試験種目によっては公務員試験の合格が採用となるケースもありますが、少なくとも国家公務員試験「係長級(事務)」の場合は、採用予定の各府省の面接を受けなければいけません。
各府省の面接でも採用となれば、SEから公務員として転職することができます。
公務員として何ができるのか
SEから公務員に転職した場合できることは沢山あります。その理由は市役所や県庁でも一般企業と同じように、IT化が進んだ社会に合わせるため、情報システム部門が重要になってきているからです。
仮に市役所に勤務することになった場合は、SEの経験やパソコンスキルを活かしたHPの更新や、業務システム、webサービスの導入の検討など、ITに関する業務を任される可能性は高いといえるでしょう。
また近年ではサイバー攻撃が高度化してきているため、セキュリティに関する業務を任される可能性もあります。仮想デスクトップの導入やVPN接続の導入など、大規模な変更がある場合、取引先企業との対応も発生します。
IOTやAIの導入が急速に進む現在の社会状況を考慮しても、SEとしての経験は充分活かしていける可能性があるといえるでしょう。
公務員のメリットとデメリット
SEから公務員に転職できたとしても、良いことだけばかりありません。公務員にもメリットとデメリットは両方あります。では具体的に公務員にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
【SEから公務員に転職するメリット】
- ・残業時間が少なくなりプライベートが充実する
- ・雇用が安定する
- ・着実に昇給できる
- ・国や地域に貢献できる
【SEから公務員に転職するデメリット】
- ・民間企業で働いていた頃よりも給料が下がる
- ・人間関係で失敗しても環境を変えることができない
- ・SEとしての飛躍的な成長は期待できない
SEから公務員への転職を目指すのであれば、このようなメリットとデメリットは理解しておかなければいけません。特に現在SEとして民間企業で高い報酬を受け取っている場合、同じような報酬は期待することはできません。
公務員になれば、福利厚生は充実しているので安心ですが、最初から高額な年収が提示されることはほとんどありません。もちろん公務員になれば着実に昇給はしていくため、長期的に考えれば民間企業よりも稼げる可能性は充分にあります。
しかし最初から民間企業で務めている時と同じような報酬を期待すると、転職してから後悔することにもなりかねないため、その点は注意が必要です。
安定よりも成長を求めるなら民間企業で働こう
公務員は安定している点は魅力的ではありますが、SEとしての大きな成長を見込むことはあまりできません。
そのため安定よりも成長に魅力を感じている人には、民間企業の方が快適に働ける可能性は高くなります。
またSEが働くIT系の民間企業でも、ワークライフバランスを重視した民間企業は以前よりも増えてきています。そういった民間企業へ転職することができれば、安定と成長の両方を手にすることができる可能性は充分にあります。
しかし転職活動で、エントリーする会社の労働環境を細かく調べることは簡単ではないですよね。
もし自分に合った会社をスムーズに見つけることに関心があれば、おすすめの転職サービスがあります。
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【まとめ】SEから公務員への転職を目指す前に、自分自身の適正を見極めよう
公務員は安定が魅力的な職業ではありますが、簡単に就ける職業ではありません。公務員になるためには公務員試験だけではなく、試験を受けるための勉強の期間も必要となるからです。
また公務員は多くの人が憧れる職業でもあるため、競争率が高く目指したからといって確実になれる職業ではありません。公務員を目指すのであれば、高度な資格を保有している、もしくはこれまでの仕事で著しい成果を出しているなど、何か強みがなければ厳しい結果になる可能性があります。
実際に公務員になるために勉強して試験を受けても採用されず、挫折するのはよくある話です。またせっかくSEから公務員になれたとしても、退屈さを感じて退職してしまうケースも珍しい話ではありません。
こういったミスマッチを避けるためにも、SEから公務員への転職を目指すなら、その前に自分自身の適正を見極めることが欠かせません。
安定よりも成長、やりがいを求めるなら民間企業の方が快適に働けるかもしれません。
SEからの転職先として公務員に興味がある場合、本当に公務員が向いているのかどうかは、しっかりと見極めることをおすすめします。