40代技術者は転職市場で人気 35歳限界説は過去の話
少子化による労働力不足の一方、需要拡大傾向にあるIT業界では、慢性的に人材不足の状態が続いています。
とりわけ、高いスキルや豊富な経験を持つ人材が不足しており、これらを保有している40代のエンジニアを積極的に採用する企業が増加しています。
以前は「転職は35歳が限界」と言われていました。しかし、知識や技術が日々進化し続けているIT業界では、それまでのキャリアの上に、さらに新しい知識などを積み上げ続けていける人材が求められており、特定の年齢で限界があるとは言えない時代になりました。
実際、35歳から49歳のミドル層を対象にした転職サイト「ミドルの転職」に掲載された求人数は、2014年12月から2017年12月にかけての3年間で、約2.5倍に増えました。
企業の中堅を担う人材としても、転職市場で需要があります。
40代というと、世間一般にはもう転職には遅すぎるのではないかと思われがちですが、年齢相応のスキルと経験があれば、転職は決して不可能ではないのです。
40代のエンジニアには管理スキルや技術スキルが期待されている
転職市場で争奪戦になる40代のエンジニアには、大きく2パターンあります。1つは管理系のスペシャリストで、もう1つは技術系のスペシャリストです。
ともにベテランの即戦力として期待されます。
日本企業では伝統的に、ある程度キャリアを積んだ40代頃には管理職になる流れが一般的です。求人を出す企業としても、40代には管理能力、リーダーシップ、指導力、育成力などのマネジメントスキルを持っていることを期待しています。
マネジメントの経験があれば、転職が有利になるでしょう。
ただし、マネジメント経験が必須というわけではありません。
IT業界ではやはり豊富な技術知識や経験、スキルも強みとなるからです。
アプリケーション開発では要件定義、インフラ構築ではアーキテクチャー設計ができるなど、上流工程を担えるスキルを持った人材は重宝されます。
下流工程のシステム開発において、高いプログラミング能力を求められることもあります。
専門の技術スキルを持った技術者であれば、マネジメント経験がなかったとしても転職先の企業を見つけられるでしょうし、マネジメント経験があれば鬼に金棒です。
転職を成功させるために必要な6つのこと
転職活動の成功のため、準備しておくべきことを見ていきましょう。
1.自己分析とキャリアの棚卸をする
40代には、若者にはない豊富な経験やスキルがあります。若さというポテンシャルの代わりになりうるスキルを持っているのかどうか。転職活動の始めにその自己分析をしておくことが肝要です。
まずは客観的にエンジニアとしての経歴を振り返り、どんなところが自分の強みなのかを見極めるためのキャリアの棚卸をしてみましょう。当たり前のようでも、周囲から見れば価値が高いスキルが見つかる場合もあります。
豊富な経験の中から、採用側にアピールできるスキルなどの材料を見つけ出すのです。
なかなかうまくいかない、時間が取れない、という場合は、転職エージェントからのアドバイスをもらうとよいでしょう。
2.自分の市場価値を知る
長年1つの企業でキャリアを積んできた40代のエンジニアの中には、社内での評価しか見えなくなり、客観的な自己評価ができていない人がいます。長い間が経つうちに、社外ではどんなスキルが求められているのかに疎くなってしまうのです。
また、社内では評価される技術や知識も、一歩社外に出れば評価されない場合もあります(もちろん、逆のケースもあります)。
自分のキャリアを客観視し、対外的な評価を知っておくことは、転職を検討する上では重要です。転職市場ではどんなスキルが求められ、どのくらいの金額で評価されるのか、普段から情報収集しておきましょう。
転職市場でどのような評価を得られるのかだけでも、転職エージェントに相談してみる価値はあります。
3.明確なキャリアプランを立てる
40代の転職には、明確なキャリアプランが必要です。
マネジメント系に進みたいのか、テクニカル系を極めたいのかなど、いつまでにどんな業務を経験したいかなども含めた具体的なプランをたてておきましょう。
また、作成したキャリアプランは、面接のときにわかりやすく伝えられるようにしておくことも大切です。「年齢の割に考え方が浅い」と思われないように気をつけましょう。
4.広く情報収集してから選択肢を絞り込み、ミスマッチを防ぐ
転職後に後悔しないようにするためには、転職先とのマッチングが重要です。
まずは転職情報をあらゆるところから集めておきましょう。転職サイトや求人誌のほか、個別企業のウェブサイトやSNSでも情報は収集できます。これまでに築き上げた人脈を活用すれば、貴重なインナー情報が得られるかもしれません。
できるだけ企業の生きた情報を入手するよう心がけましょう。世間的には知られていなくても、業績や待遇が良いことで業界内では有名な優良企業も見つかる可能性があります。
働きながらだと収集や吟味の時間と手間がかかって大変ですが、転職後のミスマッチを避けるためにも、情報収集は欠かせません。まず選択の余地を広げておくという意味で大事です。
5.面接対策をする
40代エンジニアの採用面接では、「転職理由は納得できるものか」「希望する職務や待遇を提供できるか」「採用後の想定配属先に適応できそうか」「採用コストを早期に確実に回収できるか」などの観点から評価されます。
転職理由は「上流工程に関わりたい」などの業務やキャリアに関連するものもあれば、「家族との時間を持ちたい」などの業務以外のものもあります。いずれにせよ、転職理由は率直に伝えたほうがよいようです。
そして、「年収」「業務内容」「地位」「勤務地」など、転職で希望するものも具体的に伝えられるようにしておきましょう。
面接は、40代の年齢相応のコミュニケーション力やプレゼンテーション力を見られる場でもあります。もし不安があれば、エージェントに面接攻略情報を教えてもらったり、模擬面接を行ってもらったりして対策しておきましょう。
6.最新技術の勉強を怠らない
技術者として生きていくのであれば、日々勉強することは欠かせません。
技術の変革スピードの速いIT業界では、常に最新の技術や知識を把握する必要があるからです。使いこなせるまででなくても、知識として知っておくことは重要です。
転職時の年収はそのタイミングでの需要と供給で決まるので、最新の技術の中でも特に需要が高いものについて勉強しておくと、転職市場での自分の価値の上昇にもつながります。
IT分野に特化したエージェントからの最新トレンド情報が役立つでしょう。
40代の転職は慎重に
昨今は転職のチャンスが増えたとはいえ、40代での転職には若い世代とは比較にならないリスクが伴います。ご家族の扶養や各種ローンの支払いの必要性などがあり、転職に失敗は許されないようなケースが多いからです。
さらに、事実上最後の転職のタイミングとなる可能性もあります。
そこでまず、本当に転職すべきかどうかじっくり考えてみましょう。
「仕事内容が希望通りでない」「社内の人間関係に問題あり」「収入や待遇に不満」など、転職を考える理由は人それぞれです。
しかし、「現職での部署異動や配置転換で希望が叶わないか」「転職先の待遇は今より良くなるのか」などを検討してみてください。
その上でやはり転職を選ぶという結論が出た時点で、転職活動を始めても遅くはありません。
また、40代のエンジニアはいろんな責務がある場合が多く、とにかく多忙です。
転職活動に十分な時間を割けず、準備不足になったり、なかなか面接日の設定ができないことになりがちです。そういった状況では転職の成功は見込みにくいです。改めて転職への意思を再確認する必要があります。
ただし、勤務しながらの転職活動は困難という理由で、先に退職してしまうことは危険です。
転職活動に専念するための退職にも一理あるのですが、先に退職してしまうと、転職活動が長引いた場合に精神的に追い込まれます。そして、とにかく入社できるところにと視野が狭くなり、希望とはギャップのある企業でしぶしぶ妥協してしまう可能性があります。
在職したままでの転職活動が難しくても、退職の申し出は、少なくともある程度は内定の感触のある企業を見つけてからのほうが安全です。
40代では家庭をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
転職すれば収入やワークスタイルなどに変化があり、転職者以外の家族の生活にも何らかの影響があります。
転職にあたっては必ず事前に家族に話し、了解を得ておきましょう。家族のサポートを受けれられれば、転職活動もしやすくなります。
40代の転職を成功させよう
以上、40代のエンジニアの転職について見てきました。
まとめますと、40代のITエンジニアが転職を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
- ・キャリアを棚卸しし、転職市場や企業の目線で評価する
- ・企業の生きた情報を入手し、マッチングする企業を見つける
- ・キャリアプランなどをきちんと伝えられるよう、面接対策をする
もし、在職中で業務が忙しく時間が取れない、一人でやってもうまくいかないなどのときは、転職エージェントなどの転職サービスの利用がおすすめです。
転職エージェントは多数ありますが、IT業界での転職をお考えであれば、やはりIT業界に特化したエージェントが選択肢になります。
そのなかで、techcareerというエージェントを紹介します。
このエージェントの特徴として、いわゆる「ミレニアル世代」「ジェネレーションY」と呼ばれる若い世代に属するキャリアアドバイザーが多いことがあります。
これらの世代は、生まれた時にはすでにネットが普及していた「デジタルネイティブ」で、学生時代にはスマートフォンを使いこなすなどITに親しんできた世代です。
さまざまな経験がある40代と、ITに関して鋭い感覚を持った若い世代がお互い補完するかたちで、お一人お一人の転職を成功へと導いていくことが期待できます。
40代での転職活動には、労力も時間もかかります。転職エージェントのサービスを上手に活用することをおすすめします。