パッケージ エンジニアとは?

今回はパッケージエンジニアについて、見ていきたいと思います。

みなさんパッケージソフトというと何を思い浮かべるでしょうか?

おそらくIT業界未経験者の方の場合、家電量販店で購入可能な、オフィスソフトや年賀状作成ソフトのような、パッケージ販売されているユーティリティーソフトを思い浮かべることが多いと思います。

しかし、多くの現場で活躍しているパッケージエンジニアは、そういった「パソコンにインストールして使う、個人利用レベルのアプリケーション」開発には携わっていません。

では、「パッケージエンジニアが携わるパッケージって、どのようなパッケージなの?」という疑問をみなさん持たれるかと思います。

正解はずばり、ERPシステムを筆頭とした、エンタープライズ(企業・官公庁)システムのパッケージです。

ERPシステムというのは、経営資源、つまり人・モノ・カネを管理するためのシステムです。

オービック社の「OBIC7」やオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」が有名でしょうか。

このようなERPシステムというのは、どの企業にも必要な物です。

経営資源を正しく管理する仕組みがないまま、組織を経営するのは不可能です。

また、人・モノ・カネ以外の第四の経営資源がある企業はおそらくないでしょうから、経営資源の管理項目は多くの企業で共通のはずです。

しかし、社員の出退勤管理について、タイムカードを使っている会社もあれば、Webアプリケーションから申請する仕組みにしている会社もあります。

このようにERPシステムは、大枠はどの企業でも同じですが、ディテールが異なるのです。

こうした二面性を持つシステムは、企業ごとに異なる「ディテール部分」は、導入時に個々の企業の都合に合わせて改良することを前提に、どの企業でも共通となる部分をパッケージ化して「パッケージソフト」として販売されることが多いです。

そして、一般的にパッケージエンジニアの仕事は、「パッケージ部分の作成」および、「個々の企業に合わせて改良して導入」すること、になります。

ここ十年近くで、フルオーダースーツより安く、既製品よりは身体にフィットするイージーオーダースーツを作ってくれるスーツ屋さんが増えていますが、パッケージエンジニアの仕事は、まさに「イージーオーダーの仕立て屋」といえます。

なお、念のため補足すると「パッケージエンジニア=ERPエンジニア」ではありません。

ERP以外にも、POS(販売時点情報管理)システムや、業務端末管理システム、あるいは特定の業界でしか使われない、配車システムなどのその他のシステムが、パッケージソフトとして販売されています。

ついでにいうと、ERPシステムやPOSシステムは、すべてパッケージソフトでもありません。

パッケージを使うと、ベースができているため、改良できる範囲が狭まるデメリットもあります。

無理に改良をすると、お金がかかり過ぎたり、それがバグの原因になることも多々あるのです。

例えば、コンビニ大手のPOSシステムは、各社の工夫・着眼点がすべて適用できるようにパッケージを使わず、各社まったくオリジナルのものかもしれません。

パッケージ エンジニアの平均年収は?

各社転職サイトの求人情報を確認すると、平均的なパッケージエンジニアの年収500万円~600万円です。

IT業界の他の職種の平均年収と比較すると、プログラマーやコーダー、Webデザイナーよりは上、プロジェクトマネージャーよりは下で、上流工程に関わるSEとほぼほぼ同じくらい、という立ち位置になるかと思います。

補足すると、パッケージエンジニアを抱えているパッケージベンダーなどの企業は“優良企業”が多く、全体的に給与水準・福利厚生面に恵まれた企業が多いです。

パッケージ エンジニアの年収が高い業界は?

パッケージ エンジニアの年収が高い業界は?

そもそもパッケージエンジニア活躍できる業界はどこか、という話になりますが、結論からいうと、パッケージベンダー業界とエンタープライズ(企業・官公庁)システムの開発を手掛ける、(SIer)業界です(だからこそ、優良企業が多いという話なのかもしれません)。

基本的に、パッケージベンダー業界がパッケージの開発元、SIerが販売元のイメージだと思いますが、実際のところ、自社パッケージをSIerに販売するだけでなく、企業などのクライアントに導入業務まで手掛けていることもありますし、逆にSIerが自社の知見を集めて独自パッケージの開発を行っていることがあります。

親会社など関連会社のシステムを見るために設立されたユーザー系SIerが、“外販業務”として、業界企業向けパッケージを資本関係のない他社に提供していることもよくあります。

どちらの業界も似たような事業展開がされているため、業界間の年収格差はあまりないように思います。

はっきり言ってしまうと、パッケージエンジニアの年収を左右するのは、業界ではなく、所属する企業のポジションと規模です。

ユニークで高価なパッケージを開発している企業にいれば、おのずとそこで働くパッケージエンジニアの年収は高まりますし、その逆もしかりです。

また、大企業勤務者の方が中小企業勤務者より生涯年収が高額となる、という原理原則は、基本的にパッケージエンジニアについても当てはまるように思います。

年収が高いエンジニアの特徴は? 

上流工程スキルが高いエンジニアほど評価される傾向が高いです。

パッケージエンジニアの評価基準は“クライアント企業の担当者の要望をくみ取って、決められた期限・予算内で「正しい形に改良する」スキルがあるかどうか”です。

ITエンジニアとしてパッケージの改良方法・改良技術を知っていることが前提になりますが、クライアント企業のニーズを正しく理解し、システムに落とし込むセンスが求められます。

優秀とされるパッケージエンジニアを見ていると、コストパフォーマンス・納期という視点から、システム化しないで、クライアント企業内部の手続きを少し見直すことで、求める結果を得られる旨を提示し、クライアント担当者に納得させる“腕力”のある方も多いように思います。

ところで、納期というのは、パッケージエンジニアにとって重要項目の一つです。

ERPやPOSなど含めてパッケージソフトというのは、クライアント企業にとって、とても重要度の高いシステムであることが多いです。

「いついつまでにカットオーバーして利用を開始する」ということが経営戦略として定められていることも多く、事前に決められた納期を開発サイドの都合で引き延ばすことは原則、不可能です。

まとめ:パッケージエンジニアのスキルがSEの標準スキルに?

実のところ、フルオーダーの独自システムを開発すると莫大なお金がかかる上、求めるものができるか分からないリスクがあります。

そのため、お金のある大企業であっても、「パッケージで事足りるなら、パッケージを選択する」という流れが強まってきています。

ですので、エンタープライズシステム開発のSEのうち、すべての方、とまでは言いませんが、過半数の方がなにかしらのパッケージと関わった経験を持っているのではないでしょうか。

例えば、私はインフラ系エンジニアですが、あるパッケージソフトを動かすためのインフラ構築に携わったことがあります。

このように、すでに、エンタープライズシステムのSEにはパッケージについての知識も求められるようになりつつあります。

今後、その傾向が強まって、最終的には、パッケージエンジニアという職種名がなくなり、エンタープライズシステムに関わるSEの標準的なスキルとして“パッケージエンジニアが従来のスキルと言われていた、パッケージ関連スキル”が含まれるようになるかもしれません。

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