IT資格にはさまざまな「資格」が存在しています。初心者向けからベテランエンジニア向けまで、多種多様な資格が生み出されているため、どれを取得すべきか迷うことも多くあるでしょう。
そこで今回は、国家資格と民間資格の代表的なものを取り上げ、その難易度について解説していきます。
IT資格を分類 民間か国家資格か
前提として、IT資格には国が認定しているものと、民間の企業が認定しているものの2つがあります。前者を「国家資格」と呼び、後者は「ベンダー資格(民間資格)」と呼びます。
国家資格として存在しているのは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する13個の資格のみ(情報処理技術者試験が12種、情報処理安全確保支援士試験が1種)。これ以外の資格は、すべてベンダー資格と呼ばれます。
国家資格には、社会人として最低限身につけておきたい基本的な資格から、専門的な知識が問われる資格までさまざまな難易度の資格があります。知名度の高さが国家資格の利点ですので、自分のスキルレベルにあったものを取得することで、転職や人事評価を有利に進めることができるでしょう。
一方のベンダー資格の場合は、自社製品に対する知識・技術を備えていることを証明する資格です。IT関連の製品を開発する「ベンダー」が主体となって試験を実施することから、ベンダー資格と呼ばれています。
代表的なものでいえば、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)もベンダー資格の1つです。Officeソフトを開発するベンダーであるマイクロソフトが認定することをイメージすればわかりやすいでしょう。
業務でOfficeソフトを頻繁に使っている会社であれば、MOSの資格を取得している人材を優先して採用するはずです。特定のベンダーの製品を導入している企業なら、その製品のベンダー資格を保有している人材を高く評価することでしょう。
初心者がやみくもにベンダー資格を取得するのはおすすめできませんが、転職したい応募先の企業で特定のベンダー資格を求めている場合や、昇給の条件としてベンダー資格が設定されている場合などは、積極的に取得しておきたいところです。
IT資格 国家資格のランキング難易度
それでは具体的に、IT資格の難易度について比較していきましょう。まずは国家資格を5つ取り上げていきます。
ITパスポート試験★☆☆☆☆
ITパスポート試験は、ITを利活用するすべての人が備えておきたい、ITに関する知識が問われる試験です。難易度は非常に低く、しっかりと対策すれば不合格になることはまずありません。
多くの人が取得する資格のため転職などで有利になることはあまりありませんが、余力のある学生時代や新社会人になったタイミングで取得を検討しておきたい資格です。
基本情報技術者試験★★☆☆☆
ITエンジニアを目指す人にとっての登竜門となるのが基本情報技術者試験です。ITを利活用するすべての人向けの資格がITパスポート試験なら、ITエンジニアを目指すすべての人向けの資格が基本情報技術者試験となります。
たとえ初心者やIT業界未経験者でも、ITエンジニアを目指すなら取得しておきたい資格になります。この資格があると、エンジニアとして働きたいと考えた場合にも企業に評価されやすくなることでしょう。
応用情報技術者試験★★★☆☆
すでにITエンジニアとして実務経験を積んだ人向けの資格が応用情報技術者試験です。文字通り知識や技術の「応用」に重点を置かれた試験で、開発力だけではなくマネジメント力や経営に関する知識も問われることになります。
ITエンジニアとしての仕事が未経験という人や初心者にはやや難しい資格となりますので、ITエンジニアとして働き始めた人がスキルアップのために取得するのがおすすめです。
データベーススペシャリスト試験(DB)★★★★☆
データベースエンジニアとして活躍したい人向けの資格が、データベーススペシャリスト試験です。データベースに関する専門的な知識を問うため難易度は高くなりますが、それだけ転職や人事評価の際には高く評価されるでしょう。
上記3つの資格と比べて難易度がぐんと高まりますので、独学が難しければオンライン講座を利用することも検討してみましょう。
プロジェクトマネージャ試験★★★★★
プロジェクトの実行・管理に関するスキルを測定するのがプロジェクトマネージャ試験です。システム開発の責任者として、しっかりとした知識と技術を備えているかが判断されます。
午後の試験では論述試験も設けられており、自分の知識やスキルを人に説明する能力も必要になるでしょう。
IT資格 民間資格のランキング難易度
続いて、ベンダー資格の難易度について比較していきます。ベンダー資格の場合は、それぞれの資格で初級者向け・中級者向け・上級者向けと難易度別になっています。まずは初級者向けのレベルから挑戦して、ステップアップしていくのがよいでしょう。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)は、Officeソフトの操作スキルを証明する資格です。Word、Excel、PowerPoint、Accessの各Officeソフトごとに試験が用意されており、Word、Excelの2つの試験でスペシャリストレベル・エキスパートレベルの2段階が用意されています。
「365&2019」「2016」「2013」などOfficeソフトのバージョンによって試験がわかれているため、業務で使用するバージョンをチェックして受験するのがおすすめです。
オラクルマスター
データベースの分野で圧倒的なシェアを誇るオラクル社の製品について、知識や技術を問うのがオラクルマスターです。「Bronze」「Silver」「Gold」「Platinum」の4つの難易度にわかれており、まずはBronzeに合格しないとSilverを受験することはできません。
Silver以上の資格は世界共通資格になりますので、海外の企業でも高く評価されやすくなるでしょう。
CCNA(Cisco Certified Network Associate)
世界最大手のCisco社のネットワーク関連製品に関する知識・技術を問うのがCCNAと呼ばれる資格です。Cisco社の製品知識だけではなく、ネットワーク技術についての基礎的な知識も求められます。
資格時代は8つに細分化されており、自分の目的に合ったものを選んで受験することが可能です。
オラクルJava認定資格(OCJ)
プログラミング言語の1つ、「Java」についての知識・技術が問われる資格が、オラクルJava認定資格です。難易度は「Bronze」「Silver」「Gold」の3つ。さらにレベル別に8つの種類の資格が用意されています。
Android技術者認定試験
一般社団法人IT職業能力支援機構が実施する、Androidアプリの開発に関する知識を問うのがAndroid技術者認定試験です。「ベーシック」「プロフェッショナル」の2つの難易度があり、Android向けのアプリを開発する人ならぜひ取得しておきたい資格です。
企業は本当に資格を求めているのか?
「せっかく難易度の高い資格を取得したのに、企業からはあまり評価されなかった…」なんてことになれば、ムダな努力に終わってしまうかもしれません。そんな状況を避けるためには、その資格の需要についても知っておく必要があります。
その資格を企業が求めているのかについては、HPで事業内容をチェックするとおおまかな目安となります。たとえば、スマホアプリ開発を手がけている会社にとっては、MOSよりもAndroid技術者認定試験の資格のほうが求められることでしょう。
いずれのIT資格も取得しておいて損はありませんが、転職や人事評価であなたのスキルを測定する人の立場になって、どんな資格を取得したらもっとも評価が上がりやすいかを考えるのがポイントです。
まとめ:一番低いレベルから挑戦
IT業界に数あるIT資格は、国家資格とベンダー資格の2種類にわかれます。なかでも国家資格に関しては、受験者が多く難易度も比較しやすいので、取得しやすい資格といえるでしょう。
ベンダー資格を取得しようと考えている場合にも、まずは一番低いレベルから挑戦していくことで、少しずつステップアップしていくことがおすすめです。