IT業界で活躍したいなら獲得しておきたい資格の1つに「基本情報技術者試験」があります。名前の通り、IT業界に携わる技術者(エンジニア)なら身につけておくべき基礎的な知識を問う試験です。

高度な知識や専門的な情報を覚えなければいけない試験ではないのですが、出題範囲が多岐にわたるため勉強すべきボリュームが大きく、難易度の高い試験と言われることも珍しくありません。特にIT業界で働いた経験のない初学者にとっては、難しい試験に感じることがあるでしょう。

では、基本情報技術者試験の合格率や、他の資格試験と比べた難易度についてはどのくらいになっているのでしょうか?この記事では、基本情報技術者試験の取得を目指す人向けに、試験の難易度についてご紹介していきます。

基本情報技術者試験とは?

基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(通称:IPA)が実施する、国家資格試験の1つです。IT業界で働くエンジニア、あるいはこれから働こうとしている人を対象とした試験で、IT業界で働くために必要な基礎知識が網羅されていることが特徴です。

IT業界を目指す人には登竜門と言える存在でもあり、社会人はもちろん、学生が受験するケースも珍しくありません。受験資格は定めておらず、誰でも受験申し込み可能な試験でもあります。

基本情報技術者試験は年に2回、春と秋に実施されます。午前150分、午後150分の2部に分かれており、マークシート方式が採用されています。午前の試験では基礎的な知識を問うものが多く、午後の試験では応用問題が出題される傾向が強くなっています。

合格ラインは6割。午前・午後両方の問題で60%以上正解すれば、履歴書に書ける資格としてアピールすることができます。受験者数は毎回4万人以上。多ければ7万人に達することもあり、人気資格であることをうかがわせます。

合格者数は毎回1万2000人前後で、合格率は20〜30%の間をうろうろしています。受験者の6〜7割が不合格となっているということなので、難易度は決して低いものではありません。予備校や通信講座が充実していることからも、基本情報技術者試験の難しさがわかります。

ただ、独学が不可能というほど難しい試験でもありません。「基本」とつくように、求められる知識レベルはIT業界で働く上で基本的なものばかり。100〜200時間ほどが合格の目安とされており、初学者でもたっぷりと200時間以上勉強に費やせば、一発合格も狙えるでしょう。

基本情報技術者試験に合格したからといって、すぐに実務に活かせるというわけではなかったりします。基本情報技術者試験で学習するのは、ITに関する幅広い知識。実際の業務では、広く浅い知識よりも、狭く深い知識が必要とされることが多いためです。

とはいえ、転職や昇進には大きく役立ってくれることには違いありません。履歴書に「基本情報技術者試験合格」と書けるだけでも、IT業界への転職可能性は大きくアップします。IT業界を目指すなら持っていて損はないので、積極的に学習してみましょう。

基本情報技術者試験の難易度を他の資格試験と比較してみる。

基本情報技術者試験とは?

基本情報技術者試験とよく似た試験として、「ITパスポート試験」があります。ITパスポート試験も、IT業界に関する基本知識が問われるものです。基本情報技術者試験と比べるとITパスポート試験のほうがワンランク下で、比較的取得が容易な資格になっています。

具体的に見ると、ITパスポート試験の合格率は40〜60%。基本情報技術者試験の2倍ほどの合格率となっています。試験時間は120分で、基本情報技術者試験の半分以下。午前・午後で5時間に及ぶ試験よりも、2時間で終わる試験のほうが難易度が低くなるのは当然でしょう。

ちなみに、ITパスポート試験を先に学習しておくと、基本情報技術者試験の対策に活かすことができます。基本情報技術者試験の試験範囲には、ストラテジー系・マネジメント系・テクノロジー系の3つがあるとされますが、このうちストラテジー系・マネジメント系の基本問題はITパスポート試験の知識で十分カバーできるほど。

出題範囲が被るところが多いため、ITパスポート試験を受けてから基本情報技術者試験を目指すようにすると、効率的に資格の数を増やすことができます。

また、基本情報技術者試験と大学入試との難易度を比較すると、場合によっては大学入試よりも難しい問題が出されることもあると言えます。合格率がかなり低めに出ていることもあって、大学に受かるよりも合格が困難となるケースもあるのです。

その理由は、やはり出題範囲の広さにあります。プログラミングだけではなく、プロジェクトマネジメントや経営・法律に関する知識など、多岐にわたる分野から出題されます。出題範囲が限定されている大学入試などと比べても、簡単に受かる資格ではないと言えます。

ほかにも基本情報技術者試験と比較されやすい試験として、日商簿記検定(2級)があります。日商簿記検定には3級、2級、1級とありますが、中でも2級の難易度は基本情報技術者試験とほぼ同レベル。

日商簿記検定2級の合格率は10〜50%ほど。出題範囲がまったく異なるため単純な比較はできませんが、合格率を目安にすると難易度はほぼ同じと考えることができます。もし日商簿記検定2級に合格したことがあるのであれば、その時と同じレベルの勉強に励むことで合格ラインに達することができるでしょう。

基本情報技術者試験のメリットは?

基本情報技術者試験は、悪く言えば「広く浅い」試験です。IT業界で日常的に用いられるような専門用語は「なんだか聞いたことあるな」というレベルにまで持っていくことはできますが、「どういう場面で使われるのか」「どういう意味合いなのか」まで答えられるようになる試験とは言えません。

だったら取得する意味がないのでは?と思われるかもしれませんが、もちろんそんなことはありません。

基本情報技術者試験を通じて基本的に知識を積み上げておけば、実際に入社してOJTなどで研修を受けていくことになっても、新しいことを吸収しやすくなります。まったく聞いたことのない単語を覚えるよりも、多少聞き覚えのある単語を覚えるほうが、労力は小さくなるものです。

また、同僚や上司が話している内容を理解しやすくなり、コミュニケーションを取りやすくなるというメリットもあります。会話の中で基本情報技術者試験で学んだ単語が出てきた時、「あ、この単語聞いたことあるな」と、話が頭に入ってくるようになるわけです。

なお、基本情報技術者試験を取得する最大のメリットは、エンジニアとしてのステップアップに役立つことにあります。実務では役に立ちづらい資格かもしれませんが、転職・昇進の際の評価ポイントとしては大きな存在感があるからです。

履歴書に「基本情報技術者試験に合格」とあれば、「この人はIT業界の基本が身についているんだな」という印象につながり、規模の大きな会社や、好待遇の会社にも転職しやすくなるでしょう。

社内でも上司からの評価が高くなって昇進が早くなったり、昇給が叶ったりすることが多くなるはずですよ。

まとめ:転職・昇進に大いに役立つ資格

基本情報技術者試験は、合格率20〜30%と難易度の高い国家試験の1つです。簡単に合格できる試験ではありませんが、1日1時間の勉強を半年間続け、180時間ほどを費やすことができれば、初学者でも合格ラインに達することは難しくありません。

取得すれば転職・昇進に大いに役立つ資格ですので、ぜひ目指してみてください。

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