過去にも『IT業界に転職 有利な資格は何? 正直に教えて』などでITの資格についてご紹介したことがありますが、今回はより直接的に、年収UPに繋がる資格をいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

ITの資格 そもそも必要か

過去の記事でもお伝えしましたが、IT業界において資格はどれほど価値があるのでしょうか? まずはそこから整理いたしましょう。

結論から言えば、資格がなくてもITエンジニアとして活躍できます。そのため、資格は必須ではありません。また、資格を取得するために必要な知識と、現場で役に立つテクニックは異なることもあるため、資格のある・なしだけで、その人が優秀なエンジニアかどうか、判断するのは難しいです。

しかし、資格はある種のポートフォリオです。有名どころの資格を取得しておけば、転職活動や案件探しで確実に有利になります。持っていないよりは、持っておいた方が良いです。

特に、企業や官公庁などが利用するエンタープライズシステムに関わっている会社では、社員の資格の有無が会社の信用度や評価、引いては売上に直結するため、資格の保有状況を意識する傾向が強いです。

私自身、金融機関を取引先とするIT会社で正社員エンジニアをしていましたが、エンジニアの社員全員が『基本情報技術者』という資格を持っていました。また、特定の資格を取得すると資格取得ボーナスが支給される一方で、高い技術力を持っているのに、資格がないばかりに、昇進が見送られている先輩もいました。

こうした実態があることから、資格の取得はIT業界でも重要であり、年収アップに繋がると言えます。

国家資格からベンダー資格まで! 種類を整理します

IT資格は認定する団体によって、「国家資格」「ベンダー資格」「民間資格」に分かれます。それぞれの資格の特徴を簡単に見ていきましょう。

①「国家資格」

日本国が認定する資格が国家資格です。2019年12月現在、4レベル・12試験区分から構成される「情報処理技術者試験」と「情報処理安全確保支援士」の2つがあります。

まず、「情報処理安全確保支援士」から見ていきましょう。

この試験は、「情報処理技術者試験」の一つだった「セキュリティスペシャリスト試験」を発展させたものですが、登録制度を持つ専門資格となった、という点で、他の「情報処理技術者試験」とは異なる存在です。

つまり、「情報処理安全確保支援士(通称、認定セキスペ)」と名乗るためには、この試験に合格する必要があります。しかも、その後、所定の教育を受け続けなければ、「認定セキスペ」を取り消されることになっています。

逆に言えば、「情報処理技術者試験」の12試験はいずれも、一度合格すれば「情報処理技術者試験」の合格者という事実を取り消されることのない試験です。そのために、厳密には資格ではない、という言われ方もしますが、IT業界では広く資格と同じ扱いを受けています。

さて、「情報処理技術者試験」の4レベル・12試験区分ですが、一番、低いレベルの二つの試験は、システムを使う人向けの試験とされており、エンジニアが合格してもIT業界ではあまり評価されません。

IT業界で評価される、エンジニア向けの試験としては、下から2番目のレベルにある「基本情報技術者試験」、その1つ上のレベルにある「応用情報技術者試験」、そして、最高ランクとされる「高度情報技術者試験」です。

ここでまた面倒な話があって、「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」は一つの試験なのに対して、「高度情報技術者試験」は専門分野ごとに8試験区分があります。

いずれにせよ、「国家試験」は、日本国認定ということで、(日本国内においては)「ベンダー資格」「民間資格」よりも、圧倒的に知名度が高く、特に重要視される傾向にあります。官公庁がシステム開発案件の契約先を決めるとき、国家資格の保有者数が選考基準の一つにもなっています。

②「ベンダー資格」

二つ目は「ベンダー資格」です。その名前の通り、ベンダーと言われる、大手IT企業が認定している資格です。

Microsoftが行う「Microsoft認定資格試験」や、データベースで有名なOracleの「オラクルマスター」、ネットワーク機器で知られるシスコシステムズの「CISCO認定試験」、クラウド大手のAmazon Web Serviceの「AWS認定試験」、Salesforceの「Salesforce認定資格」などがありますが、他にも様々なベンダーが資格試験を提供しています。

ベンダー資格は、“自社の製品を上手に扱えるかどうか?”が認定基準となっており、国家資格に比べて、現場で役立つテクニックにフォーカスを充てた内容となっています。

そのため、そのベンダーの製品を普段から業務などで触っていないと、合格はおろか、問われている内容を理解するのも難しいものすらあります。逆に言えば、ベンダー資格を持っていれば、現場で即戦力になると見なされることになるでしょう。

なお、ベンダー製品はバージョンアップによって使い方も変わるため、製品のバージョンごとに異なる資格認定試験が実施されていたり、あるいは数年ごとに更新が必要となっているものがほとんどです。

③「民間資格」

実施団体が国でも大手ITベンダーでもない資格試験を総じて、「民間資格」と呼びます。「民間資格」は海外でも評価される国際的な資格試験もあれば、知名度も権威も低いものもあります。

Linux Professional Institute(LPI)が行っている「LPIC」、LPIの日本支部が行っている「LinuC」はLinux系の資格試験として有名です。

他にもプロジェクトマネジメントの知識を問う、Project Management Institute(PMI)の「PMP」や、スクラムマスターの資格と言われるScrum Alianceの「CSM」、Scrum.orgの「LMS」は海外でも通じる、評価の高い資格です。

これはマスト! おすすめの資格とは? 年収UPは可能か?

おすすめの資格

繰り返しになりますが、資格を持っていなくても、エンジニアになれます。ですので、マストの資格というものはありません。

ただし、上でも書きましたが、資格の有無が採用基準になったり、昇進・昇給の判断材料としている企業も確かに存在しているため、年収アップを目指すのであれば資格取得は有効な手段です。

特に、ベンダー資格の最上級資格は年収アップに直結するため、おすすめです。

具体的には「Microsoft認定資格試験」のMCSEやMCSD、「オラクルマスター」のPlatinum(プラチナ)、「CISCO認定試験」のCCIE、「AWS認定試験」のProfessional、「Salesforce認定資格」の認定テクニカルアーキテクトなどが該当します。

合格者数的な意味で、一番難易度が低いと思われる「オラクルマスター」のPlatinum(プラチナ)でも年収700万円以上となっています。「Salesforce認定資格」の認定テクニカルアーキテクトは2019年7月時点で全世界に約240人しかいないこともあり、平均年収は驚異の約15万ドル(日本円にすると約1600万円)です。

なお、前提資格試験をクリアしていないと、最上級資格に挑戦することも叶わない仕組みになっているベンダー資格試験もありますので、ご注意ください。(そもそも、十分な知識がないまま、いきなり最上級資格試験を受けても、返り討ちに遭うだけだと思いますが。)

まとめ:IT資格で年収アップを目指そう

何度も繰り返していますが、資格がなくてもITエンジニアになれます。しかし、資格のあるITエンジニアの方が就職や案件探しで有利になるのは間違いありません。評価の高い資格を取得している方は、事実として年収も高くなっています。

このように、資格はすべてではありませんが、年収アップの方法として資格取得は有力な方法である、ということが、今回、ご理解いただけたと思います。

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