株式会社アイデンティティーは、自社サービスに登録されているユーザーや現在フリーランスエンジニアとして活躍されている方などを対象とし、日頃の感謝を込めたオンラインイベント「テクフリAWARD2021〜フリーランスに贈る冬の感謝祭〜」を12月22日に開催いたしました。
本記事では、イベント内で開催された「CTO対談〜Withコロナ時代に伸びるサービスとは?エンジニアに求めるスキルとは?〜」の模様を公開いたします。株式会社BuySell TechnologiesのCTOをはじめとした、有名企業のCTO/CEOの皆様に、コロナ禍におけるCTOとしての本音、これからエンジニアに求めるスキルなどを語っていただきました。

登壇者紹介

新保 博文氏(以下、新保):みなさん、こんばんは。年末の時間に集まっていただきありがとうございます。私はモデレーターをします株式会社Work with joy CEO新保と申します。本日は、お三方の話を通じて、様々な示唆をいただければと思います。よろしくお願いします。

新保:それでは、登壇者のみなさんに自己紹介をお願いしたいと思います。

今村 雅幸氏(以下、今村):皆さん、今晩は。Buysell technologiesでCTOをやっている今村です。本日よろしくお願いします。

若井 信一郎氏(以下、若井):ハマヤでCTOをやっている若井です。今の会社は京都で50年続いている手芸屋さんで、今IT事業を立ち上げたり、DXコンサルをおこなっています。本日は、そのあたりの話もできればと考えています。よろしくお願いします。

城倉 和孝氏(以下、城倉):デジタルハーツのCTOをやっている城倉と申します。2020年からデジタルハーツのCTOを担当させていただいています。よろしくお願いします。

新保:みなさん、ご経歴も様々なのでいろんな観点から意見もらえると思います。よろしくお願いします。

今後コロナ禍の勤務形態はリモートと出社の二分化に

新保:それでは、最初のディスカッションテーマです。 事前に質問の回答をいただいていまして、スキルやマインドセットなどについても今回は話ができればと思います。

現状でいくと、日本では若干コロナが収まっている状況だと思いますが、とは言え、オミクロンなども出てきていますよね。 このような中で、皆さんの会社では、どのような働き方をされていますか?

今村:営業やCSは出社せざるをえない部分があるので、出社もしていますが、エンジニアは9割くらいがリモートワークをしています。
これから先、リモートワークを完全にやめることはできないと思っているので、基本的には継続すると思います。

若井:リモートワークが当たり前になっている状況です。一方でコミュニケーションロスも心配になってきています。そのため、役員は出社していますね。業務委託エンジニアさんは基本はリモートワークです。

城倉:弊社はテストエンジニアなど、色々なエンジニアがいるので、それによって少し働き方も違ってきます。秘匿性が高い情報を扱う業務については、情報管理や統制の部分もあるのでオフィス出社のこともあります。ただ、こういう時代なので、お客様が問題なければリモートワークになっています。

新保:会社のやり方や状況などあると思いますが、今後リモートワークは定着すると考えられていますか?

若井:CTOのつながりがあるのですが、そこで話を聞いていると、大きく二分していると思います。リモートワークが定着する企業もあるし、出社比率を増やすところもありそうです。

今村:若井さんおっしゃったように二分すると思います。
ただ、リモートワークが長くなり、これから変更があると普段の生活にも影響があるのかなと。その辺りを考慮して出社比率を考える企業が出てくるのではないかと思います。

注目技術はiosや機械学習系。web技術のニーズが急上昇中

新保:このような状況の中で、スキルセットで行くとどのような方が活躍できると考えていますか?今後のコロナの状況など、時間軸などもあるので一言では難しいとは思いますが…。あえていうなら何だとお考えでしょうか?

今村:最近でいくと、弊社だとフロントエンドのエンジニアが不足しているので、そのスキルがあると重宝されると思いますし、スキルを伸ばせば需要もあるかと思います。

城倉:一般的な市場という話になりますが、Java、PHPはエンジニア数が多いことから、言語選択される企業も多いと思います。一方で先端を求めている企業はTypescriptのような新しい技術、モダン系技術などのニーズが高いんだろうと思います。iosや機械学習系もニーズを聞きますね。

若井:まさにお二人がおっしゃったことだと思います。
ウェブ技術の需要は高くなっていると思います。新しく使える技術も出てきているのでつぶしがきくと思います。そのような状況でiosなど人材側が減っているところや、ブロックチェーンなどは供給が上回っているので、そういった技術者になると良いのかと思います。

求められるエンジニア人材=「ジェネラリスト」

新保:エンジニアはどこも足りてないという状況だと思います。具体例として、自分だったらスキルの横展開する、深堀するなど考えはありますか?

城倉:個人的には好きな技術をしっかりと高める、仕事を探すのが前提だと思います。それ以上にバリューを高めるのであれば、時流をつかんで技術学習していくことが良いと思います。

今村:もし僕が30歳だとしたら……需要が高い技術を深ぼると思います。一通り自分でサービス開発ができるレベルに高め、職種を区切らずにどのプロジェクトでも活躍できるようにすると思います。

新保:守備範囲を広げて、何が来ても対応できるようにするということですね。

今村:そうですね、とがった1つのスキルを極めるというよりは、どこでも活用できるものがいいかなと思います。

若井:ジェネラリストかスペシャリストか、だと考えています。感覚としてはジェネラリストの方が求められる人材になれると思います。ある程度の技術を獲得した方は、経営やファイナンスの知識をためて、プロダクトマネジャーになる方が求められるのかなと感じたりしています。

CTOには「エンジニアスキル×〇〇」が必須

新保:私も色々なCTOに取材をさせてもらっています(※CTO列伝)が、皆さんエンジニアスキルに掛け算が必要だとおっしゃっています。そういう感覚はいつぐらいから重要性に気づきましたか?

今村:私は25歳に起業したので、その時は何もわからなかったですが、30代手前で資金調達などの経験を経て、自分はエンジニアの延長だけれど、経営者として社員の生活を背負っているんだという責任が芽生えました。それまで何だったんだと思いますが(笑)

新保:その後経験は、エンジニアとしての仕事にも生きてきましたか?

今村:そうですね、かなり生かされています。単純に良いプロダクトをつくることだけではなく、事業としてどう成り立たせるのか、市場に向かうのか、を考えるようになりプロダクトづくりに生かされたと思います。

城倉:私は50以上のプロジェクトでシステム構築をした経験があります。その時々で携わる分野での業務知識や用語の理解が求められてきました。そうやって覚えたことが、経営者となった際に必要なスキルセットだと実感することができました。

また、良いユーザー体験をつきつめようとすると、そのドメインの知識がないと難しいんですよね。これまでの様々な現場での経験は活かせるものだと感じています。

新保:私の経験から、エンジニア→経営者の方がやりやすいと思います。うらやましいなという感覚もあります。

フリーランスに求められる新たなスキルは【質問力】

新保:ここで話を変えたいのですが、エンジニアの中でもフリーランスに求めることは、ここ最近で変わりましたか?

若井:オフラインでしか感じられない、人の雰囲気が見えづらくなったと思います。
自分がどういう業務をしているとか、自分の考えを見せていけるような力が重要になると感じています。今はツールも諸々ありますので、リモートだからこそそういったツールを利用して見せやすい部分もあると思います。そのような方の需要は高いと思います。

新保:いかに能動的に発信するのかが大事ということですね。

今村:フリーランスに限ったことではないのですが、どれだけコミュニケーションの密度を上げられるかの能力が求められていると思います。会社側の努力も必要にはなりますが、例えば、Discordに入ってもらったりslackに反応するなど、コミュニケーションの量と質がお互い求められていると思います。

新保:この話題に関して、事前質問で、『質問力』という言葉が皆さんからあったことが興味深いなと思っています。こちらについてより詳しく教えていただけますか?

今村:リモートだと状況が分からないので、自身が行き詰まっている状況をすぐに共有して、聞いてもらう方が結果的に効率的になると思います。かしこまった形式をとるよりもすばやく共有することが求められると思います。

新保:業務委託の場合は、即戦力として見られている部分もあるので、質問をするということとのバランスは難しいと思います。最初のうちは、すり合わせが必要ということですね。

今村:はい、例えば、当社は工夫としては、オンボーディング期間などを設けて、遠慮して質問できない、という空気をなくすようにしています。

城倉:今村さんおっしゃっていたように見えないからこそ、発信する行動は必要だと思います。FLだと遠慮してしまう部分もあるので、振り返りをしたり、問題を発信するということは積極的にやった方がいいと思います。

新保:コミュニケーションについて、いかにプロアクティブに問題を可視化して発信するかも重要だということが分かりました。

CTOが重視するマインド『カルチャーフィット』とは

新保:次に、マインドの観点です。皆さんの事前質問回答から、『カルチャーフィット』という単語が出てきているのですが、どういうイメージを持たれていますか?

城倉:チームの最適なやり方があると思うんですね、そこに合わせていくということだと思います。スクラムと言ってもやり方も異なりますよね、自分は業務委託で外部から来た人という意識ではなく、最適を理解し、コラボできる姿勢が必要だと考えています。

若井:自分自身と企業のパーパスをマッチさせられるか、が重要だと思います。自身のパーパスはキャリアアップや好奇心や向上心にかかわってくると部分です。それと、企業の風土や方針を理解し一致させに行くのが大事だと思います。間口が広いほど活躍できる場が広がると思います。

今村:その人が入ってくれたら、周囲に良い影響が与えられる、そういった雰囲気が理解されるような行動がとれる、というのがカルチャーフィットだと思います。バリューを認識して見せられる人が今活躍している人に共通していると思います。

新保:どういう具体的なアクションになりますか?自己満足ではだめだと思うのですが…

今村:具体的にいえば、今進んでいるプロジェクトの課題に対する情報共有をしたり、気を付けることなどを先回りしてslackに貼ってくれるとか。業務に関係する幅広い知識はプラスの評価だったり一緒に働いていて楽しいと感じます。

リモートワーク増加で感じるチームビルディングの難しさ

新保:話を聞いていて、今チームワークは難しくなっていると感じています。プロジェクトの拡大や複雑化もありますし、リモートワークといった働き方もあると思います。実感としていかがでしょうか?

今村:今は、良い会社、つまり良い条件の会社が増えてきたので、良い技術者にとどまってもらうためにやらないといけないことが多くなったと思っています。なので、組織全体が良くなるような影響を与えてくれるアクションがあると価値が高いと思います。チーミングだけではく、プロジェクトマネジメント全般が難しくなっていると感じます。

城倉:組織維持は難しくなっている、その通りだと思います。1人のLDが引っ張り管理すればよかった時代から、個の自律が求められる時代になっていると思います。よりチームビルディングが重要になってると思います。

若井:その通りだと思います。技術が高度化して、チームのスキームや考え方が高度化している、個の力に頼ることが多くなっていると思います。

ただ私は、その中で、企業側が評価制度をブラッシュアップしていく時代になっていると思います。例えば、コミュ力が低くても技術力を評価する、といった流れがあると思います。なので、コミュ力は重要ですが、それだけが求められ、評価されると思いすぎることもないのかなと思います。

新保:コミュ力はどの企業でも重要というのは、前提ですが、技術力をしっかりと磨いておけば、そのうち評価制度も追い付き、評価されるよ、ということですね。わかりました。

つづいて質疑応答に移りたいと思います。

リアルタイムでCTOに質問!CTOの本音が明らかに

質疑応答はSlidoを使用し、リアルタイムで登壇CTOへの質問を募集し答えていただきました。

新保:ひとつ目は若井さんピンポイントの質問です。

若井:あるあるですね。弊社は老舗企業だったため、ITへの抵抗感はとてもありました。 それを打破するために、私の経験として言えることは、小さい部分から成功を積み重ねる、だと思います。

様々な部署の中でも、協力者や賛同者が多いところからスタートさせるのがいいのかなと思います。一番小さい工数で効果が出る部分をIT化すると、実感を持ってもらえます。そこから横展開をすると理解者が増え、全体のシステムを入れられる状況になるので、ぜひ試していただければと思います。

新保:城倉さんも同じような経験が多くあるんじゃないかなと思うのですが……

城倉:そうですね、会社にどうアピールするか、ということだと思います。コスト削減は意外と見えにくいし経営者に刺さらないので・・・それよりも速度改善や質改善、など、経営者に響くポイントをつくのが良いと思います。

若井:まさにそうですね、効率化は既存従業員の不安も呼び覚ますので、今がよりよくなりますよ、というメリットになるメッセージを伝えます。

新保:私のコンサルの経験からも、今までの否定になると現場の抵抗があるので、システム導入の良い部分を伝えた方が良かったという思い出があります。小さな成功の積み重ねや、価値の伝え方、言い方もあるかなと思います。

新保:経験が足りていないため入れる案件がない、どうアピールしたらという質問ですがいかがでしょうか?

今村:自分だったら、さすがに全く未経験は難しいので、自分のプロダクトを作って試すということをします。私も今でもやっていますし新卒にもおすすめすることです。企業側の説得力にもなるのでおすすめです。

新保:今の立場でも行っているということですか?

今村:はい、例えば自分のサービスで利用するために、検索エンジンを利用してみて、肌感覚をもって現場に壁打ちするということをやっています。アプリでもウェブサービスでも自分で開発、運用してユーザーがつくと良い練習の場になると思います。

新保:他に、違うアプローチってありますか?

城倉:履歴書見る人の観点を考えてみるのも1つだと思います。類似スキルや共通点があれば、それをアピールしつつ、目的の言語は独学という伝え方もあるかな、と。募集要項にある内容に1つでもマッチする部分があればそこを狙う、などかなと思います。

新保:今持っているもので、アピールするというのもあるということですね。

今村さんに何件かきてますね。

新保:上長に対してカジュアルな質問を投げるマインドは?

今村:この環境はあまりよくないと思いますが(笑)パフォーマンスの良いチームというのは、良い緊張とのバランスなのですが、心理的安全性が担保されていますよね。例えば、自分でslackの部屋(timesチャンネル)を作って、書きまくって困っている部分を認知してもらう、周囲のメンバーにわかってもらうような仕組みを作るのがいいと思います。質問ができない状況は結果的にチームに悪影響になるので、自分の課題を上じゃなくても横でもいいので、発信するのがいいのではないかと思います。

新保:発信しないと気づかれないですからね。

今村:それで、誰も助けてくれないのなら、その現場は離れたほうが……

新保:そうですね(笑)

今村:私自身はそういった環境づくりはメンバーにも伝えて、気を付けるようにしています。

新保:最後に、コロナの情勢で事業を成長させていくにあたり、どのような意識や考え方の変化がございましたか?

若井:コロナだからと言って大きな考え方の変化はないです。
私は、以前から時流に乗るという考え方をするようにしています。今コロナ禍であればそれに合わせてビジネスを考えるようにしています。その際に最小コストで最大パフォーマンス、ということを考えています。本質は何かを考えて、それを実現しようと思っています。

今村:コロナで変わった考え方としては、世の中で常識だと思われていることは壊すことができるということです。
例えば、以前では印鑑をなくすということは考えられなかったですよね。自分たちが当たり前と考えていることを壊していくところにビジネスチャンスがあると思いますし、そこにエンジニアの活躍の場があると思います。あえてコロナ禍をポジティブにとらえるなら、当たり前を考え直すあと押しになっていると思うので、そういう想いでいます。

城倉:コロナだから、というよりは、時流を見てトレンドを見るという話はそうですよね。コロナのような大きな変革はゲームチェンジが起きると思います。これまでだとガラケーがスマホにかわったときなどがありました。読みにくい時代だからこそ仮説をたくさんもち、小さくたくさん検証していく必要があると思っています。

新保:皆さんのお話から、世の中をたくさん見続けているのだなと感じました。

特に「本質」や「時流をつかむ」という話からそう感じています。多岐にわたる内容で、示唆に飛ぶ発言をたくさんいただきました。ありがとうございました。

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