「100円」からアートを分割保有できる、次世代アートプラットフォーム「STRAYM(ストレイム)」を提供するSMADONA株式会社 CTO阿達 俊和さんにインタビューしました。大災難に見舞われ背負った莫大な借金をフリーランスとして完済した壮絶な半生と世界初のプロダクトでアート分野にチャレンジする意気込みを語ってもらいました。逆境に負けず「楽しさ」を追求する一人の男のドラマが展開します。

23歳で借金を背負う

ーエンジニアを志した原体験とキャリアの出発点を教えてください

子供の頃に出会った「ロマンシング サガ2」にハマり、ゲームが好きだったこともあり、ゲーム開発を学べそうな専門学校に行きました。しかしゲーム業界は狭き門だと分かっていたので、ゲームの学科には入らず将来的に潰しが利く、情報処理の学科を選択しました。その後、アルバイト先で出会った先輩の紹介で新卒としてSIerの会社に就職しました。これがキャリアの出発点です。当時はエンジニアになるという思いが希薄でしたが、23歳の時、実家が火事になり全焼しました。マンションでしたので、延焼した部分を保証する義務はないのですが、ある程度の近所づきあいと、両親が居酒屋をやっていることもあり、お客様もいたので保証しないわけにはいかず、結果借金を背負うことになりました。そしてお金に困っているところ、就職を紹介してくれた先輩が「フリーランスの道があるよ」と助言してくれました。僕としては就職2年目の新人状態でしたのでフリーランスになるのは怖かったです。しかし背に腹は変えられません、フリーランスになりました。もちろん収入も上がると責任も上がり、お客様には「こんなことも知らないなのか」と叩かれ、悔しくて、文字通り泣きながら仕事をしていました。しかしここで折れることはできず、悔しさを吹き飛ばすために、土日も勉強し、他の人よりも早くエンジニアとして育ったと思います。そして29歳の時に借金を全て返済しました。

「苦境でも楽しめるようにしよう」と決意

ーどのようなモチベーションが阿達さんを支えたのでしょうか

「お金を返さなければいけない」という大前提はありましたが「仕事は楽しい、頑張る、その結果お金が入る、それでお金を返せる」このサイクルが自分の中で回っていました。「苦境でも楽しめるようにしよう」そこに楽しみを追い求めるマインドセットを持って行こうと思いました。30歳になって、次の自分のキャリアを「どうしようか?」と考えていた時、クライアント先のベンチャー企業に転職しました。開発部長として30人ぐらいの部署を統括していました。しかしそのベンチャー企業が大手に買収され、私も大手に入りましたが、社風が合わず、辞めてまたフリーランスに戻りました。それから1年後、受託開発会社を立ち上げます。不安もありましたが、挑戦したい気持ちが強く「変化を恐れないだけではなく、変化を受け入れつつ変化を楽しむ」ことを信条としたのが起業の動機です。楽しくないと長続きしませんからね。楽しいポイントをどう探せるかが当時の私にとって重要でした。会社に集まったメンバーは全てフリーランスメンバーです。受託開発や自分たちのサービスを作る中、クライアントとしてSMADONAと出会います。運命的な出会いでした。そしてSMADONAのプロダクトに魅力を感じ、今の会社を経営しながらSMADONAのCTOとしてジョインしました。

アート作品を購入するハードルを下げたい

ー技術責任者として今取り組んでること、これから取り組みたいことを教えてください

世界初のサービス「STRAYM(ストレイム)」を開発しています。何が世界初かというと100円からアートの分割保有権を販売し、その保有権を会員間で売買できるということです。例えば100万円のアート作品があったとして、一口100円で保有権を分割して100円単位で売買できるのです。「アートコレクターとアートを購入する人たちのコミュニティーの拡大と民主化」に主軸を置いています。注目されるアート作品はどれも高額な作品が多く、それらを購入するハードルを下げたい思いがあります。面白いのは、100万円のアート作品を一口100円で買い、それを200円で売ることが可能なんですよね。いわゆる株式に近い感じです。所有権を分割して売買できるプラットフォームになっています。

ー現在の開発チームを教えてください

開発チームは私を含めて3名です。私はプロジェクトマネージャー兼エンジニアです。そしてフロントとバックを担当するエンジニアとカスタマーを担当する運用オペレーターがいます。まだまだ開発フェーズにいますので、作りたいものを作るだけではなく、UI/UXの改善やPDCAサイクルを回すことなど、サービスを作っていく上で当たり前のことをしています。

ーどのようなアート作品を取り扱っていますか?

現時点では注目の海外アーティスト作品を主に扱っています。話題のバンクシーも取り扱い作品の一つです。現在、取り扱っている作品は弊社が国内のコレクターから出品まで取り付けてきたものです。一方で高額なものだけではなく、若手のアーティストの作品も扱っていこうと考えています。更に若手アーティストが様々な事にチャレンジできる土壌づくりも行っています。若手アーティストを応援する企画の一つとして女子美術大学付属高等学校のコロナ禍で中止となっていた卒業制作展を復活開催し「STRAYM(ストレイム)」で販売することなども視野に入れています。売上金額を学生たちに制作費としてお支払いする仕組みです。制作すること自体お金がかかりますからね。以前、画材屋さんのECサイトを担当していた時、スタッフの多くがアーティストでした。そこで話を聞き、顔料自体も色によっては高額なものがあり、創作活動のために寝る時間を削ってアルバイトをしたり、簡素な食事で健康を壊すなど、色々なものを犠牲にしているなと。創作活動における厳しさを知りました。

国内におけるアート業界の拡大を目指す

ー経営陣の一員として今取り組んでること、これから取り組みたいことを教えてください

「STRAYM(ストレイム)」が唯一の事業ですので、「STRAYM(ストレイム)」を育てるために、予実管理や要件をきちんと回して改善し、アライアンスできるプロダクトやビジネスパートナーを探しています。アート業界を市場規模で見ると、世界では約7兆円の規模ですが、日本国内では約3000億円です。世界の3%ほどですね。ここをまず広げていきたいと思います。「アート作品を購入するハードルを下げ」「創作活動に従事する人を増やす」ことで、「国内におけるアート業界の拡大」へ繋げていく。これが「STRAYM(ストレイム)」のミッションです。そこを視野に入れて動いています。

フリーランスになることがゴールではない

ーこれからあるべき技術者(エンジニア)像とは?

エンジニアのキャリアパスとして「フリーランスになる」ことが一つの流れになっていますが、「フリーランスになる」ことがゴールではないと思います。僕自身もフリーランスで「なぜ会社を立ち上げたか」というと自分が50歳になり20、30歳の人たちに並んた時にフットワークやネットワークは彼らに勝てないと思ったからです。フリーランスになり「どこにゴールを据えられるか」そこを考えられる人が良いと思います。「どのような道筋を立て、どのような勉強をして、どのように仕事していけば良いか」考えられる人が良いと思います。

相手の良いところを発見する

ー阿達さんの「信念」「価値観」「大切にしていること」は?

何事も楽しくですね。趣味や仕事を含めて、全てストレスを感じないようにしています。そこを念頭に置いて仕事をしています。楽しさに由来する面ですが「何で楽しいんだっけ?」と思う時があります。やはり「楽しさ」に由来するものは、一緒に仕事をするメンバーだと思います。だからこそ、彼らの良いところを、なるべく発見しようとしています。そして一緒に働く人のために「彼らが望むように動けるようにしよう」と思います。そこを念頭に普段の行動を心がけています。

フリーランスのキャリアに寄り添うサービスを作りたい

ーこれからの目標や野望を教えてください

会社(SMADONA)としては将来的にIPOを視野に入れています。僕個人の目標としてはフリーランスのエンジニアと仕事をする機会が多いので、彼らのキャリアに寄り添うサービスを作りたいです。「今の時点が最終的なフリーランスの地点ではない」と将来あるべき姿をサジェストしたり、スキルアップを支援したり、フリーランスとしての経験があるからこそ必要な支援を生み育てていきたい、それをプロダクト化し事業として展開できればと思っています。現在、Growfit-Worksという案件のマッチングやフリーランスのキャリア相談等含めたコミュニティを作り始めているので、ご興味ある方はご連絡ください。

ー最後にお知らせしたいことがあったら、教えてください

今後も若手アーティストの支援や取り扱う作品を拡大するなど色々チャレンジしてますので引き続き「STRAYM(ストレイム)」に注目してくださいね。

取材を終えて

「楽しむ」ことに対するこだわり、一緒に仕事をするメンバーの良さをみつける「楽しみ」に、逆境を乗り越えるヒントを見つけました。それだけではなく、前文では触れませんでしたが、アートに対する阿達さんの見解を以下に記したので読んでください。

阿達さん:「アートは追えば追うほど奥が深いです。アート作品そのもの観てもわからないこともありますが、作っている人の考えやその人のバックボーンを追っていくと『なぜそんな作品を作ろうとしたのか?』を理解できます。そうすれば作品の見方が変わり、アートの世界が広がるでしょう」

仕事とアートが一体化した阿達さんの哲学を伺えます。アートに対する取り組みと仕事に対する取り組みが同じだと感じました。

プロフィール:阿達 俊和

銀行系業務システム・C向けWebサービスの構築にプログラマーとしてエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、フリーランスエンジニアとして主にC向けWebサービスを主戦場にシステムエンジニアとして活躍。決済サービスや情報系のポータルサービス、公営競技のWeb投票システムの構築などに従事。2014年4月、株式会社ケイドリームス入社。開発部部長としてシステムの開発・運用を指揮する。2017年7月からは、2度目のフリーランスとしてC向けWebサービスの開発・運用に従事しながら2018年7月に受託開発・SES事業を中心とした株式会社Growfit設立。2020年5月、SMADONAのCTOとして参画。

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