2017年に東京大学の学生4人によって設立された株式会社Gracia。「大切なひとときを彩り、人のつながりを豊かにする」というミッションのもと、ギフトECサービス「TANP」を運営し、累計17億円の資金調達を完了。今回は、そんな成長著しい企業とともに成長する26歳の若きCTO林 拓海さんにお話をお伺いました。数々の壁にぶち当たり、その度に乗り越え、成長してきた林さんの経験やエンジニアリングに対する姿勢は、年代問わず全エンジニアにとって参考になること間違いなしです。

エンジニアとしての原体験:頭を使って問題を解決することが好きだった

 ーエンジニアになろうと思ったきっかけを教えてください。

大学2年の時に始めたインターンがきっかけです。大学に入るまでは、一切プログラミングをしたことがなかったのですが、先輩に誘われてエンジニアとしてインターンに参加することになりました。インターンでは、VBAを使ってExcelのマクロを作成し、社内業務を効率化するツールをいくつか作成しました。そこで初めてプログラミングの面白さを感じました。昔から頭を使って何かを解決することは好きだったので、エンジニアリングは自分の性格に合っていたんです。その後、別のWeb系企業でインターンを始めました。Railsを用いてWebアプリケーションの既存機能開発を行い、自ら作ったサービスが多くのユーザーに使ってもらえる喜びを感じました。

ーインターンをする中で意識されていたことはありますか?

社員さんたちの行動をじっくり観察していました。 具体的には、

・スキルがある方の働き方
・ビジネスチームと開発チームのコミュニケーションの取り方
・チーム開発の進め方
といった点を学ぼうとしていました。インターンでエンジニアリング組織の全体像を目の当たりにしたことは大きな学びになりました。

大学3年生で起業:不安はあったが、むしろチャンスと思い飛び込んだ

ーどういった経緯でGraciaの創業に至ったのでしょうか?

私が大学3年生の時に、大学の同期である現CEOの斎藤と現COOの中内の2人から誘われたことがきっかけです。「ギフトのECサービスを立ち上げるからエンジニアとして入ってくれないか」と誘われてジョインすることになりました。ジョインした理由は、“ギフト” という近い人が幸せになるサービスである点や、決済・物流・インフラといった幅広い分野の開発に携われると思ったためです。

ーエンジニアリング経験がバイトやインターンのみの中、不安はなかったのですか?

正直、結構不安でした。しかし、追い込まれて力を発揮するタイプだと分かっていたので、逆にチャンスだと思えたんです。周囲にサポートしてくれる人がいたという点も安心材料になりましたね。創業メンバーであるもう1人のエンジニアや、何でも聞ける外部の先輩など、悩みや困ったことはすぐに相談できる良い環境がありました。また、1からプロダクトを作っていける点も魅力的でしたね。インターンだと、1から機能開発に関われる機会はあまりないので、良いタイミングだと思いました。

ーどのようにしてプロダクトを大きくしてきたのですか?

フルスクラッチで開発し、創業から約3ヶ月でTANPをリリースしました。その後インターン生を3人採用し、開発スピードを上げました。1分1秒でも早く届けられる物流システムの構築や、名入れ・指定日配送といったオプションへの対応など、様々な機能を開発する必要性があったんです。中途でエンジニア経験がある方にも正社員として入っていただき、チーム開発体制の整備やコードの規約・品質管理ができるようになりました。

わからないことだらけで、プロダクトをローンチしきった創業期

ー開発を通して苦労したことは何ですか?

創業からの約2ヶ月間は、何もわからない中で開発を進めていたのでかなり苦労しましたね。1からプロダクトを作った経験もなかったので、週7でPCと向き合っていました。定例会議でプロダクトの状況を報告するのですが、進捗がないと「本当にリリースできるのか?」という話になり、迷惑をかけて申し訳ない気持ちになったのを覚えています。厳格なリリース日の目標はなくとも開発ができたのは、期待に応えたいという想いからだったかもしれません。そんなこんなでエンジニアリングに没頭していると、2ヶ月ほどで徐々にWeb開発の仕組みが分かってきました。

ー初期の苦労があったと思うのですが、学びとなるような失敗談はありますか?

長期的な目線でのプロダクト開発が出来ていなかった点ですね。これが発覚するのは創業から約1年ほど経ってからなのですが、ユーザーの急激な増加に備えた開発が出来ていませんでした。この分野に関しては当時全く知見がなかったので、この経験を通して「ただモノを作るのではなく、長期的な目線で開発する必要性がある」ということを学べました。今では、経験豊富な中途メンバーの知見をもとに、将来を見据えた質の高い設計を意識しています。

環境が変わるごとに成長を加速

ー様々な困難を乗り越えてきた中で、ご自身が大きく成長したなと思う出来事はありますか?

環境が変わった時に大きく成長しましたね。その出来事は2つあるのですが、まず1つ目は、創業メンバーであるもう1人のエンジニアが辞めた時です。それまでは、私がECなどシステムの表側を担当し、彼がインフラや管理画面などの裏側を担当していました。しかし、彼が辞めたことで私が1人で裏側も含めたシステムの全てを担当しないといけない状況になりました。大変ではあったものの、結果的に自分の開発出来る幅が広がり、スキルアップが出来ました。2つ目は、経験豊富なエンジニアの方々に入っていただいた時です。彼らのおかげで組織としての技術力が上がり、それに引っ張られるように自分もスキルアップ出来ました。技術的な知見だけでなく、組織的なアドバイスも頂けたので、視野が広がりましたね。

ー成長するためにはインプットが欠かせないと思うのですが、インプットをするうえで何か工夫されたことはありますか?

アウトプット前提でインプットをすることを心がけていました。例えば、「ECサイトにカート機能を実装するにはどうすればよいか?」という目的を解決するためにインプットをする、といった具合です。そうすることで、必要な情報だけを効率的にインプットできるので、「インプット→アウトプット→インプット→・・・」という好循環が生まれます。基本的なインプット方法は、本やインターネット、もしくは知人への質問ですね。知人へ尋ねる際は、事前に自分である程度調べた上で不明点を明確にすることを意識しています。まずは自分で調べるクセを付けることが大切だと思います。

エンジニアリングにおいて大切にしていることはありますか?

技術を良い意味での手段と捉えて、お客様にどのような価値提供ができるかを常に考えることです。これは最初から出来ていたわけではなく、経験を積むにつれて徐々に学んでいきました。創業当初は、プロダクトアウト的に機能開発を進めていました。しかし、「ユーザーが本当に欲している機能はなにか?」と考えた時に、もっとユーザーの意見を取り入れるべきだと気づいたんです。それからは、ユーザーインタビューなどを通してユーザーの声を拾い、プロダクトに反映しています。新たな機能開発をする際は「それって本当に必要な機能なの?」と一度考えてから開発を行うよう心がけています。ビジネスチームとのコミュニケーションを徹底し、単に実装する作業者ではなく、一緒に課題解決していける存在として価値提供することが、エンジニアのあるべき姿だと思います。

ギフトの“質”をあげ、“回数”を増やすことで幸せに溢れた世界に

ー林さんの夢を教えていただけますか?

テクノロジーを駆使して、何か大きな課題を解決することが夢です。Graciaでは、今まで難しいとされてきたギフトの物流を効率化し、世の中の幸せを最大化していきたいと考えています。具体的には、1,2日で届く配送の迅速化や、ラッピングなどのオペレーション効率化が挙げられます。また、ギフトを贈る側の「何をあげたら良いのかわからない」「買いに行くのが大変」という課題も解決したいです。「ギフトの質 × ギフトの回数 = 幸せの総量」という方程式のもと、ギフトの質を高め、回数を増やすことで、世の中の幸せの総量を増やしていく。TANPを通してなら実現できると信じています。

ーTANPでそのような世界を実現するために、どのようなエンジニアと働きたいですか?

当社の「大切なひとときを彩り、人のつながりを豊かにする」というミッションに共感していただける方と一緒に働きたいですね。さらに、サービス志向のエンジニアさんであれば当社のカルチャーにもフィットするのではないでしょうか。「テクノロジーを駆使して世の中に価値提供していきたい」と思っているエンジニアさんと一緒に、幸せに溢れた世界を実現していきたいですね。

取材を終えて

インタビューを通して、林さんの視座の高さに感服しました。成長真っ盛りの20代であれば、「自己成長」を仕事における最重要項目とする方が多いのではないでしょうか。しかし、林さんは「いかにこの世界をより良いものにしていくか」ということを第一に考えられています。もちろんその目標を達成するために、たゆまぬ努力をされていることは間違いないですが、あくまでもそれは手段。林さんのお話は、「働く=社会貢献をすること」という本質的な部分を再認識させてくれました。 ギフトをもらって気分が悪くなる方はいないのではないでしょうか?ギフトを贈る側も相手が喜んでくれたら幸せな気分になるはずです。関わる人全員が幸せになるサービス「TANP」を通して、世の中の幸せの総量が増えていく。そんな素晴らしいサービスを開発する、超ユーザー志向の26歳CTO林さん。今後のご活躍が楽しみでなりません。

プロフィール:林 拓海(取締役/CTO)
1995年生まれ、千葉県出身。
東京大学 工学部システム創成学科2019年卒業。
在学中からプログラミングを始め、人材・教育・メディア企業での開発経験を経て斎藤・中内と2017年に株式会社Graciaを創業。現在のTANPをフルスクラッチで開発。

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