「日々のモノの流れを超スマートに」をミッションに、企業や消費者向けにIoT重量計を使った在庫管理・発注自動化サービスを提供している株式会社スマートショッピング。2021年6月には3億円の資金調達を完了し、累計資金調達額8億円を突破。今回は、そんな成長真っ只中のスタートアップのCTOである長島さんにお話を伺いました。19歳で初めてプログラミングに触れてから23歳でリーダーとして活躍。その後渡米しプロダクトを作るものの、リリースできないという挫折を味わい、帰国後にスマートショッピングの立ち上げメンバーとして参画。そんな激動のエンジニア人生を歩んできた長島さんのお話は、成長したいエンジニアにとっては必読です。

作ったものが動くことに感動。19歳で初めてプログラミングに触れる。

―エンジニアになろうと思ったきっかけを教えてください。

中学生の頃からPCに触っていましたが、プログラミングを始めたのは19歳の時にWindows95が発売された後の頃です。訪問者数を計測するカウンターを作成したのがきっかけですね。ちょうどその時期にJavaScriptも登場し、画面で文字が流れるなど誰かがこのプログラムを作っているなと実感するようになったんです。興味を持った私は自分で勉強し、訪問者数を計測するカウンターを作ってみました。この時、自分で作ったプログラムが実際に動くことに感動と面白さを感じたのを覚えています。もっと勉強しようと思い、プログラマーとしてアルバイトをしていた友人に相談すると、「一緒に働かないか?」という誘いを受け、ソフトウェア開発会社でアルバイトをすることになりました。

―当時はどのようなものを作っていたのですか?

最初は、Visual Basicを用いてWindows上で動く簡単な生産管理システムを作りました。とはいえ、社内の手厚いサポートの上で、作っている状況でした。未経験だったのにも関わらず、周りの方が親切に教えてくれたので、お金をもらいながら学んでいる状態でした。平日は授業終わりから終電の12時くらいまで働くことが多く、“独習シリーズ” などの参考書を購入して自分でもかなり勉強していた記憶があります。後にこの会社に就職して5年間在籍することになるのですが、アルバイトをきっかけにどんどんプログラミングにのめり込んでいきましたね。

学びの基本は自分で調べる。23歳でお客様の説明含めて前面に立つ

―プログラミング学習において苦労したことはなんですか?

大きく分けて2つありまして、まず1つ目がインフラの知識・スキルの習得です。ソフトウェア会社に入って1年半後あたりで、インフラ環境の構築、運用を任されたのですが、今までやっていたシステム開発と全く違う領域だったのでキャッチアップに苦労しました。2つ目は、数学です。どういうことかというと、例えば、3Dの地図シュミレーターシステムの開発案件があったのですが、その際に立体図の角度を算出する計算式を作って開発を進める必要がありました。アプリケーションの開発自体に苦労した経験はほとんどないのですが、この作業はかなり骨を折りましたね。

―壁にぶち当たった時はどのようにして解決していましたか?

基本的には、まず自分で調べて解決しようとしていました。自分で調べても解決できない場合は、先輩に聞きに行くのですが、その際は、分かることと分からないことを明確にわけて尋ねることを意識していました。これが一番お互いにとって効率的な質問の仕方だと思っています。今だとQiitaなどにたくさんの情報が載っているので、かなり便利になりましたよね。一方で、誤った情報も存在してしまっているので、1次情報を取りに行くことは意識しています。

―それだけ積極的に学ぼうとする姿勢があると、急速に成長したんじゃないですか?

ある程度自分の力を認めてもらえたこともあり、2年目以降はリーダーを任されました。当時は23歳だったのですが、大手SIerの課長クラスの方と対面して仕事をしていました。怒られることもありましたが、成長に繋がる良い機会だったと思います。最終的には、3~4個のプロジェクトを掛け持ちしていましたね。

アメリカで技術力だけではビジネスが出来ないことを痛感

―2社目はどのような企業に転職されたのですか?転職理由も併せて教えて下さい。

株式会社シーエー・モバイルというサイバーエージェントの子会社に転職しました。転職理由は、コンシューマー向けのプロダクトを作りたかったためです。ただ便利なサービスではなく、もっとエンタメ要素があるおもしろいアプリケーションの開発に携わりたいと感じるようになっていました。当時はiモードが立ち上がって5年位の時期で、携帯が電話やメールをするためだけの便利なデバイスではなく、着メロやデコメールなどのコンテンツを楽しむデバイスになっていました。今後は、こういったコンシューマー領域が伸びるだろうし、おもしろそうと思ったんです。

―シーエー・モバイルでは何を作っていたのですか?

最初の2年はECサイトの開発、その後4年はエンタメ系のポータルサイトを作っていました。ECサイトがローンチする直前に入社し、ローンチ後はランキングでずっと1位だったんです。その後横展開をして拡大し、最終的には当時の先輩と2人で8サイトを開発しました。また、並行してインフラチームも兼務していました。オンプレサーバーを200台から500台に拡充することになり、私もプロジェクトに参加することになりました。次のポータルサイト開発では、モバゲーに追いつけ追い越せで奮闘しましたがなかなか難しかったですね。 しかし、数億〜数十億のトラフィックがあるサービスの開発、インフラ運用に関われたことは良い経験になりました。その後は、渡米してCyberAgent Americaで2年半ほど働きました。

―なぜアメリカに行こうと思ったのですか?

シーエー・モバイル時代に2週間ほど休暇をとって、シリコンバレーにあるCyberAgent Americaに行ったことがきっかけですね。昔からアメリカに行きたい気持ちはあったのですが、実際に現地に行って生の雰囲気を感じると「ここで働いてみたい」という気持ちが強くなりました。帰国後すぐに「アメリカに行かせて欲しい」と直談判し、承認いただけたので、CyberAgent Americaで働くことになりました。

―CyberAgent Americaではどのような業務を行っていたのですか?

アメリカ向けのスマホゲームやアプリの企画、開発を担当しました。ただ、アメリカでは挫折の連続でしたね。約1年半の間にアイディア出しからスクラッチでの開発を3回繰り返したのですが、1度もリリースできなかったんです。それまでは、「技術力さえあればなんとかなる」と思っていたのですが、技術力だけではビジネスをやっていけないことを痛感しました。正直、技術力だけであれば日本とアメリカは大差ないどころか、勤勉な方が多い日本人の方が優れているのでは?と思うこともありました。

今振り返ると、アメリカでビジネスを成功させる上で現地のビジネスメンバーにもっと協力を仰ぐべきでした。当時は日本のビジネスメンバーと話していただけで、私自身が文化や考えての違いに加えて、商習慣といったものの理解が浅かったため、うまくいきませんでした。

スマートショッピングの立ち上げ:4年間エンジニアはたった1人

株式会社スマートショッピングCTO・長島 圭一朗さん

―帰国後は何をされていたのですか?

帰国後はサイバーエージェントに入り、今でも使われている位置情報を用いた広告アプリケーションを立ち上げました。9ヶ月ほど在籍した後、アメリカで一緒に働いていた現当社代表の志賀と林から誘いがあり、スマートショッピングの立ち上げメンバーとしてジョインすることになりました。

―立ち上げ当初はどのような体制で開発されていたのですか?

今のメンバーに伝えるとびっくりされるのですが、立ち上げから4年間エンジニアは私1人だけだったんです(笑)スポットでメンバーの知人に手伝ってもらうこともありましたが、基本的には私1人で開発していましたね。ちょうどその時期にプライベートでは子どもが生まれたこともあり、18時まで仕事→家事・育児→21時〜1時まで仕事という生活を2~3年間続けました。忙しい日々ではあったのですが、立ち上げ期における開発すべてを行うことや、IoT領域におけるハード・ソフト両面の開発が自分にとっては新鮮でおもしろく、没頭していました。

―その後、組織はどのようにして拡大していったのでしょうか?

事業が大きくなり、ハードウェアの生産に力をいれようとなったタイミングで採用を始めました。私がハードウェア領域に注力することで、ソフトウェア領域をカバーする人材が必要になったんです。最初にジョインしたのは、インド人とベトナム人の方でした。メンバーが英語でのコミュニケーションに苦労しなかったので、採用ができました。加えて、私が信頼している知人数人にもジョインしていただき、半年後には6人体制になりました。その後は何度か資金調達を実施する中で採用を実施し、今では12人のエンジニアが在籍しています。

―ものすごいスピードでエンジニアチームが大きくなったんですね。

みなさんが、プロダクトに可能性を感じてジョインしてくれたことはもちろんなのですが、私の技術に対する想いに共感してくれたことも1つの要因だと考えています。技術が手段なのは間違いないです。ただ、それを前提として、技術も追い求めていった方がエンジニアにとってはハッピーになると思うんです。

エンジニアとして大切にしていること:「最高より最速」

―長島さんがエンジニアとして大切にされていることを教えてください。

一番大切にしていることは、「最高よりも最速」ですね。完璧じゃなくて良いのでまずは一度作ってみて、フィードバックをもらってから改善していく方法が一番効率的だと思います。

―スピードを重視すると、技術的負債の懸念もあるかと思いますが、いかがでしょうか?

もちろん、技術的な負債は極力避けないといけません。ただし、プロダクトや事業として成立させないと、負債にもなりえないので、一定程度は許容しています。あとは、コードを書き続けることも大切にしています。実際に、私は今でもコードを書いています。コードを書き続けることで、最新技術にキャッチアップできることだけでなく、メンバーとコミュニケーションが取れるというメリットもあります。

―今後のエンジニアに求められることは何だと思いますか?

3つあります。まず1つ目は、事業ドメインの知識ですね。事業会社でプロダクトの開発をするのであれば、その事業領域に関する知識は持っていないといけないと思います。2つ目は、幅広い技術スキル、引き出しをたくさん持つことです。最近は、“フロントエンドエンジニア” や “バックエンドエンジニア” など役割が分担され専門性が求められる傾向がありますよね。しかし、プロダクトを開発するにあたっては、様々な領域の知識を身に着けて守備範囲を拡げる必要があると思います。例えば、Dockerを使って仮想化技術で開発環境を作るとします。この時、たとえフロントエンドエンジニアだとしても、それがどういうことなのかという知識や、呼び起こすためのコマンドぐらいは、開発を円滑に進めるためには知っておくべきだと思います。3つ目は、英語力ですね。グローバル化が進む現代において、欠かせないスキルになってくると思います。

―長島さんは、渡米前から英語ができたんですか?

いえ、渡米が決まってから急ピッチで勉強しました。よく言われるように、飛び込んじゃったほうが早いです。向こうでコミュニケーションする中で、必死に追いつこうとして身につけました。

―長島さんの今後の夢を教えてください。

会社としての夢でいうと、自社サービスを大きくして社会貢献したいです。当社のIoT事業は、在庫・発注管理を自動化できる特徴があります。今までこういった業務に多大な時間を割かざるを得なかった人たちの手間を軽減し、本人が望む生産的な仕事に時間を使って欲しいと思っています。あとは、メンバーには “スマートショッピングマフィア” として育っていって欲しいですね。

―自社だけでなく、世の中に価値をあたえるエンジニアになってほしいと?

はい。事業の拡大やスキルアップに成功し、後から振り返った時に、「スマートショッピングにいて良かった」と思える企業でありたいです。もちろんずっと当社で活躍し続けて欲しいですよ。しかし、もしも旅立つ時がきたら、外でも活躍してお互いに刺激し合うことが出来れば、みんなハッピーだと思います。

―個人の夢はありますか?

個人の夢は、もう一度海外で挑戦することです。CyberAgent America時代は、思うように成果を出せなかったので、スマートショッピングが日本でうまくいけば、海外に進出してリベンジしたいですね。

「モチベーションの源泉は社会貢献」という方はぜひスマートショッピングへ

―最後に、今後どのような方と一緒に働きたいかを教えてください。

向上心があり、自社プロダクトを通して社会貢献をすることにモチベーションの源泉がある方と一緒に働きたいですね。当社はスタートアップなので、現時点の待遇面だと大企業に劣る部分もあります。しかしそういったところではなく、当社の事業の意義に共感し、オーナーシップを持って取り組んでくれる方であれば、自ずと結果はついてくると思っています。少しでも当社に興味を持ってくれた方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度お話しましょう。

取材を終えて

今回のインタビューでは、長島さんの学びやスキルアップに対する貪欲な姿勢をひしひしと感じました。業務システムからコンシューマー向けに、米国への挑戦など、自ら挑戦する場を創り出してきた長島さん。今は、スマートショッピングとして社会貢献に挑戦し、更に社会にインパクトを生むエンジニアを輩出する組織も目指されています。長島さんの多様な経験と姿勢は、エンジニアとして成長し続けることを協力にサポートしてくれるものだと強く感じました。長島さんが今後どんなものを創るかのみならず、イケてるエンジニアがスマートショッピングからたくさん出てくることに、期待が高まります。

プロフィール:

長島 圭一朗(Keiichiro Nagashima)

取締役、CTO

ソフトウェア受託会社で開発に携わった後、株式会社シーエー・モバイルにて複数のECサイトの開発、複数のソーシャルゲーム・SNSプラットフォームの立ち上げおよび企画・開発責任者を歴任。その後CyberAgent America,inc.でUS向けのスマホゲーム、スマホアプリの企画/開発を担当。帰国後、株式会社サイバーエージェントの新規アドテクノロジー事業立ち上げ、開発責任者を務める。2014年、株式会社スマートショッピングに参画。

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