今回は、株式会社エブリー執行役員CTO 今井 啓介さんのインタビューをお届けします。大学時代に行った米国留学がきっかけで、エンジニアとしてのキャリアを歩むことになった今井さん。新卒でサイバーエージェントに入社するも、環境に慣れてきたタイミングでさらなる成長を求めてあえて会社を飛び出すことを決意。エブリーに1人目として参画してからは自分の担当業務に閉じず、あらゆる領域に積極的に関わることで、現在はCTOとしてご活躍されています。そんな「普通」というワクにはまらない考えをお持ちの今井さんのキャリアと価値観に迫ります。

米国留学中、カフェで話しかけまくってエンジニア職に惹かれる

ー今井さんがエンジニアを目指されたきっかけはありますか?

情報系の大学に進学したのがきっかけです。それまではプログラミング経験がなかったのですが、工作や料理などのものづくりに興味があったので情報系の大学に進学。パソコン1つでできるプログラミングの面白さにハマり、アニメの制作会社でインターンを始めました。主にフロントエンドやデザインなどWebサイトの制作を担当していたので、Webアプリケーション開発をすることはほとんどなかったです。3年生が終わるタイミングでサンフランシスコに留学に行ったのですが、現地でも少しWebサイト制作をやりました。

ー留学に行こうと思った背景と留学中の活動内容について教えていただけますか?

ノリですね(笑)。将来を考えた時に、このタイミングでしか長期間の留学には行けないのではと思い、勢いで決めました。留学先ではシード系のVCのお手伝いをする機会があり、その繋がりでWebサイト制作をやらせてもらったんです。現地のいろんな企業にお邪魔し、エンジニアの話を聞くなどの活動もやっていましたね。

ーどこでそういった繋がりを作ったのですか?

カフェで働いているエンジニアに話しかけて作りました。会社のTシャツを着て仕事をしている人が多く、あの企業のエンジニアだと見分けが付きやすかったんです。そんなことができる性格ではなかったのですが、留学中は自分が自分でないような感覚があり思い切って話しかけることができました。いざ話しかけてみると、みんな楽しそうに自分たちの会社の面白いところを語ってくれたんです。私にとってはそれが衝撃的でした。日本だと、自分たちのビジネスについて他の人に語る文化があまりないと感じていたからです。そういった現地のエンジニアたちを見て、ソフトウェア開発に興味を持ち始め、現地の就活イベントに来ていたサイバーエージェントにエンジニアとして入社することにしました。

新卒でサイバーエージェントに入社:子会社の立ち上げメンバーに志願する

ーサイバーエージェントに入社された理由を教えていただけますか?

1人ではなく、みんなで開発ができる環境があったからです。正直、サイバーエージェントで明確にやりたいことがあったわけではありません。当時はアメーバをやっている会社くらいのイメージしかありませんでした。しかし、当時Cygamesなどをすごい人数で開発していると聞き、動画系のサービスにも興味を持ったので面白そうだと思い入社を決めました。

ー入社後はどのような開発に携わられたのですか?

新しく動画系の子会社を立ち上げる話があったので、自ら志願してそちらに行くことになりました。入社当初はサイバーエージェント本体のOSSのメンテナンスをやり、その後子会社のAndroid開発に携わりました。開発したのは、インスタライブのような動画系のサービス。チームにAndroid開発の経験者がいなかったので、自分の力でキャッチアップしていく必要がありました。ただ、子会社のCTOが非常に優秀な方で、ある程度の基盤は作ってくれていたので、まっさらの状態からの開発ではなかったです。その後は、サービスのWebアプリケーション化の開発も担当しました。

ーエンジニアとして働き始めて大変だったことはありますか?

1人前のエンジニアとして自走できるようになるまでは大変でしたね。学生時代にやっていたWeb制作はマークアップでしかないので、エンジニアリングはほぼ初心者の状態。「勉強すればいいや」と考えていたのですが、入社後に基礎的な参考書を渡され、翌週から仕事を振られたので当初はキャッチアップするのに苦労しました。勉強のために参考書も読んでいましたが、駆け出しの頃はとにかく手を動かすことを重視しましたね。

居心地が良い環境に違和感を持ち、エブリーに1人目のエンジニアとして参画

ーその後のキャリアについて教えてください。

現職のエブリーに転職しました。サイバーエージェントで作っていたサービスで、ピボットなどさまざまなこと経験して一区切りついた感じがあったんです。また、仕事や環境にも慣れてきて充実してはいたのですが、居心地が良すぎると成長速度が遅くなってしまうのではという危機感もありました。コンフォートゾーンをあえて抜け出すために、新たなチャレンジをすることを決意。転職活動をする中でエブリーに出会い、吉田のビジョンに引かれ、1人目のエンジニアとして入社することにしました。

ーエブリーさんではどのような業務を担当されていたんですか?

自社サービスである“DELISH KITCHEN”のクライアントサイド開発をずっと担当していました。最初はAndroid開発のみで、その後はiOSとWebアプリを含め全領域の開発に携わりました。部長やCTOになってからは、開発や組織マネジメントも担っています。

ーCTOになるまでの経緯を教えていただけますか?

前任のCTOが別のチャレンジをすることになったので、私がCTOになりました。メインプロダクトのDELISH KITCHENの開発部長をやっていたということもありますが、日頃の仕事への取り組み方も評価いただけたのかなと感じています。常に自分が担当している領域のちょっと外側を見ようと心がけており、Android開発を担当していた際もiOSの進捗を見て手伝うなどもしていました。もちろんこれは、事業全体を踏まえてAndroidの開発を遅らせてでもやったほうが良いと思っての決断です。エンジニアリング以外の領域にも積極的に関わり、一時期はプロダクトマネジメントをやっていた時期もありました。そういった姿勢が評価されてCTOのポジションを任せてくれたと思っています。

現場から遠ざかってもエンジニアとして学び続ける

ー今井さんがエンジニアとして一番成長したと感じた経験は何ですか?

サイバーエージェントの子会社時代ですね。何も知らない状態からのスタートだったにも関わらず、色んな仕事を任せてもらえたので大きく成長できたと感じています。エブリーに入社してからも常に成長の機会はありました。前職ではやってこなかった0→1でのプロダクトの方針設計や実装の方針設計などは貴重な経験です。

ーエンジニアとして大事にしていることはありますか?

「新しい情報への感度を高く保つこと」です。エンジニア領域とサービス領域の2つがあり、テック系のブログやTwitter、知り合いのエンジニアの話などから毎日のようにアップデートしています。その中でも、新しい技術は自分で触ってみることを大切にしています。そうすることで1次情報を取ることができますから。忙しくなってくるとどうしても後回しにしてしまうものではあると思いますが、意識をして時間を確保するようにしています。

ーCTOに必要な3つの要素は何だと思いますか?

1つ目は、「ちゃんと経営に関わること」です。技術領域の最高責任者として、技術でうまくレバレッジをかけていくことが重要だと考えています。私の場合、経営について書籍を読んで勉強もしますが、経営に興味を持って口を出していくことを心がけています。他の経営陣は丁寧に教えてくれるので、「何でそういう判断になったのか」など疑問に思ったことを1つ1つ解消しようとしています。2つ目は、「チームに対してビジョンを浸透させること」。これに関しては、正直私もまだできていない部分もありますが、ビジョンを実現させるためにどのように技術を使っていくのかを伝え、組織として共通理解を持つべきだと考えています。その中で、ビジネスサイドの言葉をエンジニアにわかりやすい言葉に翻訳することもCTOの役割の1つです。3つ目は、「エンジニアとちゃんと対話すること」。メンバーの中には、特定分野で自分よりも詳しい人もいます。そういった人たちとコミュニケーションを取って、得た情報を経営に上げていかないといけません。そのためには、各エンジニアと対等に話せる状態でなければならないので、日々学び続ける必要があります。

ユーザーが意識することなく、生活を豊かにできるサービスを作る

ー貴社の事業内容について教えてください。

「明るい変化の積み重なる暮らしを、誰にでも。」というパーパスを、技術を使って実現しようとしています。料理の領域ではレシピ動画サービスの「DELISH KITCHEN」、子育ての領域ではファミリー向けの動画メディア「MAMADAYS」というプロダクトを開発しています。使用している技術はWeb開発だけでなく、機械学習やIoT、OMOなど多岐にわたっています。これらを無理矢理でなく、シームレスに繋がるサービス体験を実現していきたいと考えています。世界的なトレンドも含めて、様々な要素が入った開発ができる点が魅力です。

ー今後貴社で実現したいことは何ですか?

短期的には、それぞれの領域で自分たちのサービスが当たり前に使われている状態を目指しています。長期的には、自分たちのサービスが誰も意識しないうちに世界中の人々の生活を豊かにしている世界を実現したいです。「料理アプリは何を使おうか」と考えることもなく、当たり前のようにDELISH KITCHENが使われているような状態です。例えば、何かを調べようという時に、「何を使おうかな、Googleにしようかな」と考えておらず、無意識的にGoogleを使っていると思います。我々の場合、自然と買い物の途中でレシピが飛んで来る、作りたいレシピが予め用意されている世界を目指しています。

ー今井さん個人の夢はありますか?

多くのエンジニアに、「この会社で働きたい」と思ってもらえるような組織を作っていきたいです。わかりやすい指標で言うと、新卒の志望度ランキング1位とかでしょうか。プロモーションで出ていくと言うよりは、働いているメンバーから魅力がにじみ出るような組織が理想です。あとは、完全に個人的な話なのですがコーヒーが大好きなので、いつかコーヒー屋さんをやってみたいですね。

サービスやエンジニアリングが好きなエンジニアを募集中

ー貴社が求めるエンジニア像について教えてください。

サービスやエンジニアリングなど「好き」が私たちと重なるエンジニアに来て欲しいです。DELISH KITCHENを多くの人に使って欲しいと思える人や、Androidの開発を極めたい人などです。私自身がそのような人と働いていて面白いと感じますし、エブリーのカルチャーにも合うと思います。今仕事をしていて、やりたいことがあるのに上手く伝えられずに実現できていない人、プロダクトを伸ばしたいのにそういう文化がなくもやもやしている人にとっては最高の環境があるので、ぜひ一度お話しましょう。

取材を終えて

今井さんのお話を聞いていると、「普通の人が考える”ワク”以外で考えている」という印象を受けました。その姿勢で自分の仕事の範囲を広げ続けて、CTOにまで駆け上った今井さん。目指すものは、「意識せずとも使っているサービス」。エブリーさんのサービスがどのような形で私達の生活を豊かにしてくれるのかが楽しみです。今井さんが仲間とともに作る職場で、サービス開発に本気で貢献したいと思っている方は門を叩いてみてはいかがでしょうか?

プロフィール:今井 啓介さん

2015年筑波大学を卒業後、新卒でサイバーエージェントに入社。Androidエンジニア、Webエンジニアとして生配信サービスの立ち上げに携わる。2016年9月、株式会社エブリーにエンジニア第一号として入社し、DELISH KITCHENのAndroidアプリ、Webサイトの立ち上げに従事。2021年7月DELISH KITCHEN開発部の部長就任。同年10月、執行役員 CTO 開発本部長に就任。

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