今回は、テックタッチ株式会社(以下、テックタッチ)で取締役CTOを務める日比野 淳さんのインタビュー記事をお届けします。センター試験(現:大学入学共通テスト)2日目をボイコットし、大学には通わないという選択をした日比野さん。そこから0→1開発のスペシャリストとなり、テックタッチを共同創業するに至った背景や、5歳の息子を育てる父として働くことに対するマインドなどを語っていただきました。

インタビュー概要

お話を伺った企業さま

会社名  :テックタッチ株式会社

設立   :2018年3月

資本金  :2,400,000,000円

代表者  :井無田 仲

所在地  :東京都港区

ミッション:すべてのユーザーがシステムを使いこなせる世界に

事業内容 :ガイド・ナビゲーションツール「テックタッチ」 の企画・開発・運営・販売

URL   :https://techtouch.jp/

お話を伺ったご担当者さま

部署 / 役職:共同創業者 取締役CTO

氏名   :日比野 淳

ファンコミュニケーションズ株式会社、ユナイテッド株式会社で新規事業の立ち上げを複数経験。ユナイテッド株式会社ではユーザー数0から4000万のユーザーにダウンロードされたスマホアプリの開発全般のリードを担当した。同社で海外事業立ち上げにも関わったのち、2018年に現CEOの井無田氏とともにテックタッチ株式会社を創業。

キャリアについて

エンジニアを志したきっかけを教えてください。

私自身、CEOの井無田やCFOの中出のようなキラキラした経歴ではなく、センター試験(現:大学入学共通テスト)2日目をボイコットし、進学せずにアルバイトをしながら自由気ままに過ごしていました。大学に通う友人たちが進路を決めるタイミングで将来を考え始めた頃に、ネットサービスに詳しい友人から「淳ってネットサービスに疎いよね」とマウントを取られたのが、エンジニアを志したきっかけだと記憶しています。

「エンジニアになって、表層的ではない知識をつければ、若干感じていた苦手意識も克服できるはず」と考え、ファーストキャリアとしてエンジニアを選びました。もともとネットサービスやエンジニアに興味がなかったわけではないですが、最初のきっかけとしては友人の一言なのかなと思います。

前職であるユナイテッド株式会社では、どのようなことをされていたのですか。

新規事業の立ち上げを複数経験しました。中でもスマホのホーム画面をカスタマイズできるサービスにおいては同じく立ち上げから携わり、全世界で4,000万ダウンロードされる規模まで開発全般のリードを経験していました。当時、ビデオチャット・メッセージツールの「Skype」よりも多くダウンロードされたことで少し話題にもなりました。仕事において最も苦労したのもこの時期で、このサービスは連日20万ユーザーに新規でインストールされるような成長速度だったので、何度復旧させても落ち続けるサーバーとの戦いにとても苦労しました。障害発生ポイントが「アプリケーション→データベース→ネットワーク→アプリケーション…」のように毎回異なっており、1つ対応すると別の場所で障害が発生するため、隅から隅まで対応する必要がありかなり大変でした。サービスの成長痛をダイレクトに感じたという点で最も苦労した経験です。

テックタッチ創業の背景を教えてください。

井無田とは前職のユナイテッド株式会社で出会い、4年ほど同じプロジェクトで仕事をしていました。井無田が退職した後、私は育休を取得していたのですが、起業しようと考え、後を追いかけるように退職しました。退職後に井無田と飲む機会があり、互いに起業準備の最中であることを知ったことから話が弾み、意気投合したことをきっかけに共同創業をすることとなりました。

開発領域だけに限らず強みをお持ちかと思いますが、日比野さんの得意領域は何ですか。

キャリアを通して新規事業に携わることが多く、0→1の経験ばかりしてきたので、「どうすればプロダクト/事業をグロースさせていけるだろうか」について考えることがとても得意です。

考え方・マインドについて

普段、どのような思いを持って働いていますか。

「楽しく働くために、良い会社を創りたい」という想いが根底にあります。多くの方は、起きている時間の半分以上を仕事に費やしており、実質「ライフスタイル=ワークスタイル」となっているかと思います。ライフスタイルをより良いものにするために、働く人にとって勤務時間は有意義な時間であるべきであり、仕事は楽しんでやることが大切だと考えています。私自身、以前から働くことが好きで、ハードワークを厭わないタイプなのですが、過去の経験から「仕事が楽しいか楽しくないかはプロジェクトを自分事化できているかどうかが大きなポイント」と考えるようになりました。そのため、自分自身で会社を作れば、常に楽しく働けるという考えにいきつきました。

またこの考えは井無田にも共通しており、それが僕が彼と共同創業を決めたポイントの一つになります。

「楽しく働くために、良い会社を創りたい」と考えるようになったきっかけは何ですか。

「この先も常に楽しく、やりがいを持って働くにはどうするべきか」を考えるようになりました。子どもが3〜4歳くらいになれば、親の「いってきます」の言葉に乗っている感情を読み取れるようになってしまうだろうと考え、会社に左右されず、常に楽しそうに働く姿を子どもに見せたいと思うようになり、起業することを決めました。

これからの時代に求められる「価値あるエンジニア」とは、どんなエンジニアだと思いますか。

サービス/プロダクトの爆発的なグロースを支えた経験があるエンジニア

実績はすごく重要だと思います。「どんなサービス/プロダクトを作ったか」もそうですが、「そのサービス/プロダクトがどれぐらいのユーザーに利用されたか」や、「どれくらいの規模からどれくらいの規模までご自身が携わったか」も重要であると考えます。利用者が多ければ多いほど些細なことでも障害に繋がりますし、ユーザーからの要望の数も変わってきます。サービス/プロダクトの爆発的な成長を支え、成長痛をダイレクトに感じたことのある方は価値あるエンジニアだと思います。

タスクの遂行能力が高いエンジニア

私は、プロジェクトのタスクを期限を守って着実に実行できるかどうかが最も大事だと考えています。チームプレイや技術への理解は必要ですが、実務をこなすための付随的な能力です。テックタッチの評価も、技術面よりもタスクの遂行度に注目しています。

「やりたいこと」と「やるべきこと」を見定め、スキルアップしていくことができるエンジニア

多くの方は、自身の興味関心の高い領域に関してはスキルをどんどん伸ばしていくことができます。しかしながら、組織の一員として働く以上は、組織が求める「やるべきこと」にも応える必要があります。個人の「やりたいこと」と組織が求める「やるべきこと」は相反するケースもあるため、それぞれをしっかりと見定めることでサービスのスケールを実現させ、上記のようにエンジニアのスキルアップに必要な環境を自分で作っていくという気概も必要だと思います。

ただ時に、個人のやりたいことが組織のやるべきことに昇華するケースもあります。これができるエンジニアは本当に価値のあるエンジニアだと思いますね。内容にもよりますが、多くの人を動かす場合は提案力が必要になってきますし、実現可能性も見られるので、コミットメントや過去の実績から信頼を得ておく必要もあると思います。

最近、興味関心のある領域は何ですか。

データマネジメントなどのデータ領域に興味関心があり、伸ばしていきたいと思っています。現在、データは取得した人たちの中だけで利用されているケースが多いですが、データクラウドのように横展開をしていくことにより、さらなるインサイトを得ることができると考えています。テックタッチとしても、解決すべき課題だと感じている領域ですので、データに基づいた意思決定を社内の誰もができるようにすることをミッションとしたデータ専門のチームを立ち上げるなど、投資をしている段階です。AI時代においてどのようなデータを持っているかが企業の競争力にもなりえるので、データを中心に事業を考えていく必要性も強く感じています。

テックタッチについて

「テックタッチ」とはどのようなサービスですか。

テックタッチは、「すべてのユーザーがシステムを使いこなせる世界に」をモットーとしたガイド・ナビゲーションツールです。Web上のあらゆるシステムに入力ガイドを設置でき、正しくゴールまでナビゲーションすることで、対クライアントサポートや、対社内の問い合わせ対応といった工数負担を圧倒的に軽減します。現在テックタッチは3つの領域でのシェア拡大を進めており、DX推進に向けて多くの企業様のご支援をしております。

企業の従業員向けにDXを推進 

エンタープライズ企業を中心に、「社内システムの利活用促進」を目的としてテックタッチを用いた支援を行っています。「DXの第一歩」としてテックタッチを導入いただくことにより、社内で既に利用しているSFA(Sales Force Automation:営業の生産性を向上・改善させるツール)や人事システムなどのWeb上のシステムの利活用促進に寄与できます。

IT事業会社のテックタッチなカスタマーサクセスを実現 

SaaS提供企業など、自社サービスを提供している企業向けに、「エンドユーザーの満足度向上・チャーンレート低減」を目的としてテックタッチを用いた支援を行っています。自社サービスにテックタッチを導入いただくことにより、エンドユーザーがサービスを利用するときにガイドを見ながら迷わず操作できるため、、正しいシステム活用の促進や企業側のオンボーディングコストの低減を実現できます。

公共・自治体のシステムにも搭載

中央省庁などの第一セクター向けに、「デジタル・ディバイド解消」を目的としてテックタッチを用いた支援を行っています。行政のシステムを利用する市民の方々などが迷わず入力できるようになり、デジタル庁の「調達ポータル」にもテックタッチを導入いただいています。

調達ポータル – デジタル庁
https://www.p-portal.go.jp/pps-web-biz/UZA01/OZA0101

シリーズB累計22.2億円の資金調達について、使途などを教えてください。

2023年1-2月に資金調達を行い、シリーズBの累計資金調達額が22.2億円となりました。

テックタッチ、日本政策金融公庫より2.5億円の新株予約権付融資を実行、シリーズB以後の累計資金調達額は22.2億円に – PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000110.000048939.html

主な使途としては、2つを考えています。

企業の従業員向けのセールス・CSM組織拡大

PMF(Product Market Fit:製品が特定の市場において適合している状態)後の急加速に耐えられる組織づくりのため、セールス・CSM(Customer Success Manager)組織の拡大をしていきたいと考えており、そのために資金を投入する予定です。テックタッチのリリースから3年ほどが経過し、一つの目標として設定していたPMFの達成を感じ始めてきました。よくある例えを拝借すると、大きな岩を押しながら山を登っていた3年間でしたが、ようやく山頂(PMF)を迎え、その岩が軽くなってきたのを感じ始めてきています。そして、次は山を転げ落ちる岩に置いていかれないよう、より多くの企業にテックタッチをご活用いただくためのセールス、CSMなどのポジションの採用強化を計画しています。

テックタッチ事業のグローバル展開

テックタッチのさらなるスケールのため、国内だけでなくグローバルな展開をしていきたいと考えており、そのために資金を投入する予定です。現在、国内の大手企業向けの「テックタッチ」事業ではSLG(Sales-Led Growth:セールスがプロダクトを売る)戦略をとっており、セールスやCSMチームがコンサルティングも含めた総合的なサポートを提供することにより、テックタッチを販売しています。大手企業向けの「テックタッチ」事業においてグローバル展開をする場合、現地の人的リソースを確保することにより、国内の大手企業向けの「テックタッチ」展開と同じSLG(※Sales led Growth:セールス主導の成長)戦略で攻めることができると考えています。一方で、SaaS事業向けのテックタッチ事業をグローバル展開するためにはPLG(Product-Led Growth:プロダクトがプロダクトを売る)戦略をとっていかないとスケールが難しいと考えています。だからこそ、プロダクト自体のエンハンスをしていくため、開発力の強化を計画しています。

テックタッチで働くメリット

成長痛を感じることができる環境

テックタッチは現在シリーズBで、ここからスケールしていく段階です。価値あるエンジニアになるためには「成長痛を感じられる、伸びている組織」に身を置くべきだと考えているので、価値あるエンジニアになりたい方にとっては最適な環境だと思います。

職能と事業の両軸に目標を設定して働くことができる

テックタッチではマトリクス組織を形成しているため、特定の技術領域を伸ばしていきたい場合、その領域のスペシャリストであるチームメイトとともに働くことができます。事業成長と、自身が伸ばしていきたい職能を両立しやすいのが特徴だと捉えています。

テックタッチの募集ページ

取材を終えて

開発のみならず、ビジネスチームと連携しながらの開発に強みをお持ちでいらっしゃる方だと感じました。成長痛を感じられる環境に身を置き、さまざまなことに興味関心を持って取り組まれているからこそ手にした強みであり、常に楽しそうに働く父の背中を見せたいという思いによる賜物だと感じました。価値あるエンジニアになるために、成長痛を感じることができる組織で、自身のスキルアップを目指しながら働きたいと感じた方は、ぜひテックタッチの募集に応募してみてはいかがでしょうか。

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