様々なCTOにキャリアや原体験、これからの野望などをインタビューする、一般社団法人日本CTO協会とのコラボレーション企画「突撃!隣のCTO」。
今回は、オープンワーク株式会社 開発部門責任者の池内駿介さんにお話をお伺いしました。製造業向けのエンジニアとしてキャリアをスタートするも、IT技術の可能性に惹かれ、ITエンジニアにキャリアチェンジをした池内さん。かつては世界の上位を占めていた、日本企業の競争力を取り戻すために様々な角度からアプローチされています。大きな野望を抱く池内さんのキャリアや価値観に迫ります。
IT技術の可能性に触れ、エンジニアにキャリアチェンジ
ーまず最初に、池内さんがエンジニアになったきっかけを教えてください。
そもそもですが、私のファーストキャリアはITエンジニアではありません。新卒では、IT技術で製造業を革新するインクスという会社に入社し、製造現場の改善や金型設計などを担当しました。そこで、IT技術を駆使すれば日本の競争力を高められると確信したんです。自らもものづくりに携わりたいと思い、未経験エンジニアを募集していたワークスアプリケーションズに入社しました。大学が工学系の学部だったので、プログラミングも少しだけやったことがありましたが、当時は全然理解できていませんでした。
ーなぜ「日本の競争力を高めたい」と思ったのですか?
私が学生だった頃、日本の製造業が韓国や中国等の諸外国に負け始めており、悔しさを感じたからです。インクスに就職したのも、かつて製造大国だった日本の競争力を取り戻すことに貢献したいと思ったためでした。ワークスアプリケーションズに転職した理由も、「日本の生産性や競争力を高めたい」というビジョンに惹かれたためなので、ここは自分にとって大切な価値観になっています。
ーワークスアプリケーションズさんでは、どのような開発に携わっていたのですか?
人事給与系のシステムの開発において、保守から新規対応を担当しました。技術的には、COBOLやDelphiといった言語を使用していました。いざプログラミングをやってみると、「これは天職だ」と思うくらいのめり込むことが出来たのです。
ー未経験からのキャッチアップは苦労されませんでしたか?
当初は苦労しましたが、入社後の研修でかなり鍛えられました。研修内容は、インターネットが繋がらない環境で本だけ渡されて、プログラミングをするというものでした。インターネットの情報をコピペすることが出来ない環境でしたので、自分で試行錯誤を繰り返してなんとか動かそうとしたんです。この研修を通して、プログラミングの基礎が身につきました。その後は、何度も失敗しながら改善を繰り返す日々。「期限内にやれます」と言ってやれないなど、ちょっと出来るようになると調子に乗ってしまう悪い部分もありましたね(笑)。エンジニアとしてある程度成長できたタイミングで、オープンワークに転職しました。
働きがいの改善が企業の生産性向上に繋がると思い、オープンワークへ
ーなぜオープンワークに転職したのですか?
当社は、OpenWorkというプラットフォームを通じて、働く人の声である「社員クチコミ」をシェアし、ジョブマーケットの透明性を向上することで「働く人」に働きがいを提供しています。もちろん、その点にも惹かれましたが、「働く人」を通して、日本の競争力を高めることができるのではないかと思ってジョインしました。ワークスアプリケーションズは、企業目線で日本の競争力を高めようとしている企業です。一方のオープンワークは、働く人目線で企業の生産性を高めようとしていました。日本の競争力を高めるために、今までの経験とは別の角度からアプローチしてみたいと考え、転職することにしました。
ーオープンワークさんにおける、具体的な業務内容を教えてください。
自社サービス「OpenWork」を開発していました。入社当時はちょうど転職サービスに切り替えていこうというタイミングで、採用支援の新規事業である「OpenWorkリクルーティング」のローンチや求人情報の自動連携機能の開発、求人検索機能など、主に求人関連の機能に携わりました。特に印象深いのは、ジョブマッチングのグロースハックプロジェクトです。当時はまだサービス上で求人掲載を本格スタートさせたばかりでした。「社員クチコミサイトから転職サービスに転換していくために、どうやって求人情報をユーザーに見てもらい、マッチングを生み出していくか」チームメンバーで毎日ディスカッションして模索しました。デザイナー、プランナー、エンジニア、全員で考えたアイディアをそれぞれの専門性を活かしながら実装し、トライ&エラーを繰り返し改善していく日々は刺激的で楽しかったです。
ー開発責任者になってから、自身の役割は大きく変わりましたか?
はい、手を動かして開発に関わる機会がほとんどなくなりました。開発責任者になってからは、プロジェクト全体を見る立場となり、マネジメントや組織づくりが主な業務です。実は、オープンワークに転職した理由の1つに、「もっと開発に関わりたい」という想いもありました。前職では、マネジメントが業務が増えてきていたんです。そのため正直なところ、開発責任者になった後も「もっと開発したい」と思っていました(笑)。
ーなぜ開発をやりたいと思っていた中で、開発責任者のポジションを受けたのですか?
「チャンスをもらえるならやってみたい」と思ったんです。自分の成長に繋がるかなと。先述の通り、最初はものづくりをやりたいという想いが強かったので、自分の中で悶々としたものがありました。しかし、今ではこのポジションがおもしろいと感じるようになりました。自分が直接開発しなくても、組織施策によって開発の生産性向上を実現でき、サービスを作っていけると実感したんです。
経営者の視座で、エンジニアリング以外の部分からもプロダクトを磨く
ー開発責任者として今取り組んでいること、これから取り組みたいことを教えていただけますか?
今は、エンジニア組織の生産性の向上を実現するために様々な施策を実行しています。これからやりたいことは、プロダクトの負債の解消です。開発スピードを向上させ、より磨きやすいプロダクトにしたいです。
ー経営陣の一員として今取り組んでること、これから取り組みたいことは何ですか?
現在は、エンジニア以外のメンバーも含めた全員で、どうやって良いプロダクトを作っていくかを考えています。プロダクトは、エンジニアだけで作っているわけではありません。開発責任者になってからは、ビジネスサイドなど技術以外の全体に目を向けるようになりました。これからは、さらにプロダクトを磨いていきたいです。具体的に言うと、プロダクト上でより精度の高いマッチングを実現したいと考えています。OpenWorkでは、企業を構成する各要素をスコアで表示しています。しかし、スコアが高いからと言って、その人にとって良い企業であるとは限りません。企業と個人の特徴を元にした、最適化されたマッチングができれば、双方にとってハッピーになるはずです。そうすることで、辛いイメージを持たれる転職活動を良い方向へ変えていけるのではと考えています。
ー池内さんが考える、これからあるべきエンジニア像はどういったものでしょうか?
どこかに強みを持っているエンジニアさんです。スキルの幅広さも重要ですが、特定の領域で強みを持つ深さの方が重要だと思います。また、プロダクトやビジネスの成果にコミットできる人も重宝されるのではないでしょうか。言われたものをそのまま作るのではなく、領域を超えて幅広く関わっていけるエンジニアです。そこまで行動すると、上手くいかなかった時に、誰かのせいにできません。これが、一部だけしか関わっていないと、例えば企画のせいにすることが可能です。つまりは、単なる技術屋さんではなく、事業目線で考えられるエンジニアが、これから求められると考えています。
日本企業の競争力を高めることに貢献し続けたい
ー池内さんの信念や価値観、大切にしていることについてお伺いできますでしょうか?
「面白いかどうか」ですね。笑えるかどうかではなく、やっていて充実感があるかどうかということです。面白くない時は、「どうすれば面白くなるか」を考えます。これがないとただの作業者になってしまうので、常に頭を働かせるようにしています。また、「直感や運命的なもの」も大切にしています。プロダクトを直感で作っていくという意味ではなく、人生の重要な決断をする時に重要視しています。1社目に入社したきっかけの話にもなるのですが、会社説明会の際にエレベーターで社長に出会ったんです。これは、他の企業ではありませんでした。この話をはじめ、私は他にはない運命的な出来事があった方を選択するようにしています。
ーこれからの目標や野望はありますか?
日本企業の競争力をあげることに、何らかのかたちで貢献し続けたいです。今はOpenWorkを通して実現しようとしています。また、個人的にはいずれは現場に戻ってものづくりをしたいと思っています。生涯現役で、目標達成に向けて開発したいです。
日本の働きがいに変革を起こす仲間を募集中!
ー最後は、貴社についてお伺いします。サービス概要を教えていただけますか?
国内最大級の社員クチコミ・年収データを有する転職・就職のための情報プラットフォーム「OpenWork」を開発・運営しています。実際に働いたことのある社員の声を参考に、「働きがい」を得られる企業や求人の検索やリサーチが可能なサービスです。
ーどのようなエンジニアを募集していますか?
当社の、ミッションに共感してくれるエンジニアさんです。「日本の働きがいを変えていきたい」と思っている方と一緒に働きたいですね。
取材を終えて
キャリアを通して、「日本企業の競争力を高める」という想いに強い一貫性がありました。その中で、エンジニアリングというアプローチ自体が好きでたまらない印象も受けました。日本では、働きがいを感じている人がまだまだ少ない状況です。OpenWorkの進化によって、個人が働きがいを持ち、結果的に企業の競争力があがるという将来が楽しみです。
プロフィール:池内 駿介(取締役 開発部門責任者)
京都大学大学院卒業後、インクスに入社。製造業で現場の改善や金型設計などに携わった後、ワークスアプリケーションズにて大企業向け人事・給与パッケージソフトの機能開発・保守を担当。2016年4月にオープンワーク入社、2018年10月に開発部門担当の執行役員に就任。2019年11月に取締役に就任。