ITエンジニアは非常に副業がしやすい職種です。筆者の周りでも、副業を持っている方、兼業やダブルワーク中というエンジニアは少なくありません。
特に2017年頃から、副業を始めるサラリーマンエンジニアが非常に増えました。理由としては、働き方改革の一環として、政府が副業や兼業を推進する姿勢を示したことを受けて、大手企業でも、就業規則から副業禁止を削除する動きが広がったためです。
しかし、副業に興味を持ちつつ、一歩を踏み出せていない、エンジニアの方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、すでに副業で安定した収入を得ているエンジニアたちの動向を参考にし、副業の始め方をご紹介いたします。
エンジニアの副業 どのような人に向いているか?
冒頭にも書かせていただいた通り、ITエンジニアは非常に副業がしやすい職種です。しかし、「エンジニアであれば、誰でも簡単に副業を持てるのか?」と言われると答えはノーです。
副業を持ちにくい人、副業を止めた方が良い人、というのも少なからず存在します。
まず、副業の持ちやすさという話をすると、ITエンジニアであっても、スキルセットによっては副業を探しにくいこともあります。
そもそもとして、クライアントによって多少異なりますが、多くの副業エンジニアは、いわゆるリモートワーク・在宅勤務者として働いています。もっと具体的に言えば、直接、クライアントのオフィスで働くのではなく、TV会議で打ち合わせ、成果物も電子媒体でやり取りする形で勤務している場合が多いです。
この勤務形態のおかげで、本業が休みの日や業後にタスク処理を行うことができるため、本業には悪影響を与えずに副業ができる、というわけです。
ここから一歩踏み込んで考えてみると、リモートワークや在宅勤務が行いやすいスキルセットか否かで、副業をしやすいかどうか決まる、とも言えます。
実際、フロントサイドエンジニアやプログラマーの方は、「本業と同じような内容でかつ、本業が休みの土日や、業後時間でできる副業向き案件」が見つけやすい一方で、例えば、メインフレーマーやインフラエンジニアのサラリーマンの方が、「本業と同じような内容でかつ、本業が休みの土日や、業後時間でできる案件」を探すのは、至難の業です。
ただし、「自分はインフラエンジニアだから、副業は難しいんだ」と悲観して、ここで読むのを止めるのは早計です。詳しくは後述しますが、システム案件以外でも副業には種類があります。
次に、副業を止めた方が良い人の特徴についてもお教えいたします。
副業を止めた方が良い人は、一言でいうならば、経営者マインドが持てない人です。
サラリーマンは基本的に会社の方針に従って、割り当てられた領域で粛々と仕事をしていれば問題ありません。黙っていても上司から仕事を割り振られることが多いと思います。しかし、副業の場合、一部、副業先では、その会社の社員にしてもらえる例も少なからずありますが、多くの方がフリーランスと同じような立場にあります。
つまり、自分で副業先を見つけ、単価交渉し、タスクのコントロール、契約行為の締結などを行う必要があります。
もちろん、近年はクラウドソーシングサービスや、ダブルワーカー向けの求人サイトなど環境整備が進んでいるため、そういった“周辺業務”も難しくはなくなりました。しかし、普通にサラリーマンエンジニアをしているだけでは、まず経験することのない業務も多く、面倒だと感じることは少なくからずあるでしょう。また、サラリーマンエンジニアよりも一つ一つの業務の責任も大きくなります。
端的に言えば、“自分の仕事に責任を持つこと”という当たり前のことが、副業では本業以上に本質的に問われるのです。だからこそ、経営者マインドが必要となります。
エンジニアの副業 どのような種類があるか?
ここでは、エンジニアができるポピュラーな副業を三つご紹介いたします。
①開発者
上でも少し触れましたが、フロントサイドエンジニアやプログラマーのスキルを持つ方が「自宅でソースコードを書いて納品する副業」を行っている例は非常に多いです。本業以外の環境を知ることで、スキルアップにもつながる効果もあります。
なお、少数にはなりますが、プロジェクトマネージャー経験者やスペシャリストクラスの入スキルエンジニアがPMOやレビュアー(技術助言者)として、クライアントに雇われて副業しているという例も、筆者はいくつか知っています。
②講師
プログラミングを学びたい人向けにオンラインスクールサービスが相次いで開始された時期がありましたが、多くの現役エンジニアが講師として関わっています。
オンラインスクールの講師という副業には、他の副業同様に時間に融通が利き、在宅でできる、という点だけでなく、「人に技術を教えていた」という転職時のアピールポイントとしても有効な業務経験を会得できるメリットがあります。
③ライター
副業ライターとして、現役エンジニアだからこそ書ける、技術解説や、IT業界志望者向けのアドバイスを含めたIT業界のリアルを発信しているエンジニアも少なくありません。
逆に、IT業界と関係のない、スポーツや芸能など“本当に自分が好きなもの”に関するサイトに関わっている方もいらっしゃいます。
なお、多くの副業ライターエンジニアはクライアント企業が自社サイトに掲載するように記事を書いています。しかし、自分でアフィリエイトサイトを立ち上げて、安定した収入を得られるようになった方もいます。
エンジニアの副業 どのサイトで探すか?
①ランサーズ
クラウドワークスと双璧を成すクラウドソーシングサービスの一つです。
どちらもサービス内容的には似たような存在ですので、どちらを使うかは好みの問題です。まずは、どちらも登録してみて、気に入った方をメインで使う、というのが良いかと思います。
ただ、クライアントの質という意味では、ランサーズの方が法人の利用者が多い分、上かなと思います。
②プロの副業
サービス名の通り、副業を探している専門職の方向けに特化した人材サイトです。
ちょっとしたお小遣い感覚の副業ではなく、専門性を高められる副業を集めている、という点をサービスの売りにしており、IT分野においてもプロジェクトマネージャーやスペシャリストクラスなど高度人材に限定した募集となっています。
誰もが簡単に使えるサービスではありませんが、今後のキャリアパスを考える上で参考にしても良いかもしれません。
③テクフリ
フリーランスのエンジニアやクリエイターに特化した案件情報サイトです。
テクフリでは、10年以上の業界経験を活かし、ただのお仕事紹介ではなく『バリューアップ』をコンセプトにした手厚いサポートで、エンジニアやデザイナーの一人ひとりをご支援しています。
いわゆる人材エージェント会社にカテゴライズできるサービスですが、受注還元率が比較的高く、受注還元率90%の案件もあります。副業を探しているエンジニアにとって大変魅力的です。
受注還元率とはなにかというと、実際にエンジニアが得られる報酬の割合です。
副業の場合、稼働時間が限られ、月単価が低くなりがちです。受注還元率が低い会社を選んでしまうと、ただでさえ少ない月単価が、人材エージェント会社の取り分でさらに減ってしまい、まったく期待通りに稼げない、という事態になりがちです。
人材エージェント会社経由で副業を探すのであれば、受注還元率が比較的高いテクフリがおすすめです。
エンジニアの副業 メリットとデメリット
さて、最後にエITンジニアが副業を行うメリット・デメリットについても考えましょう。
①副業のメリット
副業のメリットは、単純に収入が増えます。
「あと、2、3万円くらいあれば、生活が楽になる」と感じている方って、意外と多いと思うのですが、コツコツやるべきことを行っていれば、多くの方が副業で月2、3万円くらいはコンストラクタに稼げるようになります。
二つ目は、エンジニアとしてのスキルも、エンジニア以外のスキルも育つ、ということです。
そもそも経営者マインドが持てないと厳しい、と冒頭でも書きましたが、ある程度、副業に慣れてくると、「このタスクはどれくらいの工数がかかりそうか?」や「現在のスケジュール感で対応できるのか?」など、プロジェクトマネージャー的な思考がおのずと身に着きます。「こういうテクニックを使えば、もっと納期を縮められるかもしれない」など技術的な成長もあります。
また、「今月の売り上げはいくらになりそうか?」など数字を気にすることができるようになったり、「経費ってどこまで認められるんだっけ? 収入印紙代ってなんだっけ?」などなど税金や法律への興味関心も自然と高まります。
②副業のデメリット
副業は結局のところ、本業の余暇時間の切り売りです。
副業に熱を入れるのは良いですが、結局、休むべきときに休まず、体調を崩す人も中にはいます。また、副業禁止の会社で副業をしていることが発覚し、処分されるケースも少なからず存在します。
そうなっては元も子もありませんので、ご注意ください。
まとめ:複数の収入源を持つのは大事
2000年以降、日本航空やシャープや東芝など日本を代表するような大手企業ですら、経営危機に陥り、シャープに至っては、外資系企業の傘下に収まってしまいました。経営再建の過程で、社員の給与が見直されたのは言うまでもありません。
2020年4月現在、新型コロナ問題で世界の景気の先行きに不安が集まっていますが、シャープや東芝のような事態に陥る企業が現れるのは時間の問題のように思います。
正社員だからと言って、毎月、安定した収入が得られる保証はなくなってきたわけですから、本業以外の収入源を作るようにしましょう。