プログラマーの職種を分類するとは?
厳密に言うと、プログラマーは「プログラマーという独立した職種」です。
“ITエンジニア職”の一つとして、システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、コーダーなどと同じレベル感でプログラマーという職種があります。
上流経験を中心にしてIT業界にて活躍してきた方からすると「独立した職種であるプログラマーを、さらに分類するって変じゃない?」と感じるかもしれません。
しかし、実際のところ、同じプログラマーという職種・肩書であっても、働いている現場、業種によって求められている能力、ひいては給与・待遇には差があります。
そもそも、“プログラマー”という名称はプログラミングする人という意味ですが、働く職場によって、プログラミングで作るものが様々です。
詳しくは後から説明しますが、「プログラマー=IT業界の職種」と思われがちですが、製造業など非IT業界で働いているプログラマーも少なくありません。
プログラミング言語という観点からみても、プログラマーの多様性は明らかです。
▼ プログラマーの言語分類
案件募集が一定数あると言われる言語に限っても、Java、C言語、Python、Kotlin、Swift、PHP、COBOL、Ruby、Go言語など、いくつもあります。
「プログラマーという仕事は、プログラミングを書く仕事」というベース部分ではどの業界・現場でも同じですが、実は様々なスタイルがあるのです。
今回はそれを整理したいと思います。
プログラマーの職種を業種で分類してみる
まず、多くのプログラマーが働いている、IT業界から見ていきたいと思います。
IT業界で働くプログラマーは大きく分けると、Web系プログラマーとSIer系プログラマー、アプリ系プログラマーに分けられます。
▼ プログラマーの職種分類①:SIer系
Web系はなんとなく分かるけれど、「SIerとはなんだ?」という方も多いのではないでしょうか?
SIerとはシステムインテグレーターのことです。…と言っても、システムインテグレーターとはなんぞや、という方も多いと思います。
簡単にいえば、官公庁や企業向けの大規模システムの開発を行っている企業のことです。
富士通エスサス、NECソリューションイノベータなどのエレクトロニクスメーカー・ITベンダー系企業や、ニッセイ情報テクノロジー、丸紅情報システムズ、JRシステムの愛称を持つ鉄道情報システムなど、金融や商社、インフラ系企業の関連会社などが多いです。
もちろん、大塚商会など、そういった親会社のない独立系のSIerもあります。
話の流れでSIer業界のプログラマーの実態を見ていくと、雑な言い方をすると“勝ち組と負け組の差”が顕著です。
例えば、鉄道情報システムが手掛ける、MARS(指定席券売システム)のような大規模システムの更改には、多くのプログラマーが必要になるでしょう。
どれほど大きなSIer企業であっても、自社の社員だけではとても手が足りないので、パートナー企業に下請けという形で外注し、外注先の要員を“パートナーさん”として利用することになります。
下請けされた企業も人手不足であれば、さらに下請けに出すことも多々あります。
結果、何層にも渡る下請け発注が発生してしまい、底辺企業で働くプログラマーの労働環境が悪化してしまうという問題、いわゆる多重下請け問題が起きていることが多いのがSIerです。
一方で、上位の企業に在籍するプログラマーは、大企業グループの一員として、昨今の平均より恵まれた環境で働いていることが多いです。
なので、SIer系プログラマーといっても、実はどういったポジションにいるかで、だいぶ変わってきます。
できるだけ上流のSIerを狙いましょう。
▼ プログラマーの職種分類②:Web系
続いて、Web系プログラマーですが、いわゆるWeb系企業は中・小規模のWebシステムを作っている会社になります。
非常に付加価値の高いWebシステムを構築している企業であればともかく、多くのWeb系企業は上位SIerより規模が小さく、サラリーマンとして働いた場合の年収は、上位SIerで働くより低くなりがちです。
そのため、優秀なWeb系プログラマーほど企業に“ただの正社員”として在籍していないように思います。
フリーランスとして高単価案件中心に悠々自適な生活を送っていたり、あるいは自分で企業を立ち上げて、本当にやりたい仕事をしている。あるいは、企業に参加するにしても、役員待遇の“CTO(最高技術責任者)”を務めるなど、言葉が悪いですが、SIer業界よりも、「個性的な」生き方をしている方がやや多いように思います。
▼ プログラマーの職種分類③:アプリ系
そして、三つ目のアプリ系プログラマーというのは、アプリケーション開発に関わるプログラマーに対して便宜上、私が付けた呼び方です。
広い意味ではゲーム業界のプログラマーも、このアプリ系プログラマーの分類に入れても良いかもしれません。
アプリケーション、例えば、スマートフォンアプリやパソコン用ソフトの開発に従事しているプログラマーもたくさんいます。
ソフトウェア開発事業者は企業によって、規模がまちまちですが、総じて、自社のプログラマーで開発を進めることが多いようで、あまり下請け階層がないようです。
▼ 非IT業界のプログラマー
続いて非IT業界ですが、非IT業界でプログラマーが多く在籍しているのは、冒頭でも触れた製造業です。
なぜならば、制御系システム・組み込み系システムと呼ばれるシステムが、様々なハードウェアに組み込まれており、それの開発に関わるプログラマーが必要だからです。
車の製造ラインで組み立て作業を行っている産業用ロボットはもちろん、そうして作られた車にもシステムが搭載されています。
今後、搭載される機能が高度になっていけば、さらにプログラマーへのニーズは高まっていくでしょう。
コンサル業界にもプログラマーは少なからず在籍しています。
あるいはコンサルタント自身がプログラマーでもあることが多いです。
その理由としては、人工知能(AI)を含めたビックデータ解析のための各種分析ツールの作成・調整・メンテナンスにプログラミングスキルが必要になることが、もはや当たり前だからです。
また、人工知能(AI)関連の研究所、または人工知能を利用する研究機関では、研究者自身も含めて、人工知能に関する知識を持つITエンジニアチームが存在することも多く、当然、その中にはプログラマーも含まれています。
そうした、研究・調査関連で活躍するプログラマーも極めて少数ですが、存在しています。
もっとも将来性があるプログラマーの職種は?
どういった分野でプログラマーになると将来性があるのかですが、企業規模が大きいほど、将来も安定した年収を期待できる、という意味では上位SIerあるいは製造業がオススメだと思います。
すでにお伝えした通り、製造業は今後、より高機能な製品の開発が行われれば行われるほど、プログラマーへのニーズが高まると予想されますから、将来への可能性が一番高いように思います。
もっとも年収が高いプログラマーの職種は?
高年収を目指すのであれば、Web系でフリーランスや経営者・CTOになるのが一番だと思います。
SIerや製造業などで普通にサラリーマンをやっていても、なかなか年収アップが期待できない、役職に就かないと悪くはないけど、高いわけではない、というところに落ち着くように思います。
バリバリ働いて、バリバリ稼ぎたいのであれば、Web系でキャリアを積んでいきましょう。
まとめ:プログラマーの職種や分類、働き方もいろいろ
今回は、プログラマーの働き方、働く場所について、分類してみました。
プログラミングを書くのが仕事のプログラマーも、結構、多様な職場があることをご理解していただけたかと思います。
プログラマー志望の方は「自分はどんなシステムのためのプログラミングをしたいのか」を軸にして仕事を探すと、“良い仕事”に出会えるのかもしれません。