エンジニアやクリエイターが働くIT企業には、なんとなく人間関係が希薄なイメージがあり、心温まるような人間関係は存在しないという先入観を持っている人は多いでしょう。確かにドライな人間関係が当たり前という職場も存在しますが、中にはほっこりと心温まるようなエピソードがある職場も多くあります。
今回は、私がこれまで見聞きしてきたエンジニア・クリエイターの、ほっこりエピソードを紹介していきます。
エピソード1:トップダウン式に自由でユニークな社風が生まれた職場
会社というのは、良くも悪くも社長の意向次第で社風や働きやすさが決まるものです。社長がエンジニア畑出身ならエンジニアに配慮した福利厚生が生まれやすくなりますし、その逆もあり得ます。
私がよく見聞きする「この職場、いいな」と思える会社も、そのほとんどが会社トップの社長の人柄が現れていることがほとんどです。たとえば、少し前に話を聞いた女性エンジニアの知り合いからは、こんな会社のエピソードを紹介してもらいました。
当時Aさんは、新しい職場を探して転職活動中でした。そんなときにある1つの会社に履歴書を送ったところ、後日社長から直接電話が来たと言います。「仙台に住んでるんですか? じゃあ僕がそちらに伺います!」と、東京からわざわざ宮城まで、社長が足を運んでくれることになったんだとか。
その社長曰く、「将来の仲間をお迎えするためなら、北海道でも沖縄でも会いにいきますよ!」とのこと。Aさんの選考結果は、見事に合格。春からその社長と机を並べてSEの仕事を始めたそうです。
入社してからも社長の驚きのエピソードがあったそうで、たとえば社員たちの恋愛を応援する…なんて仕組みも導入していました。「デート代って結構かかるもんね」という社長の一声で決まったこの制度は、「明日デートにいきます!」と報告するだけで、給与に数万円プラスされる仕組みだったそうです。
こう聞くと、ユニークな制度をついつい悪用したくなる気持ちになりますが、Aさんによればその会社の雰囲気は抜群で、これまでになく働きやすく感じていたらしいのです。社長の人柄によって会社の雰囲気は決まる…それを実感したエピソードでした。
エピソード2:入社1年目の新卒が、中途採用の担当者になる職場
「去年の新卒が今年の新卒の面接官を担当する」なんて話はよく聞きますよね。応募者にとっても気兼ねなく面接に臨ことができますし、面接官側としても「人を採用する」という重要な役割を経験できる、非常にいいシステムだと思います。
以前私がBさんから見聞きしたのは、入社1年目の新卒エンジニア社員が、その年の中途採用の面接官を務めるという、ちょっと変わった職場のエピソードでした。その会社は数百名規模のIT企業だったのですが、とにかく若手が多いことが特徴。
「新卒の若手を採用して使い潰して働かせる」なんてブラック企業があるご時世に、新卒の若手をイチから丁寧に教育し、一人前のエンジニアとして独り立ちを支援しているという会社でした。
新卒1年目の社員が中途採用の面接官を担当しているのも、「若手が一緒に働きたくない相手だったら、採用する意味がないから」という理念の現れなんだそうです。日本全体で少子高齢化が進み、若手人材を確保が難しくなってきている昨今。
これからのIT業界で生き残っていくのは、Bさんのような若手フレンドリーな会社なのかもしれませんね。
エピソード3:とにかく給与・手当が手厚く定着率が半端なかった職場
エンジニアとして働く上では、一緒に働く人間関係や福利厚生も大事ですが、やっぱりたくさん稼げるならそれに越したことはないですよね。世の中には、社員の生活を第一に考えて、経済的な支援を惜しまないという温かいサポートをしてくれる会社もあるんです。
「めちゃくちゃ金払いがいいんですよ!しかも働きやすくて最高!」と、ぶっちゃけて話してくれたCさんから聞いたのは、全国に拠点を構える都内のスマホアプリ開発会社。Cさんの言葉にもあるように、その会社は社員に対する利益還元が半端ないという特徴がありました。
月給30万円スタートは当たり前、昇給は年4回のチャンスがあって社長に給料アップを直談判することも可能、誕生日手当・父の日/母の日手当・入社祝い金・ランチ補助・借り上げ社宅制度など、社員の経済的負担を軽減する仕組みがたくさんあるんだそうです。
私が前回お会いしたCさんも、見るからに高級そうな腕時計やファッションを身にまとい、いかにもリッチな暮らしをしていそうな雰囲気がありました(笑)。だからといって残業や激務が発生しているわけではなく、明るく楽しそうにこのエピソードを話してくれたんです。
「いったいどうやって資金源を確保しているんだろうか…」と気になりますが、それはさすがにCさんも知らないようでした。わかっているのは、会社全体で社員をサポートしようという雰囲気があり、社長も経営幹部もエンジニアフレンドリーであること。
社員に思い切った利益還元を行っている姿勢も驚きですが、高い報酬と会社の業績、そして働きやすい会社の雰囲気と、3つを両立させている経営手腕は見事なものです。そんな会社に在籍していれば、一人の人間として学ぶところが多いのは間違いありません。
ちなみに、カフェで今回の話を聞いた日、用事を終えて帰ろうとしたところ「ここは俺が払っとくよ」とCさん。どうやらお財布は今でも「ほっこり」しているみたいですね。
エピソード4:「絶対に一人にしない!」という信念を持った職場
複数のメンバーが一緒に働く会社という組織において、「一人ぼっち」になるというのは、この上ない苦痛に感じられるものです。自分だけ話の輪に加われなかったり、助けを求めようにも誰も話を聞いてくれなかったり。
そんな孤独とは無縁の温かい職場があるのは、この前Dさんから聞いた勤務先についてのエピソードです。Dさんの会社は横浜に本社を置くソフトウェア開発会社なのですが、「とにかく人間関係が温かい職場だった」とDさんが絶賛していました。
何か仕事を始める際には、絶対にチーム単位で仕事を割り振るため、未経験からの入社だったDさんも安心してキャリアアップできたと言います。チーム単位で仕事をするというのはあまり珍しくないことかもしれませんが、研修のときも独り立ち後も、そして客先常駐することになったとしても、決して一人にはさせないという強いこだわりがあるようでした。
そんな考え方の背景にあるのは、社長がエンジニア時代に経験した、「一人ぼっちでクライアント先に派遣された」という経験なんだそう。「うちの会社の社員には、あんな心細い気持ちにさせない」という思いから、チームで働けるプロジェクトのみを選んで受注するようにしているんだとか。
「いい話だね〜」と、私も思わず顔が綻んでしまったのを覚えています。そんな会社でなら、どんなに辛いときでも仲間と一緒にがんばれそうですね。
ちなみに、Dさんのプチエピソードで「この会社では社内結婚がめちゃくちゃ多いんですよ」という話も聞きました(笑)。
まとめ:会社っていいな
私自身は、ここで紹介したような職場でのほっこり体験というのをあまりしたことがありませんが、ここで紹介したようなエピソードを耳にするたびに、「探せば色々な会社があるんだな」と思いました。私自身もいつかは出会いたいです。
皆さんも「ウチの職場とは全然違う!」「めっちゃいい会社だな!」なんて感想を持った方は、この機会に転職や独立を考えてみるのもいいかもしれませんよ。