監視業務とは
監視業務と主に複数台のコンピュータが接続されたネットワークを監視する業務です。
主にはネットワークの運用・保守はネットワークエンジニアが任されることが多い業務ですが、監視業務もネットワークエンジニアの業務として定められていることが少なくありません。
また近年のIT業界ではネットワークの活用が前提となっていることが少なくないため、ネットワークの安定した稼働を実現するための重要な業務でもあるといえるでしょう。
では監視業務には具体的にどのような業務内容があるのか、順番に見ていきましょう。
リソース監視(ネットワーク機器の監視)
ネットワークを構成する機器はユーザから利用されるコンピュータだけではありません。
プロキシやセキュリティ機器、ネットワークスイッチなど様々な機器が正常に稼働していることがネットワークの正常稼働の前提条件でもあるからです。
またネットワークを構成する機器の一つにでも問題が生じれば、提供しているサービスへの影響が出る恐れがあります。
仮にネットワークへの過剰な負荷や、メモリの空き容量不足などが起きればネットワークへの接続そのものに問題が生じるリスクがあります。
ネットショップを自社ネットワーク内のサーバで管理している場合は、売上の機会を損失することにもつながります。
そのためリソース監視では、トラブルを未然に防ぐための対策やトラブルがあった場合の早急な対応が必要となります。
トラブルがあればネットワーク機器の設定の見直しやOSのバージョン、利用しているアプリケーションのバージョンや設定などをチェックしてトラブルの原因を特定しなければいけません。
トラブル対応は別のエンジニアが担当するケースもありますが、リソース監視では常に対象機器のCPUやハードディスクの状態を定期的にチェックして把握することが必要です。
トラフィックの監視/遅延監視
企業のネットワークではインターネットへの接続だけでなく様々な通信ポートを介してソフトウェアが稼働しています。
また近年ではクラウドによって提供されるサービスが増えてきているため、利用されている通信経路やトラフィックの監視は、ネットワークの負荷に備えるためにも重要な業務となります。
ユーザからインターネットサービスや特定のアプリケーションの稼働が遅い場合は、連絡を受けて事象の解消を目的としてトラフィックのチェックを行うこともあります。
それ以外にも定期的にネットワークのレスポンス時間をチェックするなど、異常を早期に見つけるための対策にも取り組みます。
監視業務の気になる年収は
監視業務を担当するエンジニアは一般的にインフラエンジニアやネットワークエンジニアとして募集されることが少なくありません。
近年ではクラウドエンジニアの業務内容に監視業務が含まれている場合があります。
弊社が提供している求人サービス「techcareer」における監視業務を担当するエンジニアの年収は240万円~700万円程度です。
また経済産業省が平成29年に公表している「IT関連産業の給与等に関する 実態調査結果」では監視業務が含まれると考えられるIT保守の平均年収は592.2万円です。
未経験などで入社した場合は最初から高い報酬を見込むことはできませんが、ある程度スキルを身につけることができれば500万円程度の年収は期待できるといえるでしょう。
監視業務の必要な技術/資格
監視業務を担当するには、ネットワークや通信についての基礎知識とネットワークを構成する機器についての理解力が求められます。
資格が必須な業務ではありませんが、企業によっては有資格者には手当を支給するなど優遇されるケースが少なくありません。
では監視業務に関連する資格や技術にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
【監視業務に関連する資格】
・ITパスポート
ITパスポートはエンジニアもしくはIT業界で働く人の入門資格的な位置づけであり、比較的短期間の学習で習得できる資格ですがその内容はネットワークや通信に関する基礎的な内容を網羅しています。
未経験から監視業務を目指す場合は資格を取得していることによって最低限の知識は習得していることの証明になるため、評価されることが期待できます。
・基本情報処理技術者試験
基本情報処理技術者試験は公的機関であるIPA(情報処理推進機構)が実施している国家試験。
ITエンジニアの基礎的な知識を証明するのに有用な資格です。
しかし合格率は毎年20%台であり、IT業界未経験者が簡単に取得できる資格ではありません。
IT業界未経験であれば数か月~半年程度の学習期間は要するのが一般的です。
試験内容は監視業務に関するネットワークやセキュリティ、通信だけでなくプログラミングやデータベースなどITエンジニアならが理解しておくべき内容が網羅されています。
資格手当の有無は企業によって異なりますが、資格を取得していることが一定の評価にはなるといえるでしょう。
・CCNA(シスコ)
CCNAとはシスコ社が提供しているネットワークエンジニアの登竜門的な位置づけの資格。
資格試験には実際のシスコ社の機器を活用した前提の内容となっているため、先に述べたITパスポートや基本情報処理技術者試験と比較するとより実践的な試験だといえるでしょう。
またネットワークエンジニアとしての採用の場合、評価される可能性が高い資格でもあるため、未経験からネットワークエンジニアを目指す場合は取得を検討しておきたい資格の一つです。
【監視業務に必要な技術】
・ネットワークに関する基礎知識
ネットワークに関する基礎的な知識は監視業務には必須となります。
IT業界は専門的な用語が多く使われているため、そもそも言葉についての理解がなければ業務内容についていけない可能性があるからです。
また基礎的なネットワークの知識がなければトラブルが発生した際にトラブルの要因を切り分ける操作のあたりをつけることも難しくなります。
未経験入社ならネットワークの基礎は入社した後の研修で教わるケースもありますが、監視業務を担当するならネットワークに関する基礎的な知識は欠かせないといえるでしょう。
・レポート作成/データ管理スキル
監視業務では日々のデータの数値を管理することや定期的なレポートの提出が求められることが少なくありません。
そのため監視業務を担当するエンジニアにはデータを管理、作成するためのエクセルやパワーポイントを活用した資料作成のスキルも求められます。
・コミュニケーションスキル(対面/チャット/メールなど)
監視業務を担当する場合、他の部門やエンジニアとの情報の連携が欠かせません。
そして通信に関する遅延やユーザからの問い合わせが入った場合は対応の切り分けに必要となるポイントを押えたヒアリングを実施して、対処策を検討しなければいけません。
またエンジジニアの業務ではすみやかな情報共有のために電話やメールだけでなくチャットツールを活用した情報共有も頻繁に行われます。
そのため対面のコミュニケーションスキルだけでなく、メールやチャットでのコミュニケーションスキルも必要です。
監視業務ができるエンジニアとして活躍できる業界
監視業務ができるエンジニアとして活躍できる主な業界は、IT業界です。
IT業界の中でも主にインフラ関連の技術を有するエンジニアとして活躍することができます。
データベースの操作やバッチファイルの作成などのスキルは必要となる場合が少なくありませんが、プログラミング言語の習得を求められることはほとんどないため、プログラミングに苦手意識がある人でも活躍できる可能性があります。
また監視業務に強みがあればIT業界以外のITを内製化している企業で社内エンジニアとしても重宝される可能性があるため、身につけたスキルや実績に応じて活躍できる幅は拡がっていくといえるでしょう。
監視業務に対応できるエンジニアの将来性は?
監視業務に対応できるエンジニアはインフラエンジニアとして幅広く活躍できることを考慮すれば、将来性があると考えることができます。
なぜならIoTの普及や5Gの導入など、ITは今後も社会生活を営む上で欠かせない技術となっていく可能性が高いからです。
5Gが普及すれば、現在よりもより高度な機能を備えたサービスやアプリケーションが開発されることが予想できますが、そういったサービスの提供は前提として安定したITインフラが整っていることがあります。
そのため監視業務に対応できるインフラエンジニアは今後も継続的に需要がある職種になると予測することができます。
【まとめ】監視業務を担当するならネットワークのスペシャリストを目指そう
ここまで紹介してきたように、監視業務を担当するエンジニアの主な職種はネットワークやインフラエンジニアなどインフラ関連のエンジニアとなります。
そしてこれらの職種はスキルや経験に応じて活躍できる場面が広がり、スキルに応じて報酬が提示される傾向があります。
これらのことを考慮すれば監視業務を担当するエンジニアとして将来をより良くするためにはネットワークについての知見と技術を習得しスペシャリストを目指すことが有用だと考えられます。
これから監視業務を担当するエンジニアとしてキャリア形成を考えるなら、日々の業務で技術を磨くだけでなくネットワークのスペシャリストを目指すことも検討してみてはいかがでしょうか。