様々なITシステムが社会で動いていますが、みなさんにとって一番身近なITシステムは、スマートフォンとその中で動くスマホアプリではないでしょうか?

実際、多くの初心者向けのプログラミングスクールでは「スマホアプリ開発ができるようになること」を学習の最終目標に設定しています。そして、プログラミングスクール卒業後、スマホアプリ開発の仕事に就きたいと考えている方、実際に働きだした方も少なくありません。

そこで今回は、スマートフォンアプリ開発を主な業務とするスマートフォン業界について見ていきたいと思います。

スマホ業界とは どんな業界

上でも書いた通りスマホ業界とは、スマホ向けアプリの開発やサービスを展開する業界です。スマホのことをモバイル端末と呼ぶこともありますが、スマホ業界のことも、モバイル業界と呼ぶこともあります。

なお、ここでいう“スマホ向けアプリ”ですが、一般的には、スマホゲームは含みません。スマホゲームを作っている会社はスマホゲーム業界という異なるカテゴリーに分類することが多いです。

では、どんなスマホアプリがあるのかというと、例えば、AmazonやユニクロなどのECサイト系アプリや、口座残高などを確認できる金融機関のアプリ、あるいは、目覚ましアプリやカメラアプリなどの便利ツール系アプリがあります。近年、〇〇ペイが相次いで登場しており、そうしたキャッシュレス支払いのためのアプリ開発に関わった企業もあるでしょう。

ECサイトなどの場合、他の企業から注文を受けて、その企業のためのアプリを開発することになります。一方で目覚ましアプリやカメラアプリなどの便利ツール系の場合、自社で企画して開発していくことになります。

スマホ業界とは どんな職種やスキルが必要

スマホ業界に存在するエンジニアの職種としては、設計などを担うSE、開発作業を担うプログラマー、そして開発プロジェクトを統括するプロジェクトマネージャーの三職種をベースに、場合によってアプリのUI/UXの改善を専門に担うデザイナーが配置される構成となっている企業が多いです。

いずれの職種でも重要になってくるのは、スマートフォンアプリの開発手法の理解です。そもそも論として、スマートフォンアプリは、その動作の仕組みによって、ネイティブアプリ、Webアプリ、そしてハイブリッドアプリの三種類に分けられます。

それぞれ、仕組みが異なるため、メリット・デメリット、得意・不得意があります。その違いを知っておくことが重要です。

また、スマートフォンアプリ開発に使われる言語や開発環境についての知識も必要です。androidアプリ開発ではGoogleが提供している統合開発環境の「Android Studio」、iOSアプリの開発ではAppleが提供している統合開発環境の「Xcode」が一般的です。

しかし、近年は、「Xamarin」「Cordova」といった、クロスプラットフォーム・マルチプラットフォーム開発、つまりandroidでもiOSでも動くアプリの開発ができる統合開発環境も登場しています。

そして、統合開発環境ごとに利用できるプログラミング言語も異なります。すべてのプログラミング言語を完璧に扱える必要はありません。一つのプログラミング言語が扱えれば、同じパラダイムのプログラミング言語の習得もあまり苦労しないと思います。

ですが、今までまったく触ったことのない人と、趣味の範囲であっても触れたことがある人では、業務で使いこなせるようになるまでの速度で差が付きます。可能であれば、触れておくべきです。

また、開発アプローチとして、開発サイクルを早めるためにスクラムなどアジャイル開発を行っている企業も多いです。すでにアジャイル開発経験のある方は、問題ないと思いますが、ウォーターフォール型の開発を行った経験しかない方は、ウォーターフォールとアジャイルの違いについて、知識として知っておいた方が良いでしょう。

他にも、アプリの企画アイデアや操作性に関する知見があった方が良いでしょう。自社でアプリの企画を行う会社であれば、なおさらです。自社のアプリによってもたらされる利益が、ただちに、そこで働く社員の給与に反映されます。優れたアイデアを持つ人材を、どんどん出世させる仕組みを持っている企業もスマホ業界では多いです。

スマホ業界の年収は?

スマホ業界の年収は?

スマホ業界の年収ですが、複数の大手転職サイトの求人票ベースで確認したところ、概ね450万円前後におさまっていました。

ちなみに、2019年の9月に国税庁が行った『民間給与実態調査』によると、2018年度のサラリーマンの平均年収は約441万円とのことですので、それとほぼ同じくらい、という結果です。

なお、一般的に、個人利用者向けのスマホアプリを開発しているスマホ業界は、法人向けシステムを開発しているSIerよりも、景気の影響を大きく受けやすいと言われています。ただし、スマホアプリの内容によっては、不景気でも、むしろ不景気だからこそ、利用者が増えるものもあります。

また、あるスマホアプリが、Twitterなどのネット上の口コミで突然バズって、そのアプリの開発会社の業績が伸びることもあります。他の業界であれば、「業界全体で売り上げが悪くなっていて、年収も冴えない」という話になりがちですが、スマホ業界に関しては、企業によって状況は様々です。

さらにいえば、プロジェクトマネージャー(スクラムでいえば、スクラムマスター)などのマネジメントができる方は、他の職種よりも百万円単位で年収が高くなることもあります。

450万円前後は参考値だとお考え下さい。

スマホ業界の将来性は?

現代社会において、スマホは生活必需品です。多くの方がスマホを持っているため、今後も様々なスマートフォンアプリ必要とされ、登場してくるでしょう。また、これまで使われてきたスマホアプリの保守改善や改良も必要です。

そういう意味で、スマホ業界は仕事がなくなりそうになく、将来性のある仕事だといえます。

とはいえ、スマホというものを世界に知らしめた初代iPhoneが登場したのは2007年。それから、かれこれ10年以上が経っています。ある程度、スマホアプリやスマホ業界が飽和状態になっているのも事実です。普通のアプリを普通に作ってみても、すでに似たようなライバルアプリが存在していて、なかなか売り上げに繋がらないでしょう。

今後は、スマホアプリの使い勝手が良いのは当たり前として、「そのスマホアプリを使うことで、利用者にはどんなハッピーがあるのか?」が重要ポイントになると考えられます。

ちなみに、転職サイトのコンサルタント曰く、5年くらい前までは、スマホ自体が登場して日が浅かったこともあり、Web業界やSIer業界から「いま勢いのあるスマホ業界へと転職したい」という方が多かったそうです。しかし、現在は「スマホ業界内で、より勢いのある会社へ転職したい」というニーズが増えているそうです。

まとめ:スマホ業界はアイデアマンを求めている⁉

繰り返しになりますが、普通に普通のスマホアプリを作っても、すでに似たようなアプリがあるなどして、なかなか売り上げにならない時代になっています。

今後は、操作性が高いなど、アプリとして完成度が高いのは当然として、そのアプリを使うことで利用者の生活の質が向上するなど、「使うことで幸せになれるアプリ」が求められているのではないでしょうか?

そうした状況にあるスマホ業界では、今後、エンジニアとしてITスキルが高いのは当然として、“良いアプリ企画”を打てるアイデアが豊富な人が求められるようになると考えられます。

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