日本のエンジニアの給料は国内では比較的高い
日本のエンジニアの年収は高いのか低いのかについて、さまざまな場所で議論されています。平成29年に経済産業省が発表した『IT関連産業の給与等に関する実態調査』では、日本のエンジニアの平均年収がいかほどか、データとして明らかになっています。
この調査によると、日本国内のエンジニアの平均年収は約500万円で他の業界と比べると比較的高いです。しかし、スキルレベル別の平均年収では、新人・初級者レベルや仕事に慣れ始めたレベルで約438万円、上位者の指導があれば仕事ができる若手人材レベルで約499万円、独立して仕事ができる中堅人材レベルで約576万円、部下を指導できるリーダーレベルで約726万円、社内での指導者・幹部レベルで約938万円となっています。また、国内的や国際的に著名なレベルで約1000万円という結果が出ています。
国内のエンジニアに限って言えば、高いスキルを持っていることはさることながら、後続のエンジニアを指導できる立場になれば、より高い給料をもらえるということが分かります。
日本のエンジニアの給料は世界的には安い
前述の調査では海外のエンジニアの平均年収についてもデータを明らかにしています。それによると、アメリカでは20代から全ての世代で、4000万円以上稼いでいる人がいることが明らかになっています。アメリカのIT業界では年齢に関係なく全体的に数倍ほど報酬が高いことが分かります。
アメリカだけでなく、最近勢いのある中国でもエンジニアの給料が上がっており、すでに日本の平均年収を大きく超えています。アメリカや中国以外にも、イスラエルやインドでもIT業界の勢いが大きくなっており、それに伴い年収も上がっているようです。
どの業種・職種・スキルのエンジニアが高給なのか
日本のエンジニアの平均年収が世界と比較して比較的低いことが分かりました。しかし、業種やスキルによっては高い報酬を得ているエンジニアもいることは事実です。ここからは、どんな業種やスキルを持ったエンジニアが高給取りなのか紹介します。全体として高給取りのエンジニアには、非常に高い専門性を持っているか、幅広い知識やスキルを持っているかのいずれかの特徴があることが分かります。
▼ エンジニアで給料が高い職種①:セキュリティエンジニア
ICT技術がより社会の隅々にまで浸透するにつれて、セキュリティに対する意識も強くなってきました。コンピュータウイルス、システムの脆弱性、情報漏洩などさまざまなリスクに誰でも晒されています。
しかし、このような需要の増加に関わらず、セキュリティを担えるエンジニアの供給が圧倒的に不足しています。ITの安全を脅かす脅威は日に日に増大しており、ハッキングなどの攻撃も高度化を続けています。そのため、セキュリティを担う側にも同様に高度化が求められます。また、攻撃側とのいたちごっこが続いている中で、ITの安全を守り続ける不断の努力も求められます。
▼ エンジニアで給料が高い職種②:IoTエンジニア
IoTは「モノのインターネット」のことで、世の中のあらゆる端末がインターネットに接続され、データの収集や制御が可能になる技術のことです。これによって、ビジネスモデルや生活が大きく変わると期待されており、世界中の企業がこぞってIoTビジネスに乗り出しています。総務省が平成29年に発表した「情報通信白書」では、271兆円もの経済成長がIoTによって得られると試算されています。
しかし、IoTエンジニアもこのような需要に対して供給が間に合っておらず、不足しているのが現状です。IoTを扱うエンジニアには大きくWeb系と組み込み系の2種類がいますが、セキュリティや通信、ユーザーインターフェースなどの幅広い知識とスキルが求められます。
▼ エンジニアで給料が高い職種③:データサイエンティスト
ビッグデータや機械学習などの普及によりデータから知見を引き出すエンジニアの必要性が高まっています。ビジネスでも日常から発生するさまざまなデータを解析し、ビジネス上の意思決定に貢献するエンジニアが必要です。ハーバードビジネスレビューでは、「データサイエンティストは21世紀で最もセクシーな職業」と紹介されており、世界的に大きな注目を集めていることがわかります。
データサイエンティスト協会によれば、データサイエンティストに求められるスキルセットは「データエンジニアリング力」「データサイエンス力」「ドメイン知識」の3つの要素が必要だとされています。つまり、データを扱えるプログラミング力と統計学などの専門知識、そしてビジネスの理解など幅広い領域をカバーできてなくてはいけないとされています。
▼エンジニアで給料が高い職種④:プロジェクトマネージャ
プロジェクトマネージャは、プロジェクトの円滑で効果的な運営に責任を持って取り組む人のことです。人を動かし、チームをマネジメントする立場になれば、その分責任も伴いますが、高給取りになれる可能性も大きくなります。
特に最近のシステム開発の現場では、色々な分野が絡み合って開発されるものになってきました。そのため、さまざまな分野に精通している人たちをマネジメントしてシステムの開発を行う必要性が高まっています。
また、システム開発において納期やコスト、品質に気を配ることは非常に重要になっています。これらをそつなくこなせる人材は、チーム開発が主流になっている現代では重宝されることでしょう。
▼ エンジニアで給料が高い職種⑤:ITコンサルタント
冒頭紹介した経済産業省が発表している調査でもITコンサルタントが最も平均年収が高いという結果が出ています。コンサルタントはIT業界に限らず平均年収の高い職種と知られています。
ITコンサルタントはただのシステムエンジニア以上に、経営に関する知識や経験が求められます。同じITシステムを扱っていても、よりハイレベルな意思決定に関与するため、高い目線が必要になるのです。
ITコンサルタントの仕事内容は非常に多岐に渡りますが、主にクライアントの経営方針に合わせたITシステムの提案やシステムの最適化などが含まれます。第三者の立場からの助言や提案、取り組みのサポートなどを行うため、伴走力も求められます。
より給料の高いエンジニアを目指して転職をしよう
より年収を上げるには、高給を期待できるスキルを身に付けたり、より環境の良い業種につくことが効果的です。今の場所でそれが厳しいのであれば転職することも効果的な方法でしょう。しかし、一人で転職活動をする場合、多くの情報を手に入れることは難しいものです。
そんな時頼りになるのは、IT業界に精通している転職エージェントです。IT業界に関わる動向や専門的な知識を持っているため、適切なアドバイスや転職先を教えてくれます。
ここでおすすめなのが、エンジニアやクリエイターのためのIT/Web業界に特化した転職求人サイト「techcareer」です。エンジニアやクリエイターのようなIT人材にフォーカスしたエージェントで、IT人材のミスマッチを減らし社会や企業、そして個人に貢献するため最適なマッチングを行うことをミッションとしています。
転職を考えているエンジニアの方はぜひ、資格取得の他に専門の転職エージェントへ相談することもご検討ください。
まとめ:業種やスキルを選べば給料が上がる
今回は日本のエンジニアの給料が高いのかどうかを軸に高給な業種やスキルについて紹介してきました。日本のエンジニアは世界のエンジニアに比べて給料は高くないものの、業種やスキルを選べば高給も期待できます。
より条件のいい環境で働きたいと考えるエンジニアの方はぜひ、転職をしてみることも検討してみてはいかがでしょうか。