システムエンジニアの平均年収とは?
システムエンジニアの平均年収とはいったいどのくらいでしょうか? 厚生労働省の平成29年賃金構造基本統計調査の職種別データによると、システムエンジニアの月収平均は約37万円、年収平均が約560万円です。
【システムエンジニア 平均給与額(平均年齢38.2歳)】
・月収:37万2950円
・賞与:113万2475円
・年収:560万7875円
年代別の年収を見ると、20代は年収388万円です。年収が上昇するのは30歳以上からであることが伺えます。
【年代別】
20代
・月収:28万円
・年収:388万円
30代
・月収:37万円
・年収:550万円
企業規模別のデータも見ると、不思議なことにシステムエンジニアの年収は、社員数10人以下の小企業と1000人以上の大企業の年収が、中堅規模の企業より高いようです。
【企業規模別】
・社員数10人以下:約579万円
・100名以下 :527万円
・100~1000人:528万円
・1000名以上:約607万円
自分の年代、勤務先の規模と照らし合わせて、現在の年収が平均より高いか低いか確認してみましょう。
思った以上に低い年収結果
平均年収約560万円。この年収を高いと感じるか低いと感じるかは人それぞれです。住んでいる地域や仕事のハードさにもよるでしょう。しかし、世界的に見れば日本のシステムエンジニアの給与は低い水準にあります。
経済産業省が2018年に発表した「IT人材に関する各国比較調査結果報告書」では、米国と日本のIT人材の平均年収は2倍近くの差があるとレポートされています。年収に満足していると回答した人の割合は、米国やインドが50%を超えているのに対し、日本はわずか7.6%であり、調査対象国の中で最低の数値です。米国やインドでは、他の業界に比べIT人材の年収は高いのですが、日本や韓国では他産業とIT業界の人材の年収が同レベルであり、このことが日本のITエンジニアの不満につながっています。
つまり、客観的に見ても日本のシステムエンジニアの収入は低く、約9割ものシステムエンジニアが自分の年収に不満を持っていると言えます。
年収に満足していると回答した人の割合
- ・米国57.4%
- ・インド55.8%
- ・インドネシア36.6%
- ・タイ:41.7%
- ・ベトナム:32.7%
- ・中国:21.8%
- ・韓国は13.2%
- ・日本7.6%
2017年に、中国企業のファーウェイが新卒エンジニアの初任給を40万円と打ち出し話題になりました。システムエンジニア、AIエンジニア、研究職などすべてのエンジニアが対象です。12ケ月合計で480万円、賞与も含めると新卒1年目で年収500~600万円になります。新卒1年目ですでに日本のシステムエンジニア平均と同じくらいの年収を出す外資系企業と比較すると、やはり日系企業のシステムエンジニアの給与は低いのかなと感じます。少なくとも、多数のシステムエンジニアが自分の年収が低いと感じているのは事実です。
働き方や環境をチェックしてみよう
もちろん、中には単純にスキル・能力不足で年収が低い人もいます。自分の年収に不満がある人は、一度、その理由を考えてみましょう。なぜ、システムエンジニアとして働いているのか? 自分が頑張って働いても年収が低いのはなぜか? 自分の問題なのか、企業の問題なのか? 一度チェックしてみることをおすすめします。
チェック項目
- ・上流Slerに勤務しているか
- ・仕事の内容は元請と下請けか、比率はどちらが多いか
- ・社内にe-ラーニングなどの学習支援システムはあるか
- ・プロジェクトマネージャーか、スタッフか
- ・仕事で評価されていると思うか
- ・AI、IOT、RPAなど最新のテクノロジーの動向に興味があるか
- ・セミナーなどに参加して自分で勉強しているか
- ・土日に休むことはできるか
- ・自分のキャリアプランは描けているか
- ・自分の5年後、10年後の年収がわかるか
- ・システムエンジニアの仕事は自分に合うと思うか
年収が低い要因は何か?
もし、自分がシステムエンジニアの仕事にやりがいを感じず、会社からの評価も低いのであれば、これは単純に職業選択のミスです。ただ、仕事も好きでやりがいもあり、たくさん仕事を任されているのにもかかわらず年収が低いのならば構造的な問題です。日本の場合、年収は個人の能力というよりは入社した企業の競争力や給与制度で決まってしまう傾向があるからです。
特に、その会社が自社開発を行っているのか、下請けメインか、下請けでも元請けか孫請けかにより驚くほど年収は変わってきます。もちろん、IT業界に限らず、広告業界、建設業界なども同じです。仕事を受注してディレクションする上流工程に携わるほど利幅が大きくなるため社員の年収も高いのです。
現状からの脱出を真剣に考える
年収が低く、今の会社にこれから5~10年勤めても自分の希望するささやかな年収すら獲得できないと悩む人は、一度現状からの脱出を真剣に考えてみましょう。自分の望む年収が今後も得られないということは、自分の望むような人生を送ることが難しいということなのです。何も行動を起こさなければ、現状のまま貴重な20代、30代を過ごしてしまいます。
年収をアップするには、いくつか方法があります。起業はハイリスクハイリターンですがIT業界は将来性があるため投資も受けやすく、他業界よりは成功しやすいと言えます。システムエンジニアならフリーランスとして独立することも比較的スムーズです。近年はネットインフラが世界各国整備されていますので、物価水準の低い国に移住し、クラウドソーシングで仕事を受け、可処分所得を増やすこともできます。転職で、大手企業、外資系企業など待遇の良い会社へ転職することも、2018年現在の売り手市場であれば強くおすすめできます。
また、最近は官民挙げて副業解禁に動いています。冒険せず地道に収入を増やしたいタイプなら、現在の企業に勤めながら副業をスタートしても良いでしょう。自分の性格、現在の保有スキル、望んでいる年収ラインをイメージしながら、真剣に自分のキャリアプランと人生を検討してみましょう。
システムエンジニアが年収を上げる方法
- ・起業する
- ・外資系企業に転職する
- ・ベンチャー企業に転職し、ストックオプションを獲得する
- ・フリーランスとして独立しアジア・東南アジアに移住して働く
- ・会社に勤務しながら副業をスタートする
転職をしよう
年収をアップさせる方法の中で、最も手堅く成功率の高い方法は転職です。日本の場合、年収はその人の能力で決まるというよりも、その人の業界、企業のランクなど構造的な要因で決まってしまうからです。
システムエンジニアは他の職種と比較しても、外資系と日系企業の給与の差が大きいので、高年収を目指すなら外資系への転職がおすすめです。また、ストックオプション制度のあるベンチャー企業へ転職もおすすめです。月収はそれほど高くなくても、会社が株式公開した際に大きな収入を得られる可能性があります。
AIが登場し、IOTが普及し、ビジネス環境が急速に変化していく中、システムエンジニアに求められる役割はさらに大きくなるでしょう。システムエンジニアとして働くなら、システムエンジニアの価値を理解し、仕事の内容に見合う報酬を支払う企業で働くことがベストです。
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