ITエンジニアとしての基礎的な知識が身についていることをアピールしたいなら、「基本情報技術者試験(通称:FE試験)」を履歴書に記載すると、高い評価が得られる可能性が高まります。IT企業に入社すると、新人向けにこの資格を取得するよう指導するところも少なくありません。
この記事では、基本情報技術者試験に合格するために役立つ勉強方法や、スケジュールの立て方について紹介して行きます。
基本情報技術者試験とは?
基本情報技術者試験とは、「情報処理技術者試験」の中の1つで、ITに関する基礎的な知識・技術が身についていることを裏付ける資格です。国が定める立派な国家資格であり、春と秋の年2回、試験が開催されます。
詳しい日程については、基本情報技術者試験を実施しているIPA(情報処理推進機構)の公式HPを参照してください。
試験は午前・午後の2部に分かれており、いずれもマーク式。基本知識を問う午前中の試験と、応用力を問う午後の試験を受けることになります。どちらも60点以上の得点で合格です。
出題分野となるのは、ネットワーク・データベースといったIT関連の基礎知識のほか、プロジェクトマネジメントや品質管理、経営や法律に関する分野まで多岐にわたります。この出題範囲の広さが、基本情報技術者試験の難易度を高めている理由でしょう。
必要な勉強時間の目安として、100〜200時間と想定されています。現役のエンジニアであればそれ以下の時間で合格ラインに達することができるかもしれませんが、初心者の場合は200時間以上の勉強時間を費やさなければいけない可能性も出てきます。
合格率はおよそ20〜30%ほどに収まっており、6〜7割ほどの受験者が不合格となる計算です。合格者の平均年齢は20〜30代。範囲は広いものの高度な専門知識を求めるものではないため、文系出身の人や非エンジニアの人も合格しやすい試験になっています。
基本情報技術者試験に合格するための予備校や通信講座も存在しますが、独学でも問題なく突破できるレベルです。すでにプログラミングの実務経験がある方や、比較的時間を多く確保できる学生の方であれば、数週間〜数ヶ月程度で合格できるでしょう。
なお、基本情報技術者試験では広い分野の知識を浅めに身につけるタイプになりますので、実務で役立つことはそれほど多くありません。もちろん転職・昇進の際のアピール材料としては非常に効果的ですので、ステップアップを目指す人なら取得しておいて損はない資格です。
基本情報技術者試験を突破するために効果的な勉強方法は?
基本情報技術者試験だけに限ることではありませんが、資格試験の勉強では「インプットとアウトプットの比率」が重要になってきます。多くの人はテキストや参考書を読んだり講義を受けたりするインプットに重点を起きがちですが、アウトプットが伴わなければすぐに忘れてしまいます。
理想としては、インプット3に対し、アウトプット7の比率を維持することが求められます。たとえば、3時間テキストを読み込んだら、あとの7時間は過去問を解くことに費やす…といった具合です。
それを踏まえた勉強方法としては、
(1)テキストを読み込んで理解を深める
(2)過去問を解きつつ、わからないところはテキストで復習
(3)予想問題集、直近の過去問を解く
の3ステップを心がけていきましょう。
(1)テキストを読み込んで理解を深める
まずは学習に使うテキストを1冊選び、1周目は読み通すことを目標に目を通していきます。最初からすべての知識を理解し、覚える必要はありません。まずはテキスト全体を読むことで大まかな全体像を把握することを目指しましょう。
2周目、3周目と何度もテキストを読み返していくうちに、だんだんと知識が定着していくことに気づくと思います。通勤中や休憩中などを利用して、スキマ時間にもテキストを読み込んでいくことをおすすめします。
(2)過去問を解きつつ、わからないところはテキストで復習
テキストを読み込んで大まかな知識が身についたら、実際に問題を解きながら記憶を強化していきます。
人間は「あの単語ってなんだっけ…?」と、知識を思い出そうとしている時に、一番記憶が定着しやすいという特徴を持っています。ですので、「わらかない問題は飛ばして、すぐに答えをチェックしよう」とするよりは、少なくとも3〜5分は思い出す努力をしてみるとよいでしょう。
基本情報技術者試験の過去問は、書店で解答付きのものが手に入るほか、実施団体であるIPAの公式HPでも公開されています。最新の過去問1回分は除いて、2つ前の過去問から4〜8回分ほどを入手し、実際に解いてみましょう。直近1回分の過去問は、試験直前の実力チェックに使うのがおすすめです。
(3)予想問題集、直近の過去問を解く
最新の過去問以外にも、書店で販売されている予想問題集を解くのが効果的です。実際に午前・午後と試験日程通りに問題を解き、実際の試験の時間配分もチェックしておくとよいでしょう。
また、試験直前には苦手分野の復習も忘れずに。(2)のステップで解いた過去問の中で、間違えた問題だけを集中して解いたり、苦手分野についてのテキストを重点的に読み込んだりすることで、弱点をカバーしていきましょう。
基本情報技術者試験に受かるためのスケジューリング
仮に1日1時間勉強に費やすとして6ヶ月、合計180時間の勉強時間を確保するとしましょう。次回の試験日から逆算して、半年前から試験対策を進めていきます。
最初の3ヶ月は、テキストを読み込んで基礎知識を頭に入れることに費やしていきましょう。1回だけテキストを読んで終わりにするのではなく、2周、3周と繰り返し読むことがポイントです。この段階には約90時間を充当します。
続いて、過去問を解きつつテキストで復習する段階には、2ヶ月間の勉強時間を充てましょう。約60時間を使って、入手した過去問をひたすら解いていきます。間違えた問題は解説を読み、テキストも再読して知識の定着を図ります。
試験までの直近1ヶ月は、予想問題集や最新の過去問を解いて実力チェックを行う期間とします。苦手分野の復習も、合わせて実施するようにしましょう。
ここでは1日1時間の勉強時間を確保できる人向けのスケジュールをご紹介しましたが、もし1日2時間の勉強時間を取れるようなら、半分の3ヶ月で取得を目指すことも可能です。本業の負担とならないよう無理のないスケジュールを考えながら、学習を進めていってくださいね。
まとめ:転職や昇進の際のアピールポイント
基本情報技術者試験は、IT業界を目指す人ならぜひ取得しておきたい資格の1つです。合格することで即実務に結びつくというわけではありませんが、転職や昇進の際のアピールポイントになることは間違いありません。
勉強方法としては、インプットとアウトプットの比率に注意すること、そして過去問を徹底的に活用することがポイントになります。テキストを読むことだけに集中するよりも、実際の過去問を解くことが記憶の定着につながるからです。
1日1時間の勉強時間が確保できるなら約6ヶ月、1日2時間であれば約3ヶ月のスケジュールで学習を進めることがおすすめです。自宅ではなかなか勉強が進まないという場合には、通信講座や予備校に通うのも1つの手段でしょう。
ここで紹介した勉強方法・スケジューリングのポイントを参考にして、一発合格を目指してくださいね。