IT業界での転職について

今や、新卒でも入社後3年以内に3割が転職する時代となり、終身雇用制は過去のものになりました。転職に対する偏見もなくなりつつあります。

また、一昔前なら転職回数が多いというだけで書類選考で敬遠されていたような人でも、直近の履歴がある程度求人要件に近ければ、書類選考を通過できるようにもなりました。

少子化による労働力不足とIT需要の拡大を受け、IT業界の転職市場は今、空前の売り手市場となっています。

転職によって希望する仕事のできる環境に移ることだったり、年収アップだったりと、その目的はさまざまですが、IT業界はもともと転職が珍しくない業界です。

ITエンジニアの転職市場では、30代で転職を希望するエンジニアが枯渇してきているとまで言われています。

そもそもITエンジニアの場合、所属する会社が変わったとしても、業務ごとに必要とされるスキルはそれほど変わらないために転職しやすい業種であり、他業種と比べれば転職回数にかなり寛容です。したがって他業種より転職回数が多くなる傾向にあります。

ただし、転職が度重なると、やはりデメリットも目立ってきます。移り気な人と見られたり、社会人として未成熟ではないかと見られたりするのです。

この記事では転職回数にフォーカスして、転職回数の目安、転職回数が多い場合のメリットとデメリットや、デメリットへの対策などについて述べていきます。

転職回数には上限の目安がある

転職回数は、何回くらいまでが許容範囲なのでしょうか。

一般に、20代であれば3回以上、30代であれば5回以上だと多いと見られます。上限回数のケースでは、1社当たりの平均在籍年数は3年から3年半ほどとなります。

転職の回数は、やはり少ないほうが有利です。

ITエンジニア業界で長く1社に勤めた実績がある場合、専門分野に長けている、プロジェクト経験が豊富、マネジメント能力がある、忍耐力があるなど、様々な面で採用企業側はプラス側に評価してくれます。

転職によるキャリアアップや年収アップを考えるとき、一つの会社に5年以上は在籍し経験を積んだ方が有利に働くでしょう。

逆に、転職回数は多ければ多いほど不利になってしまいます。

転職の理由は人それぞれですが、どんな理由にせよ、転職回数が多い人に対する印象はあまり良くはないのが現実です。

企業の選考基準によっては、転職回数が多いという理由だけで書類審査に通りにくくなることもあります。

しかしこれは、あくまでも一般論にすぎません。

特に近年のIT業界の企業は、転職回数だけ見て求職者を判断しない傾向にあります。

退職理由をきちんと明記し、それが企業にとって納得できるものであれば、書類審査を通過するケースが多く見られます。

さらに経験や実績、スキル、志望動機やキャリアプラン、人柄などの複数の要素を総合して合否が評価されます。

つまり、最終的に不利か有利かは、転職理由や経歴次第ということになります。

転職回数が多いことにはメリットもある

転職回数が多いことは、マイナスばかりでもありません。

キャリアを重ねていく中で、やりたいことが変わったり、新しく見つかったりすることはよくあります。

そのような理由での転職を繰り返した場合、さまざまなスキルを幅広く身に付けている、多様な経験をしている、という強みが得られるでしょう。

転職により職場環境が一変しても、そのたびに新しい環境に適応する対応力があるといえますし、変化を恐れず新しいことに挑戦できるチャレンジ精神にあふれている、と評価する企業もあるようです。

1つの会社に長く勤務していると、本人が思っている以上に「井の中の蛙」になっている恐れもあります。その会社では必要ですが、その会社でしか通用しないスキルを持っているというだけの現状に満足してしまうのです。

それに比べると、社外で通用するIT技術の習得に努め、「ITの腕一本」でさまざまな会社を渡り歩いてきた転職経験者のほうが頼もしく見えたりします。

ITエンジニアの求人倍率は高留まりしており、「過去の経歴」よりも「今必要かどうか、現在の実力はどうか」で、転職回数は問わず採用したいという企業が増えています。

転職回数が多いことにはメリットもある

転職回数が多いことはやはりデメリット

それでも一般的には、転職回数が多いことはデメリットです。

企業の採用担当者に「長続きせずすぐに辞めてしまうのでは?」「飽きっぽいのでは?」との印象を与えてしまうからです。

採用する企業としては、採用活動に一定の労力やコストを投じる必要があります。

その投資をなるべく早く回収でき、さらにできるだけ長く会社に貢献できる人材を求めています。つまり、「即戦力かどうか」だけでなく、「短期間で辞めないかどうか」も採用において重要なポイントなのです。

もし転職して入社した人が短期間で退職してしまうと、採用担当者に厳しい評価が下されることになります。

「石の上にも三年」と言われますが、必ずしも3年間ではなくても、新しい技術を身に付けたり経験を積んだりするには、最低限の年月を要することが多いものです。

現状に満足せず、常に成長や変化を求める姿勢はよいのですが、転職のたびに本当に成長したのかどうかが問われます。

転職回数が多いときの対策3つ

それでは、転職回数が多いときはどうしたらよいのでしょうか。

以下に3つの対策をまとめました。

対策1:退職理由や志望動機はポジティブなものにする

退職理由は、人間関係や給料に関するネガティブなものが、実際にはほとんどかもしれません。しかしこれらは、基本的に転職の応募書類や面接で敢えて言う必要はありません。面接官に正直な人と思われても、最終的に人間的に未熟とか堪え性がないなどと判断されては本末転倒です。

面接時には退職理由と志望動機を必ず聞かれます。ポジティブなものを事前に考えておき、面接でアピールできるようにしておきましょう。

例えば、

  1. 今の会社ではできないが、新しいスキルや技術を習得したい
  2. キャリアアップのため
  3. 転職先で将来性のある技術に携わりたい

などのITエンジニアらしい理由をしっかりとアピールできるようにします。

事実を捻じ曲げるのではなく、あくまでも転職の成功につながるポジティブな材料のみを提供する、という感じです。

転職回数が複数回であれば、その回数分の退職理由を考えておきましょう。過去の転職に関しては多少ネガティブでも仕方ないですが、今まさにしようとする転職に関してはポジティブになるようにします。

対策2:経験やスキルを上手にアピールする

転職回数の多さを挽回できるのは、ほぼこの点にかかっています。

今まで仕事で経験してきたことや獲得したスキルを説明でき、その技術をどのように応募企業に活かせるかまでアピールできるようにしておきましょう。

数値で客観的に示せる実績は特に評価されやすいので、アピールしやすいように実績をまとめておくのも一案です。

また、ITエンジニア業界では、ITのスキルや知識以外にも、新しい環境に適応する能力や、コミュニケーション能力などのヒューマンスキルも重要になります。このあたりは、何かを話してアピールというよりは、面接時の態度や話し方に表れる部分になります。模擬面接などで場慣れしておくとよいでしょう。

対策3:転職後のキャリアプランを明確にしておく

転職の面接では、その企業への志望動機だけでなく、中長期的にどのようなキャリアプランを描いているかまで説明を求められます。

新卒の時点から今まで、そしてこれからについて、できるかぎり一貫したものにしておきます。エンジニアとしてのキャリアが下流から上流に遡っているかどうかが重視されるようです。

また、キャリアアップという自分自身にとっての利益だけでなく、自分がキャリアアップすることがどのように企業側のメリットにつながるのかというポイントも重要です。

成長への期待を抱いてもらえる内容にすれば、熱意や向上心も同時にアピールすることができます。

そして、今回をキャリア最後の転職にするという覚悟が伝わるようにしましょう。

キャリアの棚卸しや、IT業界の職種別のキャリアモデルの研究を事前に行っておくことが必要です。

転職回数が多いことのデメリットを最小限に、メリットを最大限に

IT業界の転職回数に関してまとめてみました。

転職回数が多いのにはメリットもデメリットもあり、デメリットには具体的な対策がありました。

過去の転職回数を気にするより、前向きにどう挽回していくかが重要になります。ネガティブに考えるのではなく、ポジティブに上手にアピールすれば転職を成功させることができます。

転職回数が多めで、上記で紹介したようなアピール方法を思いつかないという方は、転職エージェントを利用してみましょう。転職のプロが転職活動全般をサポートしてくれます。

幾多のエージェントがありますが、techcareerのエージェントをおすすめします。techcareerはIT業界に特化したエージェントだからです。

一般的なエージェントのサービスには、キャリアの棚卸しのお手伝いはもちろん、応募書類へのアドバイス、面接対策などがあります。

ここで、techcareerはIT業界に特化しているため、どんなスキルや経歴をどのように企業にアピールしたらよいか知り尽くしています。IT業界の転職のプロが、個別の応募先企業に対して最高の準備ができるようにサポートしてくれるのです。

まさに転職回数の多さのデメリットを最小限に、メリットを最大限にできる転職エージェントといえます。

何度転職しても満たされない「青い鳥」探しの転職にならないためにも、エージェントの活用をおすすめします。

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