SIerとは? SEとの違いは?
SIerとは、システムインテグレーションを主な事業とする企業です。
システムインテグレーションとは顧客の業務を分析して、顧客の抱える課題を解決するシステムの構築や運用を業務として請け負うことです。
大規模なSIerは多くのプロジェクトを同時に請け負っているため、同じSIerでも規模が大きな会社に転職できれば、時期に応じて様々なプロジェクトに参画できる可能性があります。
SIerと似た言葉にSEがありますが、意味は全く異なるため注意が必要です。
SIerとは前述の通り事業者を意味する言葉ですが、SEはシステムエンジニアという職種を意味しています。
システムエンジニアはプログラミングやテスト、運用業務などシステム開発や運用に関する業務を担当する職種です。
SEはSIerで活躍することができる職種でもあるため、IT業界への転職を目指すならなら基本的な違いは理解しておきましょう。
また、混同しやすいSIerとSESの違いについては下記記事で詳しく説明しているので、ご覧ください。
https://freelance.techcareer.jp/articles/9529/
SIerが活躍する業界は?
SIerとはシステムインテグレーションを行う事業者であることは前述の通りですが、SIerが活躍する業界はIT業界です。
具体的なプロジェクトとしては、大手有名企業のシステム開発を請け負うメーカー系や、金融業界、保険業界、ソフトウェア開発など様々なものがあります。
SIerが活躍する業界はIT業界や、IT業界に含まれるSIer業界ですが依頼元となる企業は様々な業界となるため、幅広い業界に携わる開発をすることができます。
大手企業のグループ会社であるSIerなどに転職することができれば、親会社からの開発を請け負うことも少なくありません。
どのようなSIerへ転職するのかによって、参加できるプロジェクトに違いがあるという特徴もあります。
SIerの仕事の種類について
SIerが活躍できる環境は前述の通りですが、SIerの仕事の種類は大きく三つに分けることができます。
それは以下の通りです。
・独立系SIerとは
独立系SIerとは独立した経営を行っているSIerです。
親会社が存在せず、保守よりも開発業務が多いという特徴があります。
独立系SIer企業例
・トランスコスモス
・ITホールディングス
・大塚商会
・ユーザー系SIerとは
ユーザー系SIerとは、民間企業の情報システム部門から独立したSIerです。
親会社が存在するSIerとなるため、受託するプロジェクトは親会社が依頼元となっていることが多く開発から運用、保守まで幅広い業務を請け負います。
親会社からの依頼があるため、親会社の基盤がしっかりとしていれば独立系SIerよりも経営が安定しているという特徴があります。
ユーザー系SIer企業例
・新日鉄住金ソリューションズ
・伊藤忠テクノソリューションズ
・NTTデータ
・メーカー系SIerとは
メーカー系SIerとは、ハードウェアやコンピュータメーカーから独立したSIerです。
ユーザー系と同じく親会社から依頼を受けることができるため、経営が安定しておりエンジニアへの報酬も充実しているケースが少なくありません。
しかし親会社からの受託が多くなるため、取り扱う製品の種類が限られる傾向があり、独立系SIerと比べると、取り扱える製品の幅は狭くなる可能性もあります。
メーカー系SIer企業例
・東芝デジタルソリューションズ
・富士通エフ・アイ・ピー
・NECソリューションイノベータ
SIerの将来性
SIerの将来性を考える際は、自社開発企業との違いを知ることが欠かせません。
自社開発企業とは自社で企画や開発の予算を決めて、事業を営む企業です。
その一方、SIerは請け負うことを前提として開発に取り組むため依頼元企業の決定で大きく事業が左右されます。
そしてSIerは案件獲得時にSIer同士の価格競争となった場合、受託費用が抑えられるリスクがあります。
またSIerは構造的に下請け、孫請けなど複数の企業が間に入り、末端のSIerに依頼が回ってきた際には受託費用が少なくなってしまう問題もあります。
しかしIT業界自体は伸びている業界であるため、SIerに将来性がないわけではありません。
もちろん競争の中で淘汰されていくSIerは確実に存在しますが、それはどの業界でも同じことです。
親会社が大手企業である場合や、大手やグローバル企業と強いパイプを持つSIerは生き残っていく可能性は充分にあるといえるでしょう。
SIerで働く際の注意点
SIerはエンジニアとして活躍できる職種の一つですが、基本的には仕様書に決められた通りの業務をこなすことになるため、仕事の幅が広がりづらいという問題があります。
そして孫請けをしているSIerに転職した場合、元請け企業となっている大手SIerの社員と比較すると立場的には弱くなります。
もちろんプログラミングスキルを身につけることができるなどのメリットもありますが、大手SIerなど元請けとなる企業と比較すると報酬は低いケースが少なくありません。
では大手SIerが良いのかといえば、必ずしも良いとは限りません。
大手SIerなら福利厚生や社会保障、待遇は充実している可能性が高くなりますが、担当する業務はクライアントの打ち合わせや進捗管理、下請けの管理など運営に近い業務の担当となる可能性があります。
そうなるとプログラマーとしての成長はあまり期待できません。
プログラミング言語の習得を主な目的とするのであれば、大手SIerが良いとは限らないのです。
このようにSIerは会社の規模やプロジェクトで任される業務に違いがあります。
SIerで働く際に役立つスキルとは
SIerとは、システムインテグレーションを主な事業としている会社を指しますが、求められるスキルがいくつかあります。
では次に、SIerで働く際に評価されやすい役立つスキルについて見ていきましょう。
・Java
Javaは、SIerの多くの現場で求められるスキルの一つです。
1995年と比較的古くからあるプログラム言語ですが現在でも需要があります。
JavaはAndroidアプリ開発に用いられる言語でもあるため、スマホアプリ開発に携わる場合などは欠かせないスキルです。
・C言語
C言語は1972年に開発されたプログラム言語。
C言語にオブジェクト仕様が加えられたプログラム言語にはC++言語があります。
レガシーなプログラム言語ではありますがSIer業界ではC言語が重宝される現場も少なくありません。
・Python
PythonはWebアプリやデスクトップアプリだけでなく、組み込み系の開発にも利用されるプログラム言語。
機械学習の開発でも用いられる、様々なプロジェクトで求められるプログラム言語でもあります。
文法がシンプルなプログラム言語でもあるため、初心者のプログラム言語学習にも向いているという特徴があります。
・AWS
AWSはアマゾン社が提供しているクラウドサービス。
具体的なサービスとしては、ストレージ、データベース、セキュリティ、エンタープライズアプリケーション、管理ツールなど様々なものがあり、多くの企業に活用されています。
大手企業や公的機関も積極的に活用しているサービスとなるため、SIerで働く場合、基本的な操作スキルやAWSに関する知識が求められることは少なくありません。
・Azure
Azureはマイクロソフトが提供しているクラウドプラットフォームサービス。
仮想環境を構築している多くの企業に利用されているサービスでもあります。
セキュリティについても信頼があり、業務の効率化などを様々な目的で利用されているサービスです。
【まとめ】SIerとはシステムインテグレーションを提供する企業
ここまで紹介してきたように、SIerとはシステムインテグレーションを提供する企業ですが、業務内容は企業の規模や参加するプロジェクトの内容によって大きく異なります。
自社開発の企業に比べると開発の自由度は下がりますが、長く務めることで様々なプロジェクトに携わることができるというメリットも存在しています。
実際にSIerに長く勤める中でプログラマーやエンジニアとしての業務だけでなく、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダー業務を経験する人もいます。
SIerへの転職を目指すなら、SIerの特徴を理解して転職の目的に合った会社選びをすることをおすすめします。