個人情報や大切なデータを保護するサイバーセキュリティの重要性は、昨今増加しており、社会ではその知識や技術を身に着けようとする動きが大きくなってきています。その需要に応えるべく、現在ではサイバーセキュリティの知識を学びたい人、セキュリティエンジニアとしてのキャリアを歩みたい人向けに、オンライン・オフライン共に多くの学習用リソースが世に出ています。この記事では、その中から特におすすめのオンラインコースや書籍、コミュニティを具体的に紹介します。
シスコのサイバーセキュリティ入門コース(無料)
アメリカに本社を置く世界最大級のコンピュータネットワーク機器開発会社シスコ(Cisco)の日本法人では、サイバーセキュリティについて学べるオンライン講座「サイバーセキュリティ スカラシップ プログラム」の入門コースを無償で公に公開しています。
無料で受講できるのは初級の「Introduction to Cybersecurity」と中級の「Cybersecurity Essentials」の2つがあり、どちらも最後に試験があります。「Introduction to Cybersecurity」では、ネットワーク上の脅威やデータの保護、サイバーセキュリティが必要とするIT業務についてなど、サイバーセキュリティの一般的な知識を学びます。「Cybersecurity Essentials」では、IT管理者やエンジニアを対象とした、倫理・法律やセキュリティ制御の実装手順などを含む、サイバーセキュリティの基本的な知識とスキルを学ぶことができます。
まずは無料で学習をしてみたい、という方にはぴったりのコースと言えるでしょう。
Udemyのハンズオン形式講座「ハッキング技術入門」
オンライン学習プラットフォームの大手であるUdemyでも、多くのサイバーセキュリティに関するコースが提供されています。中でも人気があり評価が高いコースが、「【サイバーセキュリティ ハンズオン】ハッキング技術入門(不正侵入編)」です。サイバーセキュリティを専門とする大学教授の佐藤直氏が講師を務めており、10のセクションを通し実際のサイバー犯罪の手法を把握してその対策を学ぶというユニークな内容となっています。
任意ですが、演習環境を自分で構築して、受講中に自分で実際にツールを動かしてみることもこの講座ではおすすめされています。
書籍『図解まるわかり セキュリティのしくみ』
SSHやVPNといった用語をぱっと見ただけで何のことかわかりますか?SSHとはセキュア・シェルの略で、遠隔サーバーにサーバー管理者が安全に接続する手段です。VPNとは仮想プライベートネットワークの略で、ネットワーク上に専用のトンネルを構築して通信を保護する仕組みです。どちらも安全なリモート通信のために使われるツールです。
こうした専門用語やセキュリティの基本の概念をイラストで図解して、初心者にわかりやすく教えてくれるのが、『図解まるわかり セキュリティのしくみ』(増井敏克著、2018年)です。セキュリティについての基本的な知識を幅広く学ぶことができます。見開き2ページで1テーマを扱い、半分が文章、半分が図解というスタイルで、基礎学習の指南書の役割を果たしてくれます。
英語圏巨大掲示板「レディット」のサブカテゴリ3種
英語が読める人におすすめしたいのは、英語圏の巨大掲示板「レディット(Reddit)」の情報セキュリティ関連のサブカテゴリです。世界中からアクセスを集めており、日本語のプラットフォームに比べ情報量は桁違いです。
おすすめのサブカテゴリは、「/r/netsec」「/r/AskNetsec」「/r/netsecstudents」の3つで、アクティブなスレッドが数多くあります。「/r/netsec」は情報セキュリティ全般を語り合う場所で、「/r/AskNetsec」は質問を投げかけて回答をもらうのに特化したカテゴリです。「/r/netsecstudents」は特にサイバーセキュリティの初心者や学習中の人におすすめ。知識やノウハウだけでなく、この業界でのキャリア形成の方法なども議論されています。
人によって、適した学習ツールは異なります。まとまった書籍を自分で読むのが性に合っている人、解説が聞ける講義形態の方が理解度を深められる人、さまざまでしょう。自分に合ったツールを見つけるのが、効率の良い学習の第一歩です。この記事で挙げた選択肢も考慮に入れ、ぜひ自学自習に役立てていただければ幸いです。