株式会社ZOZOテクノロジーズにて、SREチームのマネージャーを務める指原卓也さんにインタビューしました。新卒でヤフーに入社し、ZOZO(当時スタートトゥデイ)に転職。一度はZOZOを離れ外の企業を経験したのち、マネージャーとしてZOZOに戻った指原さん。インターネットのサービスを作り、世界を変えたいという思いでエンジニアの業界に飛び込みZOZOSUITやZOZOMATの開発をしています。そんなZOZOのサービスを支える指原さんの過去から現在に迫ります。

やっぱりZOZOで働きたいと想い、2度目のZOZOキャリア

―エンジニアとしてのスタートやファーストキャリアについて教えて下さい

大学では遺伝子工学を専攻しており、大学院まで進学して大腸菌を培養する日々で、そのまま研究職に就くつもりでした。しかし大学時代に自分のサイトを作ったり毎日ブログを書いたりしていくうちにインターネットのおもしろさと可能性に魅了されて、インターネットには人生をかける価値があると考えるようになりました。当時まだインターネット関連の会社は少なく、選択肢があまりなかったのですが、インターネット業界の代表的な会社であったヤフーにエンジニアとして入社を決めました。親には研究者になると伝えていたので「そんな会社で大丈夫?」と、心配されていましたね(笑)。

ヤフーでの担当はディスプレイ広告のインフラで、4年程携わっていました。インフラエンジニアをやりながら、ヤフー登竜門という新規事業コンテストに参加し、1,000件以上の応募の中から最優秀賞を受賞しました。その後、その事業の立ち上げにも取り組んでいました。

―その後ZOZO(当時スタートトゥデイ)に入社されたのですが、どんな魅力に惹かれたのでしょうか?

当時のZOZOは社員数が200人もおらず、今と比べるとまだ知名度が低い状況でした。ZOZOの魅力は理念と社風です。当時経営理念として掲げていた「いいひとをつくる」が端的に表しているのですが、楽しく働くという社風が非常におもしろいと感じました。唯一無二な印象があったというのと、企業理念をビジネスに落とし込んでいる会社を希望しており、それがZOZOでした。

―入社後はどのような仕事をされていたのでしょうか?

ZOZOでは、2年間のZOZOTOWN開発を経てファッションコーディネートアプリWEARの立ち上げに携わりました。リリースから1年経ち、やりきった感があったのと、環境面に若干の物足りなさを感じ、1度退職しました。退職をして2社経験し、改めてZOZOのカルチャーや雰囲気の良さを知りました。また、離れている間にZOZOテクノロジーズが会社として立ち上がり、物足りなさを感じていた環境面もかなり改善されていました。何よりZOZOSUITなど、新しいことに取組む姿勢を外から見ていて、人生の貴重な時間を費やすならZOZOでチャレンジしたほうがもっと世界に大きなインパクトを与えられると思い、戻ることを決意しました。

―今の仕事内容や携わっているサービス内容、取り組んでいることはなんですか?

SREチームでリーダーをやっています。チームで取り組んでいることは4つ。1つ目はZOZOMATです。ZOZOTOWNのアプリで足のサイズを計測することができ、自分にぴったりな靴のサイズをレコメンドしてくれるシステムです。2つ目はMSP(マルチサイズプラットフォーム)と呼んでいるサービスで、欲しい服を選んで身長と体重を入力すると体型にあったサイズをレコメンドしてくれるサービスです。その服の生産工場システムの構築運用を担当しDXを推進しています。3つ目はWEARのインフラ担当で、オンプレからクラウドにリプレイスするプロジェクトを推進しています。4つ目としては、まだ公表できませんがZOZOSUIT、ZOZOMATに続く計測系の新規事業の立ち上げを担当しています。

自由にチャレンジできるからこそ、期待の120%の成果を

―出戻りした指原さんの考えるZOZOテクノロジーズの魅力を具体的に教えてください

戻った理由でも触れたことですが、ZOZOテクノロジーズの良さは大きく3つあると思っています。1つ目は自由さと仕事を楽しむ姿勢です。ZOZO以外の企業を経験し、その姿勢が他の会社に比べて特に強い印象を持っています。
それから2つ目がチャレンジし続ける姿勢。ZOZOSUITをはじめとした、チャレンジ精神溢れるサービス開発が魅力です。
3つ目は社会に与えるインパクト。ZOZOのチャレンジが世界中に大きなインパクトを与えていると感じています。

―自由さは社風だったり、カルチャーだったりだと思うのですが、具体的にはどんな自由さがありますか?

開発面での特徴という観点では、アーキテクチャ選定は現場に裁量が与えられていることです。追加する機能選定についてもそうですし、使う技術についても現場のエンジニアに強い希望があって、会社に貢献できる説得力があれば叶えられる環境です。
例えば、AWSのAmazon EKS(Kubernetes)をZOZOMATでは採用しています。学習コストも含めてそれなりに運用が大変な技術ではありますが、当然メリットもありますし、現場エンジニアの「最新技術を取り込みたい」という好奇心や攻めの気持ちもあり、採用しています。もちろんテックリードやCTOのレビューは入りますが、チャレンジする人の背中を押してくれるカルチャーです。実際、私の上司であるCTOの今村には、提案するたびに「いいじゃん、やってみなよ」と言われます。止められたことがないので逆に心配になるくらいです(笑)。

―1つ目の魅力である自由と2つ目のチャレンジがつながりますね。逆に、チャレンジだったりで、ぶっちゃけ辛かったことや苦しかったことはありますか?

やはり新しいサービスを開発していく中で、どうしてもスケジュールに間に合わせるため仕事量が一時的に増え苦しい時期というのはあります。ただ、振り返ってみると、苦しかった分、その経験が自分を成長させてくれたとも思います。
また、弊社はワークスタイルとして「楽しく働く」というキーワードを掲げています。忙しい中でも遊び心を忘れないというような意味合いもありますが、仕事が楽しいと感じる瞬間って自分の裁量で意思決定ができ、さらに成果が出たときだと思います。だから仕事というのは出世すればするほど基本的には裁量と意思決定できる機会が増えるので楽しくなる構造になっています。
若手社員にも仕事を楽しんでもらうために、できるだけ立場関係なしに裁量と権限を与える方が良いと思っています。私はマネージャーとして裁量と権限を与えるだけでなく、成果がでるようにサポートするよう心掛けています。

ー3つ目の魅力であるインパクトという意味ではいかがでしょうか?

それは、弊社のミッション「70億人のファッションを技術の力で変えていく」の体現に尽きると思います。私たちのチームでは今までになかったイノベーティブな付加価値を提供し、新しいカタチでファッションを楽しむためのインパクトのある提案をし続けることでそれを体現しています。

―自由やチャレンジには責任が伴うと思いますが、責任とのバランスのとり方で意識していることはなんですか?

やりたいと言ったからには成果を出さなければいけません。成果というのは依頼主や上司の100%の期待通りでは足りないと考えています。期待を超える120%を常に出そうと考えることで、今までになかった発想や工夫が生まれると思っています。
ZOZOグループの「らしさ」のキーワードである「ソウゾウのナナメウエ」にならい、相手の期待値を超えることを意識しています。

ーエンジニアの人事評価という点では、いかがでしょうか?

現在、会社が目指す組織像や人材像をより明確にするために、人事戦略から評価制度の見直しを行っています。人材育成の施策や、エンジニアがどのようなキャリアパスを描いていけるかなどの基準を整え、明確にするところから考えています。ゴールは、目指す人材像の明確化と育成、目標管理による事業戦略の浸透です。そして評価制度もツールの1つとして利用しコミュニケーションを増やし、行動と成果で評価するというイメージです。

自分の作ったもので世界を変えたい

―指原さん個人のエンジニアとしての話に移したいと思います。これまでエンジニアとして最も成長した経験を教えてください

WEAR(PC版、スマホ版、iOS、Android)を少人数(現場社員3人+業務委託数名)で3ヶ月という非常に短い開発期間でリリースしたことです。納期が短かったのでどうやったら素早く開発できるかを考えるようになりました。また「自分が最後の砦」という感覚から強い責任感を感じるようになったのもその頃で、仕事に対する姿勢も含めて成長したと感じています。ZOZOに戻ってからはマネージャーになったので、チームとして成果を出すなど視座が上がり、会社を広く見れるようになりました。

―スキルアップのために心がけていることはありますか?

技術書を読むこともそうですが、マネジメントに関する本など、勉強したいジャンルは積極的に本を読むようにしています。同じジャンルの本を10冊程度読むと、理解の解像度が高くなるので現在も読書を続けています。それから情報収集のため、毎日はてなブックマークの全記事に目を通すこともしています。本関連でいうとチーム全体で毎朝、輪読会を開き、チームで仕組み化することで続けられる環境を作っています。

―エンジニアで良かったと感じる瞬間があれば教えてください

月並みですが、お客様の反応がダイレクトに感じられるところですね。WEARもそうでしたが、弊社はリリースしたらすぐにたくさんの人に使ってもらえる恵まれた環境です。エンジニアであるがゆえにお客様との距離は遠く感じることもありますが、お客様の期待はリクエスト数やシステム負荷を通じてダイレクトに私たちに届いています。エンジニアになって、大変さも感じますが、振り返れば全て楽しいです。

―最後に、今後実現したいことを教えてください

この業界に入ったきっかけでもありますが、自分で作ったインターネットサービスで世界を変えたいです。また、マネージャーになってから、自分ひとりでなくチーム全体をエンパワーすることで大きな成果を出すことが、おもしろいと感じるようになりました。人の行動を変えることにやりがいを感じています。今月から組織開発というチームを立ち上げ兼任しており良い組織をつくることにもやりがいを感じます。自分自身がチームや会社全体を良い組織にするための“てこ”のような存在になりたいですし、会社を世の中の“てこ”のような存在にしたいと考えています。

取材を終えて

2度ZOZOを経験する指原さんならではの、会社の良さがひしひしと伝わってきました。挑戦を後押ししてくれるカルチャーの中で、自由に挑戦できるからこそ期待以上の成果を出すというお話、大変勉強になりました。そのお考えがチームメンバーそして全体に広がり、世界にインパクトを与えられるプロダクトが生まれているのではないかと感じました。これからもZOZOでしかできない挑戦を続け、世界中のファッションがテクノロジーで変わっていく未来に期待です!

プロフィール:指原 卓也

2008年、ヤフー株式会社に新卒入社、広告システム開発運用を経て、2011年に株式会社スタートトゥデイ(現株式会社ZOZO)に転職。ZOZOTOWN、WEARの開発を担当し2015年退職。2018年に株式会社スタートトゥデイテクノロジーズ(現株式会社ZOZOテクノロジーズ)に出戻り。現在はWEARやZOZOMATなどのインフラを担当するSREチームリーダー。2020年12月からは組織開発チームを立ち上げて所属。

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